2007/04/09

best of 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001

best of 2006

BEST ALBUM --- NORWEGIAN JAZZ & AROUND

Atomic "Happy New Ears!" (Jazzland)

素晴らしい楽曲と素晴らしい演奏。(※ライナーノートを書いたため、サイトでの紹介はありません)

Susanna and the Magical Orchestra "Melody Mountain" (Rune Grammofon)

オリジナリティーと意外性に満ちたカバー集。

In The Country "Losing Stones, Collecting Bones" (Rune Grammofon)

物語を綴り歌を歌うピアノトリオ。ジャケも中身も秀逸。

Wibutee "Sweet Mental" (Sonne Disk)

新しい方向性をはっきり示す快作。

Zanussi Five "Albrado" (Moserobie)

楽曲、個性的なメンバーの演奏ともにいい具合に「とんがった」1枚。

Ingebrigt Håker Flaten "Quintet" (Jazzland)

これまでの彼の参加グループとはかなる異なるグルーヴィーな作品。

The Core "Blue Sky" (Jazzaway)

長尺の演奏を一気に聞かせるパワフルなセカンド(ジャケは謎だが)。

Thomas Dybdahl "Science" (Uniersal Norway)

「October3部作」よりリラックスした歌が楽しめる。

Eyewaterlillies "Slant Of Light" (Jazzaway)

ノルウェーらしい、リリカルでポエティックなグループのデビュー作。

去年は1枚外して10枚にすることができず11枚選んだが、今年は無理をせず9枚。もう1枚選ぶことは可能だが、トップからの差が大きくなりすぎるような気がするため。順位は順不動ながら、なんとなく気に入った順に並べてある。それぞれのアルバムの紹介ページへはジャケット写真のリンクから。

歴史的な大名作と言えるようなものはなかったが、その次に位置する位の、とてもよく聴いたアルバムばかりで、このあたりは結構充実した1年だったように思う。かなり楽曲志向の強い、演奏者の表現がはっきり出るものばかりなのは多分に私の好みによるものだけれど、客観的に見てもこの9枚に加えられる内容のインプロ物やエレクトロ系の作品はなかったように思う。


OTHER DISCS

Nik Bärtsch's Ronin "Stoa" (2006; ECM)

>> Nik Bärtsch / Nik Bärtsch's Ronin @ MySpace.com
Fraser Trainer / Between the Notes with Viktoria Mullova "Knots" (2005; Black Box)

>> Between The Notes
David Stackenäs "Bow" (2006; Kning Disk)

>> David Stackenäs / Kning Disk
Steffen Basho-Junghans "In The Morning Twilight" (2006; Kning Disk)

>> Steffen Basho-Junghans / Kning Disk
Yuri Honing Wired Paradise "Temptation" (2006; Jazz In Motion)

>> Yuri Honing / Wired Paradise @ MySpace.com

スイスのピアニスト Nik Bärtsch の ECM 盤(編成はピアノ/キーボード、バスクラリネット、エレクトリックベース、パーカッション、ドラム)は、2006年前半にリリースされたこともあり、恐らく年間を通して最も聴いた作品。イギリスの現代音楽アンサンブル Between The Notes (編成はチェロ、ギター、ピアノ/キーボード(= コンポーザーの Fraser Trainer)、パーカッション、サックス/クラリネット)の作品はクラシックの顔をしたプログレとでもいうべきスリリングな音楽で、ロシア出身のヴァイオリニスト Viktoria Mullova の参加するトラックが一際華やか。そのセクステットでの The Human League "Love Action" のカバーが秀逸。ちなみに BTN の次作はイギリス FMR へのインプロものだそう。スウェーデン・イェテボリの個性派レーベル Kning Disk の2枚はいずれもギターソロ。スウェーデンの若き名手 David Stackenäs の作品はアコースティックギターにファンをあてて出る音響のみによるもので、少しずつゆらゆらと変わりゆく音が映像的ですらある。ドイツ人ギタリスト Steffen Basho-Junghans のほうは6弦、12弦、12弦スライドギターを爪弾くもので、独特の間合いで奏でられるメロディーが美しい。オランダのサックス奏者 Yuri Honing の Wired Paradise 名義での2枚組新作はドイツ人ギタリスト Frank Möbus を迎えたカルテット編成によるもので、シャープなリズムとそれに絡むミステリアスなメロディーとギターが面白いロック寄りのジャズ。


