(pickup 2006 vol 4 : 12 June 2006)
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ERLEND SKOMSVOLL : VARIASJONER |
| 1. Menuett 2. Sirkel 3. Improvvisazione libera di um salmo per la Regina 4. Vossajassjazz 5. Bøk 6. Du è den ende 7. Vvals 8. Molto Adagio e Spellato 9. Dr. Fleischers søvneliksir 10. Vindu Sveinung Lillebjerka (vln) Stig Ove Ose (vla) Ørnulf Lillebjerka (cel) Eirik Hegdal (ss, as, bs) Torben Snekkestad (sns, ss, ts, bcl) Mathias Eick (tp) Øyvind Brække (tb) Thomas Dahl (g) Erlend Skomsvoll (p, fender rhods, tu) Ole Marius Sandberg (b) Thomas Strønen (ds) Stein Inge Brækhus (live recording) Asle Karstad (concert engineer) Rune Mortensen (coverdesign) Erlend Skomsvoll / Guri Mulvik (photo) Mixed at Rainbow Studios Dec. 05' and Jan. 06' by Jan Erik Kongshaug and Erlend Skomsvoll 2006; Grappa; GRCD 4246 |
冒頭のタイトルは "Menuett"、ストリングストリオによる流れるようなメロディーで始まる。Erlend
Skomsvoll のこれまでの作品はいずれもよく聞いてきたから、この展開はとても意外だった。意外なことがもう1つ。2002年のライブ録音が、4年も経って突然リリースされたことだ。 Erlend Skomsvoll は 1969年生まれ。トロンハイムの音楽院のジャズコースを卒業後もトロンハイムをベースに活動している。ピアニストだが、むしろコンポーザー/アレンジャーとして知られる。彼を一躍有名にしたのはモルデ・ジャズフェスティバルでの Chick Corea との共演(2000年)、そしてその好評ぶりを受けての翌年の Pat Metheny との共演だ。Erlend Skomsvoll は共演した Chick Corea や Pat Metheny に代表される70/80年代のアメリカのジャズ(特にエレクトリックなもの)に大きな影響を受けており、それは彼のソロプロジェクト Skomsork に最も大きく出ている。 Come Shine の3作目や Skomsork もストリングスを加えたアンサンブルだったが、このアルバムでは、ストリングス、それに自身のピアノのほうがメインになっている点で他と決定的に異なる。曲により楽器の組み合わせを変え組み入れられているのは管楽器のほうなのだ。彼は多くのプロジェクトで自らピアノやフェンダーローズを弾いているが、この作品ほどに印象に残るアコースティックピアノの演奏はこれまでなかったような気がする。ストリングスとアコースティックピアノによる響きは、それだけならもちろんかなりクラシック寄りのものだ。しかし、トータルとしてこのアルバムの音楽は完全にジャズで、クラシックや現代音楽ぽさは全くない。理由は、楽器と楽器奏者に与えられた自由なスペースが多く、緩やかなアンサンブルであることだ。ライナーノーツにある自身の言葉によると、ミュージシャンの意見やフェスティバルの雰囲気を反映させたかったため、リハーサルのためミュージシャンが集まった時点ではこの作品は完全にはアレンジされていなかったという。尚、この点についてはわざわざ「私の他のプロジェクトと異なり」とされている。 この作品は2002年3月23日、ノルウェーのヴォスでのフェスティバル Vossajazz の委託作品として書かれ、初演された。フェスティバルのプログラムもこのアルバムも Erlend Skomsvoll 名義となっているが、Trondheim Jazz Orchestra や Skomsork と重なるメンバーで構成されている。TJO 同様、トロンハイムの音楽院を卒業したミュージシャンばかりで、それぞれにソロの場面も与えられているが、基本的にアンサンブル志向が強い。この顔ぶれの中、最も印象に残るソロを聞かせるのは #2 の Mathias Eick。特に派手な演奏をしているわけではないが、このアンサンブルで恐らく最も若い彼の、メロディーのツボの押さえ方には驚くばかりだ。 前述のライナーノーツには、彼自身の言葉でそれぞれの曲の解説が書かれている。例えば "Sirkel" には Pat Metheny の "First Circle" を踏まえた点が多くある、等々("sirkel" はノルウェー語で "circle" にあたり、また Pat Metheny と TJO とのプロジェクトでも "First Circle" を演っていた)。Come Shine のアルバムでも、インスピレーションの元が列挙されていたり、アレンジのネタが書かれていたりしたが、音楽以外のこれらの情報は彼のルーツや活動全てにアイディアの元があることを知るヒントになる。 ": Variasjoner" 、英語の variations にあたるノルウェー語のタイトルのこのアルバムに収録されている10曲は、2分のものから12分にも及ぶものまで長短様々、内容もバラエティーに富んでいる。流麗でとても美しいものから、ステージでの飄々とした Erlend Skomsvoll を思わせるユーモアを感じるものまで、一見バラバラだが、アルバムを1枚聞き終える時にはサウンドトラックを聴いたような印象が残る。その種あかしはやはりライナーノーツに書かれている − Erlend Skomsvoll がこのプロジェクトのための作曲を始めた時、最初に書いた "Salme in Gm" というモチーフ(スコアの一部はブックレットに掲載されている)が、多くの曲のベースになっているからだ。 |
