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2004-12-31 (Fri)

年末はベスト作などを書くのが恒例なのだけれど、今年は年明けに延期。11月〜12月にリリースされてまだ聞いていないアルバムの中で、どうしても気になるものが2、3枚あり、それを確かめてから書きたいので。

今年のノルウェーのシーン、特にジャズについては、相変わらずレベルの高い作品が多かった。正確に言うと、レベルが高い作品もさほどでもない作品もあるけれど総じて結構いい作品が多かった、という感じだ。リリース数は恐らくここ数年なかったほどに多かったものの、私の聞いた限りではトータルとしてのレベルは変わらなかった。つまり中〜中の上くらいの作品のリリースが増えたというような印象だ。日本国内に入ってくるアルバムも随分増えたけれどこちらも同じ印象、つまり数は増えたけれどレベルは良くも悪くも変わらず、だったと思う。もちろん、あくまで私の個人的な考えだけれど。

個人的な考えついでに、ノルウェーのシーンがここへ来て急に活気づいてきた、ということはないと思う。活気づいていないというのではなく、それは決して急な現象ではない、ということを強調しておきたい。これはかなり長い間の現象で、たとえばオスロのクラブ Blå ができたのと並行するとすれば、ここ6年程ということになる。シーンに1つの大きなきっかけを作った Jazzland も今年で7年になるから、それと時を同じくするというのも1つの見方とできるかもしれない。もっと遡れば、Jan Garbarek らに代表される ECM 系、そして今年亡くなった Bjørnar Andresen らのノルウェーフリージャズの2つの流れが現在のシーンで上手く交わっているとも言える。そのシーンの裏には国その他の団体の地道な援助、音大・音楽院などでのレベルの高い教育、そしてレーベルやクラブ、それにミュージシャンそれぞれの音楽に対する真摯な姿勢があり、活気づいているのは決して表面的にではない。

レーベルでは、共に2003年に設立された AIM Records と Jazzaway Records がなかなか面白いアルバムをたくさんリリースしたことに注目したい。AIM Records は予想に反して結構話題になった(ような気がする) Motif もさることながら、Mats Eilertsen の初リーダー作がなんと言っても一番の収穫。一方の Jazzaway Records は年末にリリースされた Crimetime Orchestra の作品が地元では話題を呼んでいて、評価も上々だ。それ以外では Trinity というトリオの作品も面白かった。この2枚をはじめとしてこのレーベルからの何枚かの作品に参加している若いテナー奏者 Kjetil Møster は今後注目だ。

リリースされたアルバムの水準が今年もっとも高かったレーベルは多分(贔屓目を差し引いても) Rune Grammofon だったと思う。来年も楽しみなリリースが続くこともあり、日本での流通がどうなるのかとても気になる。今年流通が上手く機能しなかったもう一つの有力レーベル Jazzland は、来年早々から国内盤リリースが続くなど大幅に状況が改善されつつあるのが嬉しい。


サイトに関して、私の今年の目標は、できるだけアルバムをたくさん紹介する、ということだったのだけれど、結局紹介したいものは山積みのままになってしまった。日本に住むリスナーにとって一番重要なのはアルバムの内容がどうなのかということだと思うので、来年こそは新しめのものや注目のレーベルのものを中心にできるだけの枚数を紹介したい。

個人的に今年大きかったのは8月にオスロに行ったことだ。滞在中他の街に行かずにずっとオスロにいて、そこに普通に住んでいるミュージシャンの姿を身近なものとして感じられたのは本当にいい経験となった。

オスロから帰ってきた時から、というのは多分偶然だとは思うけれど、それ以来私の周りの状況が急に変わったような気がする。私は何も変わっていなくても周りからの影響は避けられない。いろいろあったとはいえ、一度切れた集中力を元に戻すにはこれほどの時間とエネルギーがいるものなのかということを知った。私をサイトへ引っ張り戻した Blå の一件は、いろいろな意味で象徴的な出来事だったと思う。

年明けからはゆっくり元のペースに戻す予定で、ある小特集の準備も進めている。これは来年の pick up の第1弾となるもので、私の知る限りノルウェー語でも書かれたことのない内容になる。今受けているサイト外の原稿のめどがつき次第着手する予定で、私自身これを書くのを楽しみにしている。

そんなこんなでどうも尻すぼみになってしまった2004年なのだけれど、来年はどんな新しい音と出会えるのだろう、と今から楽しみなものもある。来年もこのサイトと北欧音楽を宜しくお願いします。

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ニュースを持ち越すのも気持ち悪いので、一気に。

まずは2004年11月17日付diaryで書きかけてやめたニュースを。

----- ここから11月17日付diaryに載せるはずだった文章↓ -----

しばらくサイトには書かないで様子を見ていたのだけれど、やはり Wibutee からベーシストの Per Zanussi が脱退してしまったらしい。

11月3日に Wibutee から送られてきたニュースレターの冒頭に "Wibutee, the Norwegian electrojazz group led by Håkon Kornstad (sax), Wetle Holte (drums) and Rune "Sternklang" Brøndbo (electronics)" とあり、はじめてそのことに気づいた。いろいろ考えてみたけれど、どう考えてもメンバーの名前を1人入れ忘れるとは思えないので、そういうことだろうとは思っていた。で、15日頃にサイトに新しいグループ写真が掲載され、そこにはやっぱり Per Zanussi の姿はなかった。

Wibutee は最初は Triangle という名前で Håkon Kornstad, Per Zanussi, Wetle Holte の3人で結成され、後に Live Maria Roggen (vo) と Erlend Skomsvoll (key) の2人が加入、ファーストアルバム "Newborn Thing" をリリース後、後から入った2人は脱退、再びトリオに戻る。セカンドアルバム "Eight Domestic Challenges" と前後して加入したのが Sternklang こと Rune Brøndbo で、同じ4人で3作目 "Playmachine" をリリース。今回の Per Zanussi の脱退で、Wibutee は初めてそのオリジナルメンバーの一角を失ったことになる。

