(pickup 2002 vol 3 : 25 March 2002)

scorch trio


oikosulku
säde
salaa
taajus
xxx
vittula
paahtaa


raoul björkenheim :
electric guitars
ingebrigt håker flaten :
electric and acoustic bass
paal nilssen-love :
drums and percussion


all compositions by björkenheim / håker flaten / nilssen-love
except bittula by björkenheim / håker flaten

recorded and mixed by kai andersen at athletic sound, january 2002
mastered by audun strype at strype audio
sleeve design by kim hiorthøy

2002; rune grammofon; RCD 2025
raoul björkenheim
ingebrigt håker flaten
paal nilssen-love
"scorch trio"



このアルバムのレコーディングのニュースは、2002年1月に唐突にやってきた。レコーディングからたったの2ヶ月で手元に届いた音は、予想をはるかに上回るものだった。

1曲目、冒頭から延々とドラムとエレクトリックベースによる演奏。異様な勢いで、もはやポリリズムだかなんだかわからないドラムソロのように叩きまくる Paal Nilssen-Love と エレクトリックベースをこれまたソロのようにべいんべいんと迫力のある音で弾く Ingebrigt Håker Flaten。あまりの迫力に唖然とすること3分、この2人の演奏に「もう1人」そこにいることをすっかり忘れさせられた瞬間に殴りこんでくるのが Raoul Björkjenheim のメタリックなエレクトリックギター。ギターが入るとベースはさすがにソロ風には弾かず、恐ろしく速いリズムキープにまわるけれど、他の2人は勝手に暴れまわる。

1曲目以下、かなり様々なタイプの曲、というより即興演奏が並ぶ。Raoul Björkenheim のいろいろな音のギターももちろんだけれど、他の2人、ベースもドラムも実にバラエティーに富んだ演奏をしている。

最初から最後まで恐ろしくテンションの高い演奏。静かな部分も、かえってそのぴーんとした雰囲気が感じられて聴いているほうも気が抜けない。

ギターもベースもドラムも与えられた役割みたいなものが全くなく、誰がバックに回ることもなく、誰が前に出ることもない。敢えて言うとすれば最初から最後までドラムソロのように規則性のない驚異的なドラムを叩きつづける Paal Nilssen-Love と、その個性的な音(メタリックなものからバンジョー風まで様々、音だけとればジャズ的要素は一切なく、純粋にロック的ですらある)とフレーズと音楽性を炸裂させる Raoul Björkenheim をしっかり捉えているのは Ingebrigt Håker Flaten の演奏だ、ということだろうか。しかも相性抜群、既に10枚以上のレコーディングと無数のセッションで共演しているこのドラムとベースはさすがの呼吸で、曲の途中でふと音楽の走る方向を変えてみせたりする。

"scorch trio" - 表面が焦げつくようなトリオという意味合いだろうか。ここで聴かれるのは焦げつくというより火でも噴きそうな演奏だ。これがジャズかロックかなんていう議論は当分放っておいていいと思う。


Ingebrigt Håker Flaten (bass; b. 1971) × Paal Nilssen-Love (drums; b. 1974)
現在のノルウェー・ジャズ界最大輸出品目!以下は2人が揃って参加しているレコーディング作品のリスト。もちろん単独で参加しているものはどうしようもないくらいある。

1996 : Element "Element" (Turn Left)
w/ Gisle Johansen (ss, ts), Håvard Wiik (p)
1997 : San "Song" (NOR-CD)
w/ Zim Ngqawana (南アフリカ; ss, as, ts, fl), Bjørn Ole Solberg (as, ts), Andile Yenana (南アフリカ; p)
1998 : Zim Ngqawana "Zimology" (Sheer Sound; 南アフリカ)
w/ Zim Ngqawana (南アフリカ; sax, fl, vo, p), Andie Yenana (南アフリカ; p)
1999 : Element "Shaman" (BP)
w/ Gisle Johansen (ss, ts, fl), Håvard Wiik (p), Petter Wettre (ss, ts), Vidar Johansen (bcl, ts)
1999 : Ingoma feat. Zim Ngqawana "Ingoma" (Sheer Sound; 南アフリカ)
w/ Zim Ngqawana (南アフリカ; fl, sax, harmonica, vo, tambourine), Andie Yenana (南アフリカ; p, vo), Lefifi Tladi (南アフリカ; poetry, artwark, chorus), Dumakude Msuthwana (南アフリカ; tp, chorus), Zim Ngqawana (南アフリカ; chorus)
2000 : School Days "Crossing Division" (Okka Disk; アメリカ)
w/ Ken Vandermark (アメリカ; reeds), Jeb Bishop (アメリカ; tb)
2000 : Mats Gustafsson / Ingebrigt Håker Flaten / Paal Nilssen-Love "The Thing" (Crazy Wisdom; スウェーデン)
w/ Mats Gustafsson (スウェーデン; as, ts)
2001 : No Spaghetti Edition "Listen ... And Tell Me What It Was" (Sofa)
w/ Maja Ratkje (vo, elecronics), Ingar Zach (ds, per), Pat Thomas (イギリス; p, electronics), Frode Haltri (accor), Tonny Kluften (double-b), Ivar Grydeland (g), Axel Dörner (ドイツ; tp, electronics), Rolf Erik Nystrøm (reeds), Håkon Kornstad (reeds), Øyvind Torvund (g)
2001 : The Thing w/ Joe McPhee "She Knows ..." (Crazy Wisdom; スウェーデン)
w/ Mats Gustafsson (スウェーデン; ts, bs), Joe McPhee (アメリカ; pocket tp, ts)
2001 : Atomic "Feet Music" (Jazzland)
w/ Fredrik Ljungkvist (スウェーデン; ts, bs, cl), Magnus Broo (スウェーデン; tp, e-flat horn), Håvard Wiik (p)
2002 : Raoul Björkenheim / Ingebrigt Håker Flaten / Paal Nilssen-Love "Scorch Trio" (Rune Grammofon)
w/ Raoul Björkenheim (フィンランド; el-g)

***
おまけ:
今年の7月のノルウェー・Kongsberg Jazz Festival に登場する注目の Paal Nilssen-Love Quartet:
Paal Nilssen-Love (ds), Sten Sandell (スウェーデン; p), Ingebrigt Håker Flaten (b), Evan Parker (イギリス; sax)


apocalypso


oracle
sages
rain
surf dance
lament
circles
apocalypso
spirits
last oracle


music by raoul björkenheim
produced by raoul björkenheim and heikki savolainen
recorded and mixed by heikki savolainen at seawolf studios, suomenlinna, finland during summer 2000 and spring 2001
black and white photo by stefan bremer
eye photographs by jarmo valtonen
design by raoul björkenheim


2001; cuneiform records; rune 156
raoul björkenheim
"apocalypso"


"Apocalypso" は Raoul Björkenheim が1996年から行なっているプロジェクト。韓国の「シナウィー」と呼ばれる即興・トランス音楽に影響を受けたというこの音楽は、もともと 30人のエレクトリックギタリスト、8人のベーシスト、4人のパーカッショニストの合計42人という大編成の壮大なアンサンブル。

それをこのアルバムでは Raoul Björkenheim が全てのパートを演奏している。また完全なソロアルバムとしては初めての作品となる。

1音でもただ事でない存在感と妖しさと過激さを持ち合わせる Raoul Björkenheim のギターが、束になって押し寄せてくる。ジャズギターというより、ヘビーメタルとかロックといった音。ガンガンに響いていたかと思うと、ぐよんとひずんだ妖怪でも出てきそうなフレーズが飛び出してきたりする。ベースはともかく自ら演奏するパーカッションが、どんどんどどんと、たしかに何かの怪しげな儀式のようになり、さらに極めつけは時折後ろで響き渡るドラのぐぉーんという音。

ジャケットの目玉写真、ジャケ内のとりつかれたように目を見開く Raoul Björkenheim の写真、そしてこの暗黒音楽、全てがただ事でない。




Raoul Björkenheim、1956年2月11日アメリカ・ロサンゼルス生まれ。10代でフィンランドへ。ヘルシンキ、のちにバークレーで音楽を学ぶ。1980年代、同郷フィンランド出身のドラマー Edward Vesala の "Sound & Fury" で注目される。1985年からはは自身のバンド "Krakatau" とともに活動する一方、様々な国のアーティストとのコラボレーションがある。

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