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The 41st Molde International Jazz Festival

17 July 2001


>>野外ステージ<<

モルデ・ジャズフェスティバルでは、市役所前に野外ステージが組まれ、毎日昼12時から4時までは様々(有名・無名入り混じり)なコンサートが無料で楽しめる。ただ、どういうコンサートがありどういう人たちが出るかは事前に告知されるものもあるが出ないものもあるようで、告知されてもノルウェー語のみ。はっきりいって誰が登場するかはよくわからない、というのが実情。

この日2時からは、"Horisont" というプログラム。これは告知はちょっとだけ出ていたが、ノルウェー語ゆえあまりよくわからず、ほとんど忘れていた。たまたま3時半くらいに野外ステージ前を通りかかってびっくり。この出し物(という表現が相応しい)、Trygve Seim Orchestra のメンバー(全員出ていた)が演奏する音楽にのせて、女性ボーカル、というより詩の朗読あり、踊りあり、というものだったらしい。結局最後の5分ほどしか観れず、大変後悔。この"Horisont" 、最近ノルウェーのあちこちで公演していることを後で知った。
(2001/08/06)

ECM Night 1: Andersen / Rypdal / Christensen / Stockhausen
at Idrettens Hus; 18:00
ECM Band:
Arild Andersen (b)
Terje Rypdal (g)
Jon Christensen (ds)
Markus Stockhausen (tp)

"Karta" Stockhausen, Andersen, Heral & Rypdal

今回のスペシャルユニット "ECM Band" のベースになっているのがこのアルバムのユニット。Jon Christensen は参加参加していない。


会場の Idrettens Hus は前日の Trondheim Jazzorkester のコンサートがあった場所と同じだが、この日は「クラブ仕様」というのになっていて、客席は800シートと半分。前の方のフロア部分はテーブルが出されている。

15分ほど遅れて開演。ステージ左側から Stockhausen 、Andersen 、Christensen 、Rypdal。連日新聞に記事が載り、国内での大物ぶりを垣間見るようなAndersen がリーダーと言えそうだが、その Andersen、演奏前にいきなりベースの裏を見せてなにやら冗談を(当然ノルウェー語、当然わからず)。その Andersen のベースソロで始まり、トランペットが入り、ギターが入る。"Karta" アルバムの1曲目、"Sezopen"をベースにしたインプロヴィゼーション。しかし個人的に注目のChristensen はなかなか動かない。"Karta" ユニットではちょっと大人しめか、と思われた Rypdal だが、今回は割とちゃんと参加している。

初めて見る Christensen のドラムセットには驚き。思ったよりずっとシンプルなセットなのだが、シンバルが3枚ほとんど縦になって並んでいる。それが顔の前に3枚並んでいるのでほとんど顔が見えない。で、曲に参加してきたと思ったら、今度はそのシンバルを叩く叩く。確かに Christensen のドラムはシンバルの音が特徴だが、これほどがんがん叩くとは。逆にフロアタムなどをどん、と叩いたときのインパクトは強くなるが。

1曲目が終わったのか?と思うが音は鳴り続け、というよりは単なるベースのチューニングでつないだような気もするが、そのまま途切れなく2曲目へ。同じく "Karta"アルバムの "Flower Of Now" がベースになっている曲。Andersenのループによるあのサウンドは相変わらずスペイシー。
2曲目もそろそろ終盤、という時に突然 Rypdal のギターが炸裂。3曲目は明らかにその Rypdal の曲と思われる(録音があるかどうかは不明)。Jimi Hendrix が好きです、というのを前面に出したような曲で、心なしか Rypdal も楽しそうに弾いている。Andersen のダブルベースによるチョッパーまで飛び出し、Stockhausen のトランペットはワウペダルで思いっきり歪んでいる。
今日の3曲では異質なこの曲で、いきなり終了。終わってから彼らの持ち時間が45分だったことを知り、唖然。完全に消化不良。

(2001/07/29)


