discs - December 2003

discs index |

last updated: 14 December 2003


● Jono El Grande の2作品をまとめて。鬼才とか異才とかいうのはこういう人のことを…。


Fevergreens / Jono El Grande (2003; Rune Grammofon; RCD2023)
Jono El Grande (ac-g, el-g, harp, syn, prog), Erik Løkra (ss, ts), Håkon Stene (xylophone, vob, glockenspiel, per), Tomas Gantelius (p, syn), Karl Stømme (tp), Kjell Tore Innervik (xylophone), Kjell-Asbjørn Bunæs (fl), Rolf-Erik Nystrøm (sns, as, bs), Håkon Thelin (double-b), Terje Engen (ds)
Jono El Grande (Jon Andreas Håtun)のセカンドアルバムは Rune Grammofon から。確かに前作 "Utopian Dance" (1999) の延長上にあるけれど、よい意味でよくプロデュースされた作品になっている。前作ではほとんどの演奏を自らこなしていたけれど、最近では Jono El Grande Orchestra なるバンド(通常は9人編成らしい)で活動していて、本作もメンバーがほぼ固定されていてアルバムを通して一貫性がある (現代音楽グループ POING の2人、Rolf-Erik Nystrøm と Håkon Thelin の参加にも注目)。メロディーはほのぼのしてみたりポップだったりなのだけれど、どこかとても美しく、アレンジは複雑で楽器の配し方(特にヴィブラフォン、マリンバ、ハープなど)が絶妙、場面の展開に驚かされ、ウィットに富み、それを非常に上手い演奏でさりげなくかつシャープに聞かせる。「僕は Rune Grammofon のポップ・ホープだ」という本人のインタビューでのコメントが言い得て妙。Jono El Grande は現在30歳。 (2003/12/14)

Utopian Dances / Jono El Grande (1999; Krusedull; KRUSEDULL02)
Jono El Grande (workstation, comp-prog, key, Kawai FS610, ac-g, el-g, per, kazoo, chromonica, prepared acl, accor, ts, vo), Zteinudo Ztøbjerkacki (b), Schurodensa Sceldali (per, vo), Øyvista Bræckeka (tb), Perwillance Aasedreudo (tp), Afrode Berzittimo (tambourine)
Jono El Grande こと Jon Andreas Håtun のデビューアルバム。ノルウェーの小さなレーベルからリリースされたアナログのみの500枚限定盤。ジャケットには無精髭で微笑む本人のどアップ写真、盤は半透明の白地にパステルグリーンのマーブル模様入り、盤のラベルは本人(多分)のセミヌード写真。クレジットに掲載されている名前は全て奇妙に変形されていてほとんど判別不可能。出てくる音楽は冗談なのか本気なのか、聴いたこともないような奇妙なものが並ぶ。基本的にインストで、1曲ずつに本人の奇抜なアイディアとはみ出し気味の才能をぶちこんだような感じ。時にはB級映画やくだらないテレビ番組の音楽からエッセンスを頂戴したような不気味にわかりやすいメロディーが横切る。そうかと思えばはっとするような美しい音楽が挟まれる。それが非常に真面目な演奏で展開される。唖然。ジャケット裏のJono El Grande のコメント:「"Utopian Dances" はユートピアのフォークソングの自分なりの解釈である。これは夢の中でしか聴こえない音楽だ。"Utopean Dances" はあなた自身の生活に、不可能なダンスのステップを持ち込むものである。」(2003/12/14)

● Arne Nordheim は今なお現役。


Dodeka / Arne Nordheim (2003; Rune Grammofon; RCD2030)
Arne Nordheim
Rune Grammofon レーベル 5周年、30作目を飾るのはノルウェーの(大御所)現代音楽家 Arne Norheim (b. 1931) のエレクトロアコースティック作品。1967年から1972年の間、ワルシャワ滞在中に製作された作品の初リリースとなる。アルバムタイトル "dodeka" はギリシア語で「12」の意味で、12曲の短いトラックからなる合計37分。1曲目〜11曲目はシンプルなタイトルが付けられた一続きの抽象的なイメージで、最後の12曲目 "summa" に全体のまとめが現れる。30年以上も前の作品とあって、もちろん現在とは録音の手段も技術も異なり、ここにある音はアナログな感覚を湛えている。宇宙のかなた、もしくは水の底深くから謎めいた揺らぐような輝きを不規則に発するこのミニマルな音楽は、30年もの間、このレーベルに見出されるのを待っていたかのようでもある。 (2003/12/12)

● Rune Grammofon の最近(といってもここ1年)の作品を。


Voice / Maja Ratkje (2002; Rune Grammofon; RCD2028)
Maja Ratkje (voice)
Rune Grammofon に所属する女性4人組の前衛音楽ユニット SPUNK のメンバー Maja Ratkje のソロデビュー作。ボイスパフォーマーであり、マルチプレイヤーであると同時に、現代音楽作曲家として知られる彼女の持ち味を凝縮したような作品。このアルバムの全ての音は様々な場所(オスロ市内の有名な墓地、屋根の上、地下室、エレベーターの中、スタジオ、駐車場…)で録音された Maja Ratkje の声によるもので、彼女自身と共同プロデューサーの Jazzkammer の2人によって、時には全く原形をとどめないほどに加工されている。普通に歌っていた(その普通さがかえって怖い)かと思えば絶叫したり、美しく奇妙で混沌としていて、ホラーでありまた唐突にコミカルでもあり油断ならない。なぜかこれまた唐突に本人の写真が一面にあしらわれたジャケットも意外。 (2003/12/11)

top / home