discs - November 2011

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last updated: 13 November 2011


Luminarium / Tape (2008; Häpna; H.42)

Andreas Berthling
Johan Berthling
Thomas Hallonsten
with:
Lars Skoglund (snare ds on #3)
Ingmar Lindelöf (voice on #8)

Tape の4作目。アルバムを重ねる毎に、少しずつ楽曲の輪郭が浮き上がるようにフレーズや構成がはっきりしてきているが、まだメロディーが耳に残るほどではなく、曲が終わり次の曲のフレーズが流れると同時に幻のように消える微妙な具合だ。彼らの音楽の変化は緩やかで、前作 "Rideau" は外部のプロデューサーを立てたという大きな違いがあったが、静かにある一定の方向へ歩みを進めているのが分かる。それと同時にアコースティックな楽器への比重が大きくなっており、Thomas Hallonsten や Johan Berthling の弾く楽器の音がよく聴こえるが、Andreas Berthling の音についてはそのさりげない音使いにセンスを感じる。アコースティックギターやオルガン、丸みを帯びた柔らかでちょっと古風なトランペットなどの暖かな音、そしてノスタルジックなフレーズが相まって、聴いた後に「暖かなものが消えた後」の不思議な感覚を呼び起こさせられる。(2011/11/13)


Rideau / Tape (2005; Häpna; H.25)

Thomas Hallonsten
Johan Berthling
Andreas Berthling

Tape の3作目(ライブアルバムを含めれば4作目)。ドイツ・ケルンの有名なプロデューサー Marcus Schmickler を起用し、彼がプロデュース、レコーディング、ミキシングまで担当した作品で、他の Tape の作品とは完全に音作りが異なる。全5曲のうち3曲が10分超(彼らの他の単独作で10分を超える曲は今のところ1曲もない)、緩やかな反復を多用し、演奏の動きはかなり小さめ。隅々までしっかり作りこまれた寸分の隙もないプロデュースで、目の密な織物のように仕上げられている。そのため、一聴して聞こえる楽器の数は決して多くないにも関わらず、全体としては結構ずっしりと手応えがある。Tape らしいかどうかは別として、1つの作品としての完成度は非常に高い。スタジオライブ盤の前作 "Mort Aux Vaches" の直後の録音で、ギターのフレーズが印象的な前作の #2 "Reversed Fames" が、少し異なる楽器構成で本作の #2 "A Spire" として再現されている。彼らの楽曲がどのように構築されているかのヒントとして興味深い。(2011/11/11)


Mort Aux Vaches / Tape (2005; Mort Aux Vaches / Staalplaat; 14397)

Andreas Berthling
Johan Berthling
Thomas Hallonsten

スウェーデンのエレクトロアコースティックトリオ Tape の、"Opera" (2002; Häpna; H.9) 、"Milieu" (2003; Häpna; H.14) に続く作品。オランダのレーベル Staalplaat のライブレコーディングシリーズ Mort Aux Vaches の1枚で500枚限定。ライブレコーディングといってもスタジオライブなので、このグループの場合、音そのものはさほど通常のアルバムと変わりはない。音楽はやや抽象度が高く、アコースティックな楽器でない音がわずかに強め、というように、幾分 Andreas Berthling のカラーが出ているように感じられるが、それは Staalplaat というレーベルの特色、そして Andreas Berthling がこのレーベルに数枚の作品を録音しているから当然といえば当然。スタジオにはハモンドオルガンやシタールやミニハープなど様々なが用意されたため、1度のスタジオセッションにしてはとても多くの種類の音が聴こえる。楽器ではないが、(タイプライターではなく)電動タイプの音が上手く使われているのが彼ららしくて面白い。Mort Aux Vaches シリーズの他の作品同様、これもパッケージがユニーク。(2011/11/09)


What Was That You Said? / Klaus Holm Kollektif (2007; Jazzaway; JARCD 040)