どうして脱退したのかは不明。こういう話なのでメンバーにもちょっと話を訊きづらい。

----- 11月17日付diaryここまで -----

と書いた直後、Wibutee のオフィシャルサイトの写真が差し換わり、元の4人のメンバーのものになってしまったため、あわてて記事を削除した。

それ以来、Wibutee は12月最初の Jazzland Sessions にも出演しているけれどベーシストが誰だったかの記事なども見つからず、ずっと保留にしていた。そしてつい数日前にまた写真が Per Zanussi のいないものに差し換わった。ちょうど Håkon Kornstad に用があったのでついでにこのことを訊いてみたら、確かに Per Zanussi はWibutee を離れ、現在はBeady BelleEivind Aarset のグループでの活動で知られる Marius Reksjø が加わっているとのこと。本人たちも言うように、全くぴったりな後任。ちなみにこれを書いている段階ではサイトに Marius Reksjø が参加していることが書かれているが、これは私が質問したから書き加えたようだ…。余談ながらスウェーデンでのライブでは一度、 Motif のメンバーであり現在 Bugge Wesseltoft のグループのメンバーでもある Ole Morten Vågan が参加したこともあるそうだ。

その Per Zanussi の脱退理由は、彼自身のアコースティックなユニットに力を入れたいから、ということだ。その Per Zanussi は、2004年9月19日付 diary で紹介したように近々初リーダー作をリリースする。

Zanussi 5:
Kjetil Møster (sax), Frode Nymo (sax), Eirik Hegdal (sax), Per Zanussi (b), Per Oddvar Johansen (ds)

この顔ぶれはライブの時のもので、アルバムレコーディングの顔ぶれは不明だけれど、多分大きな変更はないはず。音楽は Wibutee の音楽とは全く異なるアコースティックなジャズだと思われる。リリース元はスウェーデンの Moserobie で、私が9月末にオーナーの Jonas Kullhammar に確認した段階ではこのアルバムのリリースは「2004年12月から2005年3月の間」の予定とのことだった。同じく Moserobie からはこちらも Wibutee のメンバーの Håkon Kornstad と Atomic のピアニスト Håvard Wiik のデュオ作も予定されていて、こちらも Zanussi 5 と同様のリリース予定となっているそうだ。

>> Wibutee
>> Moserobie

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ノルウェーのベーシスト Mats Eilertsen の初リーダー作 "Turanga" (2004; AIM) の国内盤が2005年1月23日にリリースされる。参加メンバーは Ernst Reijseger (cel), Fredrik Ljungkvist (sax, cl), Thomas Strønen (ds, per)。pick up 2004 Vol.12 の Thomas Strønen の小特集でも少し紹介したけれど、これは注目すべき作品だと思うので、改めて紹介する予定。

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2005年2月23日に Tord Gustavsen Trio のセカンドアルバム"The Ground" の国内盤がリリースされる。ヨーロッパでのリリースは2004年12月16日付diaryで書いたように2005年1月21日。

同じ2月23日にノルウェーの女性シンガー Silje Nergaard の2003年のアルバム "Nightwatch" も国内盤化される。邦題は『夜のまなざし』(…)。ちなみにアーティスト名は「セリア」。

最近の2作、2001年の "At First Light"(こちらは『はじめてのときめき』)、2000年の "Port Of Call" と同様 Tord Gustavsen Trio、つまり Tord Gustavsen (p), Harald Johnsen (b), Jarle Vespestad (ds) をそのまま従えたカルテットをベースに、ストリングスや、曲によってゲスト − Arve Henriksen (tp), Peter Asplund (tp), Rob Waring (vib), Bendik Hofseth (sax), Magnus Lindgren (sax), Heine Totland (vo) など − を迎えている。

>> Silje Nergaard

2003年10月8日付diaryで紹介した Arve Henriksen の参加するトラック "Borrowing Moons" が試聴できるドイツ・ユニバーサル(ジャズ部門)のサイトを再度紹介:

>> Jazzecho

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Arild Andersen がアテネオリンピック関連プロジェクト "Electra" で、2005年7月18日〜23日、ノルウェー・モルデで行われるモルデ・ジャズフェスティバルのオープニングコンサートを行うことが発表された。

2004年7月31日付diary で紹介したように、この "Electra" は同名のアルバムが来年 ECM からリリースされる。

Arild Andersen "Electra"
w/ Arild Andersen (b), Arve Henriksen (tp), Eivind Aarset (g), Paolo Vinaccia (ds, per), Patrice Heral (ds, per), Savina Yannatou (vo)

アルバムには1曲、Nila Petter Molvær がビートサンプリングで参加している。

>> NRK (モルデ・ジャズフェスティバルのニュース)
>> Arild Andersen (オフィシャルサイト)

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もう1つ来年のフェスティバルのニュースを。

2005年3月18日〜20日にノルウェーのフィヨルド沿いの町ヴォスで行われる国内有数のジャズフェスティバル Vossajazz のメインプロジェクトを Curling Legs からアルバムをリリースしているピアニスト Jan Gunnar Hoff が手がけることになった。来年2005年は、Jan Gunnar Hoff が Vossajazz に初めて出演した1995年からちょうど10年となる。そのプロジェクトに参加する顔ぶれ:

Free Flow Songs
Maria Joao (vo, vocal effects), Jan Gunnar Hoff (p, rhodes), Ståle Storløkken (key), Mathias Eick (tp), Eivind Aarset (g, effects), Bjørn Kjellemyr (b), Rune Arnesen (ds, per), Finn Sletten (per), Bergmund Skaslien (vla), Ivar Kolve (vlb, marimba)

まったくもって脈略のない顔ぶれで、一体どういう音楽をやるのか…。

>> Vossajazz


2004-12-28 (Tue)

表のクリスマス仕様はそのうち変更するとして、とりあえずニュースを。

Jazzland Acoustic 国内盤化!(> in japan)

2005年2月23日リリース:
Atomic "Boom Boom" (2003)

2005年4月6日リリース:
Atomic "Feet Music" (2001)
Kornstad Trio "Space Available" (2001/2)
Håvard Wiik Trio "Postures" (2003)
Samsa'ra "Samsa'ra" (2003)

Jazzland の未国内盤化のもののうち、Acoustic Series 以外のもの(の一部)については4月以降に国内盤化が予定されている。


2004-12-21 (Tue)

