Ingar Zach
(ds, per) Norway; 1971-
last updated: 10 June 2005
● ライブレポート: Vinterspillene "Brother will you pray for me" (17 February 2003)
● ライブレポート: MOLDE INTERNATIONAL JAZZ FESTIVAL "Tri Dim vs Barry Guy" (19 July 2001)
as a leader:
Percussion Music / Ingar Zach (2004; Sofa 516)
Ingar Zach (per, zither)
SOFA のレーベルオーナーの片方、Ingar Zach (b. 1971) の初ソロ作。同レーベルからパーカッショニスト/ドラマーのソロとしては Paal Nilssen-Love "Stick & Stones" (2001; SOFA 503) があるが、対照的なプレイヤーによる、また別の意味で対照的な作品となっている。オスロ市内のチョコレート工場の廃屋で録音されており、そのがらんとした空間を感じさせる。インプロというより風変わりな音響物で、個人的には意外な内容。彼らしいたっぷり間を取った打楽器の音もあるけれど、Ivar Grydeland (g) とのデュオ作 "You Should Have Seen Me" (2004; Sofa 515) でも聴かれたドリル音のような連続するノイズが流れ、空間を常に一定割合満たしている。最初と最後に遠くから遠吠えのような声も聴こえ、これによりある程度の構成も持っていることが分かる。少しだけはさまれるチターによる音程のある音が鮮明な響きを残す。収録されているのは43分43秒の1トラック。大胆で繊細な作品。 (2004/04/19)
as a co-leader:
Jaap Blonk / Ingar Zach / Ivar Grydeland (2004; Kontrans 950)
Jaap Blonk (voice)
Ingar Zach (per)
Ivar Grydeland (banjo, g)
SOFA レーベルのオーナーコンビにオランダのボイスパフォーマー Jaap Blonk を加えたこのトリオでの(多分)初めての録音。レーベルは Jaap Blonk が運営するオランダのレーベルで、"improvisor" というシリーズの1枚。Ingar Zach と Ivar Grydeland のキレ味のよいシャープな演奏はさすがの息の合い方で、かなりメリハリのついたコントラストの強い演奏。そこに加わるのが Jaap Blonk の、声を楽器のように操る「演奏」。時に打楽器のようで弦楽器のようで、また管楽器のようにと多彩で、他の楽器によるフリーインプロと同じように、時折奇抜な音も挟む。楽器がたまたま「声」だった、そんな印象。ヴォイスパフォーマーといっても様々だけれど、このアルバムの Jaap Blonk はいたって真面目(さほど怖くはない)ながら、大らかさも感じさせる。 (2004/04/23)
You Should Have Seen Me (Before We First Met) / Ingar Zach / Ivar Grydeland (2004; Sofa 515)
Ingar Zach (per, sruti box)
Ivar Grydeland (g)
SOFA レーベルのオーナーコンビ、パーカッショニストの Ingar Zach (b. 1971) と Ivar Grydeland (g) の、"Visiting Ants" (2000; Sofa 502) 以来久々となるデュオ2作目。収録されているのは2曲、30分弱の #1 は2003年10月スイス・ジュネーブでの、18分半の #2は2003年5月オスロの音大での録音。丁々発止というのではない穏やかな阿吽の呼吸を感じさせるフリーフォームな演奏で、デュオで数多くのライブを行っているこの2人の、この数年間の充実ぶりを垣間見せる。Ivar Grydeland はモノローグのようにギターを爪弾き、その楽器から静かに音とともに自身の内面をも引きだすかのようだ。このアルバムで特徴的なのは Ingar Zach の鳴らす機械音のような音で、他の断続的な音の間を埋めるような音響がユニークだ。それ以外のパーカッションは彼らしい、最小限の音数で最大の空間を演出するもので、彼のメインアイテムともいえるベルの音が、まっすぐで鋭く、途方もなく美しい音で差し込んでくる。尚、録音は Ivar Grydeland が自ら行っていて、ミキシングのクレジットはなく、マスタリングには Helge Sten の名前がある。 (2004/04/16)
