Ivar Grydeland
(g) Norway; 1976-
last updated: 23 June 2009
● Dans Les Arbres @ Smeltehytta / Kongsberg Jazzfestival (2 July 2009)
● Hanne Hukkelberg @ Brewery Arts Centre / Woman's Arts International Festival (22 May 2007)
● ライブレポート: Ivar Grydeland / 田中悠美子/ 内橋和久 @ BRIDGE (17 April 2004)
as a co-leader:
Eco, Arches & Eras / Huntsville (2008; Rune Grammofon; RCD 2079)
Ivar Grydeland
Tonny Kluften
Ingar Zach
with:
Sidsel Endresen (on #2)
Nels Cline (on cd 2)
Glenn Kotche (on cd 2)
"For The Middle Class" (2006) に続く Huntsville のセカンドアルバム。前作でも聴かれた少々オリエンタルな音色のビートがそこここに登場し、これが Huntsville の基盤のようなものであることがわかる。本作は2枚組、1枚目は長短4曲のスタジオ録音で、2曲目のごく一部に Sidsel Endresen の独特の声をさりげなく、雰囲気のあるアクセントに配している。2枚目は2007年7月、ノルウェー・コンクスベルグでのライブ録音1曲54分、Wilco の Nels Cline (g) と Glenn Kotche (per) が参加、イタリア人サウンドアーティスト Giuseppe Ielasi がミキシングを手がけている。スタジオ、ライブ録音ともに前作より「楽器の演奏」度が高くなり、それぞれの音、例えば Ivar Grydeland が使い分けるエレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、バンジョーなどの響きの違いが鮮やかだ。ライブ録音のほうは楽器奏者が5人、しかもギターとパーカッションが重複する編成の面白さが十分に出た好企画&名演、ライブならではのテンションの高い演奏とグルーヴ、美しい余韻を残す音響とが共存している。ライブ録音に観客の声などが入らないため、2枚のディスクを並べても音の面での違和感がなく、スタジオ録音1枚と、異なる編成でのライブ録音1枚というかなり異なるマテリアルを1つの作品にまとめた優れた構成も特筆もの。 (2009/06/23)
For The Middle Class / Huntsville (2006; Rune Grammofon; RCD 2058)
Ivar Grydeland
Tonny Kluften
Ingar Zach
Ivar Grydeland (g) と Ingar Zach (ds) が共同運営する Sofa レーベルを拠点に、また Tony Kluften はその Sofa の象徴的なセッショングループ No Spaghetti Edition のリーダーとして、これまでヨーロッパ的な即興演奏シーンで活動してきた3人が結成した新しいグループのファーストアルバム。出てきた音は3人のメインの楽器に加え、他の様々な楽器やアナログな音、それにエレクトロニクスによる加工を丁寧に重ねたエレクトロ・アコースティックなもので、この3人のこれまでの音楽とは全くことなることにまずは非常に驚かされる。アルバムは4曲収録、22分を超えるものと15分半の2つの長尺の演奏に5分と7分半の比較的短い演奏を挟み、曲によりがらりと音の流れを変える。その転調は、違う種類の音楽が並べてあるというより、アルバム全体で1つの音楽をなしている中での変化のように感じられる。エレクトロ・アコースティックな音作りにおいて、彼らの場合、さすがにアコースティックな楽器による音の占める割合が多いのが特徴で、穏やかで柔らかな音使いの中にも緊張感が途切れない。特に Ingar Zach の叩く、一見淡々としていてそうでない細かいビートが心地よい。 (2009/06/22)
Jaap Blonk / Ingar Zach / Ivar Grydeland (2004; Kontrans 950)
Jaap Blonk (voice)
Ingar Zach (per)
Ivar Grydeland (banjo, g)
SOFA レーベルのオーナーコンビにオランダのボイスパフォーマー Jaap Blonk を加えたこのトリオでの(多分)初めての録音。レーベルは Jaap Blonk が運営するオランダのレーベルで、"improvisor" というシリーズの1枚。Ingar Zach と Ivar Grydeland のキレ味のよいシャープな演奏はさすがの息の合い方で、かなりメリハリのついたコントラストの強い演奏。そこに加わるのが Jaap Blonk の、声を楽器のように操る「演奏」。時に打楽器のようで弦楽器のようで、また管楽器のようにと多彩で、他の楽器によるフリーインプロと同じように、時折奇抜な音も挟む。楽器がたまたま「声」だった、そんな印象。ヴォイスパフォーマーといっても様々だけれど、このアルバムの Jaap Blonk はいたって真面目(さほど怖くはない)ながら、大らかさも感じさせる。 (2004/04/23)
