(piciup 2001 vol 11: 25 June 2001)

supersilent

Jarle Vespestad: drums。恒常的なバンドとしてはこのSupersilentの他、バルカンごった煮バンドFarmers MarketというSupersilentとはまるで縁もゆかりもないようなグループのメンバーでもある。他にもレコーディングの有無を問わず参加プロジェクトは無数。ノルウェー以外でもスウェーデンのベーシストAnders Jorminの"Once"、最近はノルウェーの女性シンガーSilje Nergaardのアルバムなどにも参加。

Ståle Storløkken: keybord & electronics。Terje Rypalの"Skywords"のツアーメンバーとしても知られる(アルバムには参加していない)。最近ではドラマーAudun Kleiveのグループ"Bitt"のメンバーでもある。またコンポーザーとして他のアーティスト(例えば女性ヴォーカルグループKvitrettenなど意表をつかれる)に楽曲を提供したりもしている。

Arve Henriksen: trumpet & electronics。 Supersilentの他、レコーディングがあり、かつ現在アクティブなプロジェクトではTrygve Seim Orchestra、Audun Kleive "Bitt"、Jon Balke "Magnetic North Orchestra"、Iain Ballamy "Food"等があるが、ライブのみのプロジェクトや比較的短い期間のプロジェクト等も考えると恐るべき量のライブとレコーディングがある。ノルウェー以外のミュージシャンとも共演が多く、間違いなくノルウェーで一番忙しいトランペッター。自身の単独リーダー作がないのが全く不思議なくらいである。

以上の3人はトリオ編成のグループ"Veslefrekk"(4分の3 Supersilentとも言われる)として活動、同名のアルバム(1994年、NOR-CDよりリリース)もある。今年(2001年)1月にはレーベルNOR-CDの10周年記念のコンサートでこのVeslefrekkとしてライブも行っているので、完全に消滅したわけではなさそうだ。

Deathprod (Helge Sten): audio virus。electronics、もしくはnoisemakerというところ。ノルウェーのグループ "Motorpsycho"のメンバーだったことが知られる。この頃から既に現在と同じ名前"Deathprod"とパート名(?) "audio virus"を名乗っていて、幾つかの作品にも関わった後「学業を優先させるため」(もちろん学業とは音楽だが)正式にはグループから脱退しているが、その後も様々な形でMotorpsychoと関わっている。またSupersilent以外にも個人のプロジェクトが多数あり、またミキサー、プロデューサーとしての活動(最近ではNils Petter Molværのリミックスアルバムにも参加)も多い。

本筋から離れるが、そのMotorpsychoについて。ノルウェーのトロンハイムのこのグループはメタルあたりから入ってロック、ジャズ、さらにはカントリーまでやるそうだが、Deathprod以外にもJarle Vespestad やArve Henriksenも少し関わっている。1995年にノルウェーのKongsberg Jazz Festivalに出演した際のライブレコーディングが2000年末にリリースされたが、このアルバムはMotorpsycho、The Source (ECMレコーディングアーティストであるTrygve Seimもメンバーであるジャズグループで、2001年秋にはECMからもアルバムをリリースする)それにDeathprodという顔合わせである。

そして・・・

Supersilent: 1997年、ノルウェーのBergen Jazz Festivalで初お目見え。リハーサルなしで、初めて一緒に演奏したそうである。そしてこの時の成功で恒常的なユニットとして活動を始めることになる。

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supersilent 1-3


1997 Rune Grammofon RCD 2001

production: DEATHPROD
recording, audio virus lab: HELGE STEN / 15-17.08.97 / DOW EXT.FORMAT
recording, athletic sound: KAI ANDERSEN / 01-02.10.97 / 15 IPS / NO NOISE RED.
mixing, athletic sound: HELGE STEN / 02-03.09.97
mastering, strype audio: AUDUN STRYPE / 07.10.97

personel, supersilent: JARLE VESPESTAD. HELGE STEN. STÅLE STORLØKKEN. ARVE HENRIKSEN
all selections: SUPERSILENT
supersilent 1 - 3
1.1 1.2 1.3 1.4 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 3.1 3.2 3.3 3.4

1997年、Bergen Jazz Festivalの後、スタジオにこもってぶっ続けで即興演奏を行った、その記録がこのデビューアルバム3枚組。Supersilentのデビューアルバムであると同時にレーベルRune Grammofonの初リリース作品である。

Supersilentのレコーディング第一声(音)はドシャバタダカドコと突っ込んでくるJarle Vespestadの賑やかなドラム。おおよそ"Supersilent"などというグループ名に相応しくない音の嵐。そのドラムにかぶせるようにありとあらゆるノイズ、効果音、電子音、楽器(どちらかというと楽器の音は二の次)、声、歪んでしまって何から出ているのかわからない音がいっぱい飛び出してくる。詰め込んだ、というより飛び出してくるイメージだ。しかも1曲目からいきなり30分近い演奏、途中でクールダウンすることなしに突っ走ってしまい、さらには唐突に切れて終わる。

