last updated: 27 July 2007
Starflowers / Sinikka Langeland (2007; ECM 1996)
Sinikka Langeland (vo, kantele), Arve Henriksen (tp), Trygve Seim (ts, ss), Anders Jormin ( double-b), Markku Ounaskari (per)
Sinikka Langeland のオリジナルアルバムとしては10作目で ECM への初録音。このクインテットにはその基となった、スウェーデンのノルウェー側の街イエテボリを拠点に活動するベーシスト Anders Jormin とフィンランド人ドラマー Markku Ounaskari とのトリオがあり、彼らはトラッド系ではなくジャズミュージシャンながら Sinikka Langeland のルーツによく合った人選だ。そこへ ECM のオーナーでプロデューサーである Manfred Eicher の提案で前作 "Runoja" に引き続き Arve Henriksen 、そしてさらに Trygve Seim が呼ばれるに及んですっかり ECM=北欧ジャズ色が強くなっている。本作に収録されている楽曲は、木こりを生業とし夜には「森」に関する詩を書いたという Hans Børli (1918-1989) の詩作(ノルウェー語)に Sinikka Langeland が音楽をつけたもの。テーマが異なるとはいえ、前作から比べると随分明るく爽やかで繊細な音像で、その変化には少し驚かされる。「ジャズ・ミュージシャン」たちがスリリングなインプロを展開する場面もあるが、トラッドやジャズ、それに Sinikka Langeland の音楽云々以前に、このアルバムは「非常に強くプロデュースされた ECM の作品」だ。(2007/07/27)
Runoja / Sinikka Langeland (2002; Heilo; HCD 7180)
Sinikka Langeland (vo, kantele), Bjørn Kjellemyr (b), Pål Thowsen (ds), Arve Henriksen (tp)
カンテレはフィンランドに源を持つ筝の一種。Sinikka Langeland (b. 1961) は、1600年代にフィンランドからノルウェーに渡ってきた人々が住んだ現在のノルウェーの東端、スウェーデン国境近くの「フィン(ランド)の森」という名の地 Finnskogen 出身のシンガー/カンテレ奏者で、自らもフィンランド人を母に、ノルウェー人を父に持つ。ここで扱われる音楽は、そのフィンランドからの移住者たちがもたらしたルーンの歌をベースにするもので、歌詞もノルウェー語系のものとフィンランド系のものが混ざっている。「ルーン」とはゲルマン系の言葉で「魔法」の意を持ち、Sinikka Langeland の歌も時として妖とした響きをみせる。ジャズ系の名手を揃えた演奏は、伝統音楽の要素を保持したまま、あまり馴染みのない音楽を聴きやすいものにしている。Sinikka Langeland は1994年以降コンスタントに作品を発表しており、通常のアルバムだけでもこれが通算9作目となる。 (2007/07/25)