lives 2001

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2001-10-27 大阪厚生年金会館大ホール

David Sylvian - Everything and Nothing Japan Tour 2001
David Sylvian (vo, g)
Steve Jansen (per, ds, electronics)
Matt Cooper (key)
Timothy Young (g)
Keith Lowe (el-b, ac-b)

9月からの短めのヨーロッパツアーに続くジャパン・ツアーの最終日。短めのワールドツアーの最終日でもある。ほぼ定刻に登場した David Sylvian は黒ずくめの服、風貌が変わったとか老けたとか聞いていたが、思ったほど変わってない。少なくとも前回観た Sylvian & Fripp の時(6〜7年前?)からはそんなにイメージは変わっていない。ちょっと痩せたかな、という程度。

今回の来日メンバーには噂どおり、Steve Jansen がいた。彼を生で観るのは初めてだ。先月(2001年9月)に発売された JBK - Jansen / Barbieri / Karn のライブ盤を聴いて、真っ先に思ったのが、 Steve Jansen のドラムの音がいつもの音と違う、ということだった。彼のドラムといえば、ぺたぺたした音(好きなんだけど)、という印象が強かったのに、なんだか、妙に切り込んでくる強い音だ。そんなわけで注目していたドラムの音、出てきた音はやっぱりかなり強い音だった。スティックでカウントを取る音でわかるのだが、随分音を触っている、というかカーンと長めに響く。全体を通して、Steve Jansen、かなり目立っていた。まあ David Sylvian しか見てない人がほとんどだろうけど。

さて、David Sylvian の一番最近のアルバム、 "Everything and Nothing" は「おいしい」アルバムだった。言ってみればベストアルバムだが、適切にニューレコーディング・バージョンを織り交ぜ、彼が参加した他のミュージシャンの作品の曲まで入っていた。今回のツアーはそのアルバムと同じタイトルが付けられていて、ステージもアルバムトップの "The Scent of Magnolia" でスタート。スタジオアルバムでは最新となる "Dead Bees on the Cake" からの曲がやや多めだったが、以下もの凄いヒット(とは言わないかもしれないが)パレードだった。ソロアルバムからはもちろん、Sylvian & Fripp、Rain Tree Crow、坂本龍一とのコラボレーションの "Heatbeat" 、一番驚いたのは同じく坂本龍一がらみの "Forbidden Colours" (『戦場のメリークリスマス』のあの有名な曲のボーカルバージョン)!この曲を生で聴くことになるとは思わなかった。David Sylvian は、歌っている時はともかく、曲の間なんてとてもにこやか、穏やかな雰囲気で、次々に耳慣れた曲を歌っていく。信じがたいようなセットリストを、「今」の彼が歌うというもので、2時間が恐ろしく短く感じた。MC は2度ほど曲の紹介をした他はほとんどなかったが、Thank you. というのは何度も口にした。ステージで歌っている David Sylvian の穏やかなのが本当に印象的だ。何か吹っ切れたような伸びやかさだ。低めから特徴のある高音まで、声も素晴らしい。

David Sylvian は立ってマイクを持って歌ったり、座ったり、また座ってギターを弾いたり。バックで目立っていた Steve Jansen はエレクトロニクス関係(パワーブックがセットされていた)までこなし大忙し。エレクトリックなパーカッション類も効果的だった。Steve Jansen のパフォーマンスで、ライブ全体がとてもアクティブに感じられた。ヴィジュアル的に目立っていたのは爆発(?)頭にサングラスのキーボード奏者。なかなか大げさなアクションを見せる人で、ちょっと笑えるくらいなのだが、彼のちょっとジャジーなソロはなかなかよかった。キーボード奏者の人選はある意味 Sting のそれと似ている、と感じた。ギタリストはなかなかの実力者のようだが、ソロ以外はかなり地味目か。ベースもかなり地味だったが、この人は フレットレス5弦、フレッテット、それにアコースティックベースもこなしていた、というよりセットの後半はかなりアコースティックベースが多かったのがちょっとした驚きだった。

さて、アンコール、かなり気合の入った拍手に迎えられて登場して演奏したのはほとんど完全にジャズ、アコースティックベースによるソロまで入った1曲。Japan の "Nightporter"。実は私は Japan のアルバムは1枚も知らない(すいません)。Japan の曲だとわかったのは、お客さんの反応から。この曲が終わったあたりから場内総立ちの拍手。アンコールは結局3回、まあ、ほとんど準備されていたアンコールだったはずだが、それでも、満場の拍手に迎えられて嬉しそうに登場し、自らお客さんに向かって拍手をする David Sylvian を見るとついつい拍手にも力が入ってしまう。

小さなハプニングが起こったのは3回目のアンコールに出てきた時だった。場内後ろの方から "David, I love you !!" という声が複数飛び出した(男性の声もあり・・・)。この歓声にまたどっと沸いた場内がやっと静かになったときに、David Sylvian が微笑んで "I love you, too." 。David Sylvian があの声で言うのである。会場が一瞬異様な雰囲気になったのは言うまでもない。

今回、新曲とおぼしき曲を数曲披露していた。これまでの曲とは全く違う、ちょっと凝ったリズムの、明るい、余裕を感じるような、開放的ですらある曲だった。きっとあのベストアルバムで一区切りつけた、ということだろう。吹っ切れたような雰囲気だった David Sylvian がとにかく印象的だった。見ているこっちの幸せ度もちょっと上がったような気がした。 (2001/10/29)


2001-10-12 心斎橋クラブクアトロ(大阪)

Sigur Rós
Jón "Jonsi" Birgisson (vo, g)
Georg Hólm (b)
Kjartan Sveinsson (key, g)
Orri Dýrason (ds)

Sigur Rós はアイスランドのグループ。一応ロックグループ、とされている。グループ名は "victory rose"の意味、日本では普通「シガー・ロス」と言われているがこれはかなり違う(ありがち)。あまり自信がないので本当は書きたくないが「シーグル・ロゥス」の方が近いはず。普段ロック系の情報を収集していないので、彼らがどれ位日本で認知されているのか全く知らず。しかもこのグループの出世作・最新作・名作 "Ágætis byrjun" (="good beginning"、「あぅがいてぃす・べりゅん」てな感じになるはずだがこれも表記が・・・)は来日1週間前になってやっと国内盤が出ることに(それでも快挙だと思う)。

