(pickup 2006 vol 5 :15 August 2006)

Wibutee "Sweet Mental" Wibutee «Sweet Mental»
01 Crash Hit
Music by H. Kornstad, W. Holte, R. Brøndbo
Lyrics by H. Konrstad

02 Aalo
Music by H. Kornstad, W. Holte, R. Brøndbo
03 Travel With You
Music by W. Holte, H. Kornstad, R. Brøndbo
04 Stereo Plains
Music by W. Holte, H. Kornstad, R. Brøndbo
05 SORPI
Music by H. Kornstad, R. Brøndbo, W. Holte
06 It's All Here
Music by R. Brøndbo, H. Kornstad, W. Holte
07 Sebastopol
Music by R. Brøndbo, H. Kornstad, W. Holte
08 Two With Nature
Music by W. Holte, H. Kornstad, R. Brøndbo
09 The Ball
Music by H. Kornstad, A. Garbarek, R. Brøndbo
Lyrics by H. Kornstad


Recorded January 3-15, 2006 at Propeller Studios, Oslo, Norway.
Engineer: Michael Hartung.
Additonals on "Crash Hit" recorded May 2005 in Audiopol, Skie, Norway.
Engineer: Espen Gundersen.
"The Ball" recorded by Håkon Kornstad.
Additionals on "Sebastopol" and "Crash Hit" recorded by Håkon Kornstad. Additiohnals on "It's All Here" by Rune Brøndbo at Wibuton.
Vocals on "The Ball" recorded by John Mallison

Mixed March 2006 at Propeller Studios, Oslo, Norway by Michael Hartung.
Mastered April 4, 2006 at Cutting Room, Stockholm, Sweden by Thomas Eberger

Produced by Wibutee
Co-produced by Michael Hartung

Artwork by Håkon Kornstad


2006; Sonne Disk
SON 001


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1999
Newborn Thing

2001
Eight Domestic
Challenges

2004
Playmachine
Håkon Kornstad (sax, fl, flutonet, melodica, electronics, vo, prog)
Wetle Holte (ds, electronics, prog)
Rune Brøndbo (elecronics, key, g, prog)
with
Tor Egil Kreken (banjo, b, g)
Michael Hartung (g)
and
Anja Garbarek (vo on #09)


Wibutee の最初の2枚、"Newborn Thing" (1999; Jazzland) と "Eight Domestic Challenges" (2001; Jazzland) は、一聴してすぐとても気に入り、長い間よく聴いたアルバムだったが、3作目 "Playmachine" (2004; Jazzland) は最初、これをどう捉えてよいか分からなかった。インタビューで彼らは、Wibutee のことをポップグループだと考えている、と発言している。そしてグループ結成当初からの3人のうちの1人、Per Zanussi (b) の脱退…。Per Zanussi は Wibutee での活動の反動もあったのだろうか、アコースティックジャズ、それもシリアスで少々フリー寄りのプロジェクトに邁進、自身のクインテット Zanussi Five では Wibutee 初期の自身のマテリアルのフリージャズリメイクまでやっている。

"Playmachine" というアルバムは、いまいち掴み切れない感を残しながらも結局それなりに聴き続け、長い時間経ってから少しずつ彼らの方向性の変化が飲み込めてきた。そんな状態の私に、衝撃的と言っていいほどのインパクトを与えたのが、彼らのライブだ。記憶の中には2002年5月の来日公演、"Eight Domestic Challenges" の頃の彼らの姿しかない。それから3年、2005年8月オスロでのライブで演奏されたのは "Playmachine" の聴き慣れたマテリアルが大半だったが、グループはほとんどロックバンドのようなパワフルさで、踊れるビートの曲を演奏するグループに変貌していた。後から思えば過渡期、違う言い方をすれば変化への第一歩だった "Playmachine" は、そのライブを観てから逆によく聴くようになった。

オリジナルメンバーの脱退に次ぐ大きな変化は、Jazzland からの離脱だ。本当のところの理由は分からない。しかし、いくらでもあったであろうレーベル移籍という選択肢は選ばず、自身のレーベルを立ち上げるというリスクを冒してまで自由に作られたこのアルバムは、Wibutee というグループの現在を伸びやかに表現する快作となった。