Real Time Satellite Data / No Spaghetti Edition (2003; Sofa 513)
Xavier Charles (cl, harmonica)
Michel Doneda (ss, sns)
Axel Dörner (tp, electronics)
Andrea Neumann (inside p, electronics)
Rhodri Davies (harp)
Ivar Grydeland (ac-g, banjo)
Tonny Kluften (double-b)
Ingar Zach (per)
流動的なメンバーによる集団即興ユニット No Spaghetti Edition の、"Listen ... And Tell Me What It Was" (2001), "Pasta Variations" (2002) に続く3作目。ベーシスト Tonny Kluften とレーベルオーナーの2人 Ivar Grydeland (g) と Ingar Zach (per) を核としたこのユニット、3作目のこのアルバムではついに彼ら3人以外のノルウェー人若手ミュージシャンは全て抜け、代わりにフランス人2人、ドイツ人2人、イギリス人1人を加えた「ヨーロッパの即興集団」になった。オスロ市内の教会での録音で、長短(1分弱〜30分強)12トラックも入っている。即興演奏でありつつ、音響物へ接近をみせ、エレクトロニクスが前作より多く投入されているせいか、ミニマルエレクトロニカの要素も見られる。ゆるやかで幽玄な雰囲気すら漂う新展開。 (2004/04/11)
Zahir / HISS (2003; Rossbin; RS011)
Pat Thomas (key, electronics)
Ivar Grydeland (el-g)
Tonny Kluften (double-b)
Ingar Zach (per)
イギリス人 Pat Thomas に、 SOFAレーベル のオーナー2人 Ivar Grydeland と Ingar Zach、それに同レーベルの集団即興ユニット No Spaghetti Edition を率いる Tonny Kluften の3人のノルウェー人によるユニット HISS の初めてのレコーディング(ただし3人は No Spaghetti Edition の最初の2枚、"Listen ... And Tell Me What It Was" (2001) と "Past Variations" (2002) で顔を合わせている)。2002年1月ロンドンでのレコーディング、リリース元は2001年に設立されたイタリアのエレクトロ・アコースティック/インプロレーベル。ヨーロッパ的な即興演奏で、SOFA レーベルの音にも近いけれど、もっとリラックスした雰囲気で、音数も結構多い。エレクトリックギターやエレクトロニクスによるノイジーな音響、また時折ベースの音までぐにゃりと曲がるのが少しユーモラスでもある。 (2004/04/20)
2 of 2 / Tri-Dim + Jim O'Rourke & Barry Guy (2002; Sofa 510)
Håkon Kornstad (reeds)
David Stackenäs (g)
Ingar Zach (per);
Jim O'Rourke (remix #2)
Barry Guy (double bass #3, 4)
1999 年に BP からリリースされた "Tri-Dimprovisation 1 of 2" に続くノルウェー=スウェーデン連合トリオの2作目。4曲収録されており、1曲目(18:42) はオスロのクラブ Blå でのライブ録音(2002年4月6日)、2曲目(12:39)は Tri-Dim の音源を Jim O'Rourke がリミックスしたもの、そして3曲目(27:34)と4曲目(08:27)はモルデ・ジャズフェスティバルでの Barry Guy との共演ライブの録音(2001年7月19日)。真ん中にエレクトリックな音使いのリミックスを挟んだ構成はメリハリがあって面白い。演奏は完全なインプロヴィゼーションでその中に動と静が自然に同居している。若い3人の演奏は一音一音に説得力があり、力強い。Barry Guy の参加するトラックは低音が増し、ややアグレッシブな展開もある長尺の #3 が圧巻。Jim O'Rourke のリミックスは楽器の音が残っている部分とリミックスされた部分が混ざり合って相当に面白い。 (2004/04/05)
Pasta Variations / No Spaghetti Edition (2002; Sofa; 509)
Phil Minton (vo)
Pat Thomas (key, electronics)
Håkon Kornstad (ts, fluteonet)
