(pickup 2005 vol 6 : 21 June 2005)
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Håkon Kornstad & Håvard Wiik Eight Tunes We Like |
| * Håkon Kornstad (ts) & Håvard Wiik (p) * |
01. Touching (Annette Peacock) 02. Jesus Maria (Carla Bley) 03. Birth (Keith Jarrett) 04. Calls (Carla Bley) 05. Op. 7 - Sehr Langsam (Anton Webern) 06. The Peacocks (Jimmy Rowles) 07. Humpty Dumpty (Ornette Coleman) 08. Autumn In New York (Vernon Duke) |
| All tracks recorded in Rainbow Studio, Oslo, July 2003. Engineer: Jan Erik Kongshaug Except track [7] recorded in Bugge's Room, Oslo, October 2003. Engineer: Andy Mytteis Mixed and mastered by Ingar Hunskaar at Strype Audio, Oslo, April 2005 Produced by Kornstad & Wiik. Executive producer: Jonas Kullhammar Sleevework by Stoffer Ganes. Touching is dedicated to Bjørnar Andresen. * 2005; Moserobie; MMP CD032 * |
Håkon Kornstad (b. 1977) と Håvard Wiik (b. 1975) の共演作がやっと届けられた。共演歴も決して短くないし、音楽的にもそう遠くないはずのこの2人だが、共演作はこれまでほとんどなかった。 この2人の顔合わせに最初にわくわくさせられたのは 1999年に結成された Atomic だった。しかし2001年頃に Håkon Kornstad が脱退することで、この2人の顔合わせのレコーディングは実現しないままになってしまう。その後 Atomic は、Håkon Kornstad に代わって加入した Fredrik Ljungkvist によるマテリアルをレパートリーとし、その方向性を大きく変えたため、Håkon Kornstad 在籍時のもっとストレートだった頃の形跡は現在の彼らの音楽には見られない。 次に登場したのが 2000年に結成された Black Beauty というグループだ。Håkon Kornstad (ts) と Frode Nymo (as, Urban Connection) の2管に加え、Håvard Wiik はフェンダーローズを弾きまくり、ベースは Ingebrigt Håker Flaten もしくは Per Zanussi、ドラムは Paal Nilssen-Love もしくは Per Oddvar Johansen という顔ぶれでエレクトリック・マイルズへのオマージュを標榜、1時間近い演奏をノンストップで繰り広げるステージを展開していた。Atomic 同様国内では話題になっていたが、こちらは現在はほとんど活動してない。 最も最近では 2003年頃に結成された Firkorn というユニットがある。Håkon Kornstad (ts), Håvard Wiik (p), Per Oddvar Johansen (ds) は固定で、ベースが Ingebrigt Håker Flaten だったり Mats Eilertsen だったり、時には Eivind Opsvik だったりしたこともある。オスロで2年程の間単発でライブをやっているが、もちろんレコーディングはまだない(※Firkorn 名義ではないが、ベースが Ingebrigt Håker Flaten のカルテットで "Bjorn Johansen in Memoriam" (2003; Hot Club Records) というコンピレーションへの参加がある)。 Håkon Kornstad のメイン・プロジェクトの1つである Wibutee の、2004年にリリースされたアルバム "Playmachine" には2曲で Håvard Wiik がゲスト参加している。実質的に共演レコーディングはこれと先のコンピ盤への1曲しかないのが本当に不思議だ。 同じ Jazzland から Kornstad Trio として "Space Available" (2002)、Håvard Wiik Trio として "Postures" (2003) という素晴らしい内容のトリオ作をリリースしている2人。内容はいずれもシリアスなアコースティックジャズで、ノルウェーらしさは感じられるものの、もっと普遍的なジャズとして捉えられるものだった。 そんな Håkon Kornstad と Håvard Wiik はデュオとして2000年から活動している。初めてのレコーディングとなるこのアルバムでは、"Eight Tunes We Like" というアルバムタイトル通り収録曲はすべてカバー、オリジナルはなし。カバーと言ってもスタンダード集ではないその選曲はなかなか興味深いが、突飛な解釈を見せるものはない。7曲目の Ornette Coleman のカバーのように軽快なものも若干あるが(それにしてもこの曲、特に Håkon Kornstad は随分吹き込んでいそうな印象を受ける)、ほとんどのトラックはアルバムは5曲目 Webern のタイトル「非常にゆっくりと」ほどではないにせよ終始スローからみディアム止まり。一歩外せば恐ろしく退屈にもなりかねないこのコンセプトは、ある意味非常に大胆だ。彼らはそれを途方もなく美しく、静かに、そして豊かな響きで自分達の音楽として再現している。 Håkon Kornstad のトリオ作 "Space Available" で、彼らしさが最もよく出ていたのがミュージカルナンバー "Send In The Clowns" のカバーだった。ああいうスローな曲はとても好きだ、と本人も振り返るように、彼の繊細で表情豊かなブロウはスローナンバーで最も発揮される。このアルバムでは、さらに控えめなほどシンプルに吹いている。 Håvard Wiik のピアノに、北欧らしさを見出すとすればそれは Rainbow Studio での録音という要素が大きい。ただしそれを差し引いても彼は美しいタッチの持ち主だ。Atomic などでも元々さほど派手な演奏をするタイプではないが、Håkon Kornstad 同様、Håvard Wiik の演奏もこのアルバムでは控えめだ。 2人のアンサンブルは、火花散らすでもなく、かといってあうんの呼吸というのともまたほんの少し違っている。お互いがそこにいて音を鳴らしているのが当たり前であるかのように、2人のミュージシャンの奏でる音は静かにクロスする。この録音はともにまだ20代という若いミュージシャンの記録だ。演奏は、既に年齢に見合わない程の表現も見せるが、それでも瑞々しい若々しさをより強く感じる。 北欧のミュージシャンが作り出す静かでミニマルな音楽を聴いていると、時折、音を少しだけ鳴らすことで、音が鳴っていない瞬間を形づくろうとしているかのように感じられることもあるが、この "Eight Tunes We Like" はそれには当てはまらない。音が鳴っている瞬間の一つ一つがこんなにも豊かな時間になりうるのかという想いを抱かせられるこのアルバムは、その音楽にゆっくり耳を傾ける人に至福の42分を与えてくれる。 |