(pickup 2001 vol 16 : 12 November 2001)
| WIBUTEE |
1999 NEWBORN THING @ Wetle Holte (ds, per) Per Zanussi (double b) Håkon Kornstad (ts) Live Maria Roggen (vo) Erlend Skomsvoll (fender rhodes, syn, upright p) @ 1. Fritzed 2. Newborn Thing 3. Foot Jive 4. Colder Than Heaven 5. Fin 6. Once You Get There 7. Lookout 8. Attempt 9. Jær 10. K57 4.0 @ All lyrics by Live Maria Roggen. All compositions by Wibutee. Ideas to 1, 3, 4, 5 & 10 by Per Zanussi, 7 & 8 by Håkon Kornstad, 6 by Live Maria Roggen and 9 by Erlend Skomsvoll. Lyrics on 5 inspired by Toni Morrison's novel "Jazz". Thanks to Gulleiv Wee for samples. All tracks recorded December 1998 by Bugge Wesseltoft except #2 recorded June 1997 by Øyvind Nordstrand Mixed byKåre Lystad and Bugge Wesseltoft in Bugge's Room 1999 Produced by Bugge Wesseltoft Mastered by Mikkel Schille at Lydmuren AS Sleeve and pola by Håkon Kornstad Liner photo by Tormod Førre Jazzland / EmArcy / Universal 547 033-2 2001 EIGHT DOMESTIC CHALLENGES @ Håkon Kornstad (ts, ss, fl, fluteonet) Per Zanussi (double b, el-b) Wetle Holte (ds, per) Sternklang (electronics) Gulleiv Wee (electronics) @ 1. Into Shapes 2. Vibhuti 3. Herbs & Heights 4. First There Was Jazz (first) 5. First There Was Jazz (second) 6. Up And Away 7. Dubelec 8. Last Stroke @ All tunes composed, programmed, edited and producd by Wibutee except track 2 edited and produced by Sternklang and Wibutee Recorded in 'Dreamlab', Stavanger, February 2001 and in 'Bugge's Room', Oslo, May 2001. Engeneers: Gulleiv Wee and Andy Mytteis. Mixed and and co-produced by Reidar Skår at '7ende Etage', Oslo, July 2-6, 2001. Mastered by Audun Strype at 'Strype Audio', Oslo, July 2001. Liner photo: Sebastian Ludvigsen. Cover photos by Gary Rogers borrowed from Norwegian Interiors Magazine 'Bonytt' (Edition 1975). Artwork by Håkon Kornstad. Jazzland / Universal 014 740-2 |
ノルウェーの Jazzland レーベルの「一番若い世代のミュージシャン」といわれる
Wibutee、アルバムを2枚リリースした今でもまだ20代前半のメンバーがいるほどだが、実際見た
Håkon Kornstad なんかは実年齢(現在24歳)よりもっと若く見え、歳をごまかしているのではないかと思うほどだ。
