2006/01/08

best of 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001

best of 2005

BEST ALBUM --- NORWEGIAN JAZZ & AROUND

1. Håkon Kornstad & Håvard Wiik "Eight Tunes We Like" (Moserobie)

聴いている時間をとても豊かなものにしてくれる作品。

1. Atomic "The Bikini Tapes" (Jazzland)

過去の名作2枚をあっけなく過去のものにしてしまうライブ盤。

In The Country "This Was The Pace Of My Heartbeat" (Rune Grammofon)

歌の心を持つ個性的なピアノトリオ。

Christian Wallumrød Ensemble "A Year From Easter"(ECM)

深遠な世界を秘めた音楽。

Thomas Strønen / Fredrik Ljungkvist / Mats Eilertsen / Bobo Stenson "Parish" (ECM)

静かで躍動感もある、グループの様々な面を表現するセカンドアルバム。

Motif "Expansion" (AIM)

前作から鮮やかな発展を遂げた力作。

Unni Løvlid "Vita" (Heilo)

声のみで空間を制するボーカル、Helge Sten らしい仕上がり。

Vintermåne "Søde Julenat" (Kirkelig Kulturverksted)

トラッドでありながら若い感性を見せるクリスマスアルバム。

Jaga Jazzist "What We Must" (Smalltown Supersound)

これまでの作品と違うことをやっていることが個人的には◎。

Opsvik & Jennings "Fløyel Files" (NCM East)

エレクトロニカにアコースティック楽器を入れたものの中ではこれが一番の出来。

Supersilent "7" (Rune Grammofon) [DVD]

彼らのライブの素晴らしさをダイレクトに伝える映像作品。

今年は特に気に入ったものを集中的に聴くことが多かったためベスト作を選ぶのは実に簡単だった。最初の2枚はかなり近い人脈による全く異なる作品ということもあり甲乙付けがたく、結局両方1位に。どちらを上に載せるかまで迷ってしまった。これ以外は順不同。白いジャケットとピアノものが多いのは多分偶然。「人間が演奏する音」にとてもひかれた1年だったので、そういう意味で全てアナログな感覚のものばかりとなった。

サイトで未紹介のものが多いが、Thomas Strønen と Jaga Jazzist についてはライナーノーツを担当させて頂いたので機会があればご一読を。特に Thomas Strønen を書かせてもらえたのはとても嬉しかった。(※ 紹介文へはジャケット写真のリンクからどうぞ)

Unni Løvlid と Vintermåne はいずれもトラッドボーカル物、共に若い女性シンガーで、そのトラッドを踏襲しつつ、新しい若い感性でそれを伸びやかに表現する力強さに魅了された。Unni Løvlid のソロボーカルものは Helge Sten が録音を手がけており、らしい仕上がりになっている。Vintermåne はボーカル/サックス/鍵盤楽器のトリオ編成で、Jazzland の Torun Eriksen のアルバム(2006年2月にリリースされるセカンドアルバムも含む)にも参加している女性サックス奏者 Frøydis Grorud に注目。

エレクトロニカやノイズ物などもそこそこ聞いた2005年だが、前述のような訳であまり強いインパクトを受けることはなかった。そんな中、ノルウェー人ベーシスト Eivind Opsvik とアメリカ人ギタリスト Aaron Jennings による作品は、2人が楽器奏者であるということを強く感じさせる仕上がりでよく聴いた1枚。

Supersilent を最後に挙げたのはこれが CD ではなく DVD だからで、順位とは関係ない。これまで映像作品にはまるで興味がなかったため、これを観ることは私にとってかなりのチャレンジとなった。詳しくは別途。


OTHER DISCS

Marcin Wasilewski / Slavomir Kurkiewicz / Michal Miskiewicz "Trio" (2005; ECM)
Nine Horses "Snow Borne Sorrow" (2005; Samadhisound)
Michiyo Yagi "Seventeen" (2005; Zipangu)
Can reissue albums
Nik Bärtsch "Hishiryo" (2002; Tonus-Music)

ここでは「2005年のノルウェージャズとその周辺の作品」以外のものを。ただしノルウェー物以外にはほとんど手がまわらなかった1年なので数少ない繰り返し聴いたものの中から。

