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The 41st Molde International Jazz Festival
19 July 2001
| >>野外ステージ<< 2日前に Trygve Seim Orchestra をフューチャーした "Horisont" のプログラムがあり驚かされたこの野外無料ステージ、この日はもっと驚いた。 2時過ぎにふらっとこのステージの裏の通りを通り過ぎようとしたら、妙に上手い演奏が聞こえてくる。このステージ、本当にプロ・アマ入り乱れなのだが、誰だろう?と聞き耳をたてた時にベースソロになり、誰が演奏しているかわかった。ベースを弾いているのは Arild Andersen だ。表側に回ると結構な人だかり(当たり前)。 演奏していたのは Charlie Haden's Quartet West のボス抜き、替わりに Arild Andersen を入れたという、ある意味スゴイ顔合わせ。メンバーは Ernie Watts (sax)、Alan Broadbent (p)、Larance Marable (ds)、そして Arild Andersen (b)。演っている曲は、非常にアメリカ的なジャズ。45分程のステージ。しかし誰がこんな企画をするのか・・・。 (2001/08/06) |
| Tri Dim vs Barry Guy | ||
| "Blå i Molde"; at Kulturhuset; 16:00 | ||
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| この Tri Dim vs Barry Guy のステージと次の
Jazzkammer vs Merzbow のステージはセットになっていて(すごい組み合わせ!)、この2時間は多分今年のモルデで一番
"challenging" なプログラムだろう。 お客さんはさすがに少し少なめで、ちょっとエキセントリックな雰囲気の人が多い。他のステージに出ている若いミュージシャンも何人もみかけた。 ステージの方は向かって左からスウェーデン人ギタリスト David Stackenäs、少し前にノルウェー人サックス奏者 Håkon Kornstad、後ろにイギリス人ベーシスト Barry Guy、右にノルウェー人パーカッショニスト/ドラマー Ingar Zach。Tri Dim の3人ではMCをとる Ingar Zach (29歳)がリーダー格か、なかなかの貫禄、他の2人は若く、特に頭のてっぺんの髪をちょっと立てて登場した Håkon Kornstad は演奏していない時は年齢(24歳)よりもっと若く見える。BPレーベルからのミニアルバムが唯一の録音だが、そのミニアルバムで聴かれる音よりはるかにパワフル、というよりドシャメシャな音。しかもこれに加わるのが Barry Guy。5弦のウッドベースを弾いているのだが、棒を弦に差し込んだままにする、その差し込んでいる棒をはじいてぶーんと鳴らしてしまう、マレットで弦を叩く、ブラシでこする、なでる・・・。ギターも似たような感じで、スティックを差し込んだままにしてみたり、そのスティックをローフレットの方へずらしていったり(チューニング狂うだろうなぁ)、何かでゴリゴリこすってみたり。(曲が終わるとチューニングを合わせたりするのがちょっとおかしい。)サックス(ソプラニーノとテナー)、この人は普通に(?)吹いていても結構フリーなのに、テナーの吹き出し口(というのかどうか)を足で塞ぐ、マウスピースだけを吹く、はたまたマウスピースを外した本体だけを吹いてみたり、しまいにはソプラニーノのキーだけをカタカタいわせる。ドラム、というよりパーカッションだが、こちらは鳴り物がいっぱい、がんがん鳴らすというより、あらゆる鳴り物で様々な音をたてるといった感じで、とりあえずビートなどという規則的なものは一切なし。 4人ともうつむき加減で、決して目を合わせたり、タイミングを取ったりはしない。一見ひたすら自分の音を出している様でさえある。唖然とするような演奏で、どこを見てよいのやら全くわからない。曲があらかじめ用意されているとはとても思えないので、全くのインプロヴィゼーションなのだが、何かどこかでちゃんと物事が進んでいて、トリオになったり、デュオになったり、またカルテットになったり、というのがあたかも決められていたかのように違和感なく進行する。 