(pickup 2002 vol 7 : 12 June 2002)
![]() Øyvind Brække (tb) Trygve Seim (ts, ss, clarophone) Per Oddvar Johansen (ds) Finn Guttormsen (double-b) Odd Hannisdal (vln) Henrik Hannisdal (vln) Marek Konstantynowicz (vla) Morten Hannisdal (cel) Frode Haltli (accor, btb) Arve Henriksen (tp) Christian Wallumrød (p) 1. Organismus Vitalis Trygve Seim 2. Mmball Per Oddvar Johansen 3. Funebre Witold lutoslawski 4. Deluxe Per Oddvar Johansen 5. Bhavana Trygve Seim 6. Saltpastill Øyvind Brække 7. Flipper Øyvind Brække 8. Plukk Øyvind Brække 9. Obecni Dum Trygve Seim 10. Suppessions Øyvind Brække 11. Number Eleven by the ensemble 12. Fort-Jazz Trygve Seim 13. Sen Kjellertango Øyvind Brække 14. Uten Forbindelse Per Oddvar Johansen 15. Tutti Free by the enseble Recorded November 2000 Rainbow Studio, Oslo Engineer: Jan Erik Kongshaug Cover Photo and Design: Sasha Kleis Liner Photo by Colin Eick Produced by Manfred Eicher 2002; ECM 1764 |
Trygve Seim Øyvind Brække Per Oddvar Johansen The Source and Different Cikadas どれがアーティスト名でどれがアルバムタイトルかわからない妙なクレジットのこのアルバム、音の始まりは7年間までさかのぼる。 ノルウェーの 4人編成のジャズユニット The Source は結成から2年後の1995年にリレハンメルで行われた Dølajazz というフェスティバルで Cikada String Quartet と共演する。これがトロンハイムのビジュアルアーティスト Silje Sagfjæra とのコラボレーション"Den Pluralistiske Sitron" (= The Plural Lemon) というプロジェクトのスタートとなる。 サウンド面では The Source のメンバーのうち参加しているのは Trygve Seim 、Øyvind Brække、Per Oddvar Johansen の3人で、さらに Arve Henriksen のトランペットを入れている。この時期 The Source のベーシストのポストが空いていたから、ということはもちろんあるだろうけれど、ダブルベースの代わりにトランペットを入れた、としているのが面白い。そしてこれに ECM のレコーディングなどで知られる Cikada String Quartet が加わっている。 このサウンドとヴィジュアルのコラボレーション「複数のレモン」は、 1998 年に Trondheim で、1998 年の10月にはオスロのクラブ Blå で2回、合計3回のパフォーマンスを行っている。ヴィジュアルのほうは、150kg のレモンを使い、アコースティックな楽器の響き、ライティング、それにレモンの形と味と香りでオーガニックな空間を作り、観客の感覚を刺激する、というもの。そのプロジェクトの模様が少しだけブックレット内の写真から伺い知ることができる。細い棒で縦に串刺しのように連ねられたレモンのオブジェが大量にステージにセットされ、ドラムセットのすぐ脇まで迫っている。床にはこれも大量のレモンが転がっていて、ライティングの光によってその黄色が鮮やかに輝いている。 その Blå で行われた 2ステージは両日とも Jan Erik Kongshaug によって録音されていた。この録音を ECM のオーナー Manfred Eicher が気に入り、当初はこのライブレコーディングをリリースするという計画もあったそうだ。しかし、その Manfred Eicher の提案により、このマテリアルを全て Rainbow Studio で録音し直してリリースする、ということになり、結果的にこのプロジェクトの録音は Trygve Seim のソロ作 "Different Rivers" よりも後のリリースとなった。 その "Different Rivers" (2000; ECM) でヨーロッパを中心に高い評価を得た Trygve Seim (sax) による、ゆらりと現れては消えていくオーロラのようなストリングスが美しい曲でアルバムは始まる。彼は最近はほとんど自らのグループ Trygve Seim Orchestra の活動に専念していて、かなりのヨーロッパツアーを行っている。このアルバムでも冒頭の曲を筆頭に彼らしい、ノルウェーの音楽に根ざした暖かなメロディーを、複数の楽器によるハーモニーで描いている。 まだ30歳を少し過ぎた若さで既にノルウェーのシーンを代表するドラマーと評される Per Oddvar Johansen は、ある意味ドラマーらしいダイナミックな曲を書いている一方で、2曲目のように優しいメロディーの曲も彼によるものだ。彼の繊細なドラムは決して派手ではないけれど、このアンサンブルの中では最も「ジャズ」なパートを担っている。 Øyvind Brække はトロンボニストとしてはもちろん、作曲家、アレンジャー、バンドリーダーとしての活動が多いミュージシャン。ビッグバンドや比較的編成の大きいアンサンブルのアレンジなどに才能を発揮していて、このアルバムでも彼の曲、例えば #8 や #13 などで素晴らしい曲とアレンジを聴かせる。The Source というグループを個性的なグループにしているのは彼の個性だ。 ライブの時から準メンバーとして参加していたのがトランペットの Arve Henriksen。Trygve Seim Orchestra では Per Oddvar Johansen とともに 重要なメンバーで、The Source のセカンドアルバムにも少しだけゲスト参加している。彼の独特のトランペットはこのアルバムではさほど尺八度は高くないものの、時折さすがに耳を捉えるものがある。 スタジオで録りなおすにあたり参加しているミュージシャンが増えている。このプロジェクトと前後して The Source に加入したベースの Finn Guttormsen。彼はもちろん現在の正式なメンバーで、他には Farmers Market のメンバーとしても知られる。アコーディオン(と少しだけバストロンボーン)で参加する Frode Haltli は現在やはり Trygve Seim Orchestra のメンバーで、他にもクラシック、民俗音楽から No Spaghetti Edition のようなフリージャズまでこなすプレイヤーで、今年2002年9月(予定)には同じく ECM (但し New Series!)からソロアルバムをリリースする。彼のアコーディオンの音は、もともとその音がここになかったとは信じられないほどハマっている。もう1人、ECM 系というべきピアニストの Christian Wallumrød。彼の1998年のリーダー作 "No Birch" 以来 ECM から遠ざかっいて、さらに最近はフェンダーローズの演奏が多いけれど、ここでは彼らしいタッチのアコースティックピアノでサウンド全体をきりっと締めている。 アルバムはライブのときのマテリアルが大半だということで、この3人によるものがほとんど。ストリングカルテットは添えられているのではなく、最初からアンサンブルのパートとして組み込まれている。弦楽器が5人、管楽器3人、打楽器が1人、それにピアノとアコーディオンの鍵盤楽器が2人の合計最大11人が変幻自在に入り乱れる凝ったアレンジが圧巻。その11人、曲によって様々な編成で、曲も現代音楽よりのものから、タンゴ、民俗音楽のエッセンスを感じるもの、ミニビッグバンド風の軽快で楽しげなもの、それに彼ららしい少しフリーよりのジャズ…と実にバラエティーに富んでいる。 恐らくスタジオで録音した際にインプロヴィゼーションを主にして録られたと思われる曲が2曲。#11 はストリングス抜きのジャズミュージシャン6人による演奏。Christian Wallumrød のピアノと Per Oddvar Johansen のドラムから始まるゆったりとした、怪しげな雰囲気を漂わせた曲。そしてアルバムの最後の #15 は11人全員による1曲。ストリングスの幻想的な響きから始まり、少しずつ楽器が重なり、静かに、また北欧らしく温度感が低いまま盛り上がり、そしてやがてすうっと消えていく。このあまりにも圧倒的な曲で、アルバム冒頭の曲から70分、そしてこの音にまつわる7年間のストーリーが完結する。 |
| The past of THE SOURCE. | |
![]() Olemanns Kornett 1994; Curling Legs; CD 10 |
The Source はトロンハイムの音楽院仲間である Trygve Seim (sax)、Øyvind
Brække (tb)、Ingebrigt Håker Flaten (b)、Per Oddvar Johansen (ds) により 1993年秋に結成された。その後あっという間に非常に高い評価を得て、翌
1994年2月にはレコーディング、同年に Curling
Legs からファーストアルバム "Olemanns Kornett" をリリース。フリージャズ、とされているけれど、メロディーはきっちりとあり、演奏もメンバーの実力が既に相当のものであったことがわかり、しかもパワフル。曲は
Øyvind Brække と Trygve
Seim
によるものが大半でとてもバラエティーに富んでいて、ちょっと癖のある、ひねったアレンジとメロディーがとても個性的。 ファーストが評判を呼んだ彼らは勢いに乗るように翌 1995年には"The Source: Of Christmas" をリリース。ちなみに前作は「青盤」、このアルバムは「赤盤」と呼ばれている。ノルウェーのクリスマスソングをメインに "Winter Wonderland"、"Jingle Bell"、"When U Wish Upon A *" といった曲もある。The Source とゲストミュージシャンによるシリアスな演奏に、時折子供の歌が登場したりとユーモアもたっぷりで彼らのまた別のサイドも見せるアルバム。彼らのクリスマスライブはこの後恒例化しているようで、特にオスロ Blå でのライブは毎年この時期のハイライトとなる。 The Source のもう一枚のレコーディングは 1995年7月のライブ録音、リリースは2000年。ノルウェー・トロンハイム出身のトリオ編成のロックバンド Motorpsycho とその Motorpsycho に一時期在籍していた Deathprod こと Helge Sten (現在は Supersilent のサウンド・ノイズ担当)、それに The Source という取り合せの一回きりのライブパフォーマンス。The Source のファーストアルバムからの曲なども演っていて、出だしはほとんど同じ、と思いきやいきなりダウンピッキングのメタリックなギターが乱入、さらに Helge Sten による宇宙人的サウンドが飛び交う怪作。 そしてこの後、1995年内にベースの Ingebrigt Håker Flaten が、彼がその当時掛け持ちしていたもう1つのバンド "Element" に専念するため The Source を去ってしまう。パワフルな The Source のサウンドの基盤となっていたベーシストを失った彼らはその後模索の末、Finn Guttormsen を新たに迎える。バンドはその後アルバムリリースこそなかったものの、1997年を除いては現在までコンスタントにツアーを行っていたそうだ。脱退した Ingebrigt Flaten は Element での2枚のアルバムリリースを経て、2001年に自ら率いる Atomic というユニットで、しかも1999年の結成から2年もかかってようやくファーストアルバムをリリースした。そして一方の The Source はアルバムリリースの空白を鮮やかに埋めるような作品を少し遅れてリリース。あまりにも異なるスタイルの力作2枚。どちらも彼らがそれぞれに重ねてきた時間を集約したようなアルバムだ。 |
![]() Of Christmas 1995; Curling Legs; CD 21 |
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![]() Roadwork vol. 2: The MotorSourceMasscre Motorpsycho, The Source & Deathprod live at Kongsberg Jazzfestival 1995 2000 Stickman Records 3rd ear 0200 |
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