Klaus Ellerhuse Holm (as, bs, cl)
Mattias Ståhl (vib, glockenspiel)
Ole Morten Vågan (b)
Ole-Thomas Kolberg (ds)

Klaus Holm (b. 1979) の初リーダー作。ざっくりした重心の低いリズムセクションにスウェーデンの名手 Matthias Ståhl のヴィブラフォンが涼しく響き、リーダーのリード楽器が飄々とメロディーを吹くこの楽器構成が最大のポイントで、風通しがよく、コントラストも鮮やかだ。楽曲は大半が Klaus Holm によるものだが、共作を含め、他のメンバーのオリジナルも含まれる。いずれもちょっと古風な感じがするフリージャズで、かなりしっかり書かれアレンジされていて、短めにコンパクトにまとめられている。メンバーはその凝った楽曲をリラックスして演奏しており、聴き手は構えずに聴くことができるため、非常に楽しめる。また、時折挟まれるなかなかクールな雰囲気のグルーヴがよいアクセントになっている。メンバー構成は変わってもよいので続きを聴いてみたいグループだったが、アルバムを1枚残した後、現在は活動していない。2007年のベスト10に選んだ佳作。(2011/11/07)


Insomnia / Ballrogg (2010; Bolage; BLGCD010)

Klaus Ellerhuse Holm (as, b-cl, feedback amplification)
Roger Arntzen (double-b)
with:
Lars Myrvoll (g, laptop, on #3, 7)
Ole-Henrik Moe (vln on #2, 7)
Kari Rønnekleive (vln, #2, 7)

前作 "Ballrogg" (2008) から短期間の割には大きく方向転換しての2作目。「不眠症」というアルバムタイトルや「夢遊病者」などという曲名から想像されるように、薄暗くて幽玄、お化けでも出てきそうな雰囲気だ。また、前作とは打って変わって Morton Feldman の "Patterns in a Chromatic Field" を取り上げており(クレジットでは曲名の頭に "Sort of" と付けられているが)、ピアノとチェロのためのオリジナルをアルトサックスとダブルベースで演奏している。ごつごつした手触りをもつこの曲が、アルバムの中で数少ない前作との共通点だ。楽曲の大半は Klaus Holm のオリジナルで、どこか牧歌的な香りがするメロディーに彼のコンポーザーとしてのセンスが見られる。ゲストを迎えての5人による即興演奏色が強いタイトルトラックは、歪む弱音がゆらりゆらりと絡み合い、微かな狂気が聴き取れるようで強く印象に残る。これを20分ではなく5分半に留めたのは短か過ぎるとも思えるがむしろ潔いとしたい。(2011/11/06)


Ballrogg / Ballrogg (2008; Bolage; BLGCD003)

Klaus Ellerhusen Holm (as, b-cl)
Roger Arntzen (double-b)

Erik Dolphy の曲を小さな編成で演奏するグループとして2006年にスタートしたデュオで、グループ名は恐らく J.R.R.Tolkien の『指輪物語』に出てくる魔物 Balrog をもじったものと思われる。全9曲のうち、4曲が Dolphy (彼らの愛聴盤だという "Out to Lunch!" (1964) 収録5曲のうちの4曲)、2曲は Ornette Coleman、1曲は Jimmy Giuffre、残りの3曲はメンバーによるもの。カバーした楽曲の解釈は比較的素直。フリーではあるが楽曲を演奏することを中心に据えているので、(悪い意味ではなく)こじんまりとまとまっている。演奏は非常にシンプル、丁々発止というでもなく、阿吽の呼吸というでもなく、静かに会話でも交わすようだ。このデュオでの Klaus Holm の楽器がテナーでなくアルトサックスとクラリネットであり、またベースの Roger Arntzen も曲を動かすのは上手だが豪快に弾ききるタイプではないので、デュオとして幾分線が細い印象を受けるが、それぞれの楽器の音が美しくて優しく、暖かな印象を受ける。(2011/11/04)


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