@ その Håkon Kornstad がノルウェー・トロンハイムにある音大に入ったのが1996年、その年に同い歳の Per Zanussi 、それに4つほど年上の Wetle Holte (彼がこのグループのリーダー)とともに結成したのがトリオ "Triangle"。翌年1997年にはこの3人に女性シンガー Live Maria Roggen とキーボード/ピアノの Erlend Skomsvoll を加え、5人編成の "Wibutee" が誕生する。トロンハイムを中心に活動を始めた彼らは、同年 1997年5月の "Nattjazz" と呼ばれるベルゲン・ジャズフェスティバルに出演。この頃の音は知るすべもないのだが、既に「トリップホップとジャズのミクスチュア」と評されているので、そのころから、2年後のデビューアルバムとさほど変わらない音楽性を打ち出していたようだ。(実際、デビューアルバムには1曲だけ1997年6月の音源が入っているが、何の違和感もない。)@ 結成から2年経ってから(恐らく活動の中心をオスロに移した後に)リリースされたのがデビューアルバム "Newborn Thing"。ドラムンベースなどを含めたクラブビートを取り入れる、というよりは同世代の音楽として当然のように消化している感じのビート感。それを作り出しているのは Per Zanussi の堅めの音のダブルベースだ。格好いいフレーズを連発して動き回るダブルベースはこのユニットの要になっている。作曲のクレジットは全て Wibutee 名義になっているものの、誰のアイディアをベースにしたかが記されていて面白い。当然のことながら、その Per Zanussi のアイディアによる曲が最も多い。ドラムは、細かいそれ風のビートを、通常なら打ち込みと併用するところを全て生ドラムでやっているようだ。音は軽め。キーボード/ピアノの Erlend Skomsvoll はさほど目立たないものの時折レトロな音が他のアコースティックな音とともに、新しくない音なのに新鮮に響く。そして、Live Maria Roggen の歌は適度にポップ、ダークで、自身のアイディアによる #6 などは本来の彼女の歌とはちょっと違う印象ながら、格好いい節回しだ。通常ならここにテナーサックスを入れたりはしないだろうが、もともと入っていたのだからこういう編成になるのはわかるが、このアルバム Håkon Kornstad のサックスはきちんとメロディーを押さえつつもかなりキレ気味。この女性シンガー×キレるテナーのフロントが面白すぎる対比。 打ち出した1つの方向性を相当な完成度で表現したデビューアルバム。これが出た段階ではもうメンバーが次の方向を向いていることを示すように、2000年頃ツアーメンバーには エレクトロニクス担当の Gulleiv Wee が加入。もっとも彼はデビューアルバムでもサンプリングに協力しているようで、アルバムクレジットにも謝辞が入っている。 @ その後、一応オリジナルメンバーながら、後から入った Live Maria Roggen と Erlend Skomsvoll はグループを脱退。脱退した2人は "Come Shine" というユニットを結成。ボーカル、ピアノ、アコースティックベース、ドラムというスタンダードな組み合わせのこのグループはノルウェー Curling Legs レーベルより "Come Shine" というデビューアルバムをリリース。この作品はスタンダード集、奇をてらわないのにひねったアレンジ(このあたりが Erlend Skomsvoll の評価の高いところでもある)で評判の作品。Live Maria Roggen の歌が伸びやかで明るい。また、さらに Erlend Skomsvoll は自らのグループ "Skomsork" を結成(Wibutee からの脱退よりもこちらの結成の方が先だったようだ)。キーボード、サックス、ギター、ダブルベース、ドラムという編成。まだアルバムリリースがなく音は未聴だが、メンバーの顔ぶれからするとなかなか鋭い音を聴かせてくれそうだ。@ Wibutee のファーストとセカンドの両アルバムの間に Jazzland レーベルからは "Jazzland Remixed" (2000) というリミックスアルバムがリリースされた。この中に Wibutee の "Newborn Thing" のリミックスバージョンが入っているのだが、この曲のリミクサーが "Sternklang" なる人物。本名 Rune Brøndbo、オスロを中心に活動、幾つかのポップス、パンク系のグループに参加しながら、エレクトロニクス/テクノ系のアーティストとしてCD2枚の他、何枚かのEP、リミックスなどかなりのリリースがある。Wibutee のセカンドアルバムには先の Gulleiv Wee とともにエレクトロニクスを担当するメンバーとして参加している。@ セカンドアルバムは "Eight Domestic Challenges" というタイトルどおり、8曲収録されている。奇数番目の曲がアップテンポ、もしくはビートが効いたミディアムテンポの曲、偶数番目の曲がどちらかというとスローテンポな曲、と交互に並べられている。クレジットの書かれ方、ブックレットの写真などから、彼らが "Wibutee" というグループをトリオ編成のグループ(もちろん Håkon Kornstad, Per Zanussi, Wetle Holte の3人)と捉え、そこにエレクトロニクス担当の2人を加えているというのが良くわかる。 