(pickup 2007 vol 1 : 16 January 2007)

Orange
Implicity
Implicity
1. Intro til Höstsaga
2. Höstsaga
3. Reggi
4. Liten sang
5. Implicity
6. Mold
7. Knusk
8. Midnattskyr
9. Svensk vals

Recorded by Audun Kleive Januay 3-5, 2006
Mixed by Audun Kleive and Stig REnnestraum February 25-26, 2006
Mastered by Tom Kvålsvoll at Strype Audio
Cover design and cover photos by Bjørn Thevik

2006; AIM Records; AIMCD 117


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related:
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Vigleik Storaas (p)
Sondre Meisfjord (b)
Stig Rennestraum (ds)


2年も楽しみにしていたデビュー作がやっと届けられた。

2005年8月にオスロで AIM Records のオーナー Kristian Skårbrevik に会った時にもらったレーベルサンプラー "Selected Works Vol. I" (AIMCD 111) にこのグループの曲が1曲入っていた。アルバムの#7 (ただし曲名は "Mold" となっていた)がそれで、そのスローバラードの美しいメロディーに引き込まれ、そしてそれがドラマー Stig Rennestraum が書いたものだと知りますます興味を引かれた。

もしかしたらその1曲だけがずば抜けて良いだけなのかもしれない、と遅れに遅れたリリースを待ちながら考えたりもしたが、結局全くの危惧に終わった。


Orange は、全ての楽曲を手がけるドラマー Stig Rennestraum のトリオ、と言っていいだろう。彼のこれまでのアルバムリリースは、同じ AIM に1枚の作品を残した Kilombo くらいしか思いつかない。1973年生まれというから、今のノルウェーのシーンではとても若いというほどでもない。この Orange 以外には女性シンガー Lena Nymark、ベーシストでエレクトロニクスなども扱う Bjørn Thevik (この Orange のアルバムの印象的なアルバムカバーを手がけているなど写真家・デザイナーとしても活動している)と組むポップなトリオ Dinosau のデビュー作がオスロのレーベル Propller Recordings からまもなくリリースされる予定となっている他、Bjørn Thevik とはもう少しミニマルでエクスペリメンタルなデュオ RIIM としても活動している。ドラマーとしての演奏は極めて地味で、このトリオで一番目立たない存在だ。

ベーシスト Sondre Meisjord (b. 1975) は、今は解散してしまった Come Shine のメンバーとして知られる。ミディアムテンポな曲での軽快なフットワークのベースラインはいかにも彼らしいものだ。

そして、ドラマーが書いた曲を丁寧に鍵盤に載せるのが Vigleik Storaas (b. 1963)。Curling Legs レーベルに秀逸なピアノトリオ作3枚 "Bilder" (1995), "Andre Bilder" (1997), "Subsonic" (2002) とソロ作 "Open Excursion" (1999) を録音、ECM に Karin Krog, John Surman, Terje Rypdal とのカルテット Nordic Quartet として1枚のアルバム(1995) がある他、最近では Trondheim Jazz Orchestra "Tribute" (2006; MNJ Records) のようにビッグバンドリーダーとしても活動している。ピアニストとしては、あまり癖のない美しい透明感のあるタッチの持ち主だ。


AIM Records の Kristian Skårbrevik は、このバンドの音楽のことをポップグループのようなメロディアスな楽曲、と表現した。確かに初めて聴く曲でも耳馴染みがよく、歌うように奏でられるキャッチーなメロディーがしっかり印象に残る。下手に聞かせるとベタベタになりそうだが、とてもシンプルなアレンジで、そして結構ジャズらしさを保ち、ゆったりとスウィングする心地よいテンポのため、甘くなりすぎない。アレンジはバンドのクレジットになっているが、このポップなマテリアルをここまでミニマルに仕上げるセンスがこのグループの強みだ。また、全体にうっすら漂うノスタルジックな雰囲気は #2 のタイトル(スウェーデン語)さながら「秋の物語」のようでもある。


先述の Bjørn Thevik の手がけたアルバムジャケットを眺めながら音を聞く。研ぎ澄まされたようでいてほんのわずか柔らかさも感じさせる音と絵がぴたりと合う。このアルバムが、もう少し知られたレーベルからリリースされていたら、どんなに注目を集めるだろう、などと考え出すと止まらない。日本の市場なら、何かのきっかけでかなり売れても不思議ではない内容だ。内緒でこっそり楽しむのも悪くない風情だが、それでもやはり、誰かにこの音楽の存在を伝えたい。

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