(pickup 2002 vol 1 : 15 January 2002)


feet music

atomic
"feet music"

feet music (international edition)


atomic:

Fredrik Ljungkvist
(ts, bs, cl)
Magnus Broo
(tp, E-flat horn)
Håvard Wiik
(p)
Ingebrigt Håker Flaten
(doule-b)
Paal Nilssen-Love
(ds, per)

aaa

1. Næra grensen
(F Ljungkvist)
2. Longing for Martin
(F Ljungkvist)
3. Do it
(M Broo)
4. Den Flyktiga Magneten
(M Broo)
5. Psalm
(H Wiik)
6. El. Coto
(F Ljungkvist)
7. Prayer
(I H Flaten)
8. Fifth Circle
(H Wiik)
9. Krilons Resa
(F Ljungkvist)

aaa

Recorded & mixed by Janne Hansson March 20 & 21 at Atlanta Studios.
Mastered by Audun Strype August 28 at Strype Audio.
Coverdesign by Claus Torp at betasoup.
Produced by Atomic.

aaa

2001
Jazzland Recordings
[Acoustic Series]
016 558-2

ノルウェー・オスロのシーンの「カルト」グループとか、伝説のグループなどといわれる Element (下記↓)のメンバーが中心となって、その Element のセカンドアルバムリリースと同年の 1999年に結成されたのが Atomic。結成当初のメンバーは Ingebrigt Håker Flaten (b)、Paal Nilssen-Love (ds)、 Håvard Wiik (p) 、それに Håkon Kornstad (sax) 。この頃の音は、ジャズフェスティバルに出演した時の様子もエネルギッシュとかグルーヴィーな、と評されていて、私が聴いた曲もメロディアスでパワフル、Håkon Kornstad のサックスが、独特のカーブを描きつつも彼にしては割とストレートな印象で、それだけがちょっと意外だったけれど他は Element の印象からさほど外れない音で、もう私が聴いた音(いつのものかは不明)で既に相当な完成度だった。しかしこのカルテットは正式なレコーディングを残す前にメンバーが替わってしまう。2000年の、恐らく初夏あたりにこのグループの名づけ親でもあった Håkon Kornstad が抜け、入ったのが Fredrik Ljungkvist と Magnus Broo の2人。隣国スウェーデンのミュージシャン2人、 Fredrik Ljungkvist は Element 前後にも Atomic のオスロ組とは接点があるし、 Magnus Broo は音楽性を考えるととてもぴったりな人選だ、と思った。

その第2期 Atomic のメンバーで録音されたのがこのアルバム。ストックホルムでレコーディングされオスロでミックスされたこのアルバム、いわゆる「フューチャージャズ」系と認識されてきている Jazzland の新しいシリーズ "Acoustic Series" としての第一弾。出てきた音は・・・私がアルバムを手にするまで、 Element の音楽や第1期 Atomic の音やストックホルム組の音を重ね合わせて想像していた音とはあまりにも違っていて本当に驚いた。(そして今までの Jazzland の音などからは想像もつかない音。)

アルバムは耳なじみのない言葉によるカウント(誰がカウントするかを考えるとノルウェー語か)から始まり、テナーサックス→ドラム→ベース→ドラム→トランペット→ドラム→ピアノと挨拶代わりのワンフレーズずつのソロを回して始まる。今やセットでスカンジナヴィアからアメリカにまで進出するこのリズムセクション、凄いとは思っていたが、ここまで凄い音で迫ってくるとは。まるでバスドラムと f 字ホールに頭を突っ込んだみたいな音。音楽性は、メンバー自らベーシックなジャズ、アメリカとヨーロッパ双方のジャズの原点に立ち返り、そこから自分達独自の音楽を発展させたい、というような発言をしている。あちこちの批評などでは60年代の巨匠の名前が引き合いに出されているのだけれど、とりあえずアルバムタイトルが Ornette Coleman の曲から取られている、というので十分かもしれない。

