discs - June 2004

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last updated: 20 June 2004


● 名作!!


Underground / FME (2004; Okkadisk; OD12051)
Paal Nilssen-Love (ds), Nate McBride (b), Ken Vandermark (reeds)
これは凄い作品だ。71分のアルバムに収録されているのは全て Ken Vandermark による22分、17分半、12分半、19分の4曲で、それぞれは4部、3部、2部、3部の全く異なる小さなパートから成り、そのパートにもそれぞれタイトルが付けられているが、演奏/音楽は1曲を通して途切れない。演奏はトリオ、デュオ、ソロと様々に移り変わり、曲もややアグレッシブなパートからミニマルな音数を減らしたパートまで、コントラストをはっきりと、かつ自然に流れる。ジャケット裏にライブで撮影されたものらしい写真があり、3人は譜面を見て演奏している。それからも分かるように、この音楽は譜面に書かれ、きっちりとアレンジされたマテリアルと即興演奏を組み合わせたものだ。その難しいコンセプトをとんでもなく高いレベルで形にする演奏にひたすらひきつけられる。長い曲も収録時間も全く感じさせないし、書かれた音楽ということでスリルが減るということも全くない。前作同様、どちらかというとクールな演奏で、スタジオ録音のせいか前作より Nate McBride のベースが鮮やかになり、3人の素晴らしいミュージシャンが全く対等に、見事なトライアングルを描く。2003年12月16日と17日の両日、シカゴのスタジオでの録音。FME は2作目にして1つの完成された域にまで達してしまったようだ。 (2004/06/20)

● 760枚という枚数は一体どれくらいの数字なのだろう?


FME / FME (2002; Okkadisk; ODL10007)
Paal Nilssen-Love (ds), Nate McBride (b), Ken Vandermark (reeds)
FME (Free Music Ensemble) は2001年6月に結成されたシカゴ・ボストン・オスロをベースにするミュージシャン3人によるトリオで、これがファーストアルバム。2002年2月27日、スウェーデン・ストックホルムの有名なクラブ Glenn Miller Cafe でのライブを収めたもの。収録された長尺ばかりの5曲は全て Ken Vandermark のクレジットになっていることからもわかるように、完全なインプロではなく、書かれたマテリアルを即興演奏で組み立てている。ライブということもあり、その境目はまったく分からない、そのあたりがこのグループの特色なのではと思う。楽曲は比較的抽象度が高く、音の鳴っていない空間が多く残されているせいか、火花散るというよりはクールな印象。それぞれプレイヤーの一瞬の音に対するセンスとバランス感覚が抜群で、特に Paal Nilssen-Love の音数を抑えたドラムソロはハイライトの1つだ。90年代後半に、Ken Vandermark が Nate McBride と共に構想した新しいユニットが、Paal Nilssen-Love というドラマーの出現で実現したというエピソードも興味深い。CD のみのリリースで760枚限定、ジャケットに手書きでナンバリングされている。 (2004/06/13)

● 単なる企画物ではない。


Nuclear Assembly Hall // Atomic / School Days (2004; Okkadisk; OD12049)
Magnus Broo (tp), Jeb Bishop (tb), Fredrik Ljungkvist (reeds), Ken Vandermark (reeds), Håvard Wiik (p), Kjell Nordeson (vib), Ingebrigt Håker Flaten (double-b), Paal Nilssen-Love (ds, per)
2003年8月12日、リズムセクションが共通の2つのクインテットのメンバーによる合体オクテット(内訳はオスロ3人、ストックホルム3人、シカゴ2人)はオスロジャズフェスティバルに登場、その絶賛されたパフォーマンスの勢いをそのままに、翌13日と14日にオスロ市内のノルウェー国営放送のスタジオで録音されたのがこの2枚組の大作。全9曲のマテリアルは8人のメンバーそれぞれ1曲ずつ(Fredrik Ljungkvist のみ2曲)の持ち寄りの全曲オリジナルで、まずはそれぞれに力のこもった作曲と、予想外なほどに丁寧に練られたアレンジが圧巻だ。大らかな Vandermark 、一方の Ljungkvist は Atomic よりも自身のリーダー作で見せるような余裕のある繊細なトーン、開放的なようでコントロールされたトーンの Bishop と、逆にコントロールしつつも開放的な Broo、クールで華やかなアクセントを加える Nordeson、スマートに自身の音をアンサンブルに織り込むことができる Wiik、もはやリズム楽器という域を越えた多彩なドラミングの Nilssen-Love、そして核になっているのが骨太でしなやかな Flaten のベース。メンバーはそれぞれに与えられた持ち場でそれぞれの持ち味を発揮している。60年代のアメリカのフリージャズを確実に現代の自分達の音楽として力強く表現するミュージシャン達の熱い意気込みが感じられる名録音だ。 (2004/06/08)

● ジャケットの写真では、地下室の壁一面にレコードがぎっしり並び、めちゃくちゃラフな服装のメンバーが演奏している。


The Music Of Norman Howard / School Days & The Thing presented by Mats Gustafsson (2002; Anagram Records; ANA LP 001)
Mats Gustafsson (as, ts), Ken Vandermark (cl, bcl, ts, bs), Jeb Bishop (tb), Kjell Nordeson (vib), Ingebrigt Håker Flaten (b), Paal Nilssen-Love (ds)
Flaten / Nilssen-Love のノルウェー人リズム隊が共通で、スウェーデンの Gustafsson とのトリオが The Thing、一方シカゴ組の Vandermark / Bishop にスウェーデンの Nordeson とのクインテットが School Days。このアルバムのA面は "The Thing" with guests、B面は "School Days" with Mats Gustafsson と丁寧に書かれているけれど、要は全てこの合計6人による演奏。2001年11月19日、スウェーデン・ストックホルムのレーベル Anagram Records の地下で行われたレコーディングで、Albert Ayler らと共演があるトランペッター Norman Howard の知られざる(オリジナルはカセットリリースしかないそうだ)作品にスポットを当てたもの。60年代的フリージャズの素材はこの両ユニットにはぴったりで、勝手に咆哮する管楽器、暴れるヴィブラフォン、斜めに傾いたまま安定性を拒絶し突進するリズム隊、と異様なテンションに包まれた演奏。両面にそれぞれ2曲ずつ計4曲、1曲のみ7分の曲がある他は10分を超える演奏は、オリジナルに基づくと思われる骨組みは残し、他はかなりフリー度の高い演奏でそれぞれの演奏も聞き応えがある。200gの超重量級アナログのみの750枚限定リリース。 (2004/06/06)

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