会場はオールスタンディングのライブハウス、行ってみると予想以上に人が入っていて驚いた。
ほぼ定刻に4人のメンバー登場。メンバー全員20代前半だそうだが、見るからに若い。ステージ中央、ボーカル/ギターの Jonsi は(以下アイスランド風にファーストネーム(ニックネーム)のみ)ギブソン・レスポールをだらっと低めに抱えている。久しぶりにそういう系統のライブだなぁ、と思ったがこれは後で修正。ステージ右、ベースの Georg は主としてフェンダーのエレクトリックベースを使用。結構途中で持ち替えていた。キーボードの Kjarten は私がいた右側からはとても見にくいところにいたのだが、かなり機材は多い、と感じた。ステージ右奥にはドラムセット。1曲目、ドラマーの Orri が出てこないのでどうしたのかと思ったら、椅子持参でキーボードを弾いていた。

彼らの音楽に関しては変な形容詞をつけたくない、とずっと思っている。誰それ風とか言いたくないし、言えるような音でもない。歌はアイスランド語。で時にはアイスランド語と英語をミックスした "Hopelandic" なる造語で歌われていたりして、全くお手上げ状態。それを歌う Jonsi の歌、何も知らずに聴くと女性の声と思うような、ファルセットボイス。アルバムで聴くよりさらに説得力のある歌には本当に驚いた。歌っている時の、何かを思いつめたような、感情を込めているような表情を見ていると、本当に何を歌っているか知りたいと思う(国内盤にも訳はついていない)が、彼らは歌詞を伝えることにそんなに重きをおいていないという。このグループの音でもう一つ特徴的なのが、その Jonsi の弾くギターの音。ほとんどの曲で、レスポールをヴァイオリンの弓を使って弾く。どういうエフェクターを通しているのか判らないが、オーロラを音にしたような、あのたまらなく北を想わせるぎょおおおおおおんとした不思議な音はこのギターから出ている。ついでに、シングル曲でもある名曲 "Svefn-g-englar" ではいきなりギターを顔の前に持ち上げ、ピックアップに向かって歌うという荒業まで登場。これがちょっと歪んで遠くから聴こえるようで、効果的。視覚的にはびっくりしたが。
彼らの曲はゆっくりしたものが多く、例えば一小節に1つしかベースが鳴らないようなタイプのものまである。ギターは弓を使うから音が伸びるのだが、ベースもなにやら小さい電動ピック(小型のシェーバーみたいなものか)でぶいいいいいんと音を伸ばしたりしていた。ベーシストの Georg はベースの他、キーボード(低音担当)や、チェレスタまで演奏。ギターも弾くキーボードの Kjartan はどちらかというとグループのサウンドを支えるといった感じのイメージだが、"Olsen Olsen" ではアルバム同様、フルートのソロを披露。ドラムは、セットは普通、ちょっとスネアの音を伸ばしていたように感じた。パワフルなパートになるとちょっと突込み気味になるのだが、これは計算づくなんだか癖なんだかわからず。ベースの Georg が冷静に合わせていたのが印象に残った。音で一つだけ残念だったのがベース(とキーボードから出していた低音)のある音域の音がドラムセットと共鳴していたこと。圧倒的なパフォーマンスの中ではきっと取るに足らないことだとは思うが。

曲はアルバム "Ágætis byrjun" からのものもあったが、新曲が中心のようだ。ポップ/ロック系としては異色な程長いイントロ、インストパートも長い、曲も長い、摩訶不思議な言葉を歌うこれまた不思議な声、美しいメロディーと力強さをたたえた、スペイシーでとてもユニークな曲。ライブではこれに浸るように聴く(早い話がトリップ状態)。さすがにここは日本で観客も大人しめ、噂に聞いていた「わからないはずの歌詞をなぜか一緒に歌ってしまう」観客こそ出てこなかったが、皆音楽に飲み込まれてしまっている。

最初のうちはどこかでMCを入れるかと思ったが、途中で、ああこの人たちは本当に音楽だけで伝えるのだ、となんとなく気づかされた。というわけでMCもありがとうの一言も全くなし。セットの最後の曲は途中から段々ヘビーになってくる曲、最後には凄まじい迫力でボルテージを上げてそこで終了。メンバーは楽器をそこに無造作に置いたかと思ったらさっと退場。鳴り続ける音。ステージは暗くなる。スタッフがギターとベースの鳴り続ける音を小さくして、音は消えてしまった。鳴り止まないのは拍手。ちょっと明るくなってメンバーが再び登場。4人で拍手に応える。歌っている時と全く違う Jonsi の表情が印象的だ。退場。ステージが暗くなる。またしばらくして明るくなり、メンバーは登場したが、アンコールはやらないらしい。で、今度は本当に終わってしまった。2時間、本当に純粋に音楽だけだった。そういうグループ。 (2001/10/14)


2001-9-14 クラブメトロ (京都)

Still Echo Special
Carl Stone + 大友良英
Merzbow a.k.a. 秋田昌美
半野喜弘
Russel Haswell + Hecker
Cosmos (Sachiko M. + 吉田アミ)
Bus Ratch

オールスタンディング。8時開場、8時半開演で上記のような顔ぶれ。一体何時に終わるのか、というのが最初から一番気がかりだったが、開場も遅れ、開演もほとんど9時になってしまった。

>> Bus Ratch
女性1人を含む3人組ターンテーブル系ユニット。こういってはなんだが、私はターンテーブル系は苦手だ(すいません)。ターンテーブルの上に何が載ってようと。

>>Cosmos (Sachiko M. + 吉田アミ)
サインウェイブを操る(というのか) Sachiko M. と ハウリングヴォイス・オリジネーター(とかいうらしい)吉田アミの女性2人のユニット。吉田アミのほうはマイクを握り締め、声にならない声というか、声にならない叫びみたいな音声を発していて、隣の Sachiko M. は 聴き取れるのかどうかというような音波を発する。異様に静かな観客(静かにしないと聴こえないから、という以上のものだった)。

