(pickup 2007 vol 2 : 2 February 2007)
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Ingebrigt Håker Flaten QUINTET |
| 1. Maxwell's Silver Demon (I.H. Flaten) 2. Playing (C. Haden) 3. Seemingly (I.H. Flaten) 4. Ceta (I.H. Flaten) 5. Olja og Glass (A. Hana) 6. Zardoz (K.E. Holm) 7. It's A Desperate Situation (I. Hunter, P. Sawer) Recorded October 22nd and 23rd 2005 by Davide Berolini at Grieghallen Studio, Bergen. Mixed April 3rd and 4th 2006 by Bob Weston at Semaphore Recordings, Chicago. Mastered by April 27th by Audun Strype at Strype Audio, Oslo. Produced by Ingebrigt Håker Flaten. Liner notes by Martin Revheim. Coverdesign by Making Waves / HK. Band photo by Mats Lande. Liner photo by Jan Granlie / Jazznytt. 2006; Jazzland 985 953 1 links: >> Ingebrigt Håker Flaten >> "Quintet" @ Bugges Roon >> Rikskonsertene >> Ola Kvernberg >> Ola Kvernberg @ MySpace.com >> Fredrik Rundqvist @ MySpace.com |
Ingebrigt Håker Flaten (b) Anders Hana (g) Ola Kvernberg (vln, mandolin) Klaus Ellerhusen Holm (bs, as, cl) Fredrik Rundqvist (ds) Ingebrigt Håker Flaten の単独リーダー作はこれまで2003年のソロベース作 "Double Bass" (SOFA) しかなかった。Atomic では彼はリーダー格と言えなくもないが、ちょっと強引な気がする。リーダー作が何枚あってもおかしくない彼が、自身の名前を冠したグループを始動させる直接的なきっかけになったのが 2004年7月、ノルウェー・コンクスベルグでの "Vitalprisen" の受賞だ。ノルウェーのジャズ界で最も権威あるこの賞の受賞者は、翌年の同フェスティバルに自身のプロジェクトで出演することが恒例になっているからだ。もっとも、この受賞がなくてもグループは必然的に始動しただろうとは思われるが。 2005年2月と5月、スウェーデンとノルウェーでいくつかのライブを行った時のこのグループは Ingebrigt Håker Flaten Quartet だった。Anders Hana、Klaus Holm、そしてスウェーデン人ドラマー Fredrik Rundqvist・・・いずれも Ingebrigt Håker Flaten より1つ若い世代の注目すべきミュージシャンで、エクスペリメンタルなジャズをやるにはもってこいの若手ばかり、音は聴かなくとも顔ぶれだけで期待を抱かせるのに十分だった。 そして2005年7月、コンクスベルグ・ジャズフェスティバルのプログラムには予定通り "Ingebrigt Håker Flaten Quartet" の名前があった。しかしちょうどその前後に連絡を取った時、彼ははっきり「新しいクインテット」と言った。当の本人が間違えるはずはない。結局プログラムが出た後に加入したらしい「最後の1人」は思い当たらず、8月になって本人をオスロで捕まえて訊いてみた−「クインテットの最後の1人は誰?」。「Ola Kvernberg」とその答えを聞いて、一瞬絶句してしまった。Ingebrigt Håker Flaten によると、当時のコンクスベルグ・フェスティバルの主催者でオスロのクラブ Blå のオーナー(そしてこのアルバムにライナーノートを寄せている) Martin Revheim も同様に驚愕したそうだ。そして面白かったのは Ola Kvernberg 自身もこのグループへの参加で面食らったとかいうエピソード。皆が驚いた理由はただ一つ、Ola Kvernberg がとても古風(メインストリームというより保守的と言ったほうがいいだろう)なジャズを演るミュージシャンだったからだが、Ingebrigt Håker Flaten は「でも彼は本当に優れたミュージシャンなんだよ!」と力説する。 そのコンクスベルグの出演の後に録音されたこのアルバムはその Ola Kvernberg の見事なはまり具合もあって、とても新鮮な響きに満ちている。 このグループの音楽は、基本的に書かれた音楽で、それにこの顔ぶれならではのインプロを織り交ぜている。インプロの合間に時折かなりはっきりとテーマを匂わせるフレーズが挟まれたりする演出はなかなかポップですらあり、その結果しっかり楽曲が耳に馴染む。全7曲中3曲は Ingebrigt Håker Flaten のオリジナル、2曲はカバー、そして Anders Hana と Klaus Holm というバンドメンバーによる曲が1曲ずつ。Ingebrigt Håker Flaten のオリジナルの比率が低かったのは意外だったが、もっとゴリゴリしたインプロ主体のものが出てくると思ったこちらの勝手な予想に反して、ファンキーなトラックが多かったのはもっと意外だった。Marvin Gaye の有名な#7 がそれを象徴している。 Klaus Holm のどちらかというと軽やかなリード楽器の音色、Fredrik Rundqvist の比較的アクの少ないドラミング、そしてヴァイオリン、ギター、ベースという3つの弦楽器。特に滑らかにフレーズを描くfヴァイオリンと、かき鳴らされるギター、そしてはっきりした輪郭の音色で音楽を引っ張る Ingebrigt Håker Flaten の組み合わせがとてもユニークだ。Ingebrigt Håker Flaten 以外のメンバーの音がいずれも重くなく、軽やかなラインを描くため、Ingebrigt Håker Flaten のベースがひときわ鮮やかに聴こえる。彼の参加する代表的なグループ、例えば Atomic、The Thing、Scorch Trio などはメンバーいずれもヘビー級揃いであり、その点でこの Ingebrigt Håker Flaten Quintet は決定的に他と異なる。 