Frode Haltli (accor)
Ivar Grydeland (g)
Tonny Kluften (b)
Ingar Zach (per)
No Sphaghetti Edition はノルウェー人ベーシスト Tonny Kluften が主催するインプロユニット。軸となるのは他に Ingar Zach と Ivar Grydeland で、それ以外はかなり流動的なメンバーでライブを行っている。スタジオセッションのファーストアルバム "Listen ... And Tell Me What It Was" (2001; Sofa) に続くセカンドアルバムの本作は 2002年3月、スタヴァンゲルとオスロでのライブ録音からのセレクション。Phil Minton 以外は前作に参加していたメンバーばかりで、左右に同じ楽器を配した12人編成の前作からシンプルな編成になっている。コンセプトも基本的に同じ「集団即興演奏」。言ってみればどしゃめしゃのフリーインプロヴィゼーション。ただ受ける印象についてはさほどどしゃめしゃ感は強くなく、緊迫し続けるといった感じではなく割と普通に聴ける。そういう意味ではライブ録音だというのが意外な位(レコーディングを担当している Audun Strype の腕がよすぎるのかもしれない)、それとも実際のライブだとまた違うんだろうか。それぞれのミュージシャンの音を追うのも面白い。 (2003/05/12)
Wazahugy // Philipp Wachsmann / Charlotte Hug / Ivar Grydeland / Ingar Zach (2002; Sofa 508)
Philipp Wachsmann (vln, electronics)
Charlotte Hug (vla, electronics)
Ivar Grydeland (el-g)
Ingar Zach (per)
イギリス人ヴァイオリニスト Philipp Wachsmann とスイス人ヴィオラ奏者 Charlotte Hug に、ノルウェー人2人、Sofa レーベルのオーナーコンビを合わせたユニット Wazahugy (このユニット名のヒネリのなさは如何なるものか)の初めてのレコーディング。2002年4月、ロンドンでのスタジオ録音。音数は決して少なくないけれど、音そのものはどれも非常に軽くて(音が小さい、というのとはまた少し異なる)、超軽量級のフリーインプロヴィゼーションになっている。ヴァイオリンとヴィオラは幾分長さのある音を鳴らすのに対し、エレクトリックギターは何かで押さえているかのような短いミュートのかかった音をプチプチとはじき出し、パーカッションは鋭角的な音で時にはごそごそ、時には鋭角的に弾ける。そんな中に時折ぐわぐわと挟み込まれるエレクトロニクスが効果的。 (2004/04/01)
Listen ... And Tell Me What It Was / No Spaghetti Edition (2001; Sofa; 506)
Maja Ratkje (voice, electronics)
Ingebrigt Flaten (double-b; left)
Ingar Zach (ds, per; left)
Pat Thomas (p, electronics)
Frode Haltli (accor)
Tonny Kluften (double-b; right)
Ivar Grydeland (g; right)
Axel Dörner (tp, electronics)
Rolf Erik Nystrøm (reeds; left)
Håkon Kornstad (reeds; right)
Paal Nilssen-Love (ds, per; right)
Øyvind Torvund (g; left)
20歳代前半から30歳位までの若いノルウェーのミュージシャン、というより即興演奏家と、そこにイギリスの鍵盤楽器奏者 Pat Thomas、それに全ヨーロッパ的に注目のドイツ人トランペッター Axel Dörner を加えたある意味恐ろしい位の顔ぶれによる集団即興演奏盤。よくこんなに集めたものだと関心。2001年3月26日と27日にかのオスロの Reinbow Studio に集結した12人が繰り広げるのは一見どしゃめしゃな即興演奏ですが、あるところはきちんと構成が決められているようで、左右に振り分けらたそれぞれの演奏の掛け合わせが面白いです。イニシアチブを取っているのは右トラックのベーシスト Tony Kluften、左のパーカッショニスト Ingar Zach、右のギタリスト Ivar Grydeland。個々の演奏は非常にクリアに聴き分けられ、12人がどこで何をやっているのかが良くわかる録音はさすがというべきなのでしょうか。割と静かな部分があったり、テープを使ったユニークな部分があったり、また瞬間的に凄い集中力で繰り広げられる迫力の即興演奏などが詰まった興味深いアルバムです。 (2001/12/31)