アルバムは、その全体の印象からするとちょっと肩透かしのようなドリーミーなボーカルナンバーで始まる。ファルセットで歌っているのは Håkon Kornstad。前作に収録されていた "Gitlat" もライブの際は自分でボーカルをこなしていたが、ここまでまともに歌を歌ったのは子供の頃以来で、とても楽しかったと言う。

新しい Wibutee の姿を強烈に印象付けるのはその次のトラックから。テナーサックスのブロウ、尖ったロックビートを弾き出すドラム、センチメンタルなメロディーやちょっとチープな音のエレクトリックな楽器の配し方に見られる彼ら流のポップセンスがコンパクトな楽曲にいっぱいに詰まっている。

このアルバムの製作中、プロデューサーに Mike Hartung を迎えて Propeller Studio でレコーディングを行っている、と聞いた時、なるほど、と思った。Jaga Jazzist の最新作 "What We Must" (2005; Smalltown Supersound) や Shining の "In The Kingdom Of Kitsch You Will Be A Monster" (2005; Rune Grammofon) などに繋がる人脈だ。その2バンドがそれぞれのそれまでの音楽から大きく路線変更し、相当ロック寄りの新しい音を求めたのとちょうど重なる。

彼ら自身の言葉によると、この Wibutee の音楽の変化は、Rune Brøndbo が15年ぶりにギターを弾いてみたところから始まったのだそうだ。遡ると Per Zanussi の脱退後、しばらく Beady Belle の Marius Reksjø (b) などを迎えていた時期もあったが、結局ベーシストの座は埋まらなかった。その後 Tor Egil Kreken というギターもエレクトリックベースも器用にこなせるプレイヤー(ジャズ系ではなく、ロック/ポップ系のミュージシャンだ)を準レギュラーに据え、そしてさらに Rune Brøndbo もエレクトロニクスからしばし手を離し、ギターを弾く、というのは、Wibutee の今回の音の変化の中ではむしろ自然だったのかもしれない。

Wibutee というバンドが、その変化にも関わらず別のバンドによるものではないと確信させられるのは、今や2人になってしまったオリジナルメンバーの演奏によるところが大きい。Wetle Holte のドラムはビートこそ以前から変化したものの、その乾いた鋭い音は彼らしいもので、アナログ感が増した今作ではその占める割合は大きい。そして Håkon Kornstadは、パワフルなブロウに細やかな表情を加えることが出来るその演奏は相変わらず素晴らしい。ただ1つ、音楽にもデザインにも才能を見せる彼が、ボーカルは天才的とまではいかなかったようだけれど。

ファーストアルバムの頃には Live Maria Roggen がおり、前作では Hild Sofie Tafjord をとても上手く使っていた Wibutee が、このアルバムの最終トラックでまた女性シンガーをゲストに迎えている。Anja Garbarek 、そのファミリーネームからわかるように、Jan Garbarek の娘で、ノルウェーではとても人気のあるポップシンガーだ。少しミステリアスなスローナンバーに彼女の声がよく合っている。このレコーディングで彼らは Anja Garbarek と意気投合し、Wibutee のツアーのいくつかに Anja Garbarek がゲスト出演し、さらに Håkon Kornstad と Wetle Holte は Anja Garbarek のプロジェクトに参加するそうだ。

このアルバムのリリース後、2006年7月に再び Wibutee のライブを観る機会に恵まれた。この日のライブは5人編成、アルバムにも参加している Tor Egil Kreken をエレクトリックベースに、ギタリストをもう1人加え、そして Rune Brøndbo はほとんど終始ギターを弾いていた。1年前より、そしてアルバムよりますますソリッドになったWibutee の演奏に再び圧倒されることになった。一度ついたクラブジャズというようなレッテルの変更は難しく、このバンドを今後も広義にせよジャズの語彙で語ろうとする人はいるだろう。しかしこの日の演奏を見に来た観客はもうその変化を反映していた。Jaga Jazzist のメンバーやオスロの人気 DJ などが顔を揃え、若い観客が歓声を上げている。

幸い、地元ノルウェーでは彼らの新しいアルバムもライブも上々の評判で、自主レーベルからというハンディは感じない。しかし、いち早くディストリビューターが名乗りを上げたカナダ(Jazzland などノルウェー勢がかなり受け入れられている国である)を除き、日本を始めとする外国では、今のところ輸入盤が入るルートすら全くない。しかしきっと今の彼らの音楽はそんな状況を打破するだろうと思わせられるほど、吹っ切れたような力強さを持っている。

Thanks to Håkon.

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