(pickup 2006 vol 1 : 16 January 2006)
![]() 2005; rune grammofon RDV 2047 (pal / all regions) ![]() 2005; bomba records BOM 3802 (ntsc / all regions) 7.1 / 7.2 / 7.3 / 7.4 / 7.5 / 7.6 recorded by kai andersen / athletic sound assisted by sven olsen mixed by helge sten foh engineered by audun strype all selections by supersilent lights by kyrre heldal karlsen and sfefan dombek photography by kim hiorthøy, hanne myhren and jacob risdal otnes assited by kjartan heleve and andré severin film loading by viggo knudsen and robin ottersen directed and edited by kim hiorthøy audio mastering by helge sten dvd production and authoring by born studios / cutting room sleeve by kim hiorthøy funded by hundreårsmarkeringen norge 2005 p + c 2005 rune grammofon as filmed and recorded at parkteatret, oslo 16.08.04 mixed at audio virus lab 09.-15.01.05 audio mastering at audio virus lab 04.07.05 :::::: related pages albums:
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supersilent 7 jarle vespestad / arve henriksen / ståle storløkken / helge sten directed and edited by kim hiorthøy 映像作品が音だけの作品より情報量が圧倒的に多いことは言うまでもない。聴く人によって音楽は違って聴こえたり、聴こえなかったり、また少し情報を添えることでもっといろいろ聴こえてくる場合もあるが、映像はそうではない。少なくともしっかり画面をみればとても色々なことが誰にでも分かる。ここではこの作品を鑑賞するのにおそらく不要であることを色々書くことになる。 Supersilent が映像作品を作ることを考えている、というのを小耳に挟んだのは2002年だっただろうか。スリーブにメンバーの名前すら書かない彼らが映像作品だって?と驚いて確認したが、その時はまだはっきりした計画はなく、少なくともライブ映像という話はなかった。つまりライブDVDよりまず先になんらかの映像作品、というアイディアがあったということは意外ながら事実だ。 2004年8月16日のこのコンサートが行われた日、開演の数時間前に私はオスロ市内で Paal Nilssen-Love と会って話をしていた。当然その日の特別なコンサートの話も話題になる。「コンサートは今日と明日?」−何気ない質問だったが、私が、「いや、今日だけ」と答えた時、彼の表情が変わった。そんな無茶な…明らかにそういう顔をした。彼ほどのインプロヴァイザーでもそう思うのか、とこれから行われようとしている一大イベントの大変さを少し感じた。 会場となった Parkteatret は現代音楽寄りの公演が多く行われる会場だ。画面から受ける印象の2倍以上のキャパシティーがあるといっていいだろう。天井も高く、ステージの間口も広い。またステージそのものもかなり高めで、即興演奏にはやや不向きな構造だ。ただし撮影には適している。撮影のため前4分の1ほどに台座が置かれているが、その台座はステージからはかなり遠い。 カメラは3台。ステージに向かって左、中央、右。Kim Hiorthøy は自ら左のカメラを回す。全て三脚のついた固定カメラで、手持ちはなし。途中でフィルムを交換する時にカメラを三脚ごと前に動かしたり、後ろに下げたりと少しだけ変化が付けられているが、それより相当な高倍率までカバーするズームレンズの効果のほうが大きい。 フィルムは16mmモノクロ。DVD というより映画の撮影のようだ。このフィルムは1本12分しかない。3台のカメラは時差をつけてフィルム交換をし、最悪でも1台のカメラがステージを捉え、映像が途切れないようにしなければならない。