曲(というのかどうかはさておき)は、30分位のものが2本、その後、会場後ろの方に目をやり、ごそごそ話し合った後、もう15分くらい演奏できそうだ、と、じゃあもう一丁、とまた演奏へ。演奏している時の様子と演奏していない時のギャップは笑える位だ。「息の合った演奏」とかいうのとは全く異次元のところにある演奏だが、2曲目の終わりごろ(時間にして1時間近くたった頃)、何かがばしっと合い、はっとさせられる瞬間があった。 4人の演奏はそれぞれ非常にインパクトがあったが、特に、1947年生まれというので今年54歳、髪も白いというより銀色になった Barry Guy のエネルギッシュな演奏ぶりには驚かされた。それから一見とても地味(座って弾くので特に)に見える David Stackenäs 、ミニアルバムでも感じられたが、フリーな演奏の中にも何か整然とした美的感覚のようなものを感じる演奏で印象に残った。(余談: David Stackenäs、ステージを去る際に突然マイクの前で次の出演グループの紹介をした。以下推測:「スウェーデン語ですいません・・・(わからないので中略)・・・休憩をはさんで次は Jazzkammer と Merzbow です。」(もちろんスウェーデン語で。みんなちゃんと理解していた。) (2001/08/07 ) |
| Jazzkammer vs Merzbow | ||
| "Blå i Molde"; at Kulturhuset | ||
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| この日、会場の入り口でチケットと交換に耳栓を配っていた。耳栓を配るコンサートなんて初めてだ。単なるジョークかとも思ったので係りの人に「そんなにうるさいの?」と訊いてみたら、「うん」と平然と答えられてしまう。もちろん「そんなにうるさい」のは
Tri Dim × Barry Guy ではないだろうから、こっちの
Jazzkammer × Merzbow だ。さすがに皆耳栓を手に少々困惑気味。 会場後方(一番後ろではなく、「後ろの方」)、ミキサーボードの手前に無機質な大きい机があり、そこにパワーブックが2台。コードが沢山、その他の機材諸々。その上には蛍光灯が大量につるしてあって、その机を過剰なまでに白く照らしている。ヨーロッパでは蛍光灯はあまり使わないし、そもそも部屋をそんなに明るくしないので、この蛍光灯の束はそれだけで異様な雰囲気。しかも後で分かるのだが、音にあわせてじりじりとちらつかせるという演出付き。 Merzbow はヨーロッパにおいて、その筋では結構知られた存在らしい(特に50枚組の"Merzbox"で有名)。もしかしたら Jazzkammer の地元ノルウェーでも Merzbow の方が名前が通っているかも、とさえ感じられる。さて、そのMerzbow は秋田昌美のプロジェクト、Jazzkammer は John Hegre、Lasse Marhaug のユニットで、両者は2日前(7月17日)にオスロの本家 "Blå" (ジャズ/テクノ系のクラブ)で一度顔を合わせており、この日が2回目のジョイント。左から 細身・長髪の東洋人、眼鏡の普通の西洋人、ちょっとゴツめのスキンヘッドの西洋人が並び、ひたすら自分の目の前にある画面、機材から目を離さない。身動きすらしない。 観客は、というと椅子にすわってうつむく人、宙を見つめる人、床に転がる人、寝転んじゃう人、立ったままの人、ちょっと離れたところからパワーブックの画面を覗き見る人(ちなみに私はこれ)、と様々。それぞれ思い思いの姿勢で思い思いの方向を向いている様はちょっと異様な雰囲気ではある。 音は最初は耳栓がなくても大丈夫、と一旦つけた耳栓を外すほど静かに始まる。しかし音は次第に大きくなってきて、ある時突然限界を超え、慌てて再び耳栓を押し込む。大方の人は耳栓着用。中には本当に大丈夫なのかやせ我慢なのか、耳栓なしで平然としている人もいる。音を出している3人のクリエイターはもちろん耳栓なし。1ステージで難聴になりそうだ。 音は轟音、ノイズ、電子音などからなり、効果音的なあらかじめ録音された音源は使われなかったと思う。どちらがどの音を出しているかなんて分かるはずもないが、恐らく大雑把にいって、轟音の部分が Merzbow、ノイズの部分が Jazzkammer 、と考えられる。出てくる「音」は何度も繰り返され、新しく出てくる音と混ざって形を変えていくようだ。ビートを刻んだりはしないが、1つのパターンが緩やかに繰り返されることもあり、その周波数とでもいえそうなものにどんどんはまっていく。