(pickup 2007 vol 9 : 9 November 2007)
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Boots Brown |
| 1. Knee-high 2. Teak Industrial Trailblazer 3. Gaucho Volcano 4. Mid Calf 5. Black Industrial Greasy 6. Bark Industrial Grizzly 7. Rigger Boots Produced by Boots Brown Recorded and mixed by Janne Hansson at Atlantis, Sthlm on Dec. 7th 2005. All tracks by Berthling / Broo / Gustafsson / Stackenäs except track 3 by Berthling / Broo / Gustafsson / Hallonsten / Stackenäs Mastered by Sören von Malmborg at Cosmos Photos by Leon Bourdier 2007; Slottet SLM7 >> Boots Brown @ MySpace.com >> Slottet |
Johan Berthling (double-b) Magnus Broo (tp) Mats Gustafsson (as, ts, slide sax, electronics) David Stackenäs (ac-g, low budget electronics) with Tomas Hallonsten (hammond organ on #3) このグループのことを初めて聞いたのは確か Magnus Broo からで、Atomic のメンバーとして来日していた時だったので2006年2月のことだ。それが録音直後の話だったというのはアルバムがリリースされた後に初めて知った。スウェーデンのジャズの中でも、アヴァンギャルドな系統でのそれぞれの楽器を代表するような演奏家たちばかり、名前を聞くだけで、凄いな、とわくわくするような顔ぶれだ。抽象的な、ちょっと音響寄りの即興演奏かと思ったが、意外にもこのグループの音楽は Jimmy Giuffre (cl) の60 年代のトリオ(w/ Paul Bley (p), Steve Swallow (b))などにインスパイアされたものとのことだ。 Mats Gustafsson のサックスはここでは叫ばない。あくまで穏やかな音色で美しくすらある。Magnus Broo のサックスも、非常に抑制の効いたトーンで、ふらりふらりと(このあたりが彼らしい)フレーズを連ねる。4人の中で唯一、やや尖った音を出す David Stackenäs のギターは、全てアコースティックというところがポイントで、透明感のある音が心地よい。そして、ドラムレス(お手本となったトリオもドラムレスだ)のアンサンブルを変幻自在に「揺らす」のが、いつものようにとても低く響く音の Johan Berthling のアコースティックベース。そこへ少々エレクトロニクス(David Stackenäs のクレジットにはわざわざローバジェット・エレクトロニクスなどと書かれている)を加えているが、占める割合はほんのわずかで、隅のほうでチリチリ鳴っているのが面白い。 ベースの Johan Berthling とエレクトロニカ・トリオ Tape で活動を共にする Thomas Hallonsten は本来はトランペッターだが、グループがレコーディングを行っているストックホルムのスタジオにやってきた彼はハモンドオルガンでちょっと参加することになり、そのトラックが #3。ベースのアルコ弾きを除けば比較的短い音を連ねる楽器ばかりの中、アナログながらちょっと響きの異なるオルガンがわずかに色を添える。 全体に空間がたくさん残された、しかし空間の広さを感じる音で、各ミュージシャンがそれぞれの楽器で呟いているようである。ありがちな即興セッションとは全く異なり、それぞれの呟きが1つの楽曲を構成し、トータルとしてアンサンブルの音楽となっているところがこのグループの魅力だ。 Johan Berthling (b. 1973)は実に様々な顔を持っている。私が最初に聴いた彼の音楽は即興演奏(LSB, Sten Sandell Trio 等)だったが、次はスウェーデンのポップシンガー Stina Nordenstam のバンドだった。スウェーデンの個性派レーベル Häpna の共同オーナーであり、今やレーベルを代表するグループとなった Tape のメンバーでもあり、そこではベースは全く弾かず、アコースティックギターに専念している。さらには、同レーベルから "Taste of Ra" という名前でアルバムをリリースする、スウェーデンではよく知られるシンガーソングライター Nikolai Dunger のグループ、現代風のジャズを演奏するトランペッター Goran Kajfes のグループ、風変りなポップトリオ The Tiny 、と全く音楽性の異なるバンドのレギュラーメンバーを務める。さらに最近ではプロデューサーとしても活動しており、この Boots Brown のアルバムをリリースするレーベル Slottet のアーティストをいくつか手がけている。ただし Häpna 同様、Slottet で彼が手がけるものも一体どういうものが出てくるのか予測もつかないほどにバラエティーに富んでいる。 ギタリストの David Stackenäs (b. 1974) については、私が最初に耳にしたのはライブだった。2001年、Håkon Kornstad (sax) と Ingar Zach (ds) という2人のノルウェー人ミュージシャンと組む即興演奏トリオ Tri-Dim での演奏は鮮烈で(その日の録音の一部は Tri-Dim のセカンドアルバム "2 of 2" に収録されている)、彼のレコーディングを探し回って入手したのが Häpna からのアコースティック・ギターによるソロ作 "The Guitar" で、これが私が Häpna に興味を持つきっかけになった。参加するプロジェクトやアルバムはかなりの数だが、最近の作品で比較的入手しやすいものでは、"The Guitar" とは全く異なるアコースティックギターによる音響ソロ "Bow" (2006; Kning Disk), Mats Gustafsson とのデュオ作 "Blues" (2005; Atavistic), Ken Vandermark の大編成プロジェクト Territory Band の "Collide" (2007; Okka) などがあり、今月2007年11月には上記 Tri-Dim でも共演していたノルウェー人パーカッショニスト Ingar Zach とデュオ LabField 名義での "Fishforms" (Bottrop-Boy) のリリースも控えている。 他の2人、Magnus Broo と Mats Gustafsson についてはあまり説明の必要がないかもしれない。Magnus Broo (b. 1965) はまず何と言っても Atomic のメンバーとして一躍日本でも知られるようになったが、自分のカルテットでの活動はそれより長い。また、ごく一時期 Peter Brötzmann Tentet にも参加していたこともある。最近のリリースでは Ken Vandermark (reeds), Adam Lane (b), Paal Nilssen-Love (ds) との "4 Corners" (2007; Clean Feed) があり、先日来日した Paal Nilssen-Love の話によると、この2人でのデュオ作も予定されているとか。また、David Stackenäs と共に、スウェーデンのサックス奏者 Fredrik Nordström のラージアンサンブル VIBB (Vritual Imagination Big Band) のメンバーであり、2007年には2枚組 "VIBB" (Moserobie) をリリースしている。 Mats Gustafsson (b. 1964) は多くのプロジェクトを抱え、次から次へとリリースが続く印象があるが、この Slottet レーベルのディストリビューターが指摘しているように、彼が参加するスカンジナヴィアのグループはノルウェー人2人 Ingebrigt Håker Flaten (b) と Paal Nilssen-Love (ds) と組む The Thing とこの Boots Brown のみ、つまりスウェーデンのグループはこの Boots Brown のみだ。彼があまりに忙しいため、この Boots Brown はなかなかライブ活動ができないそうだが、それでも主に地元ストックホルムでは断続的にライブを行っている。また、Crazy Wisdom、Olof Bright などに続いてこの Slottet (スウェーデン語で「城」の意で)も Mats Gustafsson が共同運営するレーベルだ。 |
Thanks to Johan Berthling.