Curling Legs レーベルの今後のリリース予定。

Hilde Marie Kjersem / Jon Eberson Duo "Twelve O'Clock Tales" (2005年1月)
今年自分のグループ TUB Quartet を率いてデビューアルバム "Red Shoes Diary" をリリースした若いシンガー Hilde Marie Kjersem と大ベテランギタリスト Jon Eberson とのデュオ。TUB Quartet のアルバムデビュー以前から組んでいたデュオで、これがファーストアルバム。今年の秋のリリース予定が年明けに延期。

Tri O'Trang / Jon Eberson / Per Oddvar Johansen "TBA" (2005年初め頃)
Tri O'Trang は Helge Lien (p), Torben Snekkestad (sax), Lars Andreas Haug (tu) によるトリオで、"Liker" (2000; NORCD), "Fordivi" (2002; Buzz-Records) の2枚のリリースがあり、これが3作目になる。Tri O'Trang はその変則編成がユニークなのに、それにギターとドラムを加えるとはどういうことなのか…。

Håkon Storm Mathisen "TBA" (2005年初め頃)
去年11月に来日し、日本各地のグループと共演コンサートを行ったギタリストの新作。レコーディングが小編成のユニットによるものなのか、それとも彼の得意とするビッグバンドによるものなのかはまだアナウンスされていない。オフィシャルサイトにはビッグバンドのライブ音源などがある。
>> www.stormjazz.com

Ivar Kolve Trio "TBA" (2005年初め頃)
ヴィブラフォン奏者 Ivar Kolve は、1998年に NORCD から "Ope" というアルバムをリリースしていて、今回リリースされるものがトリオ名義としては2作目ということになるようだ。前作は Ivar Kolve (vib, marimba), Sebastian Dubé (b), Stein Inge Brækhus (ds, per) という顔ぶれで、今年のフェスティバル出演などからみると、今でも同じ顔ぶれのようだ。
>> Ivar Kove Trio "Ope" @ musiconline.no (前作)

Solveig Slettahjell "TBA" (2005年3月/4月)
"Slow Motion Orchestra" (2001; Curling Legs), "Silver" (2004; Curling Legs) に続く3作目。先の2枚により国内外で大変な評判と人気を得て、注目される中での新作リリース。

>> Curling Legs

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毎年3 / 4月にノルウェーのヴォスで行われるジャズフェスティバル Vossa Jazz の 2002年のプログラムに組まれたイタリアのトランペッター Paolo Fresu とノルウェーのトリオ Subtrio とのコラボレーションが、同フェスティバルのレーベル Vossa Jazz Records のサポートで今月ノルウェーツアーを行い、2005年秋にはアルバムリリースが予定されていると発表された。

Subtrio のメンバーは John Pål Inderberg (bs), Svein Folkvord (b), Stein Inge Brækhus (ds) 。国外ではあまり知られていないミュージシャンともいえるけれど、特にサックスの John Pål Inderberg は国内ではよく知られたベテランプレイヤーだ。以前(> 2004年3月21日付diary)、"Europe Jazz Odyssey" のプロモーション用コンピ盤で "Golden Earrings" を演っているのを聴いたことがあり、リズミカルなリズムセクションの上をバリトンサックスとトランペットがメロディアスで(この曲だから、というのもあるだろうけれど)、フルアルバムのリリースはなかなか楽しみだ。

>> Norsk Jazzforum > Subtrio with Paolo Fresu


2004-12-20 (Mon)

2004年10月2日に急逝したベーシスト Bjørnar Andresen のプロジェクト Crimetime Orchestra はクリスマス前にオスロでライブを行うことが恒例だったが、今年はその「主」のメモリアルコンサートとして20日に Blå に多くのミュージシャンが集結する(> 2004年10月31日付diary)。

その Bjørnar Andresen が亡くなる3週間前にレコーディングされた Crimetime Orchestra のアルバムがこのライブに間に合うようにリリースされた。

Crimetime Orchestra featuring Bjørnar Andresen "Life Is A Beautiful Monster" (2004; Jazzaway Records; jarcd009)
w/ Vidar Johansen (sax), Jon Klette (sax) Kjetil Møster (sax), Øyvind Brække (tb), Sjur Miljeteig (tp), Bugge Wesseltoft (synth, effects), Anders Hana (g), Ingebrigt Håker Flaten (el-b), Bjørnar Andresen (double-b, effects), Paal Nilssen-Love (ds, per)

アルバムカバーには若い頃の Bjørnar Andresen の写真。アルバムタイトルの由来については2004年10月7日付diary を。

>> Jazzaway Records > "Life Is A Beautiful Monster"

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先週スウェーデンのグラミー賞のノミネートが発表された。

>> www.ifpi.se (リンク先ファイルは.pdf)

とりあえずジャズ部門の候補作は次のとおり:

Goran Kajfes "Headspin" (Amigo)
Kullrusk "Kullrusk" (Moserobie)
Putte Wickman & Jan Lundgren "We Will Always Be Together" (Gazell)
Rigmor Gustafsson and the Jacky Terrasson Trio "Close To You" (ACT)
The Torbjörn Zetterberg Hot Five "Förtjänar Mer Uppmärksamhet" (Moserobie)

今年よく私が聴いたアーティストでは Stina Nordenstam がアルバム "The World Is Saved" で、女性ポップ、作曲、アルバムの3部門にノミネートされている。

授賞式は2005年2月7日、ストックホルムで行われる。

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もう1つスウェーデンの話題。e.s.t. こと Esbjörn Svensson Trio の新作 "Viaticum" がヨーロッパでは2005年1月24日にリリースされる。尚、以前紹介したように来年6月には東京・横浜・大阪での来日公演が予定されている(> in japan)。

>> ACT > "Viaticum"

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オスロの日刊紙 Dagsavisen の日曜版には "Jazz på søntdag" (Jazz on Sunday) という欄があり、毎週新譜紹介を中心にジャズ関連の記事が掲載され、私も毎週その記事を楽しみにしている。ポップもロックもジャズもエレクトロニカもごちゃまぜが特徴のノルウェーで、こういうまとまったジャズ関連の記事は少ない。その "Jazz på søondag" の2004年12月19日付の記事は今年のベスト作の発表だった。