出てきた音はファーストアルバムからはかなり変化している。ある意味北欧的とも言えるどんよりしたくぐもった音、アンビエントなサウンドスケープ。Wetle Holte のドラムは打ち込み系のビートと渾然としている部分もあり、アップテンポな曲でのビートがやはり抜群に格好いい。ベースの Per Zanussi はアコースティックベース中心ながら本作ではエレクトリックベースも使用、#7 ではそのエレクトリックベースの音がゆっくりした重ためのグルーヴ感を作り出している。Håkon Kornstad はファーストではテナーだけだったが、本作ではソプラノやフルートなども披露。キレ具合は控えめのような印象(それでも時折咆哮のようなブロウもあり)だが、アンビエントなサウンドに鮮やかに響いている。エレクトロニクスのメンバーは、サウンドに非常に貢献している。Jazzland レーベルというより、同じノルウェーの Rune Grammofon レーベルのある種のサウンドに近いような音。テナーサックスがノイズを含んでみたり、エレクトロニクスによる音が現れては歪んでみたり。全体としては誰が何を演奏しているというより、イメージした音像を具現化したといった印象を受ける。それにしても格好いいノリの音楽と、摩訶不思議なサウンドスケープが見事なバランスだ。 @ アルバムリリース後、ヨーロッパツアーに出た Wibutee (ツアーは既に終了)だが、そのメンバーはもうアルバムのメンバーとは異なっていた。既に Gulleiv Wee は脱退したようだ。もう次のサウンドへ向かっているのだろうか。@ @ Wibutee の主要メンバー3人のうち、Håkon Kornstad については後述するので、他のメンバーの Wibutee 以外の活動について。ドラムの Wetle Holte は、同じ Jazzland レーベルに所属するギタリスト Eivind Aarset のトリオのレギュラーメンバー。新作 "Light Extracts" でも軽快で現代的なビートを叩いている。 ベースの Per Zanussi は最近はノルウェーの若いギタリスト Ketil Gutvik との活動が多く、色々なフォーマットでかなりのライブを行っている。いずれもまだアルバムリリースはないが、60年代的な感覚ともいえる、ノルウェーにしては暖色系の音で、Wibutee とは全く異なるユニットだ。(もちろんサイドメンバーになるので、彼の音楽性はあまり出ないと推測されるが。)@ @ さて、Wibutee の登場が、というより Håkon Kornstad の登場が Jazzland レーベルに与えた影響が2つ。1つはこのレーベルからリリースされるアルバムのアートワーク。Wibutee のファーストアルバム以降にリリースされたアルバムのうち、Beady Belle のアルバムを除く全てのアートワークを手がけているのがこの Wibutee でサックスを吹いている Håkon Kornstad。全く多才としか言いようがない。彼のアートワークは、やはり若い感覚のもので、特に文字、そのフォントの使い方、配置の仕方が独特だ。Bugge Wesseltoft の New Conception of Jazz 名義による3枚目、"Moving" のオリジナルはデジパック仕様、ロゴを透明インクで入れるという凝りよう(日本盤はこのアイディアを殺してしまっている)。Jazzland レーベル以外でも 自らもメンバーの Tri-Dim のデビューEP、Petter Wettre / Per Oddvar Johansen のアルバム "The Only Way to Travel" (日本ではいささかマイナーだが、本国ではどこにでもあるアルバム、このアートワークのアイディアには脱帽)、もうちょっとメジャーなところでは Ketil Bjørnstad "Early Years" も彼の作品。 もう1つは Jazzland 内のアコースティックなシリーズ。2001年11月中には何らかのリリースがあるはずのこのシリーズ、ちょっとずつあちこちから聞こえてくる話では少なくとも3作品が既に準備されているとのこと。当初はこの3作品、カルテット、トリオ、デュオというフォーマットでいずれも Håkon Kornstad が絡むユニットだった。トリオは Håkon Kornstad Trio、デュオはそのトリオからベースを抜いた形だ。もう1つのグループは"Atomic" というグループだが、こちらは今年に入ってから Håkon Kornstad は抜けてしまい、その後 ノルウェー/スウェーデン混成クインテットに編成が変わっている。ライブなどで耳にしたこれらのユニットのサウンドはいずれも、今までの Jazzland レーベルとは全く異なる音。クラブ系の要素は全くなし、フリーというよりフリーよりのサウンド。敢えて言うなら、現代的な感覚で格好いいサウンドというのは共通点か。アルバムリリースが本当に楽しみなシリーズだ。 |
| WIBUTEE "First there was jazz, and ....<to be continued>" |