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>> ": Variasjoner" @ www.grappa.musiconline.no |
| more with Erlend Skomsvoll | ||||||||||||
1. Witutee "Newborn Thing" (1999 / rec. 1998; Jazzland; 547033-2) w/ Wetle Holte (ds, per), Per Zanussi (double-b), Håkon Kornstad (ts), Live Maria Roggen (vo), Erlend Skomsvoll (fender rhodes, synth, upright p) 2. Come Shine "Come Shine" (2001 / rec. 2000; Curling Legs; CD 61) w/ Live Maria Roggen (vo), Erlend Skomsvoll (p), Sondre Meisfjord (b), Håkon Mjåset Johansen (ds) 3. Come Shine "Do Do That Voodoo" (2002 / rec. 2002; Curling Legs; CD 75) w/ Live Maria Roggen (vo), Erlend Skomsvoll (p), Sondre Meisfjord (b), Håkon Mjåset Johansen (ds) 3. Come Shine with the Norwegian Radio Orchestra "In Concert" (2003 / rec. 2003; Curling Legs; CD 78) w/ Live Maria Roggen (vo), Erlend Skomsvoll (p), Sondre Meisfjord (b), Håkon Mjåset Johansen (ds); The Norwegian Radio Orchestra conducted by Christian Eggen 4. Skomsork "Skomsork" (2004 / rec. ?; Park Grammofon; PGCD 101) w/ Erlend Skomsvoll (key), Eirik Hegdal (sax), Thomas T. Dahl (g), Ole Marius Sandberg (double-b), Thomas Strønen (ds); with Cikada String Quartet: Odd Hannisdal (vln), Henrik Hannisdal (vln), Marek Konstantynowicz (vla), Morten Hannisdal (cel) 5. Chick Corea and Trondheim Jazz Orchestra "Live In Molde" (2005 / rec. 2000; MNJ Records; MNJ CD 001) w/ Frode Nymo (as), Tor Yttredal (ss, as), Atle Nymo (ts), Kjetil Møster (ts), Jon Pål Inderberg (bs), Torgeir Andresen (tp), Mathias Eick (tp), Tore Johansen (tp), Øyvind Brække (tb), Inge H. Mortensen (horn), Øystein Baadsvik (tu), Chick Corea (p, el-p), Hans Chr. Frønes (el-g), Steinar Raknes (b), Håkon Mjåset Johansen (ds), Erlend Skomsvoll (cond., arr) |
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| about TJO (Trondheim Jazz Orchestra) | ||||||||||||
1. Chick Corea and Trondheim Jazz Orchestra "Live In Molde" (2005 / rec. 2000; MNJ Records; MNJ CD 001) w/ Frode Nymo (as), Tor Yttredal (ss, as), Atle Nymo (ts), Kjetil Møster (ts), Jon Pål Inderberg (bs), Torgeir Andresen (tp), Mathias Eick (tp), Tore Johansen (tp), Øyvind Brække (tb), Inge H. Mortensen (horn), Øystein Baadsvik (tu), Chick Corea (p, el-p), Hans Chr. Frønes (el-g), Steinar Raknes (b), Håkon Mjåset Johansen (ds), Erlend Skomsvoll (cond., arr) 2. Eirik Hegdal with Trondheim Jazz Orchestra "We Are?" (2005 / rec. 2004; Jazzaway Records; JARCD014) w/ Siri Gjære (vo), Eirik Hegdal (ss, as, bs), Håvard Lund (cl, bcl), Njål Ølnes (ts), Kjetil Møster (ts), John Pål Inderberg (bs), Øyvind Brække (tb), Nils Olav Johansen (g, vo), Erlend Skomsvoll (p, tu), Ole Morten Vågan (double-b), Tor Haugerud (ds) 3. Trondheim Jazz Orchestra & Vigleik Storaas "Tribute" (2006 / rec. 2004; MNJ Records MNJ CD 002) w/ Hayden Powell (tp), Christian Jaksjø (tb, euphonium), Daniel Herskedal (tu), Stein Villanger (french horn), Ola Kvenberg (vln), Øyvind Engen (cel), Eirik Hegdal (ss, as), Bjørn Ole Solberg (as, ts), Espen Reinertsen (ts), John Pål Inderberg (bs, ss), Vigleik Storaas (grand-p, comp), Håkon Mjåset Johansen (ds), Steinar Raknes (b) ノルウェーには各地に様々なラージアンサンブルがある。例えばかつての Oslo 13 など Jon Balke のプロジェクト、Trygve Seim や Geir Lysne のアンサンブル、Crimetime Orchestra や Jaga Jazzist 等々、10人前後の編成のバンドが数多くあり、音楽性も実に様々。大人数のアンサンブルはもちろん費用などの問題を抱えることになるが、その活動を可能にしているのがこの国の音楽活動に対する補助金、それにジャズ寄りのものについてはさらにフェスティバルによる委託作品という形での活動の場の提供だ。 Trondheim Jazz Orchestra、ノルウェー語では Trondheim Jazzorkester (TJO)は、数多いラージアンサンブルの中でも国内トップに位置する。とはいえ、固定メンバーはおらず、バンドリーダーが作品に応じたミュージシャンをセレクトする。ストリングスなど一部を除いて、ほとんどがトロンハイムにある音楽院(現在のノルウェー科学技術大学音楽部ジャズコース)の卒業生(もしくは在学生)で、さすが名門だけありミュージシャンは凄腕揃い。 フェスティバルのため、もしくは一定期間のツアーのために選ばれるリーダーは大抵の場合作曲者で、まれにゲストミュージシャンであり、これまでの顔ぶれは Chick Corea, Pat Metheny, Birger Sulsbrück, Eirik Hegdal, New York Voices, Jon Balke, Knut Kristiansen, Terje Rypdal, Vigleik Storaas, Eirik Hegdal & Maria Kannegaard, Geir Lysne, Erlend Skomsvoll 等。 1. の Chick Corea のバージョンは2000年7月、モルデ・ジャズフェスティバルでの録音。このプロジェクトの趣旨は Chick Corea の有名な、そしてあまり知られていない作品(とライナーには書かれている)の両方にスポットを当てるというもので、Erlend Skomsvoll が全てのマテリアルのリアレンジを手がけている。尚、Chick Corea と Erlend Skomsvoll は楽器が同じなので、Erlend Skomsvoll は演奏には参加しておらず、また Chick Corea のピアノのため全体的に明るい印象。アルバムに収録されているのは Crystal Silence, Windows, Matrix, Duende, Bud Powell, Return To Forever, Spain Intro, Armandos Rhumba。Erlend Skomsvoll によるアレンジの妙と素晴らしい演奏(それに観客の盛り上がり)が堪能できる。ただ、このアルバムが最初に噂された時は2枚組、とのことで、ライナーノーツにも12曲のマテリアルが用意されたとあるが、結局8曲の1枚組となった点がとても残念だ。ちなみに翌年の Pat Metheny とのプロジェクトのほうはストリングスと女性ボーカルが入った全く違う編成で Pat Metheny の曲に取り組んだものだったが、こちらはアルバム化されていない。 2. の Eirik Hegdal はトロンハイム在住のサックス奏者で、この作品は2004年6月のスタジオ録音盤。作曲は全て Eirik Hegdal によるもので、作詞はシンガーの Siri Gjære によるものの他、Rupert Brooke や John Irving の詩を扱ったものも含まれる。これまでリリースされた3枚の TJO のアルバムのうち、ある意味最もトロンハイムらしさが出ているのがこの作品。暖かみのあるポップな音楽性をもつ Siri Gjære の歌と、ちょっとひねりの効いたアレンジ、ジャズやポップ、ロック、ジャズロックをミックスした音楽などがそのポイントだ。ミュージシャンの持ち味を活かすというより、それぞれのミュージシャンを念頭に置いて楽曲のアレンジがされており、ひとつずつの音がとても効果的に響く。 3. の Vigleik Storaas は Curling Legs に秀逸なトリオ作を残しているピアニスト。このプロジェクトは2004年9月のトロンハイム・ジャズフェスティバルの委託作品で、同時に(旧)トロンハイム音楽院ジャズコースの25周年であることを受け "Tribute" とタイトルされている。アルバムはそのフェスティバルでのライブ録音。内容は TJO の先の2枚とは全く異なる非常に伝統的な「ジャズ」で、それは人選にも反映されている。音楽院ジャズコース長で、多くのノルウェー人ミュージシャンの師にあたる John Pål Inderberg が常連として参加する一方、比較的トラディショナルな方向性の、今後注目されるであろう Hayden Powell や Ola Kvernberg ら 1980年代生まれのソロイストたちも持ち味を活かした演奏をしている。 尚、1. と 3. のリリース元 MNJ は Midtnorsk Jazzsenter で、ノルウェージャズ協会の中部ノルウェー支部といった組織。通常のレコードレーベルではないのでアルバムの入手はやや難しいかもしれない。 |
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| >> Midtnorsk Jazzsenter |