Ti på topp

1. Jacob Young "Evening Falls"
2. Nora Brockstedt "As Time Goes By"
3. Parish "Rica"
4. Chick Corea & Trondheim Jazz Orchestra "Live In Molde"
5. Jørn Øien Trio "Short Stories"
6. Lars Danielsson "Libera Me"
7. Scorch Trio "Luggumt"
8. Jan Garbarek "In Praise Of Dreams"
9. Mats Eilertsen "Turanga"
10. Elin Rosseland "Moments"

#7 の Scorch Trio だけ唐突な気がするのだけれど、他は割と統一感のあるチョイスだと思う。

>> Dagsavisen

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今日20日に発行されるタワーレコードのフリーペーパー "intoxicate" に Smalltown Superjazzz についての記事を書かせて頂いた。先月来日していたレーベルオーナー Joakim Haugland のインタビューをメインに、Smalltown Supersound からインプロレーベルを独立させた狙い、今後のリリース予定、そしてどうして "z" が3つなのか、といった内容で、恐らく今までどこにも出ていない話が多いと思う。とりあえず無料なので、是非読んでみて下さい。


2004-12-19 (Sun)

Rune GrammofonECM との配給関係を今年いっぱいで終わらせる。

気づいていた人もおられるのではないかと思うけれど、実際去年の終わりごろに RG と ECM との関係は終わりかかっていた。ECM のウェブサイトからも明らかなように、まともにリリースされたのは RCD2033 Skyphone "Fabula" (2004年1月リリース) まで。その後2004年の秋頃まで ECM からは1枚の Rune Grammofon 作品もリリースされておらず、ようやく Susanna & the Magical Orchestra "List of Lights and Buoys"Arve Henriksen "Chiaroscuro" のみ年末まで限定で ECM がリリースし、その分が現在日本で普通に店頭に並んでいるものだ。

日本の(というより東京の)ごく一部の輸入盤店で並んでいる RG のリリースは恐らくアメリカのディストリビューター Forced Exposure 経由のもので、FE が来年以降も継続してアメリカでの RG の配給を行うことに変更はない。

Deathprod の4枚組ボックス "Deathprod" はイギリスでは秋頃にリリースされたが、これは ECM ではなく、イギリスの Cargo からリリースされている。来年からヨーロッパで RG を配給するのはこの Cargo となる。

ECM は RG の配給に関し、広範囲のヨーロッパとアジアもカバーしていたが、Cargo はヨーロッパの一部のみ、アジアは全くカバーしない。日本での ECM のさらなるディストリビューターである Universal 経由での配給は、正直なところこれまであまり機能していたとは思えないけれど、それでも現在 Arve と Susanna のアルバムは遅ればせながら店頭に並んでいる。ECM が出さなかった Scorch Trio などこの秋の充実したリリースは普通には店頭に並んでいない。来年からこの ECM 〜 Universal 経由での配給もなくなる。どこかが名乗りをあげてくれればそれが一番で、ECM との決別は少なくとも日本においては吉と出るだろうけれど、もしそうでなければ…RG の日本における状態は、その注目度が上がってきているのと相反して今より悪くなることを考えなければならない。

個人的には、今年の初めから、事情が分かっていただけに Susanna や Arve、Deathprod、そしてこの秋の質・量ともに驚異的なリリース群がまともに日本で手に入らない状態が残念でならなかった。来年の最初にリリースされるAlog のアルバムは素晴らしい出来だそうだ。ヨーロッパでは Cargo から、そしてアメリカでは最近非常によく機能している(例えば Supersilent がアメリカツアーを実現させたことと無関係ではないと思う) Forced Exposure からリリースされる。日本では現状このアルバムがリリースされる予定はない。一部 FE 経由で入るとは思うけれど、RG は限られた人のためのものではなく、もっと多くの人に聴かれるべき内容の作品をリリースしている。残念ながら日本は大事なものを逃しつつあるような気がしてならない。別にコストがかかるデジパックの国内盤なんて高望みはしない(というか RG の場合、国内盤を作ってもファンは原盤を欲しがるような気もするし)。せめてどこかが継続的に輸入盤を入れてくれたら、と思う。


その RG の2005年のリリース予定。既にサイトで紹介したことばかりだけれど、改めて。

■ Alog "Miniatures" (2005年1月17日)
■ Shining (2005年1月24日)
■ In The Country (夏前予定)
■ Archetti / Wiget (夏前予定)
■ Supersilent "7" (DVD、夏前予定)

>> Rune Grammofon


2004-12-18 (Sat)

BBC から週末のための音源。ノルウェー関連ライブ録音を。

Dhafer Youssef @ London Jazz Festival
w/ Dhafer Youssef (oud, vo), Eivind Aarset (g), Arve Henriksen (tp, vo), Audun Erlien (el-b), Rune Arnesen (ds)

>> Dhafer Youssef / listen online (これのみファイルは.ram)
>> 12月6日放送時のplaylist

少し前、来日公演を行った頃の Nils Petter Molvær Group のトランペットを Arve Henriksen に取り替えたみたいなバックを従えた Dhafer Youssef。この顔ぶれで今年の11月イギリス各地を回るツアーを行っており、そのハイライトの1つ London Jazz Festival での録音。音源は1時間50分もあるのでコンサート丸ごとノーカットのようだ。Arve と Dhafer Youssef はこれに先立ちスペインでデュオコンサートも行っているが、この2人の相性が良いのかどうかについては個人的には若干微妙な感じがしないでもないところもあるのだけれど、2人が同時に歌う場面などは圧巻。NPM 組と Dhafer Youssef は普通に合っている。


■ Susanna and the Magical Orchestra @ London Jazz Festival (2004年12月13日(月)放送分)
w/ Susanna Wallumrød (vo), Morten Qvenild (key, synth, electronics)
playlist: Hello / Sweet Devil / Turn The pages / Hey, that's no way to say goodbye / Friend / Jolene / Hallelujah

>> playlist
>> listen (音源は1週間後の放送まで、つまり日本時間で20日(月) いっぱいまで置かれている)