2005年は比較的 ECM をよく聴いたように思うが、北欧物以外では Wasilewski / Kukiewicz / Miskiewicz のトリオ、いわゆる Simple Acoustic Trio のECM デビュー作がよかった。とても ECM らしい音という印象は Rainbow Studio × Jan Erik Kongshaug に因るところが大きいが、それより少し甘口なメロディーがとても気に入っている。

David Sylvian の新作といってよさそうな Nine Horses 名義のアルバムは、エレクトロニクスの使い方など部分的に好きではない要素もあるものの、それでもやはり「声」の魅力は大きい。Arve Henriksen の参加は私には嬉しいおまけ程度だが、この作品で彼を認識した人もいるそうで、それのほうが大きい。

八木美知依の17弦箏による深い音は、(数年来の知人で何度もお会いしているのに一度もライブを観たことがなかったが)2005年に予想外のセッションでようやくライブで観ることができたことと合わせて2005年のとても印象的なことの1つとなった。

Can のペーパースリーブの再発シリーズ8枚(他の作品は出ないのだろうか)は随分話題を呼んだが、昔(といってももちろんリアルタイムではないが)よく聴いた彼らのアルバムを久しぶりに聴き直すきっかけになった。上のジャケット写真は "Ege Bamyasi" (1972)。

アルバムよりライブで先にその音を聴くことができたスイスのピアニスト Nik Bärtsch は、これまでのリーダー作全てをまんべんなくよく聴いており、中でもこのソロ作が気に入っている。2006年2月にリリースされるECM デビュー盤 "Stoa" を首を長くして待っている。


BEST LIVE

1. Atomic @ 新宿Pit Inn

彼らの存在に気づいて5年余り、ようやくライブで聴くことが叶ったと思ったらいきなり1年に5回(予定)も聴くことになるとは。超満員の観客の熱狂と素晴らしい演奏は、大げさでなく日本におけるノルウェージャズの「事件」だったと思う。4年前に Paal Nilssen-Love が Pat Metheny との共演でノルウェーを驚かせたライブを上回るかもしれない衝撃。

2. Supersilent @ John Dee, Oslo, Norway

彼らのライブを初めて生で体験した 2003年、DVD 撮影という特殊な状況下で観た2004年に続く3度目のライブは、私にとっては初めて少しリラックスして楽しめるライブとなった。

3. Wibutee @ Blå, Oslo Norway

2002年の来日公演の短いステージ以来となる彼らのライブでは、アルバムからは把握しきれていなかった彼らの変化を理解することになった。クラブジャズというより、ロックに即興演奏を組み込んだ音楽が彼らの最新のスタイルで、2006年にリリースされるであろう新作がとても楽しみ。

4. Solveig Slettahjell Slow Motion Quintet @ Scene West Victoria, Oslo Norway

彼らがアルバムよりはるかに素晴らしいライブを披露する、というのは予想もしなかった。バックの実力派楽器隊のかなりひねくれた演奏と主役のストレートな素晴らしいボーカルの取り合わせがとてもユニーク。

5. KILL @ John Dee, Oslo Norway

衝撃度では今年一番とも言えるのがこの「デストロニカ」グループ KILL 改め KILLL のパフォーマンス。ノイズとビート、絶叫と激しく点滅する照明によるすさまじいパフォーマンスはもうじきリリースされるライブDVDで確認できると思うが、果たして画面からどれくらいそのインパクトが伝わるか。



BEST NEWCOMER

Moten J. Olsen
(ds) & Anders Hana (g)

この2人を選ぶのは2006年に取っておこうかと思ったけれど、やはり彼らの活動に気づいた2005年度に選ぶことにする。24歳と23歳のスタヴァンゲル出身の2人は、まるで一世代若い Paal Nilssen-Love と Ingebrigt Håker Flaten のような強力なコンビだ。もちろん、音楽が似ているのではなく、個々の演奏が強烈なのに加えコンビとして相性がいいという意味で、だ。2006年の活躍に期待!