>>半野喜弘
ここから持ち時間が急に長くなる。個人的にこの日の一番のお目当て。半野喜弘の名前の横に multiphonic ensemble と書き添えてあった。近作 "April" とそのリミックス "April Remixies" (両方名作!)のそのままの世界、というより音源も 随分 "April" のものを使っていた。パワーブック1台から出てくるのは女性ボーカル、ストリングスによる演奏、映画のセリフからとったようなフランス語の会話、ピアノ、そして電子音。電子音楽というより音(楽)のコラージュ。本当に美しい。半野喜弘自身はわりとりラックスした雰囲気で、タバコを吸ったり、水を飲んだりしながらのステージだった。

>>Carl Stone + 大友良英 Duo
まずは大友良英のターンテーブルによるソロ・パフォーマンス。凄い迫力のパフォーマンス。音も視覚的にも。観客もステージににじりより、伸び上がって見るので私のところからは手元がほとんど見えないが。次は Carl Stone のソロ。最初はテープかディスクの回転数をいじったような音―つまり速度が上がって、音程が上がる短いフレーズの繰り返し。ところで、この系統の音楽、というのは不思議と最初のわずかな音で好きかそうでないかはっきり判るようだ。どうも Carl Stone は私向きではないらしい。オールスタンディングなのに真中あたりの記憶がトンでいる。そして最後は長めに2人のデュオ。苦手なターンテーブルと好みでない電子音楽の取り合わせだが、さすがにこれは面白い、と感じた。Carl Stone のほうはソロでは使わなかった種類の効果音的な広がりのあるサンプリングも使用。ターンテーブルの大友良英のほうは、Carl Stone の作り出す音を聴きながら、直感的に音をぶつけていく。

>>Merzbow
先のデュオが終わった段階で既に12時半。どうにでもなれの心境だが、体が持たない。しかも12時半からずっとDJ(音響系のDJでそれそのものはかなりよかった)が流している。1時間後、Merzbow こと秋田昌美が客をかき分け登場(オールスタンディング、満員の客の間を通らないとステージにあがれない素敵な構造)。ノルウェーで Merzbow は観ているが、その時は Jazzkammer というユニットとのコラボレーション、今回はどうだろう・・・と考える余地もないような轟音。とりあえずあの音が全く不快でないのはとても不思議だ。音量はあの時は耳栓なしでは到底聴けないような異様な音量だったが、今回は耳栓なしでとりあえず大丈夫な常識的な音量。終盤キレて踊る、というより暴れた人がいた。まあまあな音量、と思ったが、終わった瞬間間違いだったことに気づいた。

>>Hecker + Russel Haswell
ウィーンのレーベル Mego の2人。Hecker こと Florian Hecker はドイツ人、Russel Haswell はイギリス人。これも個人的なこの日のお目当て。Hecker はステージが始まる前から目をひいた。Merzbow のステージの最中にステージ横まで来てスタンバイしてるのはいいのだが、あちらこちらデジカメで写真を撮りまくり。果てにはステージの 秋田昌美の後ろから、秋田昌美+観客の写真まで撮っていた。面白そうな人だ。さてステージは2人のデュオ。これが予想以上に面白かった。電子おもちゃ箱(?)をひっくり返したような、次の瞬間何が出てくるかわからない、カラフルな音。ビートというかリズムはあるのだが、それは決して長続きしないですぐに次のリズムへ、次の音へと変わっていってしまう。この日のステージが始まってからゆうに6時間以上経っているのに、この2人の音の面白さはそれを忘れさせるほど強力だった。もちろん、私好みだった、ということなのだが。

とりあえず全てのパフォーマンスが終わったところで会場を後にした(3時半だった)が、後で知ったところによると朝5時頃終了予定だったらしいので、あの後もDJによる音は流れ続けたのだろうか。それにしても体力がいるライブ、それに私にとってはかなり異種なライブだった。それから―この種の音楽にとって、ライブというのは思ったより大きい意味合いを持つのかもしれない、と思った(当たり前なのだろうけれど)。 (2001/09/17)


2001-7-21 Herr Nilsen, Oslo, Norway

Petter Wettre
Petter Wettre (ts)
Håvard Wiik (p)
Eyvind Opsvik (b)
Thomas Strønen (ds)

この週に開催中だったモルデのジャズフェスティバル。そこで、週末はオスロに行くという話をしていたら、週末はオスロで何かあったっけ、確か Petter Wettre が Herr Nilsen で演るはず・・・調べてみるよ、という事になり、親切にわざわざ調べてくれた人、それをまた連絡してくれた人がいて、オスロでこのコンサートを観ることができた。

Petter Wettre が出るということと、クラブの場所だけ聞いていたので、他のメンバーは誰なのか、それよりも何時から始まるのかが分からないので事前に一度偵察に行ってみた。なんとこの日のライブは夜の11時から。

一応余裕を持ったつもりで夜10時45分くらいに行ってみると、なんともう始まっている。どうも10時半スタートだった(じゃあなんで11時から、って張り出してあったんだろう?)らしく、入り口のお兄さんに聞いたらこの曲が2曲目、とのこと。まあいいや、と入り口近くに席を取る。この Herr Nilsen というジャズクラブ、地元では結構有名なところ。場所はオスロ中心部の三叉路というか四叉路というか、とにかくその角にあり、しかも1階、入り口開けっ放し、また基本的に飲むところで、ふらりと来る人も多く、やたら出入りが激しい。中は「く」の字型に曲がっていて、丁度角その曲がっている角にステージがある。こじんまりした気楽なジャズクラブで、ちょっと安心。

