europe 2006


2006-07-05 (wed)

日曜日以来の横になっての睡眠と明日のスケジュールを考え昼過ぎまで無理やり寝る。昼過ぎからもそもそと外出。ホテル近くのカフェの日替りのランチ、この日は日本で言うところの焼肉(ビーフ)にフライドポテトというややアメリカンなメニュー、それにコーヒー。大雑把ながらなかなか美味しい料理。食後はすかさず陽気なウェイターさんがデザートを勧めに来たのにのってしまい、クランベリーのパイがあるというのでそれを注文(ただし出てきたのはパイではなくタルトにジャムを塗ってこれ以上不可能なほどクランベリーを載せたもの)。カフェオレを加えて昼食デザートトータル 28ユーロ(4000円強)というのは物価高というよりユーロ高、もしくは食べすぎか。明日からはノルウェーだと思うと食べられる時に食べておかなければいけない。

カフェは美大の近くだそうで通りは右も左もギャラリー。結構手ごろな値段の絵やポスターが多く、1つお土産に欲しいものがあったが、この先の旅程を考え自粛。

7月の最初の週はどこもバーゲン。ギャラリーの後は玉石混合の St. Germain des Prés 周辺のセールへ。ギャラリー以上に欲しい物は多いが、かさばるものや壊れ物を買うと後が大変なので買い物は最小限。日本にも輸入されている有名なチョコレート屋の本店もあるがこちらもパス。とあるブティックでは店内の商品がほぼ半額。ただし昨今のユーロ高、値札についている価格を慎重に×150で円換算したらかなり高い。これが値引き前だったら実際は半額でまあまあだが、値引き後でこれなら高すぎる。恐る恐る店員さんに聞くと、ここから半額になるとのこと、ちょっと安心して買い物。昨日の夜のコンサート会場があまりに寒かったので長袖Tシャツとカーディガンを購入。

帰り道、路上の果物屋を覗いてみたら不思議な果物を売っている。一瞬出来損ないかと思ったがどうもそういう物らしい。直径は普通の桃と同じくらいで、高さが3センチくらいしかない偏平な桃。名前は "pêche plate"、「平たい桃」。あまりにそのままの名前に心の中で突っ込みを入れつつ、他の果物に加えて1個買ってみる。食べてみると日本の白桃のようで非常に美味。しかも平たいので食べやすい。写真を撮る前にかぶりついたことをかなり後悔。

今朝起きて、ホテルの部屋のテーブルに「ワイヤレスのインターネットサービスはホテルフロントまでお問い合わせ下さい」、と書いた紙が置かれていることに気づいたので、受付のお姉さんに聞いてみる。IDとパスワードの書かれた紙をもらうが、いまいち何のログインなのかよくわからない。わからないんですけど、と再びフロントのお姉さんに聞いてみると、同僚だというお兄さん(この小さいホテルは若いお姉さんとお兄さん、それに夜間担当のおじさんの3交代制らしい)に電話をつないでくれ、フランス人と電話を介して英語でインターネットの話をするはめに。結局よくわからず、それでも丁寧なお礼を行ってあきらめる。ついでに明日の朝のタクシーの予約。4時半に、というと件のお姉さん一瞬絶句。飛行機が7時なので、と付け加えると納得した顔をしたので、早すぎることはないらしい。


Acoustic Masada
@ Téâtret du Châtelet / Festival Bleu Sur Scène, 20:00

w/ John Zorn (as), Dave Douglas (tp), Greg Cohen (b), Joey Baron (ds)

Festival Bleu Sur Scène 2日目。このコンサートのチケットは30ユーロ(約4400円)。席はやはり今日も2階席。昨日とはかなり客層が異なり、若い人、ラフな格好の人が多い。2階席からぐるりと見渡した限りでは日本人と思しき人もちらほら。

広いステージの中央に集まるように4人のメンバー。楽曲は独特の雰囲気を持ったもので、それを表現する演奏はそれぞれのメンバーの非常に高い技術をベースにした緊張感の途切れないものだったが、ステージ上はなかなか和やかな雰囲気で会場が和む場面もしばしば。個人的にとても楽しみにしていた Dave Douglas は、素晴らしいトーンの持ち主だったが、今回はやや控えめな感も。ソロの見せ方は John Zorn や Joey Baron の方が派手だった。観客の盛り上がりもかなりのもので、アンコールを求める拍手や歓声、足踏みが止まない。2度目に出てきた時に「今のところ1−0でフランスが勝ってます!」などと言ったものでまた盛り上がり。