You Should Have Seen Me (Before We First Met) / Ingar Zach / Ivar Grydeland (2004; Sofa 515)
Ingar Zach (per, sruti box)
Ivar Grydeland (g)
SOFA レーベルのオーナーコンビ、パーカッショニストの Ingar Zach (b. 1971) と Ivar Grydeland (g) の、"Visiting Ants" (2000; Sofa 502) 以来久々となるデュオ2作目。収録されているのは2曲、30分弱の #1 は2003年10月スイス・ジュネーブでの、18分半の #2は2003年5月オスロの音大での録音。丁々発止というのではない穏やかな阿吽の呼吸を感じさせるフリーフォームな演奏で、デュオで数多くのライブを行っているこの2人の、この数年間の充実ぶりを垣間見せる。Ivar Grydeland はモノローグのようにギターを爪弾き、その楽器から静かに音とともに自身の内面をも引きだすかのようだ。このアルバムで特徴的なのは Ingar Zach の鳴らす機械音のような音で、他の断続的な音の間を埋めるような音響がユニークだ。それ以外のパーカッションは彼らしい、最小限の音数で最大の空間を演出するもので、彼のメインアイテムともいえるベルの音が、まっすぐで鋭く、途方もなく美しい音で差し込んでくる。尚、録音は Ivar Grydeland が自ら行っていて、ミキシングのクレジットはなく、マスタリングには Helge Sten の名前がある。 (2004/04/16)
Real Time Satellite Data / No Spaghetti Edition (2003; Sofa 513)
Xavier Charles (cl, harmonica)
Michel Doneda (ss, sns)
Axel Dörner (tp, electronics)
Andrea Neumann (inside p, electronics)
Rhodri Davies (harp)
Ivar Grydeland (ac-g, banjo)
Tonny Kluften (double-b)
Ingar Zach (per)
流動的なメンバーによる集団即興ユニット No Spaghetti Edition の、"Listen ... And Tell Me What It Was" (2001), "Pasta Variations" (2002) に続く3作目。ベーシスト Tonny Kluften とレーベルオーナーの2人 Ivar Grydeland (g) と Ingar Zach (per) を核としたこのユニット、3作目のこのアルバムではついに彼ら3人以外のノルウェー人若手ミュージシャンは全て抜け、代わりにフランス人2人、ドイツ人2人、イギリス人1人を加えた「ヨーロッパの即興集団」になった。オスロ市内の教会での録音で、長短(1分弱〜30分強)12トラックも入っている。即興演奏でありつつ、音響物へ接近をみせ、エレクトロニクスが前作より多く投入されているせいか、ミニマルエレクトロニカの要素も見られる。ゆるやかで幽玄な雰囲気すら漂う新展開。 (2004/04/11)
These Six // Ivar Grydeland / Tonny Kluften / Paul Lovens (2003; Sofa 512)
Ivar Grydeland (g, banjo)
Tonny Kluften (double-b)
Paul Lovens (selected and unselected drums and cymbals)
Sofa のレーベルオーナーの片方 Ivar Grydeland (b. 1976), 集団即興ユニット No Spaghetti Edition の首謀者 Tonny Kluften 、そしてドイツの名手 Paul Lovens (b. 1949) の3人によるコラボレーションで、レコーディングに関してはほとんどクレジットされていないものの、スタジオセッションらしい。タイトルどおり数字が振られただけの、3分強のものから14分半までの曲が6曲。かなり静かな印象のインプロヴィゼーションで、ややアグレッシブになる部分もあるものの、音の鳴っていない空間のほうが多い。Ivar Grydeland のクールなギターとそれよりは少し力の抜けた(どこかユーモラスでもある)バンジョー、引っ掻くように鋭い低い音を叩き出す Tony Kluften のベース、そして Paul Lovens のパーカッションは、寸分の狂いもなく、無駄なく、しかるべきところへ打ち込まれる。この中ではさすがに Paul Lovens が存在感を見せている。 (2004/04/07)
