(pickup 2002 vol 2 : 25 February 2002)
ra is: Ronny Andreassen (sax) Ole Jørn Myklebust (tp) Morten Qvenild (fender rhodes) Kjetil Lunde (g) Karl-Erik Rønsen (b) Erlend Lygren (ds) Stig Værnes (ds) Andreas Veire (sound) rarararararararararara 1. Giving Once More 2. Kalimu 3. Moala 4. Mythos 5. Strange Words
rarararararararararara all music composed Ronny Andreassen all arrangements by ra recorded live at Blå 19. August 2000 directry from Andreas' mixer to a one-track DAT. Mastered by Thomas Hukkelberg. Assisted by Ronny Andreassen. Cover design by Karl-Erik Rønsen and Ronny Andreassen. rarararararararararara ra was awarded "Young Norwegian Jazz Artists of the Year 2000" |
去年、このアルバムを耳にしたときはかなり衝撃を受けた。まさしくノルウェー色の音、一度聴いただけで耳に残るメロディー、新しいリズム感覚・・・。そしてこれが自主盤でしかもライブ録音(オスロで一番人気のあるライブハウス
Blå での録音)ということでさらに驚いた。 RA は Ronny Andreassen をリーダーとする8人編成のグループ。グループ名はもちろんリーダーのイニシャルを取ったもの。恐らく全員20代前半ばかりの驚異的に若いメンバーばかりで、皆オスロで活動していて、バンドももちろんオスロを中心としている。 ノルウェーの若いミュージシャン、年齢にして20代半ばから30代半ばくらいのジャズミュージシャンは、それまでほとんど例外なくノルウェーのトロンハイムにある音大のジャズ科出身ばかりだった。一言でいうと皆「恐ろしく上手い」。 ところが、この20代前半より若い世代になると急にオスロ派とでもいうのか、オスロ大学、もしくはオスロ音大の出身(場合によっては在学中)のミュージシャンが突然増える。オスロを中心にしているから、オスロのライブハウスに出演し、目に止まりやすい、ということはあるだろうけれど、それにしても最近続々とオスロ派のミュージシャンが出てくる。 そのオスロ派の若いミュージシャンは、その年齢のせいか、教育のせいか、両方なのか、とにかく柔軟な音楽性を持つ人が多い。この RA もそのタイプ。ドラマーが2人(一発録りのためか両者の区別はほとんどつかない)、これとエレクトリック・ベースの組み合わせは人間ドラムンベースなのだけれど、クラブ系サウンドとは全く異なる。格好よくて気持ちのいいビートだけれど、踊るのには適していなさそうだ。エレクトリック・ギターとフェンダー・ローズがサウンドの中央あたりをしっかり占めている。ギターはどちらかというとロックよりのロングトーンが中心、フェンダーローズはジャズより、但しジャムバンド系ではない。ビートといい、このエレピの入り方といい、ファンキーな踊る系ではなく、ジャズロックよりだ。ホーンは2人。このグループの音で一番目立つトランペットは、その抑制の効いた滑らかな音、それにノルウェーということで、日本では Nils Petter Molvær を引き合いに出す向きもあるようだ。確かに似た要素があるけれど、やはり音楽は異なる。そして、リーダーの吹くサックスはメロディーを歌うようで、でも前面に出るというよりアンサンブル重視だ。 収録されているのは5曲。全て Ronny Andreassen によるもの。長いものでは12分を超えるものもあるのに、見事に構成されていて、全く長く感じない。数箇所で入る歓声がなければライブレコーディングとはとても思えない録音だ。ソロパートも相当長いのに、曲、ビート、メロディーなどがとても印象に残る。全体では40分にも満たないので、実際の1回のライブでの演奏の半分くらいで、もっと聴いてみたい、と本当に思ってしまう。 ほとんど無名(少なくとも日本では)のミュージシャンばかりなので、そのうち地元での活動が目につく何人かを。