3台のカメラに3人のカメラマン、2人のフィルム交換スタッフ、交換スタッフとカメラマンの間でフィルムの受け渡しをするスタッフが2人。 ステージ下には赤い電光表示が時間を刻んでおり、フィルムを充填するたびにその時間を写しこんで同期をとる。これは 7.4 と 7.5 の間で一瞬確認できる(余計なことだがそこに刻まれている時間で開演が相当遅れたことなどもわかる)。膨大なフィルムを全てスキャンし、1本の映像作品に切り出していくという途方もないこの計画は、同時に相当な費用もかかる。Rune Grammofon のような小さなレーベルがこんな費用を出せるはずはない。「スポンサー」となっているのはスリーブにも書かれているように "Hundreårsmarkeringen Norge 2005"、直訳すれば「ノルウェー100年記念」、つまり1905年のノルウェーのスウェーデンからの平和的分離独立記念文化事業の一環としてサポートされているのである。Supersilent のような、実験的で決してメジャーではない音楽でも、ふさわしい評価をされサポートされるというこの国の事情がなければ実現し得ないプロジェクトだろう。尚、スリーブに4つ並んでいる小さなアイコンのうち、一番右がこのプロジェクトのものだ。 そうして作品という形になった1つのライブ。スリーブにはいつものように supersilent 7 と書かれているが、これは Kim Hiorthøy というアーティストの "supersilent 7" という作品と捉えたほうがいいかもしれない。 この作品は約109分。通常の長さのアルバム2枚分をノンストップで見ている計算になる。途切れないどころか演奏が進むにつれじりじり上がってくる緊張感と相まって、見た後にはぐったりする。それぞれの曲が相当長く、30分を超えるものもある、ということは DVD を何度も繰り返して見た後、表示される数字で初めて認識した。 ライブの現場では「あまりにもバランスが良すぎる」と思った全体の構成は、作品になってみればちょうど良い具合になっており、やはりパーフェクトなDVD向けのライブという印象だ。アグレッシブな演奏から美しい演奏まで、彼らの最近の姿の色々なサイドを見せる。 驚いたのは画像だ。広い会場で普通のクラブギグよりずっと明るい状態、しかもカメラはかなり離れていたが、作品になった映像はまるで異なる。背景はほとんど真っ暗、メンバーのみがその暗闇から浮かび上がる。しかもカメラはかなりアップでミュージシャンの表情を捉える。 16mmモノクロフィルムによる画質の粗い、けれど手触りのある映像はいかにも彼ららしい仕上がりだ。スタジオではアナログ録音にこだわる彼らである。エレクトリックだけれどラップトップはもちろん使わない、そんな彼らにふさわしい画像だ。冒頭に書いた「情報量」を少し減らすという意味でもモノクロで正解だったのではないか、とも思う。 Kim Hiortnøy による編集は素晴らしい。ライブDVDは実際のライブを見るのとは異なる。複数の目が複数の方向からステージを捉える。ライブでは自分の意思でどのメンバーに視線を移すかコントロールできるが、映像作品ではそうはいかない。しかしこの作品ではそのちょっとしたもどかしさよりも、まるで音楽に合わせて呼吸するように切り替わる見事な編集のほうがずっと大きい。ライブDVDが実際のライブよりインパクトがあるはずはないが、ライブでは絶対に体験することができない映像を見せてくれるという点で、この「作品」からは実際に見たこのライブとはまた異なった強い印象を受けた。 彼らのライブに必ず同行し、サウンドエンジニアとして何が起こるかわからない彼らのステージを影から支えながら全ての演奏を録音し続ける「5人目のメンバー」 Audun Strype と、彼らのスタジオ録音作を手がける Kai Andersen という2人のベテランにより録音された音は完璧だ。しかし映像にはやはりいくつかの問題点がある。最も目立つものはフィルムのトラブルで、少しずれた画像がチラチラと二重に見えるものだ。Rune Grammofon のレーベルオーナー Rune Kristoffersen も国内盤のライナーで言及しているが、個人的には音楽と映像に集中できなくなるためかなり気になる。この作品でほとんど唯一マイナスポイントとなる点だろう。 これまでに CD となっているアルバムのみから Supersilent というグループのパフォーマンスを想像するとどんな感じだろう。最近の作品 "5" や "6" からすると、ステージの上ではクールに淡々と演奏を繰り広げる、そんな光景を思い浮かべるかもしれない。しかしこの DVD は、彼らがその複雑なリズムに合わせて体を動かし、汗を光らせ、何かを振り絞るように演奏する姿を捉えている。原始的なほどに人間的でシンプルな音楽表現ではないだろうか。 Supersilent のライブは不思議な体験だ。完全即興だが、一般的な即興演奏のセッションとは全く異なる。誰も、メンバーですら演奏がどのようなものになるか分からないというが、まるで目に見えないプロットがあるかのようだ。もちろん、それぞれのメンバーには得意のパターンや音があるが、演奏は2つと同じものはない。1回彼らのライブに接することは彼らの氷山の一角を垣間見ることで、次に見る時はまた違う一角をほんの少しだけ見ることになる。この DVD も、収録されている音楽は比較的変化に富んでいるが、それでもやはりそれらの一角に過ぎない。見れば見るほど、聴けば聴くほど、その計り知れない可能性があることをぼんやりと感じ取ることになるが、その正体を把握するにはなかなか至らない。少なくとも私にとってはそうだ。音楽に注目し続け、機会がある限り何度でもライブを聴いてみたいと思う彼らのようなグループは、そんなに多くはない。 |
