(pickup 2004 vol 1 : 15 January 2004)




FUNGUS

1. Fredriks Hörna
(Fredrik Ljungkvist)
2. Muskarin
(Lungkvist / Strid / Berthling)
3. Funghi
(Lungkvist / Strid / Berthling)
4. Utah
(Steve Lacy)
5. Broken Shadows
(Ornette Coleman)
6. Riska
(Lungkvist / Strid / Berthling)
7. Kremla
(Lungkvist / Strid / Berthling)
8. Mothers Of The Veil
(Ornette Coleman)
9. LSB-Vals
(Fredrik Ljungkvist)

Recorded at SAMI Stockholm, 5-6 June 2003 by Gert and Eric Palmcrantz
Mastered by Andreas Berthling
Cover Art by Inger Arvidsson
Graphic Design by Mattis Cederberg
Produced by LSB
Exective Producer Jonas Kullhammer


2003; Moserobie; CD014






WALK, STOP, LOOK AND WALK. [LIVE]

1. Ebony Swing
(Fredrik Ljungkvist)
2. Walk, Stop, Look and Walk
(Ljungkvist / Strid / Berthling)
3. Kurt
(Ljungkvist / Strid / Berthling)
4. Kyrktitten
(Ljungkvist / Strid / Berthling)
5. Leather Soul Walk
(Ljungkvist / Strid / Berthling)
6. Different Directions
(Fredrik Ljungkvist)
7. Natti-Natti
(Fredrik Ljungkvist)

Tracks 1-5: Recorded June 5, 2000, at the Glenn Miller Café in Stockholm by Olof Madsen / Blue Tower Sounds.
Tracks 6 & 7: Recorded September 1, 2000, at The Velvet Lounge in Chicago by Malachi Ritscher / Savage Sound Syndicate.
Mastered by Christofer "Hoffe" Stannow September 22, 2000, at Cosmos Studios in Stockholm.
Design by Conny Lindström
Artwork by Åke Hodell
Photo by Håka Lindell


2000; Crazy Wisdom CW 004
L Fredrik
Lungkvist
ts, bs, cl
b. 1969
スウェーデン

Atomic のフロントとして知られるマルチ・リード奏者。自己のカルテットの他、様々なユニットで活動するかたわら、プロデューサーとしても Lina Nyberg のアルバムを手がけたりしている。2004年度の "Jazz In Sweden" (アーティスト・オブ・ジ・イヤーのようなもの)に選ばれており、それに伴うアルバムリリースとツアーが行われる。

S Raymond
Strid
ds
b. 1956
スウェーデン

このトリオで一番年長のパーカッショニスト/ドラマーは、リード奏者 Mats Gustafsson とピアニストSten Sandell とのトリオ GUSH での活動で知られる。他にアメリカやイギリスの即興演奏家との共演も数多い。Johan Berthling とはトリオ Animes (もう1人はギタリストの David Stakenäs)で活動を共にしている(レコーディング作品はまだない)。

B Johan
Berthling
double-b
b. 1973
スウェーデン

スウェーデンの若い世代を代表するベーシスト。ヨーロッパ各国の即興演奏家との共演から、ポップス系のアルバムへの参加、さらにはエレクトロニカ寄りのユニット TAPE(来日まで果たしたこのユニットではギターを弾いている) まで活動は幅広い。その TAPE のアルバムをリリースしているストックホルムの個性的なレーベル Häpna の共同オーナー。


2001年にノルウェーJazzland レーベルからデビューした Atomic の音は衝撃的だった。ただ、このノルウェー=スウェーデン連合スーパーユニットの2管の1人であり、メインソングライターであるスウェーデン人リード奏者 Fredrik Lungkvist に関しては、その "Feet Music" での演奏は特に驚くようなものではなかったと思うのだけれど、このスウェーデンのトリオ LSB のファーストアルバム "Walk, Stop, Loo, And Walk" での彼の演奏には心底驚かされた。どんなに速く吹いても全く乱れない美しいトーンは Atomic ではあまりみられない彼の別の一面かもしれない。さらにこのユニットのドラマー Raymond Strid は時に Paal Nilssen-Love の推定1.5倍以上の音数を叩き出し、ベーシストの Johan Berthling は Ingebrigt Flaten より1オクターブ低いんじゃないかというような(そんなことはないのだろうけれど)凄みのある低音を響かせている。頭をよぎったのは「バカテク・トリオ」という言葉だった。