BEST LIVE

1. Supersilent @ Glasssalen, Tivoli, Copenhagen Jazzefstival, 2006年7月10日

2. In The Country @ Kongsberg Kino, Kongsberg Jazzfestival, 2006年7月7日

3. Atomic @ EnergiMølla, Kongsberg Jazzfestival, 2006年7月6日

4. Wibutee @ EnergiMølla, Kongsberg Jazzfestival, 2006年7月8日

5. Nik Bärtsch's Ronin <Quintet> @ Yenisei, North Sea Jazzfesitval, 2006年7月14日 / <Trio> @ Blues Alley Japan, 2006年10月28日

今年のベスト・ライブは最初の2組のみにしようかと思ったが、一応5組挙げてみる。Supersilent のコペンハーゲンでのライブは、私がこれまで見た5回の中で最高の内容。In The Country のライブの良さというのは想像しにくいかもしれないが、表現するのもやはり難しい。アルバム以上に彼らの音楽がダイレクトに心に届くとでも言えばいいのだろうか。コンクスベルグ・ジャズフェスティバルの個人的なベストアクトは In The Country だが、Atomic と Wibutee もそれぞれ圧巻の演奏だった。Atomic は2006年2月、さらには2005年4月の来日公演とも同じ曲を演っているのに、じわりと進化し続けているのがこのバンドの凄いところ。Wibutee も同様に、新作の曲が既によりパワフルになっているのを確認できた。Nik Bärtsch の書かれた楽曲は、ライブでは「生きた」グルーヴになる。編成としてはクインテットがベストなのはもちろんだが、トリオでの演奏は予想外なほどにパワフルなものだったため両方挙げた。


BEST NEWCOMER

なし!
2004年度は Kjetil Møster、2005年度は Moten J. Olsen & Anders Hana を選んだが、これに匹敵する若いミュージシャンは今のところ思いつかない。正確には、注目しているミュージシャンはいくらかいるのだけれど、2007年度にいいアルバムが出ればと期待している状態。


BEST MUSICIAN

Morten Qvenild

In The Country "Losing Stones, Collecting Bones"、Susanna and the Magical Orchestra "Melody Mountain"、Solveig Slettahjell "Good Rain" 、そして Thomas Dybdahl "Science” といういずれも2006年に注目された作品で素晴らしいセンスを発揮。既にワンフレーズ程度で彼らしい、と思わせる個性を確立している。


BEST ARTWORK

2006年は印象に残るアートワークが非常に少なかった。いつも音と共にアートワークもとても楽しみな Rune Grammofon も例外ではないが、そんな中でもなかなか面白かったジャケットをいくつか紹介。

In The Country "Losing Stones, Collecting Bones" (Rune Grammofon)
artwrk by Kim Hiorthøy

Huntsville "For The Middle Class" (Rune Grammofon)
artwork by Kim Hiorthøy

In The Country のジャケットは、Kim Hiorthøy らしさ全開の鉛筆描きイラストが全面に溢れている。色々な不思議な生き物があちこちでいろんなことをしており、おとぎ話のようでもある音楽にぴったり。活字も一つずつあちらこちら向いており楽しい。一方の Huntsville は初期の Rune Grammofon を思わせるシンプルな絵柄とロゴ。4コマ漫画ようにも見えるのが面白い。


Nikos Velitis / Anita Kaasbøll / Michael Francis Duch "The Sea Looks Green When the Sky is Grey" (2006; Sofa)…左
No Spaghetti Edition "Sketches of a Fusion" (2006; Sofa)…中
Sidsel Endresen "One" (2006; Sofa)…右
artwork by Lasse Marhaug

インプロレーベル SOFA から続けてリリースされた3枚。SOFA は一定期間同じデザイナーがアートワークを手がけるが、この2006年のシリーズを手がけるのはミュージシャンでもある Lasse Marhaug。いずれも写真を加工してコラージュしたように見える抽象的な背景にざっくりした白抜きのフォントを配置したもの。クレジット面はとても読みやすいゴシック系のフォントで、レーベル名 SOFA のみ表面と同じセリフ系のフォントが使われている。中身と表面は抽象的で前衛的だが、それを受け止める背面が穏やかな文字とセンタリングという、あまりこの系列の音楽では見かけない極めてニュートラルなデザインで、その両者のバランスが絶妙。


Terje Isungset "Igloo" (2006; All Ice)
artwork by Lasse Berntzen

氷の音楽のみをリリースする Terje Isungset のレーベル All Ice Records からの最初のリリース。プラスチックケースの外に半透明のケースがあり、表面はアイス・パーカッションの形のように穴が開いている。ECM レーベルのような紙カバーはデザイン上あまり意味がなく、単にCDを取り出すのに手間取るだけだと私は考えているが、こういう立体デザインの1つとしてカバーは面白い。プラスチックケースの背の部分には粘度の高い液体が入っており、ケースを傾けると空気泡がゆらりと動く。ブックレットはほんの少し裏が透けるシートに印刷されており、青い色に染まる氷が少しずつ重なって見える。尚、既にリリースされている2作目も同様の仕様となっている。

home