Zahir / HISS (2003; Rossbin; RS011)
Pat Thomas (key, electronics)
Ivar Grydeland (el-g)
Tonny Kluften (double-b)
Ingar Zach (per)
イギリス人 Pat Thomas に、 SOFAレーベル のオーナー2人 Ivar Grydeland と Ingar Zach、それに同レーベルの集団即興ユニット No Spaghetti Edition を率いる Tonny Kluften の3人のノルウェー人によるユニット HISS の初めてのレコーディング(ただし3人は No Spaghetti Edition の最初の2枚、"Listen ... And Tell Me What It Was" (2001) と "Past Variations" (2002) で顔を合わせている)。2002年1月ロンドンでのレコーディング、リリース元は2001年に設立されたイタリアのエレクトロ・アコースティック/インプロレーベル。ヨーロッパ的な即興演奏で、SOFA レーベルの音にも近いけれど、もっとリラックスした雰囲気で、音数も結構多い。エレクトリックギターやエレクトロニクスによるノイジーな音響、また時折ベースの音までぐにゃりと曲がるのが少しユーモラスでもある。 (2004/04/20)
Pasta Variations / No Spaghetti Edition (2002; Sofa; 509)
Phil Minton (vo)
Pat Thomas (key, electronics)
Håkon Kornstad (ts, fluteonet)
Frode Haltli (accor)
Ivar Grydeland (g)
Tonny Kluften (b)
Ingar Zach (per)
No Sphaghetti Edition はノルウェー人ベーシスト Tonny Kluften が主催するインプロユニット。軸となるのは他に Ingar Zach と Ivar Grydeland で、それ以外はかなり流動的なメンバーでライブを行っている。スタジオセッションのファーストアルバム "Listen ... And Tell Me What It Was" (2001; Sofa) に続くセカンドアルバムの本作は 2002年3月、スタヴァンゲルとオスロでのライブ録音からのセレクション。Phil Minton 以外は前作に参加していたメンバーばかりで、左右に同じ楽器を配した12人編成の前作からシンプルな編成になっている。コンセプトも基本的に同じ「集団即興演奏」。言ってみればどしゃめしゃのフリーインプロヴィゼーション。ただ受ける印象についてはさほどどしゃめしゃ感は強くなく、緊迫し続けるといった感じではなく割と普通に聴ける。そういう意味ではライブ録音だというのが意外な位(レコーディングを担当している Audun Strype の腕がよすぎるのかもしれない)、それとも実際のライブだとまた違うんだろうか。それぞれのミュージシャンの音を追うのも面白い。 (2003/05/12)
Wazahugy // Philipp Wachsmann / Charlotte Hug / Ivar Grydeland / Ingar Zach (2002; Sofa 508)
Philipp Wachsmann (vln, electronics)
Charlotte Hug (vla, electronics)
Ivar Grydeland (el-g)
Ingar Zach (per)
イギリス人ヴァイオリニスト Philipp Wachsmann とスイス人ヴィオラ奏者 Charlotte Hug に、ノルウェー人2人、Sofa レーベルのオーナーコンビを合わせたユニット Wazahugy (このユニット名のヒネリのなさは如何なるものか)の初めてのレコーディング。2002年4月、ロンドンでのスタジオ録音。音数は決して少なくないけれど、音そのものはどれも非常に軽くて(音が小さい、というのとはまた少し異なる)、超軽量級のフリーインプロヴィゼーションになっている。ヴァイオリンとヴィオラは幾分長さのある音を鳴らすのに対し、エレクトリックギターは何かで押さえているかのような短いミュートのかかった音をプチプチとはじき出し、パーカッションは鋭角的な音で時にはごそごそ、時には鋭角的に弾ける。そんな中に時折ぐわぐわと挟み込まれるエレクトロニクスが効果的。 (2004/04/01)
Listen ... And Tell Me What It Was / No Spaghetti Edition (2001; Sofa; 506)
Maja Ratkje (voice, electronics)