2005年10月にノルウェー・ベルゲンで録音され、2006年4月にシカゴでミキシング、同月オスロでマスタリング、そして2006年5月末にノルウェーでリリースされたこのアルバム。そのリリースの際のノルウェーでの公演はもちろんこの顔ぶれで行われたが、事実上、このクインテットはそれを最後に活動を停止している。理由は、そのポストプロダクションの最中、ちょうど2005年末〜2006年初頭に Ingebrigt Håker Flaten がシカゴに移住したことだ。具体的には、このアルバムのスカンジナヴィアン・クインテットに代わり、アルバムがノルウェー国外でリリースされるより前の2006年秋に "New Quintet" なるものがお目見えした。楽器の編成は全く変わらない。Klaus Holm → Dave Rempis、Anders Hana → Jeff Parker というチェンジに、凄い、と唸ると同時に、最初のクインテットに最後に加入した Ola Kvernberg の残留がポイントなのかもしれない、とも思う。 2007年、もしかしたら既に過去形になってしまったのかもしれない この Ingebrigt Håker Flaten Quintet のアルバムがようやく国外でも流通する。素晴らしい内容であるこのアルバムを改めて聴き、この顔ぶれのライブを目撃できなかったことを本当に残念に思う。そして2007年3月、国立コンサート協会のサポートで Ingebrigt Håker Flaten はアメリカ=ノルウェー連合となった新しいクインテットを率いて凱旋ツアーを行う。そのプロモーション用のライブトラックが国立コンサート協会のウェブサイト(左欄リンク先)に置かれている。Jeff Parker がぶっ飛んだ演奏をするその音源を繰り返し聴き、Frank Rosaly のドラムによりこのバンドがアメリカのグループになったことを実感しつつ、早くもこのクインテットによる新作も楽しみになってくる。 Ingebrigt Håker Flaten (b) Dave Rempis (sax) Jeff Parker (g) Ola Kvernberg (vln) Frank Rosaly (ds) |
introducing Ola Kvernberg |
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![]() 2001 Hot Club Records; HCRCD136 |
Ola Kvernberg "Violin" Ola Kvernberg (vln) with: Anders Aarum (p), Mats Eilertsen (b), Torstein Ellingsen (ds) on #1, 8; Håvard Wiik (p), Håkon Mjåset Johansen (ds), Terje Gewelt (b) on #2, 4, 5, 7; Hilde Helte (vo), Egil Kapstad (p) on #3, 6; Heine Bugge (accor) on #9 |
![]() 2002 Hot Club Records; HCRCD141 |
Ola Kvernberg Trio "Cats & Doug" Ola Kvernberg (vln) Doug Raney (g) Steinar Raknes (b) |
![]() 2006 Jazzland; 602517124981 |
Ola Kvernberg Trio "Night Driver" Ola Kvernberg (vln, vo, handclaps, howling) Steinar Raknes (double-b) Erik Nylander (ds) |
| Ola Kvernberg は 1981年生まれ。恐らくノルウェーで最も古風なジャズをリリースするレーベルである
Hot Club Records の看板バンド Hot Club de Norvége のメンバーとして注目され、2000年、19歳でファーストアルバムをレコーディング。当時はアップテンポで軽快にスウィングするスタイルを主としていた。1枚の作品を3つのグループ(+1曲)で録音し分け少し変化をつけているが、基本路線は変わらない。曲は全てジャズスタンダード。ヴァイオリニストとしての腕は当時から相当なものだ。 Ola Kvernberg Trio は同2000年に結成され、当時は Doug Raney (g, アメリカ)、Steinar Raknes (b) のトリオで弦楽器ばかりの組み合わせ。アルバムタイトルがなかなかふるっているセカンドアルバムは 2002年のレコーディング。半分強がスタンダードでオリジナルも数曲。基本的には前作の路線の延長だが、少々落ち着いた感じで、でもどこまでも普通にジャズ。 スウェーデン出身でノルウェー・トロンハイムの音楽院で学ぶ(2006年の段階では在学中となっている)ドラマー Erik Nylander がトリオに加入したのは2004年。新世代ドラマーの加入(彼は Ola Kvernberg と同い年だが、音楽性は明らかに Erik Nylander のほうが明確に「新世代」だ)、Ingebrigt Håker Flaten Quintet への抜擢、Hot House から Jazzland という極端に毛色の異なるレーベルへの移籍、Ola Kvernberg の音楽性の広がり・・・とどれが先でどれがどれの要因になったのかはわからないが、セカンドアルバムから3年半も空けて録音されたこのアルバムは先の2作とずいぶん印象が異なる。ジャズ、ロック、ポップ、エスニック、クラシック、トラッド…と様々な要素が見え隠れする楽曲は今までになくバラエティーに富んでいる(それでも、IHF5 の音楽とはまだずいぶんかけ離れているが)。ヴァイオリンという楽器のもつどこか優雅でスリリングな伸びやかさを再確認させられる演奏だ。 Ola Kvernberg に関して1つのエピソードがある。2005年のオスロ・ジャズフェスティバル、ホテルの最上階で行われているジャム・セッション会場にあまりの人が詰め掛けたため、1つ下の階で入場制限が行われ、入場待ちの列が出来てしまった。Ola Kvernberg はそこへヴァイオリンを持って現れ、待っている人のために演奏をしたという。ジャムセッションの会場ではヴァイオリン以外にピアノや果てにはスキャットまで披露し、人を音楽で楽しませられるプレイヤーであることを十分に示した。Farmers Market の Stian Carstensen のユニット "Ban Jovi" への参加や、オフィシャルサイトに置かれている "Giant Steps" のカバーなどからも彼のキャラクターを伺い知ることができる。 |