この3枚組のなかでとくに耳に残るのが1.2と3.2の2曲。(アルバムタイトルの下の数字の羅列は曲のタイトル。)同じアイディア、というかネタからできた双子のようなこの2曲はこのアルバム中ではポップな曲といえる。例によってギクシャクしたダイナミックな変拍子ドラムにノイズやなにやらが噛み付くこの曲は非常にグルーヴ感がある佳作。

雰囲気は曲によって全く異なるのだが、全般的にどんよりしたくぐもった空気、ただし内向的ではなく、外へ向かって何かを発散させている感じだ。前述の1.2、3.2に加えて2.2あたりは少々クレイジーな陽気ささえ見せる。

敢えてジャンルについて述べるなら、フリージャズというよりデスメタル(!)に近い曲もある。ただし、彼らのスタイル、つまり完全即興演奏というポイントではまさしくジャズだが。

とにかく、このグループとレーベルの衝撃的かつ大胆なデビュー作で、原始的なエネルギーを感じるパワフルな作品だ。
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supersilent 4


1998 Rune Grammofon RCD 2007

produced by deathprod and supersilent
mastered by audun strype
recorded and mixed at audio virus lab by helge sten
all selections by supersilent
supersilent 4
4.1 4.2 4.3 4.4 4.5 4.6 4.7

ジャケットは恐ろしくシンプルになり、個々のミュージシャンの名前すらクレジットされていない。ノルウェーのグループであるとか、どういった感じの音とかいう情報が一切パッケージから排除されているが、これはこのレーベルの作品全般に当てはまる。

録音日が記載されていないので前作から実質的にどれ位の間が空いているのか不明だが、音は随分変化を遂げている。ベクトルは内へ向きつつあり、曲は極端に短いものも含めて全体的に前作より短め(7曲でトータル50分弱)、前作のがむしゃらなパワーは多少コントロールされた感がある。
ただし相変わらず曲によってはものすごいエネルギーを発しているものもあり、ネガティブな意味での丸くなった、という感じは受けない。

新たに加わった要素はアンビエントさだ。前作でもふんだんに使われていたノイズ、電子音系の音は長尺の4.6を始めとするアップテンポな曲に大量に登場し、トランペットやドラムとアグレッシブなアンサンブルを繰り広げるあたりは前作からの延長線上にある。しかしスローな曲ではそのノイズ、電子音系は影をひそめ、音の歪みに形を変えている。その歪みがアンビエントさを醸し出しているのだが、不思議な空間の広がりを感じさせられるこの音は新境地だ。

演奏スタイルなどからすると、特にアンビエントな曲は短めで、短すぎるという感は否めないが、一切の余分なものを排除するかのようなジャケットとあいまってミニマルなつくり、という意味ではこれも1つの手かもしれない。
トータルのアルバムとしての完成度は高い。演奏そのものが即興であるのに対し、曲の並べ方などは非常によく考えられているのではないだろうか。

2000年にECMがこのレーベルRune Grammofonの配給を始めたことで、レーベルとグループはこのアルバムで世界的に認識され、高い評価を得ることになる。
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supersilent 5


2001 Rune Grammofon RCD 2018

produced by deathprod at audio virus LAB
recorded and mastered by audun strype
all selections by supersilent

all selections are recorded direct to DAT on the following locations
purcell room, queen elisabeth hall, london 16.11.00
I.T.C. teatro di san lazzaro, bologna 26.09.00
kulturkirken jacob, oslo 08.10.00
blå, oslo 07.02.99
supersilent 5
5.1 5.2 5.3 5.4 5.5


ヨーロッパを中心にあちこちでライブを行うSupersilentだが、そのライブの多くはレコーディングされているという。その30時間以上にも及ぶ録音のなかからHelge Sten自身によってセレクトされた録音が本作である。リハーサルも打ち合わせもなしに完全に即興演奏をするというSupersilentというグループにとって、最も相応しいレコーディング方法ではないだろうか。

1作目と2作目の間隔を考えると随分間があっての3作目となる。どうやらライブレコーディングらしい、というのは事前に聞いていたが、出てきた音は想像した音と随分異なり驚かされた。
言われなければライブレコーディングとはとても思えない音で、曲の長さ、という点以外では3作品中一番ライブレコーディングらしくないとさえ言えそうだ。

アグレッシブな演奏もあるものの、全体的に前作で見せたアンビエント路線の方へぐっと傾いた音で、ライブレコーディングということもあり5曲で70分と非常に聴きごたえのある内容。電気的な音は短いノイズではなく、長く伸び歪み、ぐわーんと響いてくる。

アンビエントな音と同時に静寂感、摩訶不思議な宇宙的な音、そしてなんともいえない穏やかな美しささえ出てきている。それに、ある意味北欧的かもしれない、と本作で初めて感じさせられる。前作で内へ向いたベクトルはさらに内へ向いているが、音世界はかなり広がっている。

演奏は比較的シンプルで、音数も減っている。
前作まではどこで何をやっているのかわからない曲も多かったArve Henriksenのトランペットが割とアコースティックな音で静かに流れていくのも印象的だ。

デビューアルバムでは"Supersilent"というグループ名と音の差が意図されたようで面白かったが、デビューから4年で、まさしく"Supersilent"な音を出すようになったというのはとても興味深い。今後どういった方向に向くかは全くわからないグループだが、いずれにせよ注目すべき存在だ。
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