2004-08-15 (søndag)

Øyafestivalen も終わり、4日間右腕にはめていた赤いリストバンドを外す。ジャズフェスティバルは15日までだけれど最終日はほとんどプログラムもないので、実質的にはこちらも終わり。

Supersilent の明日のライブは Parkteatret というところで行われる。若い芸術家などが多く住んでいる Sofienberg という地区の真ん中の公園の、その側にある。サウンドチェック(あくまで「リハーサル」ではない)は午後3時から。あんまり早く行っても邪魔だろうし、と思って5時ごろに顔を出す。会場前の公園は日曜日ということでのみの市や食べ物屋のスタンドが並び大変な賑わい。とそこから大きな丸い荷物を持った人が現れ、それが Supersilent のメンバー達だった。ちょうど前日の別のフェスティバル出演から戻ってきた Jarle が大量のドラムセットと共に到着したところで、みんなでその機材を運んでいる。

中に入るとフロントの3人の機材は一応セットされているが、ちゃんと終わっているのは Helge と Arve の機材だけで、Ståle の機材はなんだか妙だ。どうしたのかと訊いてみたら、シンセのほうはもうセットしたのだけれど、フェンダーローズは明日にならないと届かないという(それってサウンドチェックって言わないじゃ?と内心思った)。彼はメンバーの中で1人ノルウェーの反対側トロンハイムに住んでいるため、機材を運んできてライブをするのも大変だ。その彼は今週月曜に Terje Rypdal のツアーでちょうど香港に行ってきたそうだ。香港は遠いけれど、気に入ったようで、時間をかけていく価値はあるね、と言う。

しかしサウンドチェックなのか何なのか、時折メンバーはステージに上がって勝手にノイズを発しているが、何かこう物事が進んでいるようには思えない。エンジニアの Audun Strype は真面目にミキシングボード(何でももう50年くらい前のものだそうで、たしかにアナログ感覚溢れるボードだ)に向かい、あれこれ指示を出している。明日のレコーディングを担当する Kai Andersen (Supersilent の "1-3" や "6"、他には Scorch Trio などこちらもアナログレコーディングで有名な Athletic Sound というスタジオのオーナー)が2度ほど現れたがすぐにどこかに消えてしまう。撮影を担当する Kim Hiorthøy も昨日ぴょんぴょんはねていたほぼそのままの格好で登場。その髪型や風貌の変化に加え、この日はメガネでもはや変装というに等しい。ビーチサンダルを引っかけた彼は手持ちのビデオカメラを数十分テストしただけで、じゃあ明日ね、と帰って行ってしまった。

そうこうしているうちに Jarle のドラムセットは組みあがってくる。バスドラを2つ、タムを大量に並べ、その手前には3人分の大量の機材。70年代のプログレバンドみたいなセットだな、と Ståle 。6時半を過ぎた頃からメンバーは真面目にステージに上がりだし、しかしめいめいてんでバラバラに音を発している。それがいちいちうるさいし、後ろで Jarle はドラムのチューンアップのためがんがんタムを叩いているし、まったく妙なサウンドチェックだ。ただ、時折気が向けば、メンバーのうちの何人かは突然セッションを始め、その演奏はさすがのもので、本番さながらに面白い。

7時を過ぎたころから4人揃って音を出し始め、リラックスしたままとはいえ、まぎれもない Supersilent の演奏を始める。コンサート同様、誰がどうということなく音を出し始めてみんな平然と反応している。演奏が相当にやかましくなってきたところで、携帯電話が鳴っているのに気づいた。音は一応消してあってサイレントになっていた(←実際のところ場内うるさすぎで全く意味なし)が、演奏による振動ではないヴァイブに気づき、ひっつかんで外へ飛び出す。中では話なんてとんでもない。サウンドチェック中だね、聞こえるよ、と電話をかけてきたのは Frode Haltli で、あと何時間かかるか分からない延々続くサウンドチェックを後にし、すぐ近くの彼のアパートへ。

この日彼のアパートにやってきたのはトラッドシンガーの Unni LøvlidJon Anders Halvorsen 、それにオスロ在住の日本人ドキュメンタリー映像作家の方。9時を大分過ぎた頃に SPUNK のスウェーデン公演を終えて Maja Ratkje が帰宅。

Maja Ratkje は2000年に日本に来たことがあり、初めてのソロコンサートも、Hilde Sofie Tafjord とのデュオ Fe-Mail としての初めてのコンサートも日本での公演だったのだそうだ。その時の写真を見せてもらって、CDなどもらっているうちに、彼女はまたあたふた外出してしまう。なんでも彼女はいつも多忙なのだそうだ。

Unni Løvlid はFrode と RUSK というトリオで一緒にやっているアヴァンギャルドな感覚を持ったシンガー。去年のモルデジャズフェスティバルでは Terje IsungsetHelge Sten とのトリオでやっていて、一体どういう音楽を?と不思議だったのだけれど、曰くダークでエクスペリメンタルな音楽ということで、相当に面白そう。彼女は近々新しいアルバムのレコーディングに入り、そちらには同じく Supersilent の Ståle Storløkken が参加する予定だそうだ。

もう1人の Jon Anders Halvorsen は水曜日にライブを見たばかりで、こんなところで会うと思っていなかったのでびっくりした。見に行ったと言ったら、20人くらいしかいなかったから覚えてるはずなんだけどなぁ…と不思議そうだったけれど、私がサイトに彼のデュオ作について書いていることはよく知っていた。ちなみに彼は普段はお医者さんなんだそうで、その28歳にはとても見えない(※もっと若く見える)見掛けもあり、聞き間違えたかとにわかには信じられなかった。

Frode がどうもノルウェー音楽ファンの日本人が来るからとか言っておいてくれたのか、2人のトラッドシンガーはそれぞれ自身のアルバムを私のために持ってきてくれた。

本日の収穫:もらったCD。
V/A "Hørt TONO 75" (ノルウェーの著作権協会みたいな組織 TONO の75年記念コンピ。Maja のソロが入っている)
V/A "Electric Leak - The North Of It" (Fe-Mail が入っているコンピ)
Dvergmål "Song I Himmelsalar" (Grappa / Heilo) (Jon Anders の最新レコーディング。4人組のトラッドコーラス)
Unni Løvlid "So Ro Liten Tull" (かなり以前のソロ作。こちらはトラッドなつくりだそうだ。スコアと歌詞のついたハードカバーの本のバージョンも一緒に)

その後 SPUNK のビデオや、Maja Ratkje のオペラなどの撮影をされているというその日本人映像作家の方のところにお邪魔し、それからホテルへ戻る。フェスティバルも終わり、明日は月曜ということで街は急に静かになってしまった。

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