40分ほど時間があったので散歩がてらシテ島を南へ横切り、ノートルダム寺院のほうへ行ってみると、遠くから歓声が聞こえてくる。さらに橋を渡り6区のあたりまで来るとカフェやバーに凄い人が集まり、大画面に映し出されるワールドカップの中継に熱狂している。画面はもはや見えないような混雑ぶりだが声を聞いているだけで試合の経過は十分に分かる。8年前、フランス大会でイギリスがアルゼンチンと戦ったあの試合の日、私はロンドンにいたが、あの日はむしろ人通りは少なく、各家庭の窓から一斉に歓声が聞こえてきたのを思い出す。


Jon Balke & Arve Henriksen
@ Téâtret du Châtelet / Festival Bleu Sur Scène, 22:30

w/ Jon Balke (p), Arve Henriksen (tp)

単独のチケットは15ユーロ(約2200円)、先のコンサートとセットだと8ユーロというのは昨日から同じ。観客は60人ほどで、思ったより少ない。もちろんワールドカップのせいではないと思う。

ステージには Jon Balke だけが現れ、ソロピアノで演奏は始まる。やがてどこからともなくあのトランペットが聞こえてくる。昨日同様観客席に背を向けてピアノのほうを向いていた観客の背後、観客席を横切って Arve Henriksen が演奏しながら登場。Jon Balke は強弱を非常に強くつけたピアノから、立ち上がって弦を手で弾いたり、プリペアドにしたり、ベルやタンバリンを叩いたり、一方の Arve Henriksen はトランペットの音色を様々に変化させながらボーカルも交える。マイクスタンドは合計4本、Arve Henriksen にはトランペット用に2種類とボーカルに1本、Jon Balke のサイドには逆回転ループ(かなり時間差があるディレイ)のかかったマイクがあり、その音が Arve Henriksen の側から出てくるという凝った音響。途中、小さな扇風機のようなものをステージ上の小さな机の上に載せ、その振動をノイズのように使ったり、それをまたタンバリンの中に入れてみたり、と意外に実験的な演出も。

これまで Arve Henriksen のライブはたくさん見てきたが、この日の演奏はベストなものの1つと言えると思う。40分位の完全即興が2本のセットで、その構成には多少試行錯誤がみられたが、お互い相手に全く不足はなし、しかもこれまで多く共演しており、じっくりと時間をかけて即興演奏を組み立てていく…というと難しそうだが、Arve Henrksen らしいユーモアも満載で、観客に「共演」させ、音楽に引き込んでしまっていた。ただ、先のコンサートとは一転、この演奏を見に来たお客さんはやや大人しめで乗り切らなかったのでほんの少し足を引っ張られた感じはする。


終演後はミュージシャンや関係者としばし立ち話。会場の外は既にフランスの勝利に酔いしれる人々の大騒ぎが始まっており、立ち話すらままならない。明日は Jon Balke も Arve Henriksen も私も移動先は同じで乗る飛行機も同じ。じゃあ明日また空港で、と言って別れ、昨日と同じようにメトロの駅まで行ったけれど、様子がおかしい。ホームには人が溢れている。やがて電車は来ないというアナウンスが流れ、人々は大して文句も言わずに地上へ出て行く。どうやらこの騒動で地下鉄は動かなくなってしまい(どうやら2時間は来ないとのこと)、タクシーは見つからず、町中にハコ乗りでクラクションを鳴らして走る車が溢れ、そこここで歓声が上がりそれはもう大変な騒ぎ。

こうなると歩いて戻るしか方法はない。ホテルは、コンサートの会場から最悪の場合は歩いて帰ることが出来る場所という条件で選んだものだったが、まさか本当に深夜に歩いて帰ることになるとは。地図も持たずに出てきたが、ルーブル美術館の真ん中を突っ切り、セーヌ川を渡り、方向音痴の私にしては上出来なくらいまっすぐホテルへたどり着く。所要約40分。

ホテルには冷房がなく、窓を開ける。外からは3時になっても歓声やクラクションが聞こえてくる。


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