(pickup 2005 vol 2 : 17 February 2005)
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sparkling |
| Trinity are: Kjetil Møster (ts) Ingebrigt Håker Flaten (b) Thomas Strønen (ds) 1. Trinity (for Gato Barbieri) 2. Locked Room (for Paul Auster) 3. Swing It Baby! (for Bjørnar Andresen) 4. Lush (for Joe Maneri) 5. Suite for Marge part I 6. Suite for Marge part II 7. Suite for Marge part III 8. Suite for Marge part IV All tunes spontaneously composed by Møster / Håker Flaten / Strønen Recorded at Grefsen Sumfunnshus by Thomas Hukkelberg on March 23, 2004 Mixed at 7. Etage by Reidar Skår on August 11, 2004 Mastered by Audun Strype Produced by Trinity Co-produced by Jon Klette 2004; Jazzaway Records; JARCD005 |
オスロのような狭い音楽シーンでは、グループの基礎をなすベーシストとドラマーの組み合わせも限られてくる。ノルウェーや北欧に限らず、今最も注目のリズムセクションの1つが
Ingebrigt Håker Flaten (b) × Paal Nilssen-Love (ds) だというのはもはや異論を挟む余地はないだろう。このパワフルなコンビと対照的に、非常にジャズ的であり、トラッドからボーカル物、そして比較的アグレッシブなものまで何でもこなすコンビが
Mats Eilertsen (b) × Per Oddvar Johansen (ds) だ。現在30歳前後のこの世代からもう1組挙げるとすると Mats Eilertsen
(b) × Thomas Strønen (ds) のコンビで、彼らは柔らかい音とリズム、それに抜群の相性のよさが持ち味だ。 これらのいつもの取り合わせから外れた組み合わせのリズムセクションを上手く使ったのが Håkon Kornstad だ。穏やかで温かみのある音の Mats Eilertsen (b) と、繊細さも持ち合わせているけれどどちらかというとアグレッシブな Paal Nilssen-Love (ds) の組み合わせはトリオという小さなフォーマットによる音楽をかなりコントラストの強いものにしている。 Trinity は2002年に Ingebrigt Håker Flaten (b) と Thomas Strønen (ds) によりスタートした。記憶にある限りでは、この2人の共演はかなり珍しいもので、少なくともレコーディングでは一度も耳にしたことがない。最初にこの2人の名前を見ても全く音の想像がつかなかったほどだ。 Trinity のファーストアルバムとなるこの "Sparkling" を聴いたとき、そのあまりに鮮やかなリズムセクションに息をのんだ。ぐいぐいと曲を構築していく Ingebrigt Håker Flaten のベースラインと軽やかに細かく現代的なビートを刻む Thomas Strønen のドラム。それぞれの音は個別に耳慣れているのに、2人合わせるとこうなるのかというのは驚きだった。そして思い出したのが先の Håkon Kornstad Trio のライブ盤 "Live From Kongsberg" (2004; Jazzland) だ。そのA面からB面にかけて(この盤はアナログ2枚組)の雰囲気とこの "Sparkling" に共通するのは、いつもの取り合わせでないからこそのコントラストの新鮮さと、それにテクノやエレクトロニカ、ロックを吸収した新しいビートだ。 Ingebrigt Håker Flaten (b. 1971) と Thomas Strønen (b. 1973) は、グループの構想を始めてからかなり経った後、三角形の残りの1つの頂点に据えるべきプレイヤーを決定する。1976年生まれのテナー奏者 Kjetil Møster だ。先の2人と同じくトロンハイムの音楽院を卒業した彼がオスロに出てきたのは今からわずか2年半前のことで、その頃から名前はよく見かけるものの2004年になるまではほとんどレコーディングもなかったため、大きな注目を集めるには至らなかった。2004年はこの Trinity、モーダルジャズの The Core、そしてエレクトリックフリージャズビッグバンド Crimetime Orchestra (リリースはいずれも Jazzaway)と立て続けにリリースが続き、ノルウェーでは2004年に印象に残ったプレイヤーとして挙げられるなど一躍注目の存在となる。最も影響を受けたミュージシャンとして Coltrane を挙げる彼は、テナーサックスという楽器をとてもテナーサックスらしく吹くことができるプレイヤーだ。リズムセクションの取り合わせで引き合いに出した1つ年下の Håkon Kornstad とはデュオセッションなども行ったこともある彼だが、その Håkon Kornstad が楽器を端まで完璧にコントロールした上で柔らかなトーンに才能を見せるのとは対照的に、Kjetil Møster はストレートに太いラインで楽器を鳴らしきる。彼のパワフルなブロウを聴いていると、本来テナーはこういう音を出すべき楽器だったのかもと思わせられる。 Trinity のこの3人の音は全くお互いに被らない。誰が何をやっているのか隅々までクリアだ。インプロヴィゼーションは火花散るというより、見事な協調を見せる。驚くべき速さで流れるような演奏(特にリズムセクションのバカテクぶりにはあっけにとられる)を一気に決めるかと思えば、ゆったりしたヨーロッパ的なインプロも見せる。いくつかの曲では Thomas Strønen が持ち味を発揮し、この即興演奏にテクノ系ビートを持ち込んでいて、現在の音楽として楽しめる。曲は全て3人のクレジットになっており、バンド名さながらにこの3人で1つの音楽を成しているかのようだ。 音楽を聴く耳は、多分前もって聴きたい音をというのを持っている。潜在的に耳が探している音と重なる音を見つけた瞬間、それはツボにハマるという感覚になる。この Trinity の音は、実際に聴いてみるまで全く音の想像がつかなかったこともあり何ら過度の期待をすることもなく聴き始めた。そしてすぐに、2004年終わりの私の耳が探していたのはまさしくこの音楽、このビート、そしてこういうテナー奏者だったのだ、と気づいた。そしてもう1つ、これは潜在的ではないけれど、ここのところずっと気になっている「格好いいジャズ」に彼らの音楽も当てはまる。 |
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