そのカルテットの演奏が終わると、スタッフがどやどや出てきて、ピアノのセッティング。でもカルテットの4人はなにやらうろうろ していて引っ込まない。といってる間になにやらお偉いさんが登場。事前・事後ともにかき集めた情報が全てノルウェー語でお手上げ状態ながら、ECMのレーベルオーナーの Manfred Eicher がノルウェーの音楽に貢献したとかでノルウェー国王オラフ5世から何かの称号(ここが肝心なのだが、なにしろノルウェーの称号なんてわかるはずもなし)を与えられ、今夜はその表彰式。ちなみに Kommandør という称号。とりあえず授賞の前口上は英語だったので助かったが。カルテットのメンバーが後ろにならんで、また客席では Jan Erik Kongshaug 氏が見守る(?)中、勲章のようなものをもらう Eicher 氏、さすがに緊張した面持ち。その勲章を首にかけるシーンがこの日の一番のシャッターチャンスというかマスコミの狙いだったようだ。Eicher 氏、ああいう風貌なので、勲章がよくお似合い。観客もよくわかっているようで、ものすごい拍手が送られる。その後の授賞の挨拶、ぼそぼそと英語で話したのだが、緊張しているのか、ああいう場ではそうなのか、愛想がないというか非常に短かかった。一端引っ込んだ Eicher 氏、ふとまたマイクの前に再登場して(場内ちょっとウケる)、次のプログラムの Arvo Pärt の美しい旋律に是非耳を傾けてほしい、というようなことを一言追加。この最後の言動、妙に印象に残った。

ECM Night 2: "Arvo Pärt"
at Idrettens Hus
Ditmar Schwalke (cel)
Alexander Malter (p)

"Alina" Arvo Pärt

エストニア出身の作曲家 Arvo Pärt の1970年代の作品 "Für Alina" と "Spiegel im Spiegel" の新解釈(だそうだ)。1995年の録音。
今回の ECM Night の構成はなかなか面白い。これほどの顔ぶれを揃えた第1部が時間が短かったことには大いに不満が残るが、間に New Series の音楽が入る、というのがいかにもヨーロッパだと思う。

演奏するのはアルバム同様ロシア人ピアニスト Alexander Malter とドイツ人チェリスト Ditmar Schwalke 。Alexander Malter はそこそこの年齢だが、Ditmar Schwalke はまだ随分若いプレイヤーでちょっと驚いた。曲目はアルバム "Alina" と同様、ピアノソロの "Für Alina" とデュオの "Spiegel im Spiegel" が交互に繰り返された後、最後の1曲は異なるタイプの "Fratres"。これらの音楽はインプロヴィゼーションではないので、ライブで聴いてもアルバムとは違う何かがあるはずはないのだが、それでもライブならではの緊張感がものすごい。特にソロピアノによる "Für Alina" は、息詰まるような緊張感で、リラックスなんてとんでもない。曲が終わって "Spiegel im Spiegel" に移ると、やや隙間ができるようでほっとする位だ。

アルバム同様、何ともいえない美しい響き、メロディー。美しい静寂といった感じで、まさしくECMの音楽だ。

(2001/07/30)


ECM Night 3: Trygve Seim Orchestra
at Idrettens Hus
Trygve Seim (ts, ss)
Arve Henriksen (tp, vo)
Håvard Lund (cl, bcl)
Tanja Orning (cel)
Tone Reichelt (horn, vo)
Frode Haltli (accor, btb)
Nils Jansen (bs, contrabass-cl)
Lars Andreas Haug (tu)
Per Oddvar Johansen (ds, effects)
Asle Karstad (sound)


"Different Rivers" Trygve Seim

Trygve Seim の初リーダー作で、ECMへの初めての録音。
ECM Night 2 のデュオの演奏が終わった後、やはり一旦追い出される。最初から時間が押していたのでここも押す。しかも大所帯(という程でもないが)のサウンドチェック、時間がかかる。
結局、当初8時半開演予定が9時前になる。(尚、彼らの持ち時間は2時間近くあった。)先のECM Night 1 & 2 から随分お客さんが入れ替わり、ぐっと年齢層が下がる。

