(pickup 2003 vol 8 : 29 December 2003)
![]() Moments Notice Vidar Sæther (as, bs, bb-cl) Lars Andreas Haug (c-tu, f-tu, tp, valve tb) Knut Aalefjær (ds, per) 1. Falaffelen (Sæther) 2. Ernie (Haug) 3. Nuncha (Haug) 4. Fikk (Haug) 5. Look Into My Eyes 1 (James Moody) 6. Færøysk Blues (Haug) 7. Salt 13 (Haug) 8. Someone (Haug) 9. Bastoppen (Sæther) 10. Look Into My Eyes 2 (James Moody) 11. Fried Bananas (Dexter Gordon) 12. Sævven Sau (Sæther) with Skjalg Reithaug (g) on 7 Recorded by Kay Andersen at Athletic Sound Studios - Halden, May 2003 Mixed by Kay Andersen and Moments Notice Mastered by Audun Strype Produced by Moments Notice Executive producer: Trygve Hernæs Cover picture: Thau Reklamebyrå Cover design by Vidar Sæther 2003; Sonor Records; SONCD 8004 |
Moments Notice はオスロ音大の学生(当時)によって1998年に結成されたトリオ。ユニット名が
Coltrane の曲からなのかどうかは不明。セルフタイトルのこのデビューアルバムより前に5年も活動していたことになる。メンバーは3人とも1974年か75年の生まれなので、まだ20代と若いグループだ。 リード楽器奏者の Vidar Sæther は、Moments Notice 以外には Funky Butt (>>)というセクステット編成の、ニューオーリンズ風ジャズのユニットでの活動で知られる。この Funky Butt ではこれまで2枚のアルバムリリースがある。 Moments Notice の他の2人は、いずれも同じミュージシャンの関連で別々に来日もしているので日本でも幾分名前が知られているのではないだろうか。チューバ奏者の Lars Andreas Haug は、ピアニスト Helge Lien とサックス奏者の Torben Snekkestad とのトリオ Tri O' Trang (>>)で2001年に来日、東京で数回のライブを行っている。 ドラマー Knut Aalefjær は同じく Helge Lien のこちらは Helge Lien Trio (>>) のメンバーで、ファーストアルバム "What Are You Doing The Rest Of Your Life" (2001; Curling Legs) が日本でも評判になった後、DIW から2枚のアルバム "Spiral Circle" (2002) と "Asymmetrics" (2003) をリリース、2003年に来日している。 Moments Notice は、ドラム・チューバ・サックス(クラリネット)という変則編成。チューバがベースの代わりになるのではなく、全く違った発想によるトリオになっている。誰がメロディーをやっても、誰がリズムを刻んでも、誰と誰がユニゾンをしてもいい。そもそも、サックスがメインのメロディーをやるなんて誰が決めたんだと言わんばかりに、曲によって全く違う構成になっていて、全く飽きない。サックスがパルスのようにずっと同じ音でビートを刻み、パーカッションがカラフルなアクセントを付け、チューバが歌うという曲もある。飽きないと言えば、コンパクトにまとめられたそれぞれの曲とその配置のテンポもよい。2〜3分台の曲も多く、こちらがあっけにとられているうちに次の曲へ行ってしまう。 それぞれの曲は分かりやすくてシンプルなメロディーを持ち、曲そのものはオーソドックスで、若干ノルウェーのトラッドのエッセンスも感じるものの、それはさほど強くない。基本的にシンプルなメロディーを、3人の演奏により料理するといった感じで、3人それぞれの演奏とその絡み方がこのバンドの特徴だ。 Knut Aalefjær は Helge Lien Trio のアルバムなどでもそのセンスが目立っていたけれど、このアルバムでもその瞬間的な反応、アイディアの豊富さには感嘆させられ、ドラムは単にリズムを刻むだけではないのだということを感じさせる。 チューバの Lars Andreas Haug は、テクニカルなフレーズをユーモアのセンスをにじませながらバリバリ決めている。そのトロンボーンに似て非なる音は、この楽器がこんなに音域と表現の可能性があったのかと思うほどで、サックスをさておいてメロディーを朗々と歌っている曲も多い。 Vidar Sæther は、ニューオーリンズ風のユニットをやっていることからもわかるように、癖のないきれいなトーンの持ち主。横でバリバリと吹きまくるチューバに対して、飄々とした雰囲気で、絶妙の取り合わせと言える。 アルバムでは途中で James Moody の "Look Into My Eyes" が2度挟まれる。1回目は普通のテンポで、それでも淡々としたバスクラリネットを尻目にハイパーに動き回るチューバがなぜかユーモラスで、パーカッションが恐ろしく小気味よく合いの手を入れる。2回目にこの曲が登場する時にはリスナーの耳には20数分前の演奏の記憶があるわけだけれど、それを計算したように基本的に同じアレンジの同じ曲を、驚くようなハイスピードで、しかもこっちがあっけに取られ、それからあまりの凄さがおかしさに変わり、そのおかしさにもだえているうちにあっという間に終わってしまう。このアルバムの仕掛けにまんまとはまっている格好だ。 ジャケットのイラストの女性もなぜかどこかちょっと怖い(よく考えれば顔と手とコーヒーカップだけだからか)このファーストアルバム、録音されたのはノルウェー東部のハルデンという街にある Athlethic Sound Studio。非常に高品質のアナログレコーディングで有名なところで、ロック系が多いものの、ジャズ系では Supersilent "1-3" と "6" 、Raoul Björkenheim / Ingebrigt Håker Flate / Paal Nilssen-Love "Scorch Trio" といった名作を生んだスタジオだ。このアルバムももちろん音がよく、とても丁寧に作られた作品という印象を受けた。トロンハイムにある小さなレーベル(ホームページはない模様)からのリリースのため、なかなか日本では入手が難しいかもしれない。彼らのオフィシャルサイトを覗いてみたら、「みんながCDを買ってくれることが、Moments Notice の次のアルバム製作の資金になるから…本当にいいアルバムだから買ってね!」のようなことが書かれている。彼らのクリエイティブな活動がより多くの人の目にとまって欲しいし、是非また次のアルバムを聴いてみたいと思う。 |
| The Tuba sings! Sing with the Tuba! Lars Andreas Haug |
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これまでチューバという楽器にそう注目して音楽を聴くことはあまりなかったように思う。ノルウェーには Jaga Jazzist の紅一点 Line Horntveth や名手 David Gald などのプレイヤーがいるけれど、やっぱりその音に特別注意を引かれることはなかった。 Lars Andreas Haug (b. 1975)は、チューバをトランペットやトロンボーンのように操り、歌う。また、彼はどのユニットでもコンポーザーとしての才能も発揮していることにも注目。彼のとてもユニークなディスコグラフィーの一部を紹介。いずれもさほど入手は難しくない。どれか1枚という場合には小編成のアンサンブルでは Live Maria Roggen とのデュオ作、大編成物では 1300 Oslo を。 |
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| in smaller ensembles... | ||||
| Live Maria Roggen & Lars Andreas Haug [tu'ba] |
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![]() 1998; Curling Legs CD46 |
1. Steps 2. Elephant Climbing 3. En Aalls Stemning 4. Quietude 5. Woodstock 6. Snirkelsirkler 7. Sleeping Clowns 8. Of Wishes And Desire 9. Alone Now 10. Klorerte Trikkebilleter 11. Someone To Watch Over Me |
Live Maria Roggen (vo) Lars Andreas Haug (tu) 現在は Come Shine のメンバーとして知られる 女性シンガー Live Maria Roggen とのデュオ。#5 の Joni Mitchell の曲のように、メロディーを歌詞と共に歌う時の彼女の歌は絶品。チューバは「歌伴」になるときもあるけれど(ボーカルの合間にはソロも入る)、デュオとして、Live Maria Roggen の声と共に呼吸し、歌っている。Live Maria Roggen のボーカルはスキャットの曲もあるけれど、前衛的ではなく、彼女の持ち前のキュートさで聴きやすい。 |
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| Tri O'Trang Liker |
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![]() 2000; NOR-CD 0038 |
1. If So 2. Rutta Tut 3. Lille... 4. L.A. Pop 5. I Langsomme Gruver 6. Funky Farmer 7. Det Lilla Ljuset 8. Rart 9. Hurtig 10. The ArpeggioKing Strikes Back 11. Milonga Del Angel 12. Bella |
Helge Lien (p) Torben Snekkestad (ss, ts) Lars Andreas Haug (tu, tp) Tri O'Trang としてのファーストアルバム。リリカルな曲から若干現代音楽よりの発想のものまで曲調は様々。ダイナミックなアレンジが新鮮。美しい音の Torben Snekkestad、北欧的な透明感を湛えた Helge Lien のピアノ、そして Lars Andreas Haug のチューバは Moments Notice ほど暴れはしないものの、ベースラインをよく歌っている。彼はここではコンポーザーとして非常に重要なパートを担っている。#11 は Piazzolla の曲。 |
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| Tri O'Trang Fordivi |
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![]() 2002; BUZZ-Records ZZ 76020 |
1. Femkantgeneralen 2. Diip 3. A1.1 4. Snurt 5. Samme Hva Du Heter 6. Ferdig 7. You Can't Eat Fishing 8. Kobra 9. Shing 10. Andre Sats |
Torben Snekkestad (ts, bs, bcl) Lars Andreas Haug (tu, tp) Helge Lien (p, prepared p, celesta) Tri O'Trang のセカンドアルバム。オランダの Challenge Records 傘下のレーベルからのリリース。前作より若干実験的になり、リリカルなサイドが前面に出て、Helge Lien の音が中心になった音作りになっている。現代音楽的展開になったときの Torben Snekkestad の演奏が素晴らしい。Moments Notice との最大の違いは和声楽器が入るか入らないかというところにある。静かな美しさを持つ作品。 |
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| AKKU AKKU |
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![]() 2001; NOR-CD 0142 |
1. Hangawawahi 2. Hjondo 3. Atukutunga 4. Abm I 5. Favolaije 6. Sibin 7. Kudjang 8. Hngejo 9. Ih 10. Intermezzo 11. Monotone 12. Rottoto 13. Hejewa 14. Abm II 15. Budeiesull |
Ruth Wilhelmine Meyer (voice) Elfi Sverdrup (voice) Lars Andreas Haug (tu, voice) 女性ヴォイスパフォーマー2人とチューバ。どうしてこういう発想になるのか分からないのだけれど、とにかくユニークと言えばユニークであり、結構手強い作品でもある。曲は北欧のトラッドをベースにアレンジされたもの、それにユニットのクレジットになっているオリジナル(というのかどうか…)で構成されている。女性2人が唸ればチューバも唸る。 |
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in larger ensembles... |
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| 1300 Oslo Live In The North |
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![]() 2001; Curling Legs; CD 63 |
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| Christof Lauer & Norwegian Brass with Sondre Bratland, Rebekka Bakken, Geir Lysne Heaven |
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![]() 2003; ACT 9420-2 |
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future releases... Lars Andreas Haug はここ数年、サックス奏者 Trygve Seim の10人編成のアンサンブルのレギュラーメンバーであり、来年 ECM からリリース予定となっているセカンドアルバムにも参加している(はず)。ライブではクラリネットとユーモラスな掛け合いをやっていたりとなかなかに本領を発揮していた。 |
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