来日公演から約1ヵ月後の演奏で、演奏には若干変化がつけられている。来日公演の時と比べて、出だしは明らかに乗れていない Susanna のボーカルだけれど、しり上がりに調子を上げ、最後の "Jolene" と "Hallelujah" のあたりでは素晴らしい歌を聴かせている。The Spitz というクラブでの公演で観客の反応は良すぎる位に良い。その反応のせいか、いつもは全くステージで喋らない Susanna が思わず(?) "thank you" と言う一幕も。アルバム未収録の Leonard Cohen "Hey, that's no way to say goodbye" と "Hallelujah" も聴ける。


Jan Garbarek Quartet @ London Jazz Festival (2004年12月15日(水)放送分)
Jan Garbarek (ts, ss), Rainer Brüninghaus (syn, p), Eberhard Weber (b), Marilyn Mazur (per)
playlist: Dansere / Brother March Wind / Bali (piano solo) / Once I Danced a Tree Upside Down // Kvartett No.1 / Molde Canticle / Rainbow Birds // Hasta Siempre / Mission

>> playlist
>> listen (22日(水)まで)

同じく London Jazz Festival での公演の録音。この前の週の続き、Part II ということのようだ(まだ聴いていないのでコメントはこれだけ…すいません)。


■ Arve Henriksen and Ståle Storløkken @ St. Martin's-in-the-Field, London, 3. Dec. 2004 (2004年12月16日(木)放送分)
Arve Henriksen (tp, vo, electronics), Ståle Storløkken (key, synth)
playlist: 7 tracks including: Dark Fragment (from: Veslefrekk "Valse Mysterioso") / Blue Silk (from: Arve Henriksen "Chiaroscuro") / Valse Mysterioso (from: Veslefrekk "Valse Mysterioso") / In A Silent Way

>> playlist (ただし Arve & Ståle の演奏の曲目はない)
>> listen (23日(木)まで)

在ロンドン・ノルウェー大使館主催のクリスマスコンサートの模様を収録したもの。クリスマスコンサートと言っても Arve Henriksen の "Chiaroscuro"Supersilent の3/4 による Veslefrekk "Valse Mysterioso" の流れをくむ、美しくも哀しい色彩に満ちた1つのクリスマスストーリーだ。ノンストップで放送された音源は40分程。7曲の中にはその2枚のアルバムからの曲も含まれる。Arve のボーカル、ファルセットの彼の声しか聴いたことがない人には、3曲目の地声の高さの強い声にびっくりするかも(必聴!)。その後の4曲目はアルバム "Chiaroscuro"から "Blue Silk"。この曲のライブ音源が BBC で放送されるのはソロ、Terje Isugnset (per) とのデュオに次いで3度目だけれど、後半 Ståle が入ってくる今回のバージョンは Supersilent のファンにはたまらない音だ。

ところで、このライブ音源は「Arve Henriksen のクリスマスコンサート」として予告されていたのに、出てきたのが Ståle とのデュオでびっくりした。イギリスでの Arve の認知度は2枚のソロ作と共に非常に高いけれど、この対等なデュオコンサートを Arve のコンサートと紹介されるとは…。実際、このライブで印象的なのはむしろ Ståle の方じゃないかとも思うし、ここ数年の Ståle の演奏の充実度、特に Supersilent の中で彼の占める割合はその認知度よりずっと大きいと思う。


2004-12-17 (Fri)

年末頃にカウンターが1桁上がるな、というのは大分前から気づいていた。ただしそれが、1万だったけ、いや10万?まさか!?というくらいの意識でしかない中、昨日確かに10万アクセスを記録した。最初の頃は様々なジャズを紹介していたけれど、今やノルウェーばかり。毎日これだけの人が、そんなにもオスロの話をチェックしにくるというのは私にとってとても不思議なことでもある。嬉しいのはもちろんだけれど。

サイトはじまりのアーティスト Trygve Seim のセカンドアルバムについて書いた時に、このサイトが第2章へ入った気がする、と書いた。昨日で10万アクセス、来月にはサイトを始めてまる4年になる。ずっと以前からやってみたかったことを実行に移してみる時期が来たのかもしれない。


2004-12-16 (Thu)

Jean-Luc Godard の新しい映画 "Notre Musique" (2004) に Trygve Seim の曲が使われている。曲は "Obecni Dum" で、Trygve Seim / Øyvind Brække / Per Oddvar Johansen 名義での 2002年のアルバム "The Source and Different Cikadas" (ECM 1764) に収録されている。この映画には他に Jean Sibelius, Alexander Knaifel, Hans Otte, Ketil Bjørnstad, Meredith Monk, Komitas, Gyorgy Kurtág, Valentin Silvestrov, Peter Tchaikovsky, Arvo Pärt, Anouar Brahem, David Darling の曲が使われている。

>> Norsk Jazzforum > Trygve Seim and Jean-Luc Godard
>> "Notre Musique" の 'press book' (英語、.pdf)

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Tord Gustavsen Trio "The Ground"もう1つ ECM 関連。ピアニスト Tord Gustavsen の、大ヒット作 "Changing Places" (2003; ECM) に続く2枚目のトリオ作 "The Ground" は(今年秋のリリース予定が延期され)、ヨーロッパでは2005年1月21日にリリースされることになった。ジャケットはいつものようにノルウェー物 ECM 路線まっしぐら。

>> Tord Gustavsen Trio "The Ground" @ www.amazon.de (試聴はできないが曲名などは既に掲載されている)


2004-12-15 (Wed)

真冬のオスロ恒例のインプロフェスティバル All Ears 、第4回は2005年1月13日〜16日、例の「ノルウェー・スウェーデン平和的連合解消100周年記念」ということでオスロとストックホルムで同時に行われる。その出演者が発表された。

