(pickup 2005 vol 4 : 7 April 2005)
![]() |
Crimetime Orchestra feat. Bjørnar Andresen Life is a Beautiful Monster |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 2004 Jazzaway Records JARCD 009 Recorded at 'Bugges Room' September 6-7, 2004 Engineer: Andy Mytteis Mixed at '7 Etage' October 28, 2004 by Reidar Skår Mastered at Strype Audio Produced by Jon Klette There are no overdubs, splicing etc. on this album All horn arrangements by Vidar Johansen / Jon Klette Artwork and inspirationby Håkon Kornstad |
tracks 1-7 : Life is a Beautiful Monster (Part 1-7) track 8 : Rest in Peace |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 私が Crimetime Orchestra というユニットの足音に気づいたのは2002年の12月だった。その夏に既に一度ライブをやっていたというのはずっと後になって知る。とにかくその20代〜50代の様々な世代から構成される凄い顔ぶれにわくわくした。インプロ色の強いミュージシャンが多かったからてっきり集団即興大会だと思っていた。 翌年2003年12月、同じクラブでまたこのユニットがライブを行うことに気づいた。わかったのはこのグループが幾らかのメンバーを核に流動的なミュージシャンで構成されること、そしてこのクリスマスライブが恒例化するだろう、ということだった。 日本時間2004年10月3日早朝、信じられないニュースが飛び込んできた。2日(ノルウェー時間ではその当日だった)朝、Bjørnar Andresen が心臓発作で急逝、享年59歳。いつか見てみたいと思っていた Crimetime Orchestra のライブを見ることが出来なかったという無念。ところが数日後、Bjørnar Andresen の追悼記事の中に思わぬことが書かれていた。Bjørnar Andresen は亡くなる3週間前、Crimetime Orchestra のアルバムを録り終えたばかりだった、と。(注: アルバムのクレジットでは録音日は10月6-7日となっているが、レーベルに確認したところこれはミスプリで、実際は9月6-7日が正しいとのこと。) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| about | Crimetime Orchestra は Jon Klette と Vidar Johansen が Bugge Wesseltoft
と Bjørnar Andresen と共に2002年に始動したグループだ。そうレーベルのプレスリリースに書かれているが、実際精神的な柱になっていたのは間違いなく
Bjørnar Andresen だろう。 ■ Vidar Johansen (ts) ノルウェー・ジャズの名バイプレイヤー。Curling Legs に自己のトリオで "Losided" (1997) があり、Bjørnar Andresen とは Bayashi というトリオ(ドラマーは Thomas Strønen)で2枚のリリースがある。 ■ Jon Klette (as) レーベル Jazzaway のオーナー、自己のグループ Jazzmob で2枚のアルバムリリースがある。 ■ Kjetil Møster (ts) 今一番注目のテナー奏者。Jazzaway から Trinity 名義でのアルバム "Sparkling" の他、今年にはまた別のトリオで Jazzaway からアルバムをリリース予定。 ■ Øyvind Brække (tb) 現在は ECM に所属する The Source のメンバーで、アレンジャーやコンポーザーとしても知られる。現在のノルウェーのシーンで一番の凄腕トロンボーンプレイヤー。 ■ Sjur Miljeteig (tp) 元 Jaga Jazzist のメンバーで、現在は Solveig Slettahjell Slow Motion Quintet のメンバーとしても知られる。スウェーデンにスタジオを持ち、ジャズとエレクトロニカをあわせたユニット Friko でもアルバムリリースがある。 ■ Anders Hana (g) 同じスタヴァンゲル出身の大先輩 Frode Gjerstad (sax) と爆音フリージャズメタルロックユニット Ultralyd 、それにそれのベーシスト違いの Gjerstad / Hana / Zanussi / Olsen の2つのグループで半年の間に3枚のリリース。 ■ Bugge Wesseltoft (synth, effects) 説明するまでもない Jazzland レーベルのオーナー。同レーベルの Samsa'ra で Bjørnar Andresen と共演している。 ■ Ingebrigt Håker Flaten (el-b) 同じベーシストとして Bjørnar Andresenから恐らく大きな影響を受けたと思われる。Crimetime Orchestra の核の4人のメンバー以外では彼が唯一の固定メンバー。 ■ Paal Nilssen-Love (ds, per) Bjørnar Andresen とは1999年〜2004年の間に6枚の共演作と、短い間に充実した関係を築いた。 ■ Bjørnar Andresen (double-b, effects) 1945.04.01-2004.10.02 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| music | アルバムが出て、実際にその音を聴いて何より驚いたのは、このグループが「ある程度書かれた音楽」を扱う、ということだ。想像したようなドシャメシャの即興演奏ではなかった。このアルバムの音はファンキーでグルーヴィーだ。そのグルーヴを担うのが
Ingebrigt Håker Flaten の弾くエレクトリックベース。ブイブイとよく動く迫力の音で10人編成のバンド全体を動かす。アコースティックベースとエフェクツのクレジットがある
Bjørnar Andresen の音は分かりにくい。もはや完全にベースラインは後輩にお預け状態だ。その暴走ぶりを助長するのが「相方」
Paal Nilssen-Love。いつでも凄い演奏をしていてそれが当たり前になりつつある彼だが、この録音での彼のドラミングには久しぶりに驚いた。彼のこんなズダズダのキレたドラミングは初めて聴くような気がする。 ノイズが炸裂する中、Bugge Wesseltoft は宇宙人的シンセを鳴らし、Øyvind Brække は一瞬ヘンなトランペットかと思うようなバカテクトロンボーンソロを吹き、Anders Hana は…と誰もが非常にテンションの高い演奏を繰り広げる。凄いセッションの記録である。演奏はそれでも結構バラエティーに富んでいる。10人もいるとは思えない静かな音響から、まるで10人編成 Scorch Trio 的状態まで。ポイントは10人編成のビッグバンドであること、それがエレクトリックであること、そしてフリージャズであること、全ての演奏者がフリーであること。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| a bass player | ノルウェーに ECM ではないフリージャズが存在するというのを Atomic などが世界的に知らしめるようになったのは2000年頃以降のことだが、私はある原稿でそれをベーシスト Ingebrigt Håker Flaten の1つの決断が分かれ道になったと書いてみた。1995年、彼が後に ECM のアーティストとなる The Source を辞め、もう1つのグループ Element に専念し、それが1999年に Atomic へと発展する。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Bjørnar Andresen | それより遡ること約25年、大先輩ベーシスト Bjørnar Andresen は George Russell の "Listen To The Silence" にも参加しているし、Terje Rypdal の "Terje Rypdal" (1970) で ECM にも顔を出すが、ECM組とは明らかに異なる道を歩む。Bjørnar Andresen のバイオで最も重要なのが彼の親友だったピアニストの Svein Finnerud のトリオでの活動だ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Life is a Beautiful Monster |