2000年にスウェーデンのリード奏者 Mats Gustafsson が運営するレーベル Crazy Wisdom からリリースされたその "Walk, Stop, Look And Walk." はサブタイトルにもあるように、同年ストックホルムとシカゴで行われたライブの模様を収録したもの。曲は全てメンバーによるオリジナル。ハイライトは22分にも及ぶタイトルトラックで、タイトルどおり、スピードに変化をつけた構成を持つ曲で、即興演奏もかなり含まれるけれど、作曲もきちんとされている。瞑想的なスローテンポの曲もよいが、圧倒的に凄いのはアップテンポな曲。美しくて速いフレーズを楽々吹く Fredrik Ljungkvist 、 バカ速いウォーキングベースを恐ろしく正確に決める Johan Berthling、そして信じられない音数を、流れるように叩く Raymond Strid 。彼らの(北欧のミュージシャンらしい)バカテクぶりは、このユニットでは見事にスリリングな演奏となって発揮されている。

2003年11月、今度は同じくスウェーデンのサックス奏者 Jonas Kullhammer が運営するレーベル Moserobie Music Production から突然、『キノコ』とタイトルされたセカンドアルバムがリリースされた。

#2 "Muskarin" のように、前作以上にアップテンポな演奏を凄いテンションでテクニカルに大胆にスリリングに流れるようにばっちり決める曲もあり、改めて驚かされる。あまりのことに聴いているほうはどこで呼吸をしたらよいかわからず、ずっと息を止めて聞き入ってしまいそうな演奏だ。#7 "Kremla" はスピードはともかく、よりも複雑な(ように聞こえる)リズムを、実にさりげなく、小気味良く、まさしく阿吽の呼吸でやってのけてしまう。

けれどこのアルバムは前作と同じつくりではない。アルバム冒頭、Fredrik Ljungkvist の吹くメロディーがとても力強い。前作よりメロディーが印象に残る曲が多く、それがこのアルバムの特徴になっている。ファーストアルバムはオリジナルばかりだったけれど、セカンドアルバムでは Steve Lacy の曲を1曲、Ornette Coleman の曲を2曲演奏していて、そのいずれも、特に Ornette Coleman の曲の温かなメロディーが鮮やかで、それを吹く Fredrik Lungkvist のトーンの緩急の付け方、Johan Berthling の見事な楽器のコントロール(彼のアルコ弾きは本当に素晴らしい)、そして Raymond Strid の突然の音数の減らし方とそのポイントのつき方に、前作とはまた違った意味ではっとさせられる。

アルバム冒頭のテナーサックスから始まる曲は Fredrik Ljungkvist の曲で、最後を締める曲も同じく彼の作曲による曲。テナーサックスが伸びやかに端正なトーンでメロディーを奏で、ベースがそのテナーに呼応しながらずしりとした音でダイナミックにラインを描き、ドラムは相変わらず細かい音で1つの大きなイメージを作り出すように鳴っている。"LSB-Vals" というグループ名が付けられたこの曲はこのアルバムを象徴するミディアムテンポな曲。ワルツというからには3拍子なのだろうけれど、どこが一体3拍子か分からない難しいビートで、けれどどこかゆったりとしたグルーブ感を湛えている。

北欧のミュージシャンたちは大抵極めて演奏能力が高いけれど、もちろんそれが音楽を第一に左右する要因ではないことは確かだ。けれどこの LSB の演奏を聴いていると、音楽性というのだろうか、音楽を根本的に決定付けるものとその高い演奏能力が一緒になったときには、それは(いい意味で)とんでもないものを作り出してしまうのだという当たり前のことをつくづく思った。そして LSB は、Atomic などとも共通して、ステレオタイプに想像しがちな北欧的な音とはちょっと違った結構人間的な音楽を、超人的な演奏で聞かせてしまう注目すべきグループだ。

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