(pickup 2003 vol 7 : 11 November 2003)

In Concert


1. My Funny Valentine
2. Moon River
3. Let's Do It
4. Memories Of You
5. You Don't Know What Love Is
6. September Song
7. Somewhere Over The Rainbow
8. Lush Life
9. When I Fall In Love
10. I Like To Hear It Sometime


listen!


Recorded at Kongsberg International Jazzfestival, July 2nd, 2003.
except:
#3 and 8 recorded at the rehearsal for the festival, July 2nd, 2003; and
#6 and 10 recorded at Rockefeller Music Hall, Oslo, March 27th, 2003.

#1, 3, 5, 6, 8, 9 and 10 also on their first album "Come Shine" (2001);
#4 and 7 on the second album "Do Do That Voodoo" (2002)

All arrangements by Erlend Skomsvoll, January 2003.
All material rehearsed during March 24th-26th, 2003.

Trombone solos: Øyvind Brække.
Trumpet solos: Petter Kateraas.
Tuba solo: Thomas Røysland.

Produced by Halldor Krogh and Knut Værnes.


2003; Curling Legs; CLPCD78
Come Shine
with the Norwegian Radio Orchestra
In Concert


Erlend Skomsvoll (p)
Sondre Meisfjord (b)
Håkon Mjåset Johansen (ds)
Live Maria Loggen (vo)


Come Shine のファーストアルバムを手に取った時、オリジナルが1曲もなかったのでそれはスタンダードアルバムなのだ、とあまり深く考えなかったものの、その鮮やかなアレンジは予想外で、それがスタンダードだとかいう以前にとても気に入った。このグループのアレンジを手がける Erlend Skomsvoll の才能に驚いたのはそのアルバムより先に聴いた彼のライブだった。Pat Metheny と Trondheim Jazz Orchestra の共演で、Pat Metheny の楽曲を Erlend Skomsvoll によるビッグバンドアレンジで披露するという趣向のプログラム。聴いたことのある楽曲があまりに新鮮にアレンジされていて、オリジナルに付加価値を付けるというより、それはひょっとするとオリジナルを軽々と超えてしまっているのではという印象だった。

2002年に彼らのセカンドアルバム "Do Do That Voodoo" を聴いた時、やっと彼らがスタンダードしかやらないバンドなのだと認識した。普通こんな単純なことにそんなに長い間気づかないはずはないのだけれど、それほどまでに彼らの演奏は「オリジナル」だったのだと思う。

Erlend Skomsvoll はもちろん作曲も手がける人なので、やろうと思えばいくらでもハイレベルなオリジナルができるはずなのになぜスタンダードばかりなのか。彼自身が実際そのあたりを「狙った」のかどうかはさておき、スタンダードをやるということでアレンジャーとしての彼の手腕はとても分かり易くなる。聴き手がもとの曲を知っているということが前提になっている、というのが Come Shine の特徴でもある。

セカンドアルバムから1年もたたずにリリースされたこの3作目はオーケストラとの共演盤、しかもライブレコーディング。大半の曲は2003年7月、ノルウェー・コングスベルクでのフェスティバル(リハーサルの音源も含む)で録音されていて、若干同年3月のオスロでのレコーディングも含まれている。フルオーケストラとの共演のためのアレンジはもちろん Erlend Skomsvoll が手がけている。それぞれの聴き手の記憶にあるスタンダードを鮮やかにアレンジしなおしてみせる Come Shine は、ここでもう1つ、彼ら自身がこれまでカルテットとして披露してきた演奏というもう1つの記憶に対しても新しい驚きを与えてくれる。

私は Erlend Skomsvoll のことを「ノルウェーの Django Bates」と表現したことがある。ピアニストであり、けれどどちらかというとコンポーザー/アレンジャーとして素晴らしい才能を持っている、という点での比較だったのだけれど、ことアレンジそのものに関してはその方法論というか発想は全く異なる。原曲をばらばらにして再構築する Django Bates に対し、Erlend Skomsvoll は基本的に原曲に忠実。何の曲が始まったかは大抵すぐ分かるし、奇抜な展開もなし、このアルバムのオーケストラアレンジもカルテットの演奏の時のアレンジがベースになっている。

それでも少しだけ、決して奇抜にならない程度に聴き手の予想を少しずつ裏切り、それはわくわくするようなスリルを生む。オーケストラアレンジにあたり、カルテットで演奏されていた幾つかのパートは別の楽器で置き換えられ、フレージングはアレンジによって、またボーカルの Live Maria Roggen によって微妙に変化をつけられているものもある。ソロパートやカルテットの演奏からフルオーケストラまで変化がつけられた演奏はダイナミックで、カルテット演奏にはなかった豪華な雰囲気がある。時には映画のワンシーンを思わせるような映像的な演奏もあり、この編成ならではの仕上がりになっている。

このアルバムの演奏に関して最も注目されるのは Live Maria Roggen のボーカルだ。スタジオ録音よりのびのびとした雰囲気になり、適度にキュートで、それでいてライブとは信じられないほどの完璧なボーカルだ。ドラムソロの後のプレイヤーの紹介や、最終トラックでの楽しげなやりとりはライブならでは。また、ドラムの Håkon Mjåset Johansen はバッキングもさることながら、フルオーケストラの中という難しい位置でのドラムソロをシャープに的確にきめている。それからゲストソロイストとして参加しているトロンボーンの Øyvind Brække (ECM からアルバムをリリースしている The Source のメンバーとして知られる)が #1 などで美しい音色のソロを取っている。

前作のクレジットに彼らが Come Shine としてのアレンジを考える際のインスピレーション源が丁寧に記載されていた。それは様々なジャンルに渡るミュージシャン/アーティストであったり、また映画だったりした。今回のアルバムには「現代のサンプリングやリミックスからインスピレーションを得た」と意外なことが書かれている。さらに Messiaen、Stravinskij、Mingus、Tito Puente そして Gershwin といった作曲家からの要素を「サンプリング」して、さらに Come Shine の音楽に取り入れた、とある。

ノルウェーのジャズシーンは今、控えめに見てもかなりの注目を集めていると思うのだけれど、彼らの多くは現在の音楽としてジャズや即興演奏を表現している。それは自国から遠く離れたところにジャズの起源があるからこそできるのかもしれない。素材は、テクノやクラブ系といった新しいものを取り入れている人たちもいるけれど、ノルウェーのトラッドや、アメリカの古いジャズをベースにしている人たちも多いし、両者をミックスする人たちもいる。Come Shine も扱っているものはあらゆる名演奏が世に知られているようなスタンダードばかり。しかもピアノトリオと女性ボーカルのカルテットだったり、オーケストラだったりとフォーマットもこれ以上ないくらい普遍的jなものだ。それでも、彼らの音楽が新鮮なのは、過去のものとしてのスタンダードではなく、現在の音楽として表現しているからではないだろうか。そしてこのアルバムとこのユニットは、普段変わったものばかり追いかけがちな私に、スタンダードのよさと楽しさというとても大事なことを教えてくれた。

more about Come Shine and their previous releases please see pick up 2002 vol. 16
or - visit www.comeshine.com

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