結果的に Svein Finnerud との最後のレコーディングになった "Egne Hoder" (2000; BP) というアルバムがある。
This disc was originally intended solely as a duo session. Love and I started off and then played duos with various friends.Bjørnar Andresen が "Egne Hoder" のスリーブ内に記した文章だ。Bjørnar Andresen の最後のレコーディングとなった Crimetime Orchestra のアルバムのタイトルは彼自身によるこの文章から取られている。Ingebrigt Håker Flaten はこの Crimetime Orchestra のアルバムリリースを自分のサイトで告知する際、最後に "Your music will linger on." と添えた。 Bjørnar Andresen は国内では有名なプレイヤーだが、少なくとも国外ではあまり知られたミュージシャンだったとは言えない。同じ1960年代後半から活動している ECM 4人衆と比べればその認知度の差は歴然としている。それから30年も経って、ノルウェーのフリージャズのシーンの充実により、Bjørnar Andresen の音楽はようやく時代と重なった。このアルバムを聴くと、Bjørnar Andresen がこのセッションで、彼が自ら切り開いてきた道を後輩達が進むのを見届けたのではないか、時代とクロスしたわずか5年の間にきっちりバトンを渡したのではないかというような想像が頭をよぎる。 一度も聴くことができなかったと思っていた音楽をこうして聴くことが出来るのは本当に幸運だと思う。しかしアルバムを聴くと、Bjørnar Andresen の生前の演奏を一度もライブで聴くことができなかったのが改めて残念に思われる。 Bjørnar Andresen が急逝し、その年 2004年12月のクリスマスセッションは Bjørnar Andresen 追悼のライブとなった。通常10人編成のこのグループはスペシャルバージョンとなり、16人ものミュージシャンが参加した。Crimetime Orchestra はその大きな柱を失ったけれど活動は続く。次のライブは今年5月、ベルゲンで行われる。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| listen and buy more info |
at www.jazzaway.musiconline.no at www.jazzaway.com |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| sessions, past and future |
■ Crimetime Orchestra @ Blå, July 2002 Gisle Johansen (sax), Håkon Kornstad (sax) Vidar Johansen (sax), Jon Klette (sax), Hild Sofie Tafjord (french horn), Håvard Wiik (p), Bugge Wesseltoft (synth), Ivar Grydeland (g), Ingebrigt Håker Flaten (b), Mats Eilertsen (b), Bjørnar Andresen (b), Paal Nilssen-Love (ds) ■ Crimetime Orchestra @ Smuget, 16 December 2002 Gisle Johansen (sax), Vidar Johansen (sax), Jon Klette (sax), Hild Sofie Tafjord (waldhorn), Ivar Grydeland (g), Christian Wallumrød (key), Bugge Wesseltoft (key), Per Zanussi (b), Ingebrigt Håker Flaten (b), Bjørnar Andresen (b), Thomas Strønen (ds) ■ Crimetime Orchestra @ Smuget, 15 December 2003 Vidar Johansen (sax), Jon Klette (sax), Jørgen Munkeby (sax), Hild Sofie Tafjord (waldhorn), Sjur Miljeteig (tp), Bugge Wesseltoft (key), Ivar Grydeland (g), Ingebrigt Håker Flaten (b), Harald Johnsen (b), Jarle Vespestad (ds), Thomas Strønen (ds), Bjørnar Andresen (b), Geir Wentzel (org) ■ Crimetime Orchestra @ Blå, 20 December 2004 Vidar Johansen (sax), Jon Klette (sax), Kjetil Møster (sax), Håkon Kornstad (sax), Sjur Miljeteig (tp), Øyvind Brække (tb), Hild Sofie Tafjord (french horn), Håvard Wiik (p, rhodes), Bugge Wesseltoft (p, rhodes, synth), Ingebrigt Håker Flaten (b), Eivind Opsvik (b), Mats Eilertsen (b), Anders Hana (g), Ivar Grydeland (g), Ketil Gutvik (g), Paal Nilssen-Love (ds) ■ Crimetime Orchestra @ USF Vertet / Nattjazz, 30 May 2005 Vidar Johansen (ts, bcl), Jon Klette (as), Kjetil Møster (ts, ss), Øyvind Brække (tb), Sjur Miljeteig (tp), Anders Hana (g), Bugge Wesseltoft (synth, effects), Ingebrigt Håker Flaten (el-b, double-b), Per Zanussi (el-b, double-b), |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Bjørnar Andresen selected discography |
ディスコグラフィーは後日補足があるかもしれません。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||