Ingebrigt Flaten (double-b; left)
Ingar Zach (ds, per; left)
Pat Thomas (p, electronics)
Frode Haltli (accor)
Tonny Kluften (double-b; right)
Ivar Grydeland (g; right)
Axel Dörner (tp, electronics)
Rolf Erik Nystrøm (reeds; left)
Håkon Kornstad (reeds; right)
Paal Nilssen-Love (ds, per; right)
Øyvind Torvund (g; left)
20歳代前半から30歳位までの若いノルウェーのミュージシャン、というより即興演奏家と、そこにイギリスの鍵盤楽器奏者 Pat Thomas、それに全ヨーロッパ的に注目のドイツ人トランペッター Axel Dörner を加えたある意味恐ろしい位の顔ぶれによる集団即興演奏盤。よくこんなに集めたものだと関心。2001年3月26日と27日にかのオスロの Reinbow Studio に集結した12人が繰り広げるのは一見どしゃめしゃな即興演奏ですが、あるところはきちんと構成が決められているようで、左右に振り分けらたそれぞれの演奏の掛け合わせが面白いです。イニシアチブを取っているのは右トラックのベーシスト Tony Kluften、左のパーカッショニスト Ingar Zach、右のギタリスト Ivar Grydeland。個々の演奏は非常にクリアに聴き分けられ、12人がどこで何をやっているのかが良くわかる録音はさすがというべきなのでしょうか。割と静かな部分があったり、テープを使ったユニークな部分があったり、また瞬間的に凄い集中力で繰り広げられる迫力の即興演奏などが詰まった興味深いアルバムです。 (2001/12/31)
Visiting Ants / Ingar Zach, Ivar Grydeland (2000; Sofa; 502)
Ingar Zach (ds, per)
Ivar Grydeland (g)
親レーベルのオーナー Karl Seglem とともにこのレーベル SOFA を主宰する20代後半のパーカッショニストとまだ20代前半のギタリストのデュオ作品。2人は1998年からデュオを組んでいて、これが最初の録音です。全10曲のうち2曲が Ingar Zach のクレジット、3曲が Ivar Grydeland のクレジットでこれらはそれぞれのソロ演奏、残り5曲が 2人のクレジットでデュオ演奏です。録音場所は記されてないものの、恐らく間違いなくスタジオライブ一発録りの即興演奏。ほとんどの空間は音が鳴っていない状態で、そこへ鋭角的に音が切れ込んでくるといった感じです。かなり多種のパーカッション(「鳴り物」といった趣)類を繊細にかつ時折パワフルに鳴らす Ingar Zach が、カリカリとギターをかき鳴らす Ivar Grydeland をややリードしているようです。#6で はギターの音をエレクトリック・ノイズに置き換えていて、しゅわーとこの曲に限って長めに響く音がこのアルバムの中では異色でユニークです。最終トラック #10 はギターの音が結構きれいに響いていたかと思うと、後半に Ingar Zach のボイス・パフォーマンスが乱入し、異様なテンションになる驚きの1曲。 (2001/12/09)
as a sideman:
Nye Nord / Karl Seglem (2002; NOR-CD; NORCD 0246) (2002/07/29)
Triangular Screen / Tony Oxley Project 1 (2000; Sofa; 501)
Tony Oxley (per, pre-recorded tape)
Ivar Grydeland (g)
Tonny Kluften (double-b)
イギリス人ベテランドラマーとノルウェーの若いミュージシャンの共演。4曲収録されていて、15分の#1 は2000年3月の Kongsberg Jazzfestival での録音、#2 (17分半)、#3 (12分)、#4 (4分弱)の3曲は同年5月、オスロ市内のライブハウス Blå での演奏です。それぞれ first - fourth scan とタイトルされていて、ほとんどが即興演奏で構成されています。ギターはぎぎ、ぎーといったかんじで、短めの音を比較的静かに鳴らし、ベースは様々な弓や棒などを使っているようで、かなりパーカッシブな演奏です。そして主役の Tony Oxley はよく響き、しかもどっしりした重みのある音で自由に叩いています。まったくフリーな演奏で、どこにテープを使用しているのか不思議なのですが、あまり破壊的なフリーではありません。即興演奏ならではの緊張感はあるものの、なぜか和気あいあいと楽しんで演奏しているような印象を受けます。 Tony Oxley の演奏はさすがに貫禄。 (2001/12/05)