Ketil Møster (ts / NO)
Anders Hana (g, elctronics / NO)
Maja Ratkje (vo, electronics / NO)
Hild Sofie Tafjord (horn, electronics / NO)
Bjørnar Habbestad (fl, electronics / NO)
Lene Grenager (cel / NO)
Brynjar Bandlien (dance / NO)
John Hegre (electronics, g / NO)
Lasse Marhaug (electronics, g / NO)
Paal Nilssen-Love (ds / NO)
Øyvind Storesund (b / NO)
Frode Gjerstad (sax / NO)
Johan Berthling (b / SE)
Tommy Björk (ds / SE)
Dror Feiler (sax, electronics / SE)
Mats Gustafsson (sax / SE)
Lisa Hansson (voice / SE)
Lotta Melin (dance / SE)
Yann Le Nestour (bcl / SE)
Fredrik Olofsson (videoart / SE)
Sören Runolf (el-g, live-electronics / SE)
David Stackenäs (g / SE)
Raymond Strid (ds / SE)
Sten Sandell (p, voice, electronics / SE)
Jonna Sandell (vln / SE)

↓のオフィシャルサイトにそれぞれのアーティストの短いプロフィールが掲載されているのだけれど、ノルウェー人はノルウェー語で、スウェーデン人はスウェーデン語で書かれているのが面白い。しかし Ingebrigt Håker Flaten (b) の名前がないのがとても不思議…。

このフェスティバルは Paal Nilssen-Love、それに Lasse Marhaug と Maja Ratkje により主催されている。

>> All Ears

で、このフェスティバルの直後、Mats Gustafsson は日本にやってきて 2005年1月19日〜23日、大友良英 New Jazz Festival @ 新宿ピットインに出演する。17日にあちらを発って18日日本着と思われるので全くもってヘビーな10日間!

>> 大友良英/コンサートスケジュール

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こちらは12月のオスロ/トロンハイム恒例の The Source のクリスマスコンサート。今年は12月15日・16日のオスロ2公演(首都といえども大して人口も多くないこの街で同じ公演を2日連続というのはやっぱり凄いことだと思う)の他、12月10日にトロンハイム、それに12月9日にトロンハイム近郊 Inderøy での合計4公演。11月末に早々と送られてきたプレスリリースによると、メンバー4人 Øyvind Brække (tb), Trygve Seim (sax), Finn Guttormsen (b), Per Oddvar Johansen (ds) の他、ゲストシンガーやブラスアンサンブル(しかも指揮は現代音楽グループ Cikada のメンバーで ECM のアルバムなどでもよく見かける Christian Eggen)など総勢40人。音楽はフリージャズとライとクリスマスソングをユーモアで混ぜ合わせたもので、ECM 盤 "The Source and Different Cikadas" (2002) などからはかけ離れていて、彼らの別の一面を見せるユニークなもの。

>> Oslopuls / Aftenposten
(12月14日付で掲載されたコンサートの紹介記事。小さいけれど揃いの衣装の写真が面白い)

>> The Source @ Parkteatret
(オスロでの会場となる Parkteatret のサイトに掲載された告知。写真は1995年のアルバム "The Source: of Christmas" (Curling Legs) のジャケットに使用されたもの。若い!尚、ネクタイをして寝そべっているのは以前のメンバー Ingebrigt Håker Flaten


2004-12-14 (Tue)

少し前のニュースを。

ノルウェージャズ界で最も権威ある賞の1つ Buddyprisen 、今年は Bugge Wesseltoft が受賞し、12月2日オスロのクラブ Blå で行われた Jazzland Sessions の際に授賞式が行われた。ノルウェーのアーティスト Lise Frogg による、伝説のトランペッターで「初代ジャズ王」と呼ばれる Charles "Buddy" Bolden (1877-1931) の像、Norsk Jazzforum (ノルウェージャズ協会のような組織)から 5万クローネ(約80万円)の賞金、それにスカンジナビア航空/ブローテンス(ノルウェー国内大手航空会社)のヨーロッパ圏内航空券2人分が贈られた。この賞は毎年ノルウェージャズに貢献したミュージシャンに贈られるもので、その授賞理由の中では Bugge Wesseltoft の"new conseption of jazz" についても触れられ、またプロデューサーとしての活動も評価されている。

去年の受賞者は Nils Petter Molvær (> 2003年11月24日付diary)。それ以前の受賞者については2002年8月14日付diaryを。

>> Norsk Jazzforum > Buddyprisen

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その Buddyprisen の授賞式も行われた今年の Jazzland Sessions に登場した DJ Strangefruit こと Pål Nyhus のインタビュー記事がオスロの日刊紙 Aftenposten の文化欄 Oslopuls に掲載された。現在彼は34歳(もっと若いかと思っていたのでちょっと意外)、音盤コレクションは15,000 〜20,000枚におよぶそうだ。彼の名前が、特に国外でも知られるようになったのは Nils Petter Molvær のグループへの参加で、その NPM の次のアルバムでは共同プロデューサーもつとめている。Atomic のオスロ組 Håvard Wiik (p), Ingebrigt Håker Flaten (b), Paal Nilssen-Love (ds) も参加しているという彼のアルバム "The Mongolian Jet Set" は来年の4月にリリース予定。

>> www.oslopuls.no


2004-12-12 (Sun)

オスロのクラブ Blå の存続危機の話の続きを。2004年12月9日付diaryでは時差の関係上現地時間で8日の早い時間帯までの記事を紹介したけれど、その後事態が急展開した。この大事な続報が遅くなってすいません…。

■ MIC Norway
2004年12月8日: Blå Botn: Karl Seglem om mangel på fokus
2004年12月8日: Janne Stang Dahl om Blå: - Oslo Bystyre må gripe inn i kveld!
2004年12月8日: Svein Bjørge: - Hva er nyttig og satsingsverdig kultur?
2004年12月9日: Støtten strømmer inn: - Hvis Blå forsvinner, forsvinner Oslo fra Europas kulturkart.
2004年12月9日: Fortsatt uvisst for Blå
2004年12月10日: Blå konkursreddet - ny kulturforståelse i Oslo Kommune?