さて、気になっていたメンバーだが、この週はモルデでフェスティバルがあり、またノルウェー外でもあちこちでジャズフェスティバルがあった週なので、オスロにいるミュージシャンは通常よりとても少ない。最近の Petter Wettre Trio の他の2人もそれぞれ別のフェスティバルに出ているはずなので、この日は誰が?と思っていたが、それなりになかなかの顔ぶれ。ピアノの Håvard Wiik は Petter Wettre の初リーダー作 "Pig Virus" でもピアノを弾いていた人、他には Element (また紹介予定)というグループでの活動で知られ、最近では Atomicというグループのメンバー、この Atomic は Jazzland から 1stアルバムを出す、らしい。ベースの Eyvind Opsvik、録音、ライブを問わずこの日初めて音を聴くことになったベーシスト、とりあえず名前は "Eivind" と綴ったはずだが、別人だろうか、いやそんなことはないだろう・・・と答えは出ずだが、Eivind Opsvik という名前は The Quintet (これバンド名)のメンバー、として名前を見たことがあるだけ。ドラムの Thomas Strønen はこの日のメンバーの中でも特にライブで観てみたかった人。日本でも ACT レーベルから出ている Maria Kannegaard Trio "Breaking The Surface" での演奏でちょっとは聴かれているかもしれない。そして Petter Wettre。会場に入ってまず、この人っていくつだっけ?と思ったのだが、風格があるのか何なのか、とにかく実際よりも年が上に見えた(失礼)。

演奏は、ピアノの入ったカルテットの演奏、しかもそのピアノが Håvard Wiik だということで、Petter Wettre の1996年の初リーダー作 "Pig Virus" の路線。軽快なリズムに自由にサックスを乗せる最近のトリオの路線と異なり、非常にオーソドックスな4ピースの演奏。この日 Petter Wettre はテナー1本のみ。アルバムでも聴かれる、息の長いフレーズを軽やかに吹くスタイル。この日は他のメンバーのソロも結構長めで、演奏していない時、この狭い会場では脇へ引っ込むわけにもいかず、ステージ前でかがんでいたりする。 Håvard Wiik のピアノの音は、アルバムの通り、その響きが美しい。鍵盤の上を転がすような感じでとつとつと弾く、といった印象。Petter Wettre とはさすがに長い付き合い、というのを時々感じさせるコンビネーション。Eyvind Opsvik のベースは少し音が柔らかすぎるように感じられた。ちょうど私のところからは足元が見えなかったのでどういうセッティングなのか分からなかったので、その音がセットのせいなのか、演奏のせいなのかは全く分からない。ただ、ソロのフレージングには結構面白いアイディアのある人。尚、この人の年齢は分からないのだが、恐らくこの日最年少、本当に若く見えた。ドラムの Thomas Strønen に関してのみ、アルバムで受けた印象と随分異なった。アルバムでは重たくないのに沈み込むような音で随分個性的な音の持ち主、という印象だった。でこの日はベースがいつもよくコンビを組む Mats Eilertsen ではないからか、またリーダーが Petter Wettre だからなのか、沈み込むという印象はなく、グループの演奏をテンポよく走らせるドラミングだった。

演奏は1時間ほどしたところ(12時前!)に一時休憩。それにしても客席、特にカウンター周辺は騒々しい。演奏そっちのけでおしゃべり。もともと飲みに来ているわけで、そこでたまたま演奏している、という感じなんだろうか。ところで途中でちょっと手持ち無沙汰になったのでビールを頼んでみた。「ビールを」とだけ言ったら「45」と言われて仰天。45クローネ、600円を超える計算。噂には聞いていたが・・・と思うと、出てきたビールでまたビックリ。黙っていたら半リッターのジョッキが登場。つまみもなしにこれを飲んでいたら、演奏なんてどうでもよくなりそうだ。

休憩後、といっても単にその辺をうろうろしていたメンバーが再び狭いステージにやってきて、やっとのことで楽器の後ろに体をねじ込み、という感じで後半が始まる。騒々しいカウンター周辺もさることながら、他の一見静かにしているお客さんもなかなかにシビアな観客だ。盛り上がりに欠けると各楽器のソロが終わっても拍手はまばら。聴いてないのかと思いきや、演奏がホットになるとちゃんと歓声や拍手が起こる。この日一番の喝采を受けたのは、ある曲の途中で登場した Petter Wettre と ドラムの Thomas Strønen のデュオ部分だった。やはり Petter Wettre のサックスは和声楽器がない編成の方がいい。このデュオ、よくある掛け合いではなく、どちらも即興演奏をしつづけるというもので、なかなかのテンションでフレーズを吹く Petter Wettre、それに平然と叩きつづける Thomas Strønen のスリリングな演奏はこの日のハイライトだった。

全体的には緊張感がちょっと希薄(会場がそういうところだから、というのもあるが)だったが、入場料100クローネ(約1400円) の価値はもちろん十分にある演奏だった。終わったのは夜中の1時。このあたりのミュージシャンの演奏が本当に日常的に見れるのは遠い国のファンにはちょっとうらやましい限りだった。 (2001/08/27)


>> The 41st Molde International Jazz Festival --- July 2001, at Molde, Norway


2001-6-27 いたみホール

Kronos Quartet
David Harrington (vln)
John Sherba (vln)
Hank Dutt (vla)
Jennifer Culp (cel)
1st set: 1. Pannonia Boundless (Aleksandra Vrebalov), 2. Tonight Is The Night (Rahul Dev Burman), 3. Responso (Aribal Troilo), 4. Cortejo Funebre en el Monte Diablo, Movement II from Requem for Adam (Terry Riley), 5. Oasis (Franghis Ali-Zadeh), 6. Rerquem for a Dream Suite (Clint Mansell)
2nd set: Quartet No. 4 (Peteris Vasks)
encore: 1. Tabu (Margarita Lecuona), 2. Doina (Osvald Golijov)