その音にやられたのか、不思議な踊りを踊りだす人まで登場(しかもその人、観音様模様のTシャツを着ていたりした)。 時間や場所といったものを忘れさせられるほど強力な音。くどいようだが、耳栓をしていてちゃんと轟音に聞こえる音量。途中、何度かやや音が小さくなったところで耳栓を外してみたが、とても耐えられる音量ではない。この音量になると、耳だけでなく、体が音を吸収して、轟音・ノイズに同化していくようだ。 35分から40分位たっただろうか、すうっと、見事に最後の音が消えた。皆一様に「終わったのか?」と周りを見回し、恐る恐る耳栓を外し、それから何ともいえない拍手が沸き起こった。それは「う〜ん、何か面白かったねぇ」とでもいうような拍手。非常に面白く、普段使っていない細胞を活性化させられるような不思議な音だった。 (2001/08/08 ) |
| Charlie Haden / Pat Metheny "Missouri Sky Duet" | ||
| at Idrettens Hus; 18:00 | ||
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| 先の Jazzkammer vs Merzbow の演奏は午後6時ぴったりに終わった。その後しばし呆然としたり、機材を見たり、立ち話をしたり、あらためて会場を見回したりして、さてーと会場を後にし、急な坂を登る。モルデはフィヨルドにあるので海岸からいきなり切り立っていて、海岸線から離れれば離れるほど高台になる。Idrettens
Hus は一番高いところにある会場。6時に先のステージが終わって、次のコンサートが6時開演、間に合うはずがない。 会場に入るともうギターの音が響いている。ステージ中央で、Pat Metheny が座ってダブルネックのアコースティックギターを弾いている。あれがピカソ・ギターなるものか、などと思いながら、その音に圧倒される。大きい会場いっぱいに広がるアコースティックギターの音、というのも不思議なものだ。 このコンサート、当然会場はびっしり満員。客席が不必要なほどに暗いので、椅子があるのかないのか、どこに階段があるのか、さっぱり分からない。1曲目が終わるころ、席を確保することが不可能であることを悟る。座っている人の邪魔にならないのは出入り口付近だけ、しばらく立って聴いていたが、周囲の若い人たちにならって地べたに座ることにする。ただし座ると全くステージは見えない。 ステージの方は、1曲目が終わって、Pat Metheny の紹介で Charlie Haden が登場。ステージ上の2人も観客の反応も、そして音楽も、なんとも和やかというかフレンドリーだ。Pat Metheny は2曲目以降はアコースティックギターを弾いていた(多分、何分見えないので)が、ピカソギター同様、鋭い、よく響く、そして少し意外だったが、とても澄んだ透明感のある音が会場いっぱいに広がる。そして Charlie Haden のベースは、ベースの音の本来の姿といった感じの、芯がありながらも丸みがあって、とても豊かな響きだ。ステージが見えないことと、相変わらず Pat Metheny の曲をよく知らない(ファンの方本当に申し訳ない)ために、ただひたすら耳に入る素晴らしい「音」しか捉えられない。 ところで、その「音」が素晴らしいのは会場に入ってすぐに分かったが、体が違和感を訴える。さっきまでの轟音が抜けきっていないのだ。轟音を浴びたのと同じくらいの時間がたった後はまだマシになったが、やはりこのハシゴはとんでもない取り合わせだったようだ(私以外にも何人かいたが)。 違和感と言えばつい1時間ほど前に観た Barry Guy とこの Charlie Haden、同じ楽器のこの差もすごいものだ。 観客は、この大きな会場にこんなに大勢の人がいるとは思えない程静か、みんな真剣に音楽に耳を傾けていた。私がいた出入り口付近の、通常ならがたがた騒々しい辺りでも同様。それが素晴らしい演奏に起因するのはもちろんだ。途中、 Charlie Haden がわざわざ ベースを床に寝かせてマイクを取り、この日の観客の素晴らしさを誉めたあと、世界のもっと多くの人が素晴らしい耳を持っていたら、世界はもっといい場所になるだろう、とコメントした。いかにも Charlie Haden らしいコメント。 さて、例によって翌日の新聞記事による(ノルウェー語ゆえ不確かな)この日のセットリスト。"Into A Dream"、"Waltz For Ruth"、"First Song"、"Our Spanish Love Song"、"Farmer's Trust"、"The Moon Is A Harsh Mistress"、"Message To A Friend"、"The Precious Jewel"、"Two For The Road"、"Blues For Pat"、そしてアンコールは"Lonely Woman"。 (2001/08/09 ) |