(↓相当マイナーな話であることを最初にお断りしておく。) トランペットの Ole Jørn Myklebust はノルウェー製20人編成ビッグバンド Geir Lysne Listening Ensemble のメンバーで、ファーストアルバム "Aurora Borealis" にも参加している。その Ole Jørn Myklebust とフェンダーローズを弾く Morten Qvenild 、それにドラムの片方 Erlend Lygren は6人編成のジャズユニット "Østenfor Sol" のメンバーで、先の Geir Lysne のプロデュースで既に2枚のアルバムリリースがある。ノルウェー語ボーカル入りのフォークジャズといったアプローチ、昨年秋に出たセカンドアルバム "Troillspel" はノルウェーで評判。トランペットの Ole Jørn Myklebust はアコースティックベースとギターを従えたトリオ "OJ Trio" で既にアルバムを1枚リリースしているが、これが何と Chet Baker へのオマージュのようなもので、Nils Petter Molvær を彷彿とさせる RA での音を期待すると驚く。彼はトランペットを片手に歌っているが、ちなみに声はさほど Chet Baker ではない。 ギターの Ketil Lunde はジャズ(彼の「ジャズ」はかなり広義のよう)の他、自分のスタジオを持ち、テクノをやっている。テクノといっても音響系や、いわゆるポストテクノ系だろうと思ってたが、これが正真正銘のテケテケのテクノでこれまた驚く。ジャズギタリストというよりこちらの方が本職なのでは、という印象。 RA でフェンダーローズを弾く Morten Qvenild は、今注目すべきジャズ・ピアニストの1人。先の Østenfor Sol の他、ノルウェーで間違いなく一番人気のある10人組 Jaga Jazzist のサックス/フルート奏者 Jørgen Munkeby のジャズ・カルテット "Shining" ではアコースティック・ピアノを弾いていて(どちらかというと彼もこちらが本職)、BP レーベルからのデビューアルバム "Where The Ragged People Go" ではクラシックをきっちり押さえたに違いない確かな実力を見せている。 尚、彼は現在 Jaga Jazzist に正式に加入。但し最新作のレコーディングの後の加入で、アルバムには参加していない。この Morten Qvenild は時折見せるちょっとフリーな演奏、そのエレピの鳴らし方などから Christian Wallumrød 以来のノルウェー人ピアニスト、と思ったら、その Christian Wallumrød の妹 Susanna Wallumrød (ボーカリストで、伝説的なノルウェー人シンガー Radka Toneff を思わせるとのこと)とのデュオで、去年あたりから幾つかのフェスティバルなどにも出演している。地元では Sidsel Endresen × Bugge Wesseltoft 以来のデュオ!と言われている。他にも RA のトランペッターOle Jørn Myklebust の OJ Trio にゲストで顔を出したり、ノルウェー人女性シンガーSolveig Slettahjell のCurling Legs レーベルからのデビュー作 "Slow Motion Orchestra" にも参加している。 そして・・・RA のリーダー Ronny Andreassen は、オスロ派のグループのどこにも顔を出さない。大体順列組み合わせのようにあちこちセッションしてまわるのがノルウェーのシーンなのだけれど、彼は本当にどこにも出てこない。音を聞く限りぽっと出の新人でないことは確かなのだけれど、一体何を?と思ったら、彼の本職は何とポップ・プロデューサーとのこと。意外な活動をしているミュージシャンが多いこのユニットながら、これは極めつけ。が、彼自身は「様々に自分を表現できる、ということがとても気に入っているし、RA のようなジャズ、それにポップスをプロデュースするということは一見別物のように見えるけれど、実は想像するより結構類似することは多いんだ」、と言う。これこそが RA の音楽、そのロックもポップスもジャズもテクノもミックスしたありそうで他にはない個性なのだと思う。 たった1枚の自主盤でノルウェーでは "Young Norwegian Jazz Arist of the Year 2000" を受賞、いきなり注目の存在になった。そんな中、今年5月にはセカンドアルバムのレコーディングを予定している、とのこと。今度はスタジオ録音。ライブ録音のみだったのでこれを彼ら自身がとても楽しみにしているそうだ。前作の録音から既に1年半、今度はどんな新しい音を聴かせてくれるのだろうか。 |
| Tusen takk til Ronny :-) |