このコンサートに関して思うのは、宣伝不足だったのでは、ということだ。私がこのコンサートを知った時にはチケットの発売日(一応クラシック系らしく、やたらとチケット前売り開始が早かった)から数ヶ月がたっていた。その割にはいい席が取れたので逆に心配になっていたが、案の定、客席は半分位しか埋まっていない。関西でのKronos Quartetの公演は珍しいので、とても勿体無いと思う。
ステージの上に一段高い台がセットされていて、その上で4人が演奏する。椅子も黒い布で覆われていて、照明もシンプル。登場した4人は堅苦しくない服装。紅一点のJennifer Culpのスカートが派手で目を引く。
セットは最近のアルバム"Kronos Caravan"、それにサウンドトラック"Requiem For A Dream"からの曲、それに日本初演の「弦楽四重奏曲第4番」(Peteris Vasks)。世界中の作曲家の作品を取り上げていて、それは(順に)ユーゴスラヴィア、インド、アルゼンチン、アメリカ、アゼルバイジャン、イギリス、ラトヴィア、キューバ、アルゼンチンと全く多種多様。
カルテットのみの演奏はもちろんあるが、あらかじめ録音された音を使う、というのは最初はとても違和感を感じた。ジャズでもクラシックでもあまり使わない手段だと思ったからだ。しかし、その録音された音を入れることによって、表現が広がることは確かで、特にTerry Rileyの曲ではノイズ系の大音響がなければ曲は成り立たない。あくまでも手段としてみるなら面白いのかもしれない。
今回のセットで個人的に非常に印象に残ったのは"Oasis"(Franghis Ali-Zadeh)。水が滴る音に各楽器がピッチカートで徐々に音を付けていき、やがてそれはメロディーになり、ハーモニーになるのだが、恵みの水が見事に表現された曲だ。視覚的にも、前半部分は常に誰かがピッチカートで雨だれの音を出していて、それが次に誰にバトンタッチされるのかは聴き手にはわからなくて面白い。
Kronos Quartetの音楽はジャンル分け不可能、不要な音楽だ。ジャズ的なサイドから見ると、この細かい、しかも聴いた限りでは自由に聴こえる構成がスコアになっている、というのはある意味驚きでもある。
(2001/07/02)


2001-6-21 大阪ブルーノート

The Chick Corea New Trio
Chick Corea (p)
Avishai Cohen (ac-b)
Jeff Ballard (ds)
set: 1. On Green Dolphin Street; 2. Summer Night; 3.Fingerprints; 4. (すいませんタイトルわからず。バラードだった) Nostalgia* 5. Rhumba Flamenco // encore: ???

最近大阪ブルーノートの来日ジャズ系のお客さんの入りがイマイチなことが多いのだが、この日は昨年8月のソロコンサートの時よりも圧倒的にお客さんの入りがいい。こんなにお客さんが入るのは久しぶりに見た。7時開演なのに6時50分を過ぎてもJeff Ballardが会場後方のバーで談笑しながら何かかじっている。リラックスムード。
ほぼ定刻どおりに登場した3人、始まる前からのリラックスムードのまま演奏に突入。1曲目と2曲目はChick Coreaが「Miles Davisのところでやってた曲」と紹介した"On Green Dolphin Street"、"Summer Night"。最初からとばすとばす。
それぞれのメンバーの印象を。ベースのAvishai Cohen。個人的にこの日一番注目していた人。1曲めの出だしの音が音響的にイマイチだったがすぐに解消。それにしてもすごいベーシスト。この日の3曲目はニューアルバムから"Fingerprints"だったが、アルバムでも聴かれるこの速い曲のChick Coreaの速いフレーズとユニゾンするベースがすごい。ライブでも感じたのはソロもいいが、むしろバッキングのフレーズ(バカ速かったりするのだが)に凄みを感じる、ということだ。しかし、もっと印象に残ったのはこの人のキャラクターだ。陽気なChick Coreaのお株を奪うようなパフォーマンス振り---頭は振る、ニコニコする、突然舌をべぇーっと出してみたり---とまあ、こんな楽しい人だとは思わなかった。(ドラマーにこういうキャラクターの人が多いが。)一方のJeff Ballardはあの風貌で、陽気なあとの2人とは対照的に叩いているときはあさっての方向を向いているし、ソロの時は宙の1点を凝視して叩きまくり、迫力。この人はかなり手数が多く、重さよりも軽快なスピード感があるタイプで、その速さには圧倒される。選曲がまたアップテンポな曲が多く、この人の持ち味が十分に活きていたと思う。そしてChick Corea。(私が普段からリズムセクションを重視して聴いているタイプのリスナーであることは含みおき頂くとして、)この日は大分ラクをしたな、という印象だ。この日は6月7日から始まったジャパン・ツアーの最終日だし、この気候だし、というのもあるかもしれない。がこのメンバーだし、というのが大きいはずだ。若い才能ある2人に演奏させておいて、ピアノはちょっとお休み、鳴り物を叩いてみたりするシーンが多かった。しかしリラックスしたムードでのあの軽快なタッチのピアノはなかなかよかった。
短めのバラードを1曲挟んでセットリストの最後は南方系リズムの"Rhumb Flamenco"。この曲の始まる直前にChick CoreaがAvishai Cohenのところへ行ってなにやら話して、この曲はベースソロで始まった。どうやら予定外のことだったらしい。Chick Coreaも復活してこの曲の演奏がまともに行われた後の展開には驚いた。またもやChick Coreaが鳴り物を叩き出したのはまあ、また、という感じなのだが、ついにAvishai Cohenまでスティックに鈴状のものをつけたのを振り回しだす。あれあれと思っているうちにベースを寝かせてしまい、観客に手拍子までさせて(煽ったのはAvishai Cohenだった)お祭り状態。要はドラムソロなんだが、もう観客を巻き込むといった感じだ。やっとのことで再びトリオの演奏に戻って終わる。
・・・ここまでは完璧だった。問題はアンコール。満員のお客さんを5つのグループに分けて合唱させる、というのとChick Coreaが弾くピアノのフレーズを繰り返して歌わせる、というのの2本立てで、その間にピアノの演奏を挟む、という趣向のものなのだが、実は前回、2000年8月の同じ大阪ブルーノートでのコンサートでもこれをやっているのだ。この日のお客さんがやたらノリがよく、このアイディアもかなりウケていたが、前回見た人はいなかったんだろうか。この趣向、2回目はキツい。救われたのは(繰り返しになるが)お客さんがノリがよかった(前回はシラケ気味だった)のと、横から煽るAvishai Cohenのキャラクターだ。Avishai Cohenはこの曲でChick Coreaの左側にまわって連弾までやってくれたし。しかし、個人的にはせっかくこれほどのメンバーを連れてきているんだから、ちゃんと演奏してほしかった。それ以外がとてもよかったコンサートだっただけに残念。
(2001/06/24)