Llaer / Derek Bailey, Ingar Zach (2001; Sofa; 503)
Derek Bailey (el-g)
Ingar Zach (ds, per)
録音時68才(!)の Derek Bailey と、その Bailey より40才若いノルウェーのパーカッショニスト Ingar Zach のデュオ。2000年1月にロンドンで共演後、同年の10月、ノルウェー・オスロのライブハウス Blå で再び共演した時の録音です。Derek Bailey のギターは比較的長めのトーンで、ペダルでふよ〜んと歪んだりします。Ingar Zach はカウベルなどの多種の金属系の鳴り物が特徴的なものの、トータルではかなり重心が低い音です。静かなインプロヴィゼーションがベースで、ぎゅーん・・・カーン・・・という感じなのですが、時折どちらからともなくテンションが上がりそれぞれの楽器をかき鳴らして迫ってきたりします。しかしホットになっても攻撃的ではなく、このレーベルの第1作 Tony Oxley Project のアルバム同様、共演を楽しんでいるかのような印象です。ライブ盤らしく曲の間に入る歓声&拍手も温かい印象を残します。 (2001/12/16)
Visiting Ants / Ingar Zach, Ivar Grydeland (2000; Sofa; 502)
Ingar Zach (ds, per)
Ivar Grydeland (g)
親レーベルのオーナー Karl Seglem とともにこのレーベル SOFA を主宰する20代後半のパーカッショニストとまだ20代前半のギタリストのデュオ作品。2人は1998年からデュオを組んでいて、これが最初の録音です。全10曲のうち2曲が Ingar Zach のクレジット、3曲が Ivar Grydeland のクレジットでこれらはそれぞれのソロ演奏、残り5曲が 2人のクレジットでデュオ演奏です。録音場所は記されてないものの、恐らく間違いなくスタジオライブ一発録りの即興演奏。ほとんどの空間は音が鳴っていない状態で、そこへ鋭角的に音が切れ込んでくるといった感じです。かなり多種のパーカッション(「鳴り物」といった趣)類を繊細にかつ時折パワフルに鳴らす Ingar Zach が、カリカリとギターをかき鳴らす Ivar Grydeland をややリードしているようです。#6で はギターの音をエレクトリック・ノイズに置き換えていて、しゅわーとこの曲に限って長めに響く音がこのアルバムの中では異色でユニークです。最終トラック #10 はギターの音が結構きれいに響いていたかと思うと、後半に Ingar Zach のボイス・パフォーマンスが乱入し、異様なテンションになる驚きの1曲。 (2001/12/09)
Tri-Dimprovisations / Tri Dim (1999; BP 99004)
Håkon Kornstad (ts)
David Stackenäs (ac-g)
Ingar Zach (ds, per)
ノルウェー人サックス奏者 Håkon Kornstad (録音当時22歳!)、スウェーデン人ギタリスト David Stackenäs、そしてリーダー格のノルウェー人パーカッショニスト Ingar Zach (現在29歳とのことのなので録音当時27歳か)のトリオ Tri Dim のデビューEP。アルバムタイトル・グループ名が示すように、即興演奏のユニット。全6曲、3分半〜7分半までの、比較的短めの曲が並びますが、いずれも作曲のクレジットはグループ名義、恐らく演奏前に作曲は全くされておらず、簡単なアウトラインだけで、後は全くの即興演奏のようです。テナーサックスは「ほ〜」となっているかと思えば突然フリーなフレーズがひょろりと出てきたり、アコースティックギターは弾くというより引っかくといった感じ、パーカッションもシンバルを引っかいてみたり、鳴り物が全く予測不可能なタイミングでなったりします。全くのフリースタイルな演奏ですが、不思議なほど静寂感の漂う音楽です。 (2001/08/06)
as a sideman:
A P)reference To Other Things / Håkon Thelin (2004; Albedo; 023) (2005/06/10)
Diverted Travels / Jon Balke & Magnetic North Orchestra (2004; ECM 1886) (2004/09/14)
Nye Nord / Karl Seglem (2002; NOR-CD; NORCD 0246) (2002/07/29)