アルバムはグルーヴィーでパワフルなFredrik Ljungkvist の曲から始まり、2曲目は同じく Fredrik Ljungkvist のスローバラード。Fredrik Ljungkvist のサックスはこういう曲ではとてもスイートな音(一方ではかなりフリーな吹き方もする人だ)、Håvard Wiik のリリカルなピアノの響きもいい。3曲目はまた気を取り直したようにアップテンポな曲。Magnus Broo らしいテンポの曲だけれど、曲調は彼の最近のカルテットの録音よりかなりパンキッシュな印象、さすがにこの曲は彼のテクニカルで人間的(これは Atomic というグループ、それにこのアルバム全体にも共通する)なトランペットに合っている。続く 4曲目も Magnus Broo の曲、この曲はちょっとあまり聴いたことのない種類の音楽で戸惑う。「大急ぎのマグネット」という謎なタイトルがつけられたこの曲はちょっとカオスでちょっとフリーな、けれど妙に明るい曲。5曲目は ピアノの Håvard Wiik の曲。淡々とベースが低音を跳ねないように刻み、ピアニッシモで2管が鳴る中、その Håvard Wiik のピアノが真ん中で鳴る。まだ20代半ばと思われるこのピアニスト、ちょっととつとつとした感じで弾き、派手でもないし実に何気ないけれど、よく響く、美しいタッチの持ち主で、その微妙な存在感が不思議だ。6曲目は再び Fredrik Ljungkvist の曲で、各楽器がとてもドラマチックに何かを予感させるように展開して、何か起こるのかとわくわくしていたら、さんざん盛り上げておいて次の曲に移ってしまう。次の曲はベースの Ingebrigt Håker Flaten の曲。彼の亡くなった父親に捧げる、というコメントが隅にクレジットされている。ミディアムテンポで、その彼のベースから始まるこの曲はアルバム中でもっとも美しい曲。控えめに吹くサックスとトランペットはちょっと悲しげで、ピアノも美しく、そしてこういう淡々とした曲をここまで多彩に叩く Paal Nilssen-Love のドラムが素晴らしい。なにやら考えこみそうなこの曲の後、いきなりその雰囲気を蹴飛ばすかのように Håvard Wiik の妙に明るいアップテンポな曲に変わる。このあたりの曲の並びはきっとかなり考えられているのだろう、まったく振り回されっぱしだ。そして、アルバムのハイライトは実は最後の Fredrik Ljungkvist の曲。なにやらもったいつけるようなイントロがあるのだけれど、その後やっと「何かが起こる」。ドラマチックで、それぞれのソロもやたらに迫力で、ひたすら圧倒されるが、この9分半の曲、7分半と終盤に入ってから入るドラムソロは極めつけ。最後はイントロと同じフレーズが出てきてクールダウンするように終わる。

・・・そしてきっとしばし呆然として、またスタートボタンを押してしまう・・・。



once there was
ELEMENT
...
element

Element

Gisle Johansen (ss, ts)
Håvard Wiik (p)
Ingebrigt Håker Flaten (acoustic-b)
Paal Nilssen-Love (ds, per)

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1. Statement
2. Over The Hill
3. First Light
4. Tribute
5. Elf Dance
6. Forest Waltz
7. Sunset
8. Duo
9. Looking At The Moon

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All tracks recorded in Rainbow May 6-8 1996 except "Looking at the moon", recorded at the Music Conservatory in Trondheim.
Sound Engineers: Jan Erik Kongshaug at Rainbow Studio & Roger Valstad at the Music Conservatory. Mastered and edited by Jan Erik Kongshaug and Element.
Photo by P. Heimly Prod.
Paintings by Langvatn
Design by Watz.


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1996 Turn Left Productions 96
Atomic の母体となったのが、この Element というグループ。アルバムリリースは2枚のみで、どちらもドメスティックなレーベルのため、国外(スカンジナヴィア外)ではほとんど知られていないのが本当に残念なグループ。国内では、きっとジャズファンなら知らない人はないと思う。

安易にだれそれ風と言うのは避けたいけれど、彼らに関してはもう自他ともに認めるというかそういうコンセプトでやっているのだからしょうがない。ずばり、60年代、コルトレーンの黄金カルテットのサウンドがベースになっている。

←ファーストアルバム(1996年)は、それだけ聴くと十分にいいアルバム。やたらにポリリズミックなビートを叩くドラムが派手目で、しかしそれ以外は単体でみると誰も黄金カルテットのメンバーそっくりな演奏はしていない。このグループの曲を手掛ける Gisle Johansen によるその曲がかなりそれ風。

→セカンドアルバム(1999年)は凄いアルバム(だからファーストがかすむ)。タイトル通り、オリエンタルなメロディーがテーマとなって構成されている組曲になっている。カルテットにさらにテナーを2人加え3管で迫力。それでもこのグループ、凄いのはドラムとベースとピアノ (この3人がこの後そのままAtomic を結成することになる)。相変わらずコルトレーン風、ファーストではそのまんまという感じの曲もあったけれど、セカンドは完全に消化されている。ハイライトはなんと言っても17分近い5曲目。それぞれの長いソロもテンションが高く、スタジオでこれを録ったとはちょっと信じがたい演奏。本当に完成度が高い素晴らしいアルバム、ある意味素晴らしすぎて、次がなかったのかも知れない(勝手な想像)。
shaman

Shaman

Gisle Johansen (ss ,ts, fl)
Håvard Wiik (p)
Ingebrigt Håker Flaten (double-b)
Paal Nilssen-Love (ds, per)
Petter Wettre (ss, ts)
Vidar Johansen (bcl, ts)

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1. The Wish
2. Shaman I
3. Shaman II
4. Meditation
5. Shaman's Dance
6. The Truce

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All compositions by G. W. Johansen
Produced by Element
Executive producers: Martin Revheim, Kjell Einar Karlsen and Øyvind Larsen
Recorded at Rainbow Studio - Oslo, Norway, December 3 & 10 1998
Engineer: Asle Karstad
Mastered by Jan Erik Kongshaug
Music advisor: Bjørnar Andresen
Cover design: Håkon Kornstad


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1999 BP 99001

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