| 7.1 (16:56) ステージに登場して持ち場に位置するやいなや、合図するでもなく顔を合わせるでもなく誰からともなく音楽が始まる。一度も彼らのライブ演奏を見たことがない人はその始まり方だけでびっくりするだろう。アンビエントな音響と不規則なぽつぽつとしたリズムに Arve Henriksen の柔らかなトランペットを乗せて始まったはずの演奏は、いつのまにかズダズダのリズムとノイズの大音響セッションになっている。17分近い演奏は突然ぱらっと解けて鮮やかに終わる。 7.2 (22:11) Ståle Storløkken のキーボードで始まり、4人のメンバーが短い音をつなぎ合わせるセッション。途中何度か画面にも映る Helge Sten の不思議な挙動に目が行くだろう。彼が両手の中でしっかり握り締め、斜めに大きく振りかざしているのはマイクロフォンのようなもので、フィードバックを作り出す自作ギアだ。中盤以降、複雑なリズムパターンが 7.1 と似たような展開で現れるが、この曲では曲は終わりそうで終わらない。Arve Henriksen がトランペットにサックスのマウスピースを付け、トランペットの首を絞めたみたいな奇妙な音を発し、やがて彼はマイクをとって意味不明な言葉をぶつけ出す。 7.3 (30:18) 再び Ståle Storløkken の長いソロで始まる。彼の姿を捉えた左カメラの映像の後ろで、Jarle Vespestad がもそもそとドラムの準備をしているのが面白い。つまり、この最初の段階でその後の展開を読んでドラムにカバーをかけているわけだ。Arve Henriksen がファルセットボイスで参入するのと同時に、6.1 で聴いたのと似たフレーズがリピートされる。いつの間にか覆いが外されたドラムセットを叩く Jarle Vespestad は曲を引っ張るでもなく盛り上げるでもなく、その瞬間だけを叩き出すような演奏で、そこに Helge Sten が意図的に異なるビートをシンセで持ち込み、Jarle Vespestad の演奏もこれに応えて曲は展開する。最後はほとんどロックバンドのようだ。 7.4 (10:42) マウスピースを外したトランペットのソロで始まるこのセッションは、後ろで Jarle Vespestad のドラムが不安定さを強調するようなドラムを叩く中、比較的静かな演奏が続く、アルバム "5" の雰囲気にも近いもの。Helge Sten が出しそうな音を Ståle Storløkken が出していたりすることが確認できるのは映像作品ならでは。10分42秒の演奏がこの作品の中ではとても短く感じられる。 7.5 (20:56) 比較的長くインターバルが取られた後、Arve Henriksen がトランペットで空気を吹き音響を作ったところにビートを持ち込むのは Jarle Vespestad ではなく Helge Sten。瞬間的に Jarle Vespestad が食らいつく。かなり早い段階から相当ヘビーなセッションとなり、中盤では Jarle Vespestad は叫びそうな顔でドラムを叩きまくり、Ståle Storløkken は立ち上がって歪んだフレーズを弾き、Helge Sten は指先は機械を捕らえながらも激しく頭を振り、Arve Henriksen は取り憑かれたように叫んでいる。映像のほうも目まぐるしく切り替わり、実際見たときと同様、正視するのも怖いほどだ。と、突然 Ståle Storløkken が弾いたメロディーに Arve Henriksen が応じ(ちょうど7.3の逆である)、恐怖のセッションをまっすぐに立て直してからコンサートの本編は終了する。 7.6 (7:37) アンコール。Arve Henriksen がうっすらトランペットを敷いた後、Helge Sten がキーボードで先導し、それに Arve Henriksen が応える。やがて Ståle Storløkken が入り、キーボードデュオとなる。一番最後、キーボードの音が消え、Kim Hiorthøy のカメラが捉えた Ståle Storløkken の手が楽器から離れる瞬間が美しい。 |
special thanks to supersilent and rune kristoffersen.