* 4曲目のバラードはアルバム"Past, Present & Futures"から"Nostalgia"だとのご指摘を頂きました。Ikkohさんありがとうございます。 (2001/06/25)


200-05-28 大阪ブルーノート

Brad Mehldau Trio
Brad Mehldau (p)
Larry Grenadier (b)
Jorge Rossy (ds)

前回Brad Mehldau Trioを観たのは2000年1月22日、ブルーノート東京だった。印象に残ったのは大阪ブルーノートとの雰囲気の違い、料理の違い、客の入り方の違い、それに演奏の出来・不出来とは別にあまり盛り上がらなかった雰囲気だ。盛り上がらなかった、と感じた原因は東京と大阪の違いかなどといろいろフォローもしてみたが、結局静かな曲ばかりの選曲だったように思う。
さて今回はめでたく大阪ブルーノート。コーヒーカップを持ってBrad Mehldauが登場する。前回は1曲終わる度にコーヒー(もっとも中身は未確認だが)→タオルで手を拭く→レパートリーリストを一瞥、それからぼそっと次の曲を他の2人に指示していきなり演奏に入っていた。(これじゃベーシストは大変だ。)今回はセットリストがきちんと組まれていたようで、コーヒー→タオルのみ。今回、私が観たセットは新曲なのだろうか初めて聴く曲ばかりだった。5〜6曲のセットで1時間15分くらいだったのだが、1曲を除いてスロー〜ミディアムテンポの曲ばかり。
各メンバーの印象を少し。ドラマーのJorge Rossy、実はアルバムでの演奏よりインパクトがあった。シャープな音で、ともすればどこかへ行ってしまいそうなピアノと対照的に、常にそこにある(という言い方も変だが)演奏。ベースのLarry Grenadierについては、アルバムで受けた印象を裏付ける事実を発見(尚、前回はBrad Mehldauの背中側前列で、他の2人は全く見えなかった)。弦をはじく方の右手は基本的に人差し指1本しか使わない、ということだ。薬指まで3本使って弾く人もいるといるのに。従ってその人差し指は異常に忙しく動き回るのだが、その速さやフレーズに限界はあるはずだ(もちろん速さやバカテクが全てではないが)。そしてBrad Mehldau。前回は頭を鍵盤すれすれまでに下げ、椅子(四角い)をゆすってみたり、ベースソロの時は椅子の上にあぐらをかいて水を飲んだり、とちょっとした驚きの連続だった。今回は頭もあまり下がってこない、というより、スローな曲でのめり込んでくると頭が下がるらしい。トリオでの演奏の時はさほど早く弾くこともなく、ピアノの詩人と呼ばれるに相応しく、指先に感情を込めるような弾き方。左手と右手、それにその間の両手で織り出される3つの少しズレのあるメロディーのアンバランスな、それでいて美しい響きは驚くべきものだ。一体頭の中はどうなっているのだろうか。
ところで、今回のハイライトはピアノソロの曲だった。個人的にはアルバム"Places"でもピアノソロの曲に圧倒されたが、今回観たソロピアノは圧巻の一言。出だしは何と左手だけのソロ、弾き始めてからミキサーに注文を付けるという緊迫した一幕もあった。この日一番、というより唯一アップテンポなこの曲は現代的なクラシックの感覚とジャズをミックスしたような感じの曲で、恐らく即興的な部分が大半だったのではないかと思う。とにかくそのとどまることのないメロディーと圧倒的なテクニックとドラマチックな響きはなんとも表現のしようがないほどだ。
アルバム毎にものすごい進化をみせるBrad Mehldauのピアノ。(他の楽器よりピアノというなじみのある楽器ゆえ、素人目にも変化がわかりやすいこともあるが。)あのピアノソロには、この人は一体どこまで行くのか、という思いを強くさせられた。 (2001/06/04)
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蛇足:Brad Mehldauはその面構えその他の印象でいろんなことを想像しがちですが、非常に紳士的で、穏やかな話し方の人。ちなみに背は高いです。それから髪のことについて触れるのはやめておきます。7月に出る新しいアルバムを楽しみにしてます、と言ったら丁寧にお礼を言ってくれました。Brad Mehldauの全てのCDのジャケットを持参して全部にサインをもらっていたりする人もいましたが、とても気さくに応じていました。


2001-04-26 大阪フェスティバルホール

Trio Jazz
Keith Jarrett (p)
Gary Peacock (b)
Jack DeJohnette (ds)