ステージは中央左にTrygve Seim(余談ながらアルバムブックレットの写真では(白黒写真だったがカラーのバージョンを見ると)金髪にしていたのが、今回は銀色になっていた)、中央右にトランペットの Arve Henriksen 、左側には左からクラリネット/バスクラリネットの Håvard Lund 、チェロのTanja Orning 、右側に左からホルンの Tone Reichelt 、右端にアコーディオン/バストロンボーンの Frode Haltli。左奥にバリトンサックス/コントラバスクラリネットの Nils Jansen 、右奥にチューバの Lars Andreas Haug 、そして正面奥にドラムの Per Oddvar Johansen。ずらりと等間隔に、対象形、左右同じところに女性がいるのは偶然だろうが、その様はなかなか。

この日の演奏は新しい曲から。いきなり録音されたドラムの音が流れたので驚いたが、淡々としたクールな、しかも速くないリズムはこのアンサンブルの特徴だ。1曲目は Arve Henriksen のトランペットソロが美しい。全体的にリーダーである Trygve Seim がソロを取らない曲が多い。

曲目はアルバム "Different Rivers" からとニューマテリアルがあり、やや新しい曲の方が多い。新しい曲も基本的に "Different Rivers" の路線の曲、敢えて違いを言うと、やや明るめか。スローからミディアムまでのテンポ、決して速くはならない。その淡々と流れるクールなリズムには、静かなグルーヴ感がある。Per Oddvar Johansen のドラムはその淡々としたリズムに、どちらかというとパーカッショニスト的な感覚でアクセントをつけていく。そのアクセントは繊細で、心地よく不規則だったりする。コントラバスクラリネット/バリトンサックス、またチューバの音はベースレスのこのアンサンブルで迫力。初めて目の当たりにするコントラバスクラリネットという楽器に驚く。意外にもこのアンサンブルの中核をなしているのがバスクラリネット/クラリネットの Håvard Lund 、アコーディオン/バストロンボーン(器用だなぁ)のFrode Haltli (※2002年にECMレーベル、しかもNew Series (!)からソロアルバムをリリース予定)。ソロも多い。時折印象的な音を残すのが女性2人、チェロとホルン。この楽器の入り方もこのアンサンブルの特徴かもしれない。Arve Henriksen のトランペットは、尺八の演奏に影響を受けたというのがとてもうなずける音でとても美しい。そして Trygve Seim は思っていたよりソプラノが多く、またそのソプラノの音が印象的だ。

新曲の中に変わった曲が1曲。Nils Jansen のクラリネット(よく見えず不確か)とチューバが絡むユーモラスな曲。お客さんも思わずくすくす笑う。Lars Andreas Haug がすごいチューバ・ソロ(しかしやはりなぜか笑える)を聴かせた後もユーモラスな調子は続き、極めつけは Arve Henriksen の歌。もともと北方風の歌を歌う人だが、歌詞のついた何かのパロディーみたいな歌をマイクを握り締めて熱唱するのには唖然。

新曲、それにアルバムから "Ulrikas Dans"、"African Sunrise" といった比較的テンポの速めの曲のホットな演奏も素晴らしい。きっちり作曲、アレンジされている曲が多いが、その中でもインプロヴィゼーションのパートがあり(特に個人でフレージングする場面)、メンバーの確かな実力を見せられる。

セットはアルバム最初の曲 "Sorrows" で終わる(この暗い曲を最後に持ってくるのも大胆なような気もするが)。ドラムが入る分だけアルバムバージョンよりは重みが取れたような印象だ。

静かに終わったこの日のステージ、とてもユニークなアンサンブル、そして北欧の音楽であることは間違いないのに不思議な暖かみのある音楽だった。

(2001/07/31; 2001/08/04)


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