| James Carter - Chasin' The Gipsy | ||
| at Alex Restaurant ; 21:00 | ||
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| モルデで一番のホテルは Alexandra というホテル(正式には
Quailty Hotel Alexandra Molde という)で、さほど高級ホテルという感じではないが、そこの中のレストランがこのコンサートの会場。レストランなので、ずるーっと縦長で、床はじゅうたん、椅子はレストランのもので大きくて数が足らない。このコンサートを観に来ていた
Charlie Haden でさえ自分で椅子を調達すべくうろうろする状態。結局私は椅子が調達できず立ちっぱなし(先のコンサートと違い、座ることすらできない状況)。 もともとレストランということで飲み物が調達できるカウンターがあってお客さんが入れ替わり立ち代り列をなし、調理場の方ががたがたしたり、遅れて来る人あり、途中で出て行く人あり、しゃべる人、踊る人、携帯でメールする(!)人、とにかく客席の、立ち見の周辺は異常にやかましい。 さてこの日(前日も同じ会場でやっているので、この日は2ステージめ)のメンバー、事前に発表されていたのと大分違っていた。ギター/アコーディオンの Tony Cedras は出演せず、しかもベースは発表されていたのは Ralph Armstrong だったが、登場したのはアルバムにも参加していた Steve Kirby でびっくり。 さて、登場した James Carter、当然だがとにかくアメリカンだ。これまで観た Pat Methney や Charlie Haden もアメリカ人だが、James Carter の話し方、アクセントはとにかくここノルウェーの果てで聞くと違和感があるほどアメリカ的だ。アルバム "Chasin' The Gypsy" で聴かれたようなバリトンサックスを期待したが、最初の曲はテナー。長身の James Carter がテナーを持って立っていると、まるでアルトか何かのようにサックスが小さく見える。演奏の方も同様で、いとも軽々と吹いてしまうので、本当にテナーか?と思ってしまうほどだ。その後もソプラノ、アルトと持ち替えたが、ついに私が見ていた間はバリトンは登場せずとても残念。 演奏していたのは、古き懐かしいアメリカのジャズ(ただしこれに現代的な感覚を持ち込んでいる)、といった感じの音楽で、ノルウェー人の観客も音楽を聴いている、というより楽しんでいるという印象だ。レストランという場所と、がやがやした雰囲気とは、ある意味似合っているとも言えそう。メンバーそれぞれの力量も相当なもので、個々のソロを含めた演奏、James Carter との掛け合いなどはなかなかの見ものだったが、やはり James Carter の瞬発力とでも言うべきか、とにかく曲を聞かせるというより演奏そのものを聞かせる力技はもの凄いものがある。あの循環呼吸奏法、とかいうらしい息継ぎなしで延々吹きつづけるソロにはあっけにとられてしまった。 しかしそれにしても、演奏は時にはスリリングな掛け合いもあるものの、全体的に緊張感とは無縁のステージだった。これがよいか悪いか、という問題ではない。演奏している方も、聴いているほうもとても楽しんでいるし、本来ジャズというのはこういう姿だったのかなぁ、とも思わされる。とにかく個人的には彼のバリトンが聴きたがった(結局この日バリトンを吹いたかどうかは不明)が、次に観る予定のコンサートの開演時間が迫ってきたこともあり途中退出。(「こともあり」というのは、後ろの方の集中してないがさがさした観客の中で立って見ているのが限界になったため、というのが主な理由のため。) (2001/08/12 ) |
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