大体、コンサート会場に足を運ぶと、周辺や会場待ちをしている人には何らか共通の特徴があるのだが、今回のコンサートは見事にバラバラ、多種多様。それだけ幅広い層に聴かれている、ということだろうと思う。かく言う私はこのHPの内容をご覧頂ければ判るように、ECMのアルバムをそこそこ聴いているのに、Keith Jarrettのアルバムは1枚もない。意図的にHPにアップしないアルバムもかなりあるのだが、Keith Jarrettに関して言えば、本当に持っていない。但しアルバムは新作も含めて聴いてはいるが。
それなのにこんな席でいいのだろうか、という感じの3列目、ど真ん中。フェスティバルホールというのは、オーケストラ用のだだっ広いステージと客席で、特にステージが広すぎる。しかも今回はそのだだっ広いステージの一番奥にピアノ、ドラム、ベースがセットされている。3列目から見てもベースがチェロにしか見えない距離。果てしなく遠い。しかもステージが高いから、前のほうの人は埋もれてしまって座高が高くなければセットの下半分(ピアノの鍵盤より下のほうとか、バスドラとか)が見えない。これがジャズのセットなんだろうか?
演奏はアップテンポな"Autumn Leaves"で始まった。私は3人とも始めて見るので、相対的にどうこう、は言えないが、Keith Jarrettのピアノが明るい。例の、興に乗ってくると立ち上がり、ピアノの中を覗き込んだり、声を出したりするパフォーマンス(?)は相変わらず。Jack DeJohnetteのドラムは、まずセットがすごい。ロック系でもあんなセットの人は少ないのでは?演奏はパワーを抑え目にしているが、あの2回と同じフレーズが出てこないドラミングはこの日個人的に一番印象に残った。そして、Gary Peacock。場所的にドラムの生音が聞こえるところで、ベースの音はかなりドラムにかき消されているようだったが、一体Gary Peacockはどうしたんだろう?なんだか腕や手がだるそうなのだ。ドラムソロになると手首の運動をしているし、1部が終わったときも肩をぐるぐる回しているし、ものすごくインパクトのある演奏もなかった。
この日の演奏では、即興演奏的な部分が一番よかった。もっと限定的に言うと、Jack DeJohnetteのドラムとKeith Jarrettのピアノが絡む場面。どうも曲が終わったときの表情を見ると、かなり予定外のことをやった曲もあるようで、Keith Jarrettが意外なところで曲を終わらせたりするのに反応しなければならないドラムは大変だ。中にはかなりフリーな曲もあり、この曲での3人の息の合い方はさすがというところだ。
アンコールに2回も答えたのがとても意外(最初から込みだったような気もするが)で、トータル2時間位の演奏だった。和やかな雰囲気で進む演奏もよかった。これからどういう方向の音楽へ変わっていくのだろう、というものを感じさせるコンサートだった。
最後に蛇足を1つ・・・3人そろってお辞儀をするのだが、そのとき、3人とも手をダラーと下に下げるのがかなりおかしかった。あちらでは普通? (2001/04/30)


200-04-20 チキンジョージ (神戸)

Tony Levin
Tony Levin (b, stick, vo)
Jerry Marotta (ds, per, sax, vo)
Larry Fast (syn)
Jesse Gress (g, back-vo)

開演30分位前に会場に着いて、ぐるっと客席を見渡したところ、お客さんはやや年齢層高め(何を基準に?)、男性が圧倒的に多い。そりゃそうか。
ほとんど定刻、まだ会場の明かりが落ちていないのに突然の大音響に驚く。ステージには既にLarry Fast(syn)がいて、続いてシンセサイザーの音が響きわたる。と、全く違う方向からドラムの音。後ろから他の3人が鳴り物をたたきながら登場。客席の間を練り歩きながらステージへ。
曲はTony Levinの最新作"Waters of Eden"(2000)からの曲を中心に、King Crimsonあり、Peter GabrielやGenesis、Thin Lizzy、はたまたJimi Hendrix(ただし曲が終わってみればKing Crimsonの曲に変わっていた・・・)の曲もあり。メンバーもJesse Gress(g)以外はPeter Gabrielのバンドのメンバーで、まとまり具合もなかなか、演奏もプロのミュージシャンだなあという感じ。1人Jesse Gressが異彩を放っていて、派手なパジャマのような衣装に、赤いスニーカー、ヘアスタイルはJeff Beckみたいで、そういえばギターもフェンダーのストラト。風変わりな言動で、Tony Levinに"schizoidだ"と言われていた。
Tony Levinは今回、5弦フレットレスをメインに、5弦フレッテット、5弦エレクトリックチェロ、それにスティックを使用。もちろん、「ファンク・フィンガース」と呼ばれるあの、指先につけるドラムスティックも登場。"Waters of Eden"のサウンドがフレットレスを中心に据えたものだったのだが、このアルバムのフレットレスの使い方はちょっと変わっている。ベースがギターかボーカルのようにメロディーを歌う。そのメロディーは何だか平和で、おおらか。チェロはベースよりもかえってアグレッシブで、ギターを思わせるほど。それに今回は歌まで披露。歌ったのはKing Crimsonの"Elephant Talk"。(ちなみに例の「パオ〜ン」という象の鳴き声は今回はギターではなくシンセサイザーから出ていた。)
1946年生まれ、というから今年で55歳になるTony Levin。スキンヘッドに髭、大柄で、その辺で出会ったら怖い外人さんといったところだが、実際は見るからにいい人そうだ。以前見たときもステージから写真を撮っていたが、今回もデジカメを持参。今回はメンバーからしてロック的だったのだが、その身のこなしといい、かっこいいロックミュージシャンだった。 (2001/04/22)


2001-04-07 Live Spot RAG (京都)

Eddie Gomez Quartet - A Tribute to Bill Evans -
Eddie Gomez (b)
Jimmy Cobb (ds)
Jeremy Steig (fl)
Stefan Karlsson (p)
set:
<1st half> Very Early; Time Remembered; ; T.T.T.- Twelve Tone Tune; My Foolish Heart; One For Helen
<2nd half> Sweet William; Witchcraft; You Must Believe In Spring; ; Five
<encore> What's New
※お断り: 前半、後半とも1曲ずつ曲名のわからないものがあります。すいません。

