(pickup 2008 vol 3 : 24 december 2008)

The Source: of Chrsitmas - Live
The Source:
Trygve Seim (sax)
Øyvind Brække (tb)
Mats Eilertsen (b)
Per Oddvar Johansen (ds)
1. Overture The Source: of Christmas
Part 1 Le Sacre de Noël
Part 2: From All Of Us To All Of You
Part 3: Siv og Aks paa Grønne Enge
Part 4: Winachtsmarsch
Part 5: Winter Wonderland
2. All Blå De Er Glad | Jul of Bjelleklang
3. O Helga Natt
4. Du Grønne Glitrende Tre, Goddag
5. Glade JuleMmball
6. White Christmas / Snow
7. Lett Plukk Fra Luleoratoriet
8. Little Drummer Boy Late for Tango
9. Christmas Song
10. Jesse kristus / Et Barn