■ Aftenposten 紙
2004年12月8日: Vil øke støtten til Blå
2004年12月10日: 500 000 til Blå

■ NRK
2004年12月9日: Blå reddet

■ Dagbladet 紙
2004年12月10日: Grønt lys for blå

■ Dagsavisen 紙
2004年12月10日: Redning for Blå


各紙に踊る(?)「Blå 救われる」のタイトル("redde" = to save, "reddet" = saved, "redning" = rescue)。結論から言うと、オスロ市が50万クローネ(約800万円)を援助し、Blå は存続できることになった。厳密には、既に10万クローネの援助をしているところへ、来年分にポンと40万クローネ上乗せした、ということらしい。つまり市が地元の1つのクラブを救ったということだ。それにしてもこの大金を動かすのに2日しかかからないオスロ市の体制というかフットワークの軽さは凄いと思う。それがいいとか悪いとかは別として、日本ではありえない速さだ。

Blå はそのスポンサー選びにはシビアで、この夏のオスロ滞在記の中でジャズフェスティバル関連のスポンサーを断り、レーベルのロゴの幕をステージ後ろに下げていた、というエピソードを紹介したが、その時の断られたスポンサーは Statoil という大手石油/ガス会社だった。今回の事態に救いの手を差し伸べたのがどこかの大企業でなくてオスロ市だったというのは、 Blå にとってとてもいいことだったのではと思う。

今回の件で、MIC Norway が8日付で掲載した4つの記事(1つは12月9日付diaryで紹介、残りは↑)は、いずれもミュージシャンや関係者から寄せられた投書を紹介するもの。Helge Sten や SPUNK の Hild Sofie Tafjord、元 Jaga Jazzist のキーボード奏者(現地では誰もこんな肩書きで彼のことを紹介しないだろうけれど)で現在はヒップホップ系で人気の Ravi こと Ivar Christian Johansen 、NOR-CD のレーベルオーナーでサックス奏者の Karl Seglem 、それにトラッドシンガーの Unni LøvlidFrode Haltli の現代音楽トリオPOING のマネージャーとして来日したこともある Janne Stang Dahl 、ノルウェー唯一のジャズ誌 "Jazznytt" の編集長 Jan Granlie などの名前もある。こういう問題に対する反応の速さもまた、解決に向けての原動力となったのではないだろうか。

とにかく、あのクラブですらこういう事態になりうるという事実は消えないけれど、Blå が存続できるということで本当によかった。「Blå (青)がないオスロなんて灰色だ」、という記事があったが、全く同感だ。日本に住んでいるただのノルウェー音楽ファンですらここまでやきもきするのだから、地元のファンにとってはもっと衝撃的なニュースだっただろうと思う。

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ノルウェーの「もう1つのグラミー」と呼ばれる Alarmprisen の今年(2005年度)のノミネートが12月8日に発表された。

>> www.alarmweb.org

Videoprisen
Ugress "Manhattan Sapphire"
Sondre Lerche "Two Way Monologue"
Ravi & DJ Løv "Dødsøt"
Wibutee "We Are In Space, So Are You"
Kings Of Convenience "I'd Rather Dance With You"

Rock
Gåte "Iselilja"
International Tussler Society "International Tussler Society"
Glucifer "Automatic Thrill"
Euroboys "Soft Focus"
WE "Smugglers"

Pop
Thomas Dybdahl "One Day You'll Dance For Me, New York City"
Kings Of Convenience "Riot On An Empty Street"
Minor Majority "Up For You And I"
Annie "Anniemal"
Bertine Zetlitz "Rollerskating"

Metal
Red Harvest "Internal Punishment Programs"
Khold "Mørke Gravers Kammer"
Mayhem "Chimaira"
Enslaved "ISA"
Darkthrone "Sardonic Wrath"

Hip hop / Rap
Tungtvann "III: Folket Bak Nordavind"
Jaa9 & OnklP "Sjåre Brymæ"
Gatas Parlament "Fred Frihet & Alt Gratis"
Karpe Diem "Glasskår"
Madcon "Its All A Madcon"
Electronica
Ralph Myerz & The Jack Herren Band "Your New Best Friends"
Mental Overdrive "083"
Snuten With Friends "We Are The Future"
Ost & Kjex "Some, But Not All Chees Comes From The Moon"
Illumination "The Poppy Rocks"

Jazz
Scorch Trio "Luggumt"
Lars Horntveth "Pooka"
Wibutee "Playmachine"
Susanna & The Magical Orchestra "A List Of Lights And Buoys"
The Thing "Garage"

P3prisen: Årets låt (ベストソング)
National Bank "Tolerate"
Annie "Chewing Gum"
Jim Stärk "Morning Song"
Kings Of Convenience "I'd Rather Dance With You"
Euroboys "One Way Street"

Live
Gåte
Tussler
Thomas Dybdahl
Ralph Myerz
WE

Lydverketprisen: Årets nykommer (新人賞)
Sissy Wish
Bonk
Samsaya
The Beautiful People
Annie

例年、この賞のジャズ部門は結構私の好みに近いセレクションで、今年も顔ぶれ的にはそうなのだけれど、どうも何かが微妙に違う。ジャンル云々は無意味なノルウェー音楽とはいえ、Susanna & The Magical Orchestra はともかく、Lars Horntveth はジャズなのか、というのもちょっと驚き。それを言えば Wibutee の新作もジャズなのか?ということになるのだけれど…。Paal Nilssen-Love × Ingebrigt Håker Flaten による同じリズムセクションの The Thing と Scorch Trio がかろうじてジャズなのだけれど、一般的に言えばこの音はかなりロック寄りだろうから、ノルウェーのジャズというのはとんでもない。今年は Rune Grammofon が2枚(Susanna & The Magical Orchestra と Scorch Trio)、Smalltown Supersound が2枚 (Lars Horntveth と The Thing)、Jazzland が1枚( Wibutee) というレーベル対決とも言え、その図式は面白い。

Alarmprisen というのはノルウェーのグラミー賞に当たる Spellemannprisen に対抗する形で設立されたもので、明らかに独自色を出そうとしている。だからオーソドックスなジャズは Alarmprisen にはあまり登場しない。個人的には、今年のジャズ部門候補に必ず挙がるだろうとふんでいた Arve Henriksen "Chiaroscuro" がなかったのにはとても驚いた。もっとも、もう1枚 Rune Grammofon の作品をというのは無理だろうけれど。前作 "Sakuteiki" は2002年度のこの賞にノミネートされていたが、よりによって Supersilent "5" と同じ年度の同じ部門にダブルノミネートになってしまい、結果どちらも賞を逃している。ちなみに去年のこの部門は Supersilent "6" が受賞した。

他のジャンルでは、前作がノルウェーの色々な賞やベスト作リストで Röyksopp とぶつかってほとんど全敗した Kings Of Convenience と、同じく前作が Magnet とぶつかってほとんど全敗した Thomas Dybdahl に是非賞を!と思う。

授賞式は2005年2月5日、オスロの巨大ライブハウス(コンサートホールというより Blå の3段重ねといったほうが近い) Rockefeller で行われる。

参考:
2004年度: ノミネート(2003年12月5日付diary) | 受賞 (2004年2月15日付diary)
2003年度: ノミネート(2002年12月4日付diary) | 受賞 (2003年3月10日付diary)


2004-12-09 (Thu)

今年の夏、オスロであるミュージシャンと話をしていた時、話題が私のサイトや私が音楽に関してやっていることになった。私はたった一言:

「お金が絡まないからこそできることがあるから」

それ以上の説明は全く必要なかった。念のため、お金が絡まない、というのは2つあって、私がこれでお金を儲けていない(それどころかものすごくつぎ込んでいる)、それにここを読む人も何もお金を払う必要がない、ということだ。

私の場合ちょっと特殊だったのは、音楽について何かしら書き始めた時に知り合いになった音楽関係の人というのがみな北欧のミュージシャンや関係者ばかりだったことだ。彼らは私のサイトが読めないにもかかわらず、なぜ私がネットという媒体で好きな音楽について書き続けるのか本当によく理解してくれている。だから、「私のサイトの趣旨が理解されないこと」について考えてみたこともなかった。もちろん、全ての人が私のやっていることを理解してくれるなんて思わない。けれど、それは甘かったのかもしれない。

サイト内のある1ページに私が2年以上を費やした結果を盛り込んだのだけれど、それがごっそり形を変えられて商業用に利用された。ショックは大きく、こういう形態でのサイト運営は不可能なのかとすら考えている。

このサイトの文章は、見にきて下さる方に、情報の少ないノルウェーや北欧の音楽について少しでもヒントになるようにと書いているもので、このサイトはあくまで個人サイトだ。商業用に利用しないで下さいなんて、わざわざ書くまでもないことだと思っていた。

そういうわけで、複数の人のアドバイスもあり、サイトの内容の引用・転載に関する注意事項(暫定版、トップページからもリンク)などというものを書いてみた。以前一度似たような内容のものを用意したことがあり、けれどサイトを見にきて下さる方に何かを強制するのは避けたいと思って結局アップしなかった。今回これを掲載するのはサイトの内容を商業的に利用しようとする人に向けてのこと。blog や個人サイトでこのサイトのニュースや紹介文の紹介などをして下さっているのを時折見かけるけれど、そういうものを規制しようというつもりは全くない。音楽について知ってもらうためにやっていることなので、そういったのはむしろ大歓迎だ。中には、ご自身のレビューの後ろに、引用したわけでもなんでもないのに私のサイトの紹介をリンク付きで添えて下さっているものも見かけ、本当に嬉しく思うことも多い。

サイトの内容について、ごく一部や、また自分の言葉で書き換えればいいと思ったり、バレないと思っている人がいるようだけれど、文章というのはオリジナルを書いた人にしかわからない顔を持っていて、少々姿かたちを変えようと、オリジナルを一生懸命書いた人には絶対分かるものだ。たとえ一文にも満たないワンフレーズでも、絶対に気づく。これが分からない人はきっと自分の言葉で表現していないのだと思う。

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↑の問題についてはまだ気持ちの整理がついていない。ケリがつくまでサイトは更新しないつもりだったし今でも基本的にはそのつもりなのだけれど、オスロでとんでもない事態↓が発生し、そのことについてフォローするため、とりあえずの更新を。

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そのニュースを見た時はにわかに信じがたかったし信じたくなかった。全部ノルウェー語だから、私が読み間違えているのだと思いたかった。

オスロの有名なクラブ Blå が大変な財政難で、倒産の危機に面している、と今週の月曜12月6日にオスロのメディアが一斉に報じ、その後も大きなニュースとして取り上げられている。

[ブックマーク]
■ Aftenposten 紙
2004年12月6日: "Blått lys for jazzklubbe Blå"
2004年12月7日: "Mot slutten for jazzklubb"
2004年12月8日: "Blues på Blå"

■ 国営放送 NRK
2004年12月6日: "Blå i fare"
2004年12月7日: "Blå mangler jazz-fokus"
2004年12月8日: "Vi gi penger til Blå"

■ MIC ノルウェー音楽情報センター
2004年12月6日: "Blå på konkursens rand - permitterer 50"
2004年12月8日: "Massiv støtte fra norske kulturaktører: - Uten Blå blir Oslo grå"

■ Dagsavisen 紙
2004年12月7日: "Røde tall for Blå"

そして Blå のサイトに掲載されたコメント。BLÅ はまだ諦めていない、という見出しで、現在も存続に向けて動いていること、そして支援に対する感謝の言葉が最後に述べられている。

BLÅ HAR IKKE GITT OPP ENDA
JADA, DET ER SANT AT VI SLITER, MEN VI HAR IKKE GITT OPP!!

Som mange har kunnet lese, se og hore i media i det siste er Blå i en økonomisk lei situasjon. Vi har levd lenge med en tung økonomisk hverdag, noe klubben ikke lenger kan tåle.
Vi som jobber her til daglig er positive og står på døgnet rundt for å finne en løsning som sikrer at Blå kan bli enda bedre i 2005.

BLÅ TAKKER ALLE VÅRE MEDLEMMER OG ANDRE SOM STØTTER OSS OG TALER VÅR SAK.

>> Blå

最悪の事態になれば2005年3月1日に閉鎖ということになる。そんなことになったら、ジャズに限らず、ノルウェーのミュージシャンたちは一体どこで演奏すればよいのだろう?シーンの急速な衰退は避けられない。

ただし、危機感を持って大きく報じられているし、ミュージシャンや関係者の動きも既に見られる。このクラブがあるから今のノルウェーのシーンがある、というのは誰もが認識しているから、恐らく、黙って見殺しにはされないだろうと希望的に考えたい。


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