(pickup 2001 vol 8 : 1 May 2001)
| Birth Wish Christian Wallumrød / Arve Henriksen / Jan Bang / Erik Honoré Christian Wallumrød (p) Arve Henriksen (tp) Jan Bang (live sampling) Erik Honoré (live treatments) 宇宙的な広がり、もしくは深い水の底に響く音。水の中で聞こえる音には遠くでざわざわいう音、それに少し歪んで聞こえる近くの音がある。 色にたとえると深い青か緑。 このアルバムを聴くと、まさに音世界が広がる、といった感じがする。 しかもその音世界は動と静、両方を含んでいる。 Christian Wallumrødのピアノは、浅い音と深い音の差がダイナミックだ。そしてその音が出るタイミングが独特。 Arve Henriksenのトランペットはソフトな音で、しかし強い何かを秘めた音。メロディーを歌う音に微妙な表情がある。 このアルバムにはクレジットは最小限しか記されていないが、そんな中に "piano and trumpet are the only sound sources" という表記がある。 スタジオには4人入り、楽器を演奏するのはChristian WallumrødとArve Henriksen。その音をリアルタイムでサンプリングし、変化させ、その音を再び変化させる − そんな手法がこのアルバムでは取られている。後で付け加えられたものや他から作られた音は一切ない。 アコースティックな要素とエレクトリックな要素のインプロヴィゼーション。 そのクレジットを理解して再びアルバムを聴く。曲によってピアノの音は変えられ、ある曲ではChristian Wallumrødらしい鋭利な音、あるときは少し懐かしいようなレトロな音、また他の曲では打楽器のようにビートを刻んでみせたりする。 トランペットは、近くで鳴っているのはArve Henriksenらしい少しハスキーな音。曲によって少し色合いが異なっている。そして後ろのほうで鳴っている不思議な音も、確かにトランペットの音なのである。 ジャズの定義を「即興演奏」とすることがあるが、そうだとすれば、これは新しい形のジャズ、とも言えそうだ。 |
2000 Panavision Series Pan M Records 74321 768 832 01. drizzle 02. 1866 - 1925 03. soaring 04. birth wish 05. zero visibility 06. bliss 07. waiting room 08. elegy 09. dark circle 10. bith wish 2 music by Wallumrød, Henriksen, Bang, Honoré recorded at Fagerborg Studio, Oslo January 2000 engineered and mixed by Erik Honoré piano and trumpet are the only sound sources |
... about Pan M Records
地元ノルウェーでは演奏家またプロデューサーとして活動するJang BangとErik Honoré、それにArne Chr. Bangによって1999年に設立。本拠地はKristiansand、ノルウェーのほとんど最南端の町。
"Birth Wish"はPan Mの中のラインPanavision Seriesから最初のリリースとなる作品である。
第2弾は"Going Nine Way From Wednesday"とタイトルされた作品(2001年)。Anne Marie Almedal (voice)、Jan Bang、Erik Honoré。このアルバムではAnne Marie Almedalの声だけが音源で、それをBang / Honoréのコンビで広げる、という"Birth Wish"と同じ手法が取られている。
| No Birch Christian Wallumrød Trio Christian Wallumrød (p) Arve Henriksen (tp) Hans-Kristian Kjos Sørensen (per) タイトルトラック、ともいえる4つの"The Birch"。Birchとは「カバの木」の意だ。素晴らしいメロディーを持ったこの曲について、アルバム(原盤)のライナーノートに貴重な情報がある。もともとこれはスウェーデンの作家Karin Boyeの"Of Course It Hurts When Buds Break"という詩につけた曲だそうだ。確かに、その歌うように流れるメロディーには、物語がある。 オーロラは音がする、という話を聞いたことがある。Hans-Kristian Kjos Sørensenのパーカッションを聴いていると、そんな話を思い出した。いつ、どんな音が鳴るかわからない、全く予測が不可能な現象のような音。 他の楽器もそうだが、特にArve Henriksenのトランペットは最小限の音数に限定され、時にはそれはトランペットの音であることも忘れさせるほど寡黙だ。 そしてChristian Wallumrødのピアノ。極めて叙情的というのか、時折強くなるものの、ほとんどにおいて沈黙をフレーズにしているかのようだ。もしくはその鋭いタッチから出る音の後の響きを聴かせるように、一音一音綴っていく。 「北」を想起させる音。非常に温度が低く、凍りつくようでさえある。曲は全く予測不可能、何度聴いても予測不可能。スリリング。しかしそれらの曲には、いろいろな想像を掻き立てるようなタイトルがつけられている。 そしてふと、思い出したように出てくる"The Birch"のメロディー。明確なメロディーを持つのはこのテーマだけなので、非常に効果的。 曲が全てが終わって静かになった後も、聴き手の中にこのアルバム持つ空気が残るような不思議な感覚がする。 |
1998 ECM Records 1628 1. She Passes The House Of Her Grandmother (Wallumrød / Henriksen / Kjos Sørensen) 2. The Birch 1 (Wallumrød) 3. Royal Garden (Kjos Sørensen) 4. Somewhere East (Wallumrød) 5. Travelling a. Far East b. Slow Brook c. I Lost My Heart In Moscow (Wallumrød / Henriksen / Kjos Sørensen) 6. The Birch 2 (Wallumrød) 7. Ballimaran (Wallumrød) 8. Watering (Wallumrød / Henriksen / Kjos Sørensen) 9. Before Church(Wallumrød / Kjos Sørensen) 10. The Birch 3 (Wallumrød) 11. Two Waltzing, One Square And Then (Wallumrød / Henriksen / Kjos Sørensen) 12. Fooling Around (Wallumrød / Henriksen / Kjos Sørensen) 13. The Gardener (Henriksen) 14. The Birch 4 (Wallumrød) recorded November 1996 Rainbow Studio, Oslo engineer: Jan Erik Kongshaug produced by Manfred Eicher |