(pickup 2002 vol 5 : 23 April 2002)

Jaevla Jazzist Grete Stitz
1996
(??)
Jævla Jazzist Grete Stitz

1. Jazzthang (chillout mix)
2. The Millennium Falcon
3. Tyrkisk Pepper
4. Serafin
5. Ekteskap
6. Yo! It's Christmas
7. Out Of Reach (or switched off)
Jaga Jazzist の音を表現するのは難しい。既に日本にちらほら入ってきていろんなところでいろんな形容詞・・・○○みたいな音、と表現されているのをみるのが面白い。いわゆるシカゴ派系の名前が多いようだけれど、大抵並べてはみたものの、結局は「?」というシメでこれがまた面白い。

Jaga Jazzist はノルウェーの Tønsberg というオスロを南へ車で1時間程の距離の町で 1994年に結成された。奇妙な名前は「やが・やしすと」と発音する。ファーストアルバム "Jævla Jazzist Grete Stitz" は1996年のクリスマスに自主盤としてリリースされた。いまや絶対にどこにもない幻の1枚。再度プレスされることは恐らくないはず(残念ながら)。[※ その "Jævla Jazzist 〜" はメンバーがクレイジーだけど大好きなアルバム!というように、今の Jaga に通じる曲もあるものの、ラップありレゲエあり、最後の曲は20分以上も Line Horntveth がメンバー紹介がてら喋り続けるライブ録音という迷作。 (2003/03/23 追記) ]

結成から今年で8年にもなる割にはアルバムリリースが少ないように思われるが、彼らはなんといってもライブバンドで相当な数のライブを行なっていて、国内でも絶大な人気。その知名度たるや ECM や Jazzland からアルバムをリリースしている日本でもよく知られているミュージシャン達をはるかにしのぐ。そもそも、彼らを支持しているファン層があまりにも広すぎる。

自主盤のファーストに続き去年(2001年)ノルウェー・ワーナーという破格にメジャーなところからリリースされたのがセカンドアルバム "A Livingroom Hush"、彼らの人気を決定づけることになった1枚。

"A Livingroom Hush" は実にいろんな音が詰まっている。アルバム冒頭から高速で逆回転の音を入れるという彼ららしいキツいジョーク。そもそも彼らはユーモアのセンスがある。 Magazine EP のブックレットの写真や A Livingroom Hush のこのアフリカ系オバサンジャケとか、それに彼らのオフィシャルHP などいたるところにそのセンスを発揮している。

Jaga のサウンドの鍵を握っているのはリーダー格のドラマー Martin Horntveth。彼の持つビート感とエレクトロニカ寄りの音楽性がこのグループの基盤になっている。打ち込み系のビートに自らの生のドラムを重ねたりする。重くなくて細かいビート。10人編成の音楽が上にのっかるには結構軽やか。それにエレクトリックベースがこのグループのリズムセクションだけれど、ベースの Evan Ormested はエレクトリックベースのみで、曲によってウッドベースを入れるときはトランペッターの Mathias Eick が弾くというのも凄い。もう一人、この管楽器隊の重くなりそうな音に風穴を開けるのがヴィブラフォンの Andreas Mjøs。この3人に キーボード(※アルバム "A Livingroom Hush" でキーボードを弾いているのは Ivar Chr. Johansen で彼は既にグループを脱退している)とギターが入り、そこに 5管 がのる。

Jaga Jazzist のメインのソングライターは 2人のテナー奏者。Horntveth 3姉弟の1人 Lars Horntveth と Jørgen Munkeby。彼らの音はすぐに聞き分けられるほど違う。少しハスキーで柔らかい音が Lars Horntveth で、テナーもフルートも強めで鋭い音と節回しなのが Jørgen Munkeby。

どうしても表現しにくい Jaga のサウンド。曲はしっかり作曲・アレンジされていて、それぞれの曲はとてもメロディアス、ちょっとだけ影を感じるのはやっぱりノルウェーらしさなのだろうか(考えすぎだろう)。現代的なビートなのだけれど、それは決してドラムンベースなどのクラブよりではなく、敢えていうならテクノ寄り。それぞれのメンバーのソロもあるけれど、あくまでも曲の一部で、極端にアンサンブル志向が強い。そこへちりちりいうノイズを入れてみたりとエレクトロニカな音処理をしている。

ジャズ、ロック、ポップス、エレクトロニカなどを見事に Jaga 流にブレンドして出来上がったサウンドは結局類似するものが見つからずに Jaga は Jaga なのだとしか表現できない。要素としてはジャズとエレクトロニカが大きくて、両者の融合というのが一番無難か。でもジャズだと思って聴くとこのアルバムは理解できないかもしれない。私が最初にアルバムを聴いたときがそうだった。ジャンルとかの考えをとっぱらって、素直に音を聴き返してみると、これは紛れもなく新しい、ユニークな音楽だ、そう考えるとこの音がすっと心地よく入ってくるような気がした。

最後に・・・私がそれとしらずに遠くから聴いた(彼らは1階で演奏していて、私は同じ建物の5階にいた) Jaga Jazzist のライブの音は、その距離をおいても迫力の音で、あれを聴いてからアルバムを聴いたからこそ最初は戸惑ったのかもしれない。つまり、ライブはこの名作アルバムをはるかにしのぐはずで、ライブを是非(こんどこそちゃんと)見てみたいグループだ。
Magazine EP
1998
(Dbut; ndbut 007)
Magazine EP

1. Jaga Ist Zu Hause
2. Plym
3. Swedish Take Away
4. Seems To Me
5. Serafin I Jungelen
Magazine (reissue)
2004
(Smalltown Supoersound; STS082)
Magazine (reissue)

1. Jaga Ist Zu Hause
2. Plym
3. Swedish Take Away
4. Seems To Me
5. Serafin I Jungelen
6. Magazine Part I & II (Shining Rework)
A Livingroom Hush
2001
(WEA; 847 387 050 2)
A Livingroom Hush
(Norwegian Edition)

1. Animal Chin
2. Going Down
3. Press Play
4. Airborne
5. Real Rececars Have Doors
6. Low Battery
7. Midget
8. Made For Radio
9. Lithuania
10. Cinematic
Airborne - Going Down EP
2001
(WEA; 857 389 2)
Airborne - Going Down EP

1. Airborne (edit)
2. Clean Up - Go Home
3. Going Down
(tha phoney fred & lov remix)
4. tri star
5. going down
(spillejobb remix by kim hiorthøy)
Going Down EP
2001
(Smaltown Supersound; STS5312)
Going Down EP(12")

A1. Going Down
A2. Lithuania
(martin horntveth remix)
B1. Going Down
(spillejobb remix by kim hiorthøy)
A Livingroom Hush (International Edition)
2002
(Smaltown Supersound;
STS056CD)
A Livingroom Hush
(International Edition)

1. Animal Chin
2. Going Down
3. Press Play
4. Airborne
5. Real Rececars Have Doors
6. Low Battery
7. Midget
8. Made For Radio
9. Lithuania
10. Cinematic
A Livingroom Hush (Japanese Edition)
2002
(Beat Records; BRC-60)
A Livingroom Hush
(Japanese Edition)

1. Animal Chin
2. Going Down
3. Press Play
4. Airborne
5. Real Rececars Have Doors
6. Low Battery
7. Midget
8. Made For Radio
9. Lithuania
10. Cinematic
[bonus tracks]
11. Plym
12. Animal Chin (live)
13. Airborne (live)
A Livingroom Hush (UK Edition)
2002
(Ninjatune; ZEN CD76 (CD), ZEN 76 (LP))
A Livingroom Hush
(UK Edition)

1. Animal Chin
2. Going Down
3. Press Play
4. Airborne
5. Real Rececars Have Doors
6. Low Battery
7. Midget
8. Made For Radio
9. Lithuania
10. Cinematic
[CD includes video of "Animal Chin"]
artwork by Kim Hiorthøy
Day EP (12")
>> see "The Stix" page!
Animal Chin EP
2003
(Gold Standard Laboratories; GSL65CD)
Animal Chin EP

1. Animal Chin
2. Real Racecars Have Doors
3. Low Battery
4. Toxic Dart
5. Tristar
6. Lithuania (Martin Horntveth remix)
7. Going Down (Kim Hiorthøy Spillejobb-remix)

Third Album of Jaga Jazzist "The Stix" .... released 26. August 2002 in Noway!


jaga jazzist

current members (April 2002):


Harald Frøland (g, effects, syn)
Andreas Mjøs (vib, marimba, per, ds, key)
Martin Horntveth (ds, ds-machine, per, key)
Jørgen Munkeby (fl, afl, ts, bcl, key)
Line Horntveth (tuba)
Lars Horntveth (ts, bs, fl, bcl, ac-g, highstring-g, key)
Even Ormested (b, key)
Lars Wabø (tb)
Mathias Eick (tp, key upright b)
Morten Qvenild (key)

the jaga family. (アルバムリリース順、* は Jaga Jazzist のメンバー)

Rotoscope "Great Curves"
2001
(Jester; TRICK 015)
Rotoscope "Great Curves"

Christine Sandtorv (vo)
Knut Aalefjær (ds, per)
Rune Brøndbo (electronics, allsorts)
Lars Horntveth (ts, bcl, cl, key) *
Andreas Mjøs (electronics, key, g, ds, ds-machine, b, screaming) *
Rob Waring (vib, per, key, midi-treatments, clavinet)

Martin Horntveth とともに Jaga Jazzist のサウンドの鍵を握るヴィブラフォン奏者 Andreas Mjøs のプロジェクト。最初にこの顔ぶれを見たときは、なんとヴィブラフォン奏者が2人?! と思ったけれど、Andreas Mjøs はヴィブラフォンを弾いていない。代わりにヴィブラフォンを弾くのはアメリカ出身で現在はオスロで活動する名手 Rob Waring。他のメンバーも "Sternklang" という名前で Wibutee に参加している Rune Brøndbo、Helge Lien Trio など知られる Knut Aalefjær、それに Jaga のメンバーLars Horntveth、プロデューサーは "A Livingroom Hush" を手掛けた Jørgen Tæen というもの凄い布陣。これに Ephemera のメンバー Christine Sandtorv の、ちょっと舌足らずな甘い声のボーカル(というよりヴォイス、ある種のスウェーデンものポップスとかによくあるタイプ)が絡む。音はエレクトロニカとアコースティックなサウンドの融合。Jaga よりずっとエレクトロニカ寄り。Lars Horntveth の少しハスキーな音はさすがに Jaga の顔だけあってあの音!とすぐにピンとくる。ドラマーが違うのでビート感が全く異なる。細かいビートにヴィブラフォンが乱舞する曲が凄い。とても凝った面白い作品。

Shining "Where The Ragged People Go"
2001
(BP; 01011)

Shining "Where The Ragged People Go"

Jørgen Munkeby (ts, fl, bcl) *
Aslak Hartberg (ac-b)
Torstein Lofthus (ds)
Morten Qvenild (p) *

ここに挙げる Jaga のメンバーのソロプロジェクトで一番、というより唯一ジャズを前面に打ち出してきたのがこの Shining。 Jørgen Munkeby はリリース当時まだ21歳。オスロ大学周辺仲間の他のメンバーは彼よりは年上とはいえ20代半ばばかり。ノルウェーのシーンで最近ちらほら見られる傾向の1つが60年代のアメリカのジャズを踏まえたサウンドで、この Shining もその1つに数えられるかもしれない。例えば "Small Steps" という曲があり、もちろん Coltrane の "Giant Steps" を踏まえた曲ながらこの控えめなタイトルが逆にほほえましくすら感じられる。ただし最後に入ったドラマーの Torstein Lofthus (この人はオスロのライブシーンでは引っ張りだこの注目株!)の叩くビートがとても現代的でグルーヴィーなので古くささはまったくない。ピアノの Morten Qvenild はクラシックの素養もあるらしく、幾つかの曲でのフリーな演奏でも現代音楽を少し想起させるような音使いで素晴らしい演奏をしている。Shining はこの4人の多忙さを考えるとかなりライブに力を入れているようで、数年前から多くのフェスティバルに出演している。Jørgen Munkeby のこの自分のグループにかける意気込みは相当なもの、と感じられる。

Martin Horntveth "Fast Motion"
2002
(Smaltown Supersound;
STS057CD)

Marin Horntveth "Fast Motion"


Martin Horntveth *

Jaga のリーダー格、Martin Horntveth のソロプロジェクトと聞いて、Jaga でこの人が出来ないことがあるのだろうか?と正直少し不思議に思った。2001年内に 12" で EP としてリリース、という予定だったのがどういうことなのか 2002 年にまたスタジオに入って結局 5 曲入り 20分の CDEP としてのリリース。出てきたのは完全にエレクトロニカ。スタジオにこもってあれこれと音を作った、という感じで、いかにもドラマーらしいビートが詰まっている。この5曲、管楽器隊を加えたら Jaga のアルバムに入れても全く違和感がなさそうで、彼は Jaga ではメインのソングライターではないにもかかわらずサウンドの鍵を握っているのだ、と改めて感じた。この CDEP 、ジャケットはなく、プラスチックケースに直接曲のタイトルなどのクレジットとノルウェーの地図がプリントされていて、盤にはサンクスリストと小さいノルウェーの地図がプリントされているという手の込んだもの。

other jazzist(s). (気になる「後から来たメンバー」)

Mathias Eick : ウッドベースも弾くトランペット奏者。Jaga のアルバムには "A Livingroom Hush" から参加している。実に様々なプロジェクトを同時進行させている。"Strange Meeting" というカルテット(トランペット・ギター・ベース・ドラム)は「Kenny Wheeler や Bill Frisell にインスパイアされたジャズ」とのこと。もう1つクインテットで "Motif" (テナーサックス/バスクラリネット・トランペット・ピアノ・ベース・ドラム)というグループもあり、これは昨年(2001年)、コペンハーゲン・ジャズ・フェスティバルで "Young Nordic Jazz Comets 2001" という賞を受賞したユニット。アコースティックながら、ファンクやエレクトロニカなどの要素も取り入れている音、とのこと。他にはギタリスト Jacob Young の新しいグループにも参加。この Jacob Young のグループにこれまで参加したトランペッターは Nils Petter MolværArve Henriksen 。Mathias Eick はその次の世代のホープとして注目されているようだけれど、いずれもまだレコーディングがない。

Morten Qvenild : キーボード奏者。最新作 A Livingroom Hush のリリース後に Jaga に加入したため、Jaga のアルバムではまだ音が聞けないメンバー。Jørgen Munkeby のグループ "Shining"(↑) への参加は数年前から。24歳。"Østenfor Sol" (太陽の東、の意)という6人編成のボーカル(ノルウェー語!)入りフォークジャズユニットで既に2枚のアルバムリリースがある。また Ronny Andreassen のグループ "RA" のファーストアルバム "Live@Blaa" は自主盤ながら絶賛された1枚で、日本にも入っている。その他最近では日本でも国内盤がリリースされて話題のシンガー Solveig Slettahjell のファーストアルバム "Slow Motion Orchestra" で彼女の歌の次に印象に残るであろう名歌伴を披露している。他に Christian Wallumrød の実妹 Susanna Wallumrød (vo) とのデュオはまだレコーディングはないものの既にかなり前から評判。

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