(pickup 2004 vol 10 : 5 October 2004)
![]() valse mysterioso 2004; NORCD 0347 1. valse mysterioso 2. ballade 3. d rk fragment 4. china waltz 5. hermans dans 6. seawaltz 7. josefines vals 8. perlemorskyer 9. fin 10. rolig (til oliver) 11. jaja 12. valse mysterioso recorded in 7. etage oslo and festiviteten eidsvoll, 2002 soundengineers: reidar skår and audun strype mixed in 7. etage oslo, march, april 2004 by reidar skår produced by veslefrekk and karl seglem coverdesign: mette breddam photo of veslefrekk by: ketil jacobsen, other photos by: linn karen førland ![]() veslefrekk 1994; NORCD 9411 1. intro (veslefrekk) 2. flate (henriksen) 3. rubato (storløkken) 4. tyve aar efter (henriksen / vespestad) 5. vals (storløkken) 6. rundgang (storløkken / henriksen) 7. j.b. (storløkken) 8. løpsk (veslefrekk) 9. bjeller (vespestad) 10. hymn (storløkken) 11. vann over hodet (storløkken) 12. live (veslefrekk) 13. lento (storløkken) 14. slave (veslefrekk) recorded at nidaros studio, trondheim december 1993 engineer: kjell ove grimsmo produced by veslefrekk photo of veslefrekk: c.f. wesenberg coverdesign: ab ovo / kåre thomsen |
veslefrekk ståle storløkken - synth, p arve henriksen - tp, voice jarle vespestad - ds |
| 1989 年秋、当時まだトロンハイム音楽院の学生だった Ståle Storløkken
(b. 1969)、Arve Henriksen (b. 1968)、Jarle Vespestad (b. 1966) によって結成されたグループは
Veslefrekk (ヴェシュレフレック、vesle = small、frekk =spot の意味)と名づけられた。当時メンバーはみな20歳前半。3人それぞれにとって、プロミュージシャンとしてのキャリアのごく初期のバンドだったこのグループは、何か特別なものがあったのだろうか、例外的にと言っていいほど長く続くことになる。 最初のレコーディングは 1993 年。1991年に設立された NOR-CD はトラッド寄りの作品を多くリリースする一方、若いミュージシャンの作品の発表にも積極的だったが、後者のうちの1枚である Veslefrekk の風変わりなエレクトリック・インプロはこのレーベルの異色作だ。 そのファーストアルバム "Veslefrekk" が 1994年にリリースされた後、1997年5月31日に行われた1つのジョイントコンサートが彼らの大きな転機となる。ベルゲンで毎年この時期に行われる大きなジャズフェスNattjazz (night jazz の意) で、 "Veslefrekk with Deathprod" として Deathprod こと Helge Sten を加えたカルテットとしてまったく打ち合わせ・作曲なしに演奏した彼らはその即興ユニットの可能性を確信、その夜の演奏を目撃した Rune Kristoffersen はその場で彼の新しいレーベルのアーティストとして契約したという。4人はその8月にスタジオ入りし、翌 1998年1月に Supersilent という名前で、新しいレーベル Rune Grammofon からデビュー作をリリースした。 Supersilent が順調に活動の範囲を広げていくにつれ、Veslefrekk としての活動は急激に減少していくことになる。2001年1月に行われた NOR-CD 10周年のミニ・フェスティバルで演奏したすぐ後に彼らはセカンドアルバムの製作にとりかかる。その後は 2002年5月の Nattjazz に再び今度は Veslefrekk として出演した以外にはライブで演奏することもなくなった。敢えて Helge Sten を外した3人で演奏することはない、ということだろうか。Supersilent が、メンバーのスケジュールや急病などの都合でトリオ編成で演奏することもかなりあることを考えればちょっと皮肉な気もする。 Supersilent が "6" をレコーディングしたのが 2001年12月、リリースが 2003年1月で、この Veslefrekk のセカンドアルバム "Valse Mysterioso" はちょうどその間にレコーディングされている。 冒頭、いきなり聴き手をからかうかのように "6" とそっくりな響きが登場する。Supersilent の3人によるユニットであり、"6" と前後してレコーディングされたため同じシンセを使っていたりと音そのものはもちろん Supersilent と多くの共通点が見られるが、ユニットとしての音は全く別物だ。単に Veslefrekk はきちんと作曲とアレンジを行うというだけではなく、音楽的にも別物だ。Supersilent の音が Helge Sten の登場によってとんでもない化学反応を起こしてしまった後のものだとすれば、Veslefrekk にはその前の原型としての姿が残っているとでも言おうか。 Veslefrekk の音楽は、不思議な美しさをたたえたメロディーと、ちょっと奇妙なアレンジが「らしさ」で、それから時折ほんの少し凶暴にもなる。ファーストアルバムから10年も経っているのに、基本的な路線は変わらない。ただ10年前は少々とっちらかった雰囲気だったのが、さすがにセカンドアルバムでは緩やかながらまとめられている。 "vals" とはノルウェー語で「ワルツ」の意味で、Veslefrekk の音楽は3拍子(もしくは 5拍子など奇数拍子)の曲が多い。ファーストアルバムでも "vals" というそのままのタイトルで人を食ったようなワルツをやっていたが、セカンドアルバムのワルツは哀しげな色彩を帯びている。 Veslefrekk は最初から、ジャズなどという考えからは逸脱していた。即興演奏が多分に含まれるという意味でのジャズではあるけれど、曲やアレンジやその発想は、いわゆるジャズからはかけ離れている。ロックやポップス、トラッドからの影響は以前から見られたが、セカンドアルバムではクラシックや現代音楽まで見え隠れする。3人の強い個性を遠慮なくぶつけられる音楽であり、それを互いに受け止められるミュージシャン達なのだ。 このアルバムで特筆すべきなのは Ståle Storløkken がかなりアコースティックピアノを弾いているということだ。彼はほとんどシンセ/キーボード等エレクトリック専門のプレイヤーだけれど、ここでははっとするくらい印象に残るピアノを弾いている。今まで彼の演奏としては聞いたことのないような、ドビュッシーかなにかのように軽やかに流れるような演奏もあり、彼の意外な一面を垣間見るようだ。アルバム冒頭のシンセによるメロディーをアコースティックピアノで静かになぞる最終トラックも美しく謎めいている。 セカンドアルバムには全編に渡って、とても哀しいメロディーと雰囲気が漂う。セカンドアルバムにして最後のアルバムになるだろうと言われているこの作品、去っていくものへの思いや、さまざまな思い出が込められているかのようだ。 |