RAGは京都では有名なライブハウスだが、決して広くない。きくところによると、Eddie Gomezは既に5〜6回ここで演奏しているらしく、すでにお馴染み。客席は大入りで、しかも気合の入ったファンが多く、(私なんぞは恐縮する位である)、客席の間を抜けてステージに上がるのがやっとのスペースしかなく、後ろにはかなりの立ち見まで出ていた。
前回、1999年11月の時は随分リラックスムードで日本語を交えつつよくしゃべっていたが、今回はツアーの初日ということで、最初はなにやらピリピリしたムードが漂っている。ツアーに"A Tribute to Bill Evans"と銘打たれているように、今回はBill Evansの曲、ゆかりの曲ばかりのセットになった。しかも前回との重複はほとんどなし、である(ちなみに前回は"Nardis"をやって大いに盛り上がった)。
今回髪をライトブラウン(金髪のちょっと手前)に染め、黒ずくめの衣装でオレンジのネクタイというスタイルで登場したEddie Gomez。通常の感覚でいうと、ベースの音が異常に大きく、しかも演奏もハデハデなのだが、これはこれでいいのである。皆これを期待しているのだから。サスペンダーをして、帽子(ベースボールキャップ)を被っているJimmy Cobbは貫禄。最小限にシンプルなドラムセットから叩きだされる音のすごいこと。(おいくつなんでしょう?) 赤いメガネ(どうやら譜面を見るための老眼鏡らしい)もおしゃれな絵も描くフルーティストJeremy Steigは通常モードとホットにプレイする時の差がものすごい。そして、なかなかにこやかなスウェーデン人ピアニストStefan Karlssonは、Bill EvansのようでBill Evansでないピアノを弾く。決してコピーや模倣ではない。
全体的に異常にテンションの高い演奏で、客席のテンションもこれまた異常に高いライブだったのだが、それがピークに達したのは、通常のセットの最後の曲、"Five"。Eddie Gomezの長いベースソロ(バックの演奏なし)、いつも控えめなStefan Karlssonのソロ、そして、テンションが上がってくると、独特の音 − 尺八のような空気の音を含んで、最後には声まで入るJeremy Steigのソロ(この楽器のつらいところはマイクから顔が動かせないところだ)、そして、Jimmy Cobbの怒涛のようなものすごいソロ。客席のボルテージを最高潮にしたまま終わり、そしてアンコールが"What's New"。もちろんこの顔ぶれでは外せない曲なのだが、この曲の比較的短く、さらりとした演奏で見事にクールダウンする持っていき方が上手い。

演奏が終わったとき(特に"Five"が終わったとき)のEddie Gomezの満足そうな表情がとても印象的だった。 (2001/04/09)


2001-02-22 磔磔 (京都)

Theo Bleckmann & Ben Monder
Theo Bleckmann (vo)
Ben Monder (g)
set: 1. Late Green; 2. Gemini; 3. Softly As In A Morning Sunrise; 4. No Boat

スタート20分くらい前に会場に入ると、薄暗いステージで、ギターをいじっている人がいる。ん、まさか?と思ったら、毛糸の帽子を目深にかぶったBen Monderだった。席に座って、ふと気が付くと消えていた。
今回のツアーのうち、地方公演はもう一組のデュオも出演。スタート前に気づいたことが1つ・・・どうやら会場内で、この「ニューヨークから来たやじさん・きたさん」(←もう一組のデュオの人にそう言われていた)がお目当てなのは私だけらしい、ということ。(他の人々はこの不思議な音楽にさぞかし驚かれたことでしょう。)
で、持ち時間はなんと45分。セットリストはアルバム"No Boat"の最初の3曲で、間にスタンダードを挟んだ形だが、1曲10分強の演奏はなかなか聴き応えがあり、4曲しか聴けないのが残念。
ステージの左側のTheo Bleckmannはフツーの表情のまま、実に多彩な声。変幻自在。低音から高音までらくらく(のように見えた)出してしまう。人間の声の可能性というものを感じさせる。それをループで複数再生していくのであっという間に別世界が広がる。右側のBen Monderは椅子に座って(途中立ち上がる場面もあり)、何だか不器用に見えるほど真剣な顔で、ギターを弾く。その音は結構ソリッド。1音入魂というか、ひたすら左手に集中。今回の曲目では、高速アルペジオはあまり出ず、ものすごく丁寧に1音ずつ弾いていく。2曲目の"Gemini"はボーカルとギターのユニゾンでの変ったメインのフレーズがあるが、これが実際見てみると、タッピングなどが入っていて結構難しそうだ。それが後半、どんどん速くなっても同じように弾き続けるのには圧倒される。
全体として、2人とも5割ずつで、音世界は見事に調和しているのはもちろんだが、どちらかが前に出ることはない。ちょっとくらい一時的にはみ出てもいいのでは?と言えなくもないが、それは2人の意図するところではないのかもしれない。
とにかく短かったが、いいパフォーマンス(演奏、というより、こちらのほうが適切)だった。そして、彼らのようにCDさえ入手が難しいような、でも優れたアーティストの公演が日本で、しかも地方で見られることはすごいことだと思った。 (2001/02/25)


2001-01-15 大阪厚生年金会館芸術ホール

Vicente Amigo
Vicente Amigo (guitarra flamenca)
Jose Manuel Hierro (gitarra flamenca)
Patricio Camara (voz / percusion)
Blas Cordova (cantaor)
Cesareo Moreno "El Guito" (per / coros)
Tino Di Geraldo (bateria)
Antonio Ramos "maca" (bajo)

プログラムはまずソロ・ギターから始まり、瞬く間に会場中がそのギターの音に吸い込まれてしまった。曲が終わるや否や歓声とすごい拍手。次の曲をやるぞ、とばかりにギターを鳴らさない限り1曲ごとに拍手が鳴り止まない。Vicente Amigoの音楽は一応フラメンコ・ギターなのだろうけれど、バラエティーに富んだプログラムを聴いていると、そんなジャンル分けはまったく無用だ。スリリングなリズムを聴いて、のっている、というより驚いている私はつくづく日本人だなあ、痛感させられた。とにかく素晴らしいコンサートだった。ただ・・・1曲目終了後の「ドーモオオキニ」の後が全部スペイン語でほとんど理解できず、それだけが残念だったが。 (2001/01/18)


2001-01-13 大阪ブルーノート

Bobby Hutcherson
Bobby Hutcherson (vib, marimba)
Smith Dobson (p)
Eddie Mershall (ds)
Jeff Chambers (b)

私は結構大阪ブルーノートへ行くが、こんなにお客さんが少なかったのは初めて。ここまで少ないと(客席の1/5も埋まっていない)前のほうで見るほうも演奏するほうもやりにくいのでは。それでも一生懸命、というかBobby Hurtchrsonはなかなか見せるパフォーマンスをしていた。しかし、叩こうと思ったけれど、叩けなかった、という感じのちょっとした空白(表情を見ればわかる)がとても気になった。やっぱり全盛期から腕が落ちたんだろうか。 (2001/01/14)


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