BEST MUSICIAN

Håvard Wiik

Håvard Wiik は2003年度もベスト・ミュージシャンに選んでいるが、今回は少し違うニュアンスで選んだ。ベスト作にも選んだ Kornstad & Wiik "Eight Tunes We Like"Atomic "The Bikini Tapes"、それに Free Fall "Amsterdam Funk" の3枚がとても良かったため、という理由以外に、2005年に私自身が彼のライブを8回(内訳は Atomic ×3回 [> 1, 2, 3]、Motif ×2回Kornstad / WiikHåvard Wiik Trio + Lee Konitz, Nymo / Nymo Quartet、そして厳密には Arve Henriksen のライブにゲスト参加したのも入れて9回)も見る機会があったことが大きい。いずれも彼独特の緊張感のなさそうな雰囲気を漂わせながら、ピアノから最も美しい音を引き出せるその技を堪能。それが実にさりげないので思わず見逃しがちなのだけれど。それぞれのグループで少しずつ違う演奏をしている点にも注目。彼を初めてライブで聴いた2001年、そして2004年のソロ演奏の時と比べてやはりさりげなくも格段に進化していることも確認させられた。



BEST ARTWORK

今年のベストデザイナーは文句なしに Stoffer Ganes。
CD のジャケットという小さなパッケージには色数を絞るほうが効果的、と思わせるアートワークが目立った。


Atomic "The Bikini Tapes" (Jazzland)
artwork by Stoffer Ganes

3枚組ボックスセットで、外箱と中のペーパースリーブは全てモノクロのデザイン。ブックレットはトーンを落としたブルーとグリーンで、一部のページのみ色が反転。ディスクのタイトルロゴは1枚目がブルー(写真)、2枚目はグリーン、3枚目はホワイト。トータルで使用されている色は4色。このブルーとグリーンの取り合わせは北欧的で美しいが、色が近いため、ブックレット内のライナーノーツ(フォントの関係もあり特にイタリックの英訳の部分)が読みづらいのが残念。


Håkon Kornstad & Håvard Wiik "Eight Tunes We Like" (Moserobie)
sleevework by Stoffer Ganes

上の Atomic とメンバーの面でも関連が深い2人のデュオ作のカバーを手がけるのは Atomic と同じ Stoffer Ganes、彼は昨年の Wibutee も共同で手がけている。クラシカルで凝ったロゴをジャケット表とディスク盤面に大きく配置し、他の小さな文字も装飾の多い優雅なイタリックを使っている。二つ折りデジパックの内側は透明ディスクトレイ下まで2面ともグリーンのパターン。モダン/クラシカルな要素がうまくミックスされている。


Sonny Simmons "The Traveller" (Jazzaway)
sleeve photo by Christer Bell, layout by Stoffer Ganes

もう1つ Stoffer Ganes の手がけたアートワークを。ロゴの中の "O" がとても微妙な曲がり具合で、ジャケット表では白と赤、裏面では Sonny Simmons の写真が入っている。盤面の写真も似た形に切り取られている。ジャケット表の白い "O" の中のアーティスト名とアルバムタイトルは中心より少し下、盤面の写真も少し左に配置されており面白い。赤いトレーがとても効果的に使われている。2005年のベスト・アートワークで、音楽も素晴らしい内容。


SPUNK "En Aldeles Forferdelig Sykdom" (Rune Grammofon)
cover by Kim Hiorthøy

Rune Grammofon のデザインはアルバムによってかなり異なるが、これは表と裏/中が全く異なるタッチのデザインという点でとても珍しい。これまでの SPUNK のアルバムは暖色系の鮮やかな色使いでシンプルな模様のものばかりだったが、本作では一転モノクロ。表は細かい硬いデザインなのに対し、裏面はなんとも緩い不思議な絵があしらわれている。糸をひいたような絵の面と黄色い盤は同時に目に入る仕様で、インパクト大。


Tanja Orning "Cellotronics" (Albedo)
design by go go consumer

現代音楽レーベル Albedo は最近の3作を似たデザインでリリースしており、これが最新作。ジャケットと盤は同系色でまとめられており、フォントもほぼ同一のオーソドックスなもので、大きさと色が異なるものを使っている。表のタイトルは少し字間を空けた大きなロゴと、(見えにくいが)小さめのものと2種類で表記されている。デジパックの紙はマットな手触りで、スリーブ内のイラストの部分だけつや加工(コーティング)がされている。尚、このイラストはエンハンスト仕様で入っているビデオクリップから取られたもの。音楽は現代音楽〜即興演奏にエレクトロニクスを加えたかなり前衛的なものだけれど、ジャケットは逆に無難と言えなくもないが、むしろポップで馴染みやすくてよい。

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