(pickup 2004 vol 9 : 14 September 2004)
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JON BALKE & MAGNETIC NORTH ORCHESTRA DIVERTED TRAVELS |
| 1. MACHINERY 2. NUTATING 3. SINK 4. COLUMNS 5. DEEP 6. IN PATCHES 7. ONDULAR 8. DOWNSLOPE 9. RIVERS 10. CLIMB 11. INSIDE 12. AND ON 13. THE DRIVE 14. FALLING all composition by Jon Balke except "THE DRIVE by Ingar Zach recorded September and November 2003 La Buissonne Studios, Pernes-les-Fontaines and Rainbow Studio, Oslo recording engineers: Gérard de Haro, Jan Erik Kongshaug mixed at Rainbow Studio by Jon Balke, Manfred Eicher and Jan Erik Kongshaug photos: Jon Balke design: Sascha Kleis produced by Jon Balke and Manfred Eicher 2004; ECM 1886 links: >> Jon Balke >> Magnetic North Orchestra |
Per Jørgensen (tp, vo) Fredrik Lundin (bfl, ts, ss) Bjarte Eike (vln) Peter Spissky (vln) Thomas Pitt (bvln) Jon Balke (p, key) Helge Andreas Norbakken (per) Ingar Zach (per) 久々の ECM への録音となった前作 "Kyanos" (2002) 以降、Jon Balke はその活動のメインを Magnetic North Orchestra (MNO) と Batagraf という2つのユニットに置いてきた。MNO はその間に少しずつメンバーが入れ替わり、このアルバムのメンバーになったのはレコーディングの直前だった。MNO という名前のグループでの4作目になるけれど、顔ぶれは Per Jørgensen を除いて全員新しいメンバーだ。これまでもスウェーデンから Anders Jormin や Svante Henryson が参加していたが、今回はデンマーク人サックス奏者 Fredrik Lundin、スロヴェニア出身の Peter Spissky、イギリス出身の Thomas Pitt が参加している。 もう一方のプロジェクト Batagraf はパーカッションプロジェクトとでもいうもので、4人のパーカッショニストと Jon Balke 自身のエレクトロニクス/パーカッション、それに Frode Nymo (as) を加えるという編成だ。私がそのライブを見たときは少々変則編成でパーカッショニスト×3でソロイストが Arve Henriksen だったが、パーカッシブな中にも Jon Balke らしい緻密なアレンジが見られるなかなかに興味深いものだった。(尚、こちらのプロジェクトも MNO とは別にレコーディングを終了しているとのことだ。) MNO の新作 "Diverted Travels" を最初に聴いたとき、ふと思い出したのはそのもう1つのプロジェクト Batagraf のことだった。MNO には、以前にもパーカッショニスト/ドラマーが複数在籍した時期はいくらもあったが、今回は特にパーカッションが軸になっている曲が多い。2人のパーカッショニストはいずれも MNO 初加入で、共に Batagraf のメンバーでもある。2人のパーカッショニストのカラーは全く異なる。Helge Norbakken は適度に重さのあるビートを叩くパーカッショニストで、 Mari Boine のグループ、最近では Maria Joaõ のグループで来日もしている。もう一方の Ingar Zach はヨーロッパ的な即興演奏家で金属系小物の繊細な鳴らし方に特徴がある。このアルバムでは2人のカラーを上手く活かしつつ、複雑なリズムを織り出している。 前作と比べてリズム面以外で大きく変わったのはその弦楽器の「重さ」だろう。前作ではチェロとダブルベースだったのが、このアルバムではヴァイオリン×2とバス・ヴァイオリンとずっと「軽く」なっている。3人ともクラシック〜現代音楽のプレイヤーのようで、このアルバムの音も場面によってとても現代音楽的な響きをみせる。 8人のメンバーの中で、最もソロイストとしての役割が大きいのは Per Jørgensen 。その無国籍なトラッドとでもいうべきボーカルと、抑制の効いた、けれど鋭いトランペットはこのアンサンブルに強いアクセントを加えている。 全体として見れば、個々の演奏よりもその個々の演奏の継ぎ目のなさのほうが目(耳)をひくアンサンブルだ。ストリングスがスタートさせたメロディーを途切れることなくピアノが受け継いだりする場面も多く見られる。また、ストリングスの短い音によるフレージングや、 Jon Balke の鋭いタッチのピアノもパーカッションと一体になっているシーンもある。その見事な鮮やかなアレンジにはただ驚嘆するばかりだ。 このアルバムの MNO 音楽は、北欧的といえばまさしく北欧的で、透明感があるのにどこか北欧の冬の空のように日が射すことのない曇った低い空を思わせる。シンプルなタイトルが付けられた短い曲を並べるという構成は前作に続くものだ。Jon Balke 自身によるジャケットのモノクロ写真のような、1枚のイメージを表現するような曲を14カット並べたような印象を受ける。 終盤 #13 で、このアルバムで唯一 Jon Balke の作曲でない「1カット」が登場する。Ingar Zach の、彼の最近のソロ作 "Percussion Music" (2004; Sofa) を思わせるような音響物だ。この曲だけ特別抽象度が高い。そのトラックに被さるようにストリングスが流れ出し、Per Jørgensen の声とぴったり重なって物悲しいメロディーを奏で、最終シーンは静かに終わる。 Jon Balke、1955年生まれ。最初のレコーディングは1975年、Arild Andersen の "Clouds In My Head" (ECM; 1059) で、彼はまだ19歳だった。"Diverted Dravels" はそれからちょうど30年、同じ ECM への作品だ。 |