(pickup 2002 vol 16 : 20 December 2002)
| COME SHINE | Erlend Skomsvoll (p) Håkon Mjåset Johansen (ds) Sodre Meisfjord (b) Live Maria Roggen (vo) |
![]() "Do Do That Voodoo" 1. Saga of Harrison Crabfeathers 2. My Fabourite Things 3. Memories Of You 4. You'll Have To Swing It 5. You've Changed 6. Somewhere Over The Rainbow 7. Nature Boy 8. April In Paris 9. Love For Sale 10. You Do Something To Me All arrangements by Come Shine / Erlend Skomsvoll. Recorded August 16th-18th 2002, at the Studio La Buissonne (Pernes-les-Fontaines, France). Recording engineer: Gilles Olivesi. Assistand engineer: Ludovic Palabaud. Mixed September 2002 by Vidar Luden, Misikkloftet, Oslo. Mastered October 11th and 14th at Fersk Lyd as, Oslo, by Giert Clausen and Knut Værnes. Produced by Come Shine. Photos: Johs. Bøe. Cover design by Christian Borge Johansen. 2002; Curling Legs; CLP CD 75 COME RAIN OR COME SHINE ![]() "Come Shine" 1. Fascinating Rhythm 2. Do Nothing Till You Hear From Me 3. I Live To Hear It Sometime 4. September Song 5. Let's Do It (Let's Fal In Love) 6. When I Fall In Love 7. My Funny Valentine 8. Lush Life 9. You Don't Know What Love Is All Arrangements by Skomsvoll / Come Shine. Clifford Brown solo on track 4 transcribed by Roggen. Recorded at Musikkloftet, Oslo6-10 May 2000. Recording engineer: Vidar Lunden. Mixed by Vidar Lunden, Musikklofted February 2001, with Morten Halle & Come Shine. Mastered by Mikkel Schille with Knut Værnes at Lydmuren 14 & 19 February 2001. Cover design: Christian Borge Johansen. Photos; Marte Garmann Johnsen, Live Maria Roggen and Torstein Brattset Drabløs. 2001; Curling Legs; CLP CD 61 |
Come Shine はノルウェー第3の街トロンハイムをベースにする、女性シンガー、ピアノ、ベース、ドラムのシンプルなカルテットで、しかもレパートリーはスタンダードチューンばかり。 結成は 1998年。ピアノの Erlend Skomsvoll とボーカルの Live Maria Roggen がファーストアルバムをリリース前の Wibutee のメンバーだった頃だ。 Come Shine のキーパーソンは、意図的に前面に出ることをを避けているようですらある(例えばファーストアルバムのジャケットでは一番右端に控えめに写っている) Erlend Skomsvoll 。ピアニストというよりむしろコンポーザー/アレンジャーである彼が一躍注目されたのは2000年のモルデ・ジャズフェスティバル。Trondheim Jazzorchester という地元トロンハイムの凄腕ミュージシャンを揃えたビッグバンドと Chick Corea の共演で、Chick Corea のオリジナルのアレンジを手がけ絶賛された。Chick Corea 自身が「世界で最も素晴らしいアレンジャーだ」と評したその手腕を買われて異例の2年連続のモルデのオープニングプログラム登場となった。私が観たその2年目のコンサートは Pat Metheny をゲストに Pat Metheny のオリジナルをアレンジしたものを披露。原曲は確かにそこに残っているのに、(いい意味で)別物のような鮮やかさで展開される彼のアレンジには本当に驚かされた。 現在 Erlend Skomsvoll は様々なビッグバンド等の音楽を手がける他、彼自身のユニット Skomsork としても活動している。当初は キーボード、サックス、ギター、ダブルベース、ドラムスというクインテット編成だったのが、サックスが2人になり、トランペットとトロンボーンが入り、さらにストリングスが3人加わって現在11人。ミニ・ビッグバンド風になったこのユニット、デビューアルバムがとても待たれる。 Erlend Skomsvoll の手がけるアレンジはバラバラ解体から再構築するものではない。この Come Shine でも、曲が始まれば大抵何の曲かすぐわかるほど原曲はそこに残っている。アルバムに丁寧にクレジットされているように、様々な音楽やミュージシャン、映画などからのインスピレーションがアイディアの元になっているそうだ。そして聴き手の好奇心をくすぐるように、彼らの音楽は常に少しだけ意外な方向へ展開する。3曲分くらいのアイディアが盛り込まれた "My Favourite Things" などは最初聴いたときにそのスリリングな展開にとても引きつけられた。時には ボーカルに ベースソロとのユニゾン ("September Song") やピアノソロとのユニゾン("April In Paris")を歌わせてみたりもする。どう展開するかハラハラというよりも、わくわくされられるそのアレンジの加減が絶妙だ。 その新たにひねられたスタンダードを歌うのは Live Maria Roggen。アクの強い女性シンガーも少なくないノルウェーで、彼女の歌はかなりストレート。Wibutee のファースト以外では チューバとのソロ "tu'ba" (1998; Curling Legs CD 46) や 色々な録音やライブへの参加がある。英語で歌っても、ノルウェー語で詩の朗読をしても、ドイツ語で Wim Wenders の映画を歌ってみても、その歌詞とメロディーをヴィヴィッドなものにできる何かを持っているシンガーだ。表情豊かで、伸びやか、時にはクラリネットやヴァイオリンでも演奏しているように楽器のように声を操り、時には歌詞をメロディーに新しい息を吹き込む。そして、ブロンドのショートヘアのルックスのように、甘ったるくなり過ぎないキュートさも持ち合わせている。 Trondheim Jazzorchester でもこの Come Shine でも、Erlend Skomsvoll の、一見奇をてらわないようでいて非常に凝ったアレンジを演奏するのは周囲の実力派の若いミュージシャン達。 Come Shine のリズムセクションの2人は先の2人よりも幾分若い世代のミュージシャン。ベースの Sondre Meisfjord は Come Shine の他、ノルウェーの有名なサックス奏者 John Pål Inderberg のいる The Zetting やトラッド・グループの Flukt のメンバーでもあり、今注目されている女性シンガー Siri Gjærde のグループでも演奏している。 ドラムの Håkon Mjåset Johansen は現代的なバップ・トリオ Urban Connection のメンバーとして同名のデビューアルバム (2001) と共にノルウェー内外で注目を集めた。他に注目のユニットとしては恐らく来年デビューアルバムをリリースする Motif がある。サックスの Atle Nymo 、Jaga Jazzist のトランペッター Matias Eick 、アイスランド人ピアニスト David Thor Johnson、そしてこの世代(20代半ば)では注目のベーシスト Ole Morten Vågan によるクインテットだ。 実にさりげなく上手いミュージシャンと、素晴らしい才能のアレンジャー、それに歌詞を素敵に歌うシンガーがスタンダードばかりやるというのは、実は彼らの実力と魅力が一番わかるからかもしれない。 |