2005-08-10 (onsdag)
一眼レフ×2(フィルムとデジ)、交換レンズ×6、ISO1600のフィルム×20、ノートパソコン、After
Hours 誌(CD3枚付で重い)×10、Swing Journal 誌の古い号×1、Atomic "The
Bikni Tapes" 3枚組ボックスセット国内盤×5、日本で買ってきてくれと頼まれた
CD ×10、日本で探してきてくれと頼まれた本×1、各種充電器、変圧器、アダプタ、コード、15℃〜35℃に対応できる服…と何かの罰ゲームみたいな装備で出発。ただし他の人よりカメラバッグが1つ多いだけで、特に凄い荷物には見えない(国外の空港で見る自分のスーツケースの小ささに驚くこともある)。空港でのチェックはやはり厳しいが時間はかからない。手荷物チェックは関空と、それから乗り継ぎのフランクフルト空港でもう1回。去年まではずっとアムステルダム乗換えだったが、アムステルダムの空港で手荷物をチェックされた記憶はない。フィルムとパソコンを出して説明しなければならないのが面倒。フランクフルトの係官は「1600のフィルムで何するの?」と…(何でもいいじゃない!)。デジカメの普及でこんな高感度フィルムをごっそり持って歩く人も珍しいのだと思う。
時間ぴったりにオスロに到着、お金を下ろして電車で中央駅へ、その足で駅横の
Hotel Rainbow Opera へ。今年の Øyafestivalen のオフィスはこのホテルにあり、今日のゲスト/プレス受付時間は5時〜7時。飛行機が空港に着いたのが6時10分。間に合わなければ、という打ち合わせは事前にしてあったが、今日見る予定の会場の場所がいまいちよく分からないのでスタッフに訊かなければならない。7時5分くらいに飛び込んだらまだ開いていたので、3日通しパス代わりのリストバンドと資料をもらう。
宿泊先のホテルは今までで一番安い値段だったが、部屋はこれまでで一番綺麗だ。それはいいのだけれど、壁の電話の差込口がISDN。気にはなっていたのだけれど、新しく改装した快適なホテルに限って通常のモデムがつなげないこの仕様になっている。ロビーに1台パソコンが置かれていて宿泊客に開放されているが、ノルウェー仕様のキーボードに発狂しそうになるし(「@」のありかを発見するのに5分近くかかり、それを打ち出すのにさらにしばらくかかった)、日本語がインストールされていない(CD-ROMを要求してくるので勝手にインストールもできない)ので、あまり問題ではないとはいえ日本語のメールも読めない。フロントの親切なお姉さんに相談してみたら、ワイヤレス用のカードがあれば、4時間 90NOK でワイヤレス通信が出来るけど、1度繋いだら途中使わなくても4時間で切れるからお勧めじゃないという。結局フロントの宿泊客用のPCに私のラップトップを繋がせてもらうことで解決。しかし一応メールチェック用とされているPCからLANケーブルをひっこ抜いて自分のに繋げたあげく、HPの更新とかしちゃっていいんだろうか…。
メールをチェックしてから1本目のライブへ。
■ Håkon Kornstad & Håvard Wiik @ Robinet / Øyafestivalen, 20:30
w/ Håkon Kornstad (ts), Håvard Wiik (p)
Øyafestivalen の前夜祭はオスロ市内の多くのクラブで一斉に行われる。この会場は1組のみの公演だったが、他の会場は複数のアーティストが1時間毎にステージに登場する。場所がわからないのでフェスティバルのオフィスで印をつけてもらった地図を持ってタクシーに乗り込んだが運転手の人も分からないという。結局近辺で降り、近くのレストランの人に聞いたらすぐ隣だけれど分かりにくいからとわざわざ連れて行ってくれる。開演はフェスティバルのプログラムでは8時半となっており、私が迷ったせいでかなり遅れて到着したけれど、幸いまだ始まっていない。Robinet
というのは小さいバーで、フェスのスタッフが「すっごい小さいところだから」と繰り返したのも理解できるが、実際の会場はそのバーの「裏庭」(と
Håkon は表現した)。庭、というより、いつもはビールのビンとかが置いてありそうな、勝手口裏といった感じのところで、下はコンクリート敷、奥にアップライトのピアノが置かれ、マイクがセットされ小さいアンプを通してビールケースの上に置かれたスピーカーに繋がれている。
知らないおじさんと話しているとバーの中から共にベースボールキャップを被った2人が登場。周りの比較的若い観客に溶け込んでしまって、話していたおじさんがあれが Håkon Kornstad 、と言ってくれなかったらあやうく気づかないところだった。3年ぶりに会う Håkon は大して変わりはない(やたらフォーマルなジャケットにミリタリー模様の半パンという不思議な格好だった)が、びっくりしたのは Håvard Wiik の髭面 。ピアノのレンタルで朝に一悶着あったらしく、Håvard は小雨が時折ぱらつく天気をしきりに気にしている。演奏する2人の上には一応即席のビニールシートが張られているが、ちょっとまともに降ったら蓋を開けたピアノにダイレクトに雨が入る。
演奏は結局、2人が事前に言っていたように9時過ぎから、Håkon の MC で始まる。アルバム "Eight Tunes We Like" と同様、セットは全てカバー。選曲はアルバムからのものもあったが、他に
Monk やアルバムに入っていない Carla Bley や Ornette Coleman の曲、それに
David Bowie の曲も。演奏はアルバムよりはやや緩めのインタープレイで、阿吽の呼吸というのか、それすら感じさせない息の合い方だ。2人はのびのびと演奏しつつ、実にさりげなく相方に合わせている。前衛的ではないが相当フリーフォームで、ビート感はなく、不規則なのにここちよい小さなうねりがある。
会場は結構な人が集まり、演奏に歓声が上がり、拍手も大きく反応はかなり良い。四方を建物に囲まれているため、適切な短い残響がある。それぞれの短いソロパートでは結構アグレッシブな演奏もあり、特に終盤の
Håkon のソロのこの日唯一のビート感のある演奏は強力だった。
雨がぱらついたり止んだりしているうちに日が落ちてくる。ライティングはほとんどなし、サックスは問題ないだろうが、表情も見えないくらい暗い状態でピアノは大丈夫なのだろうか(もっとも、弾いている本人はあまり気にしなさそうだが)。雨を除けばこの日の唯一の問題は右のスピーカーの音が少し割れ気味だったことくらいで、ピリピリした緊張感はないものの、フレンドリーな観客に囲まれた素敵な夕暮れといった感じだった。普段はシビアな反応を見せるオスロっ子のアンコールの拍手に呼び戻されて1曲演奏し、すっかり暗くなった頃小さなコンサートは終了した。
オスロでは私はアジア人の見かけとアジア人があまり行かないスポットに出没することで結構目立っているらしいのだけれど、こういう小さなライブへ行っても別段特別な視線を向けられることもない。この日も何人かの知らない人と話をした。写真見せて、とか、何か書くもの持ってる?とかに始まり、ちょっとした雑談をするだけなのだけれど、日本のライブ会場でわざわざ外国人に英語で話しかけるかと自問してみると不思議な気がする。
会場には Ingebrigt Håker Flaten が来ていたらしいが、終了後速攻帰ったとのことで見かけずじまい。演奏を終えた2人とはいろいろ話をした。来週の金曜日の
Lee Konitz とのコンサートは何を演奏するの?との問いに Håvard は「いい質問!」と。彼がいつオスロに来るのか知らないし、何をやるのか、リハーサルをするのかしないのかすらまだ全然打ち合わせもしていないのだという。「でも、彼の曲だったら何でもできるから」というのはさすがというべきなのか。
気温は事前に聞いていたほど低くはなく、20℃位だっただろうか。Tシャツに上着が1枚あれば十分、私はスニーカーではなくサンダルで出かけた。Håvard
によると週末頃には 25℃くらいまで上がるとか。
50NOK (約750円)のビール(量は 0.4 か 0.5リットル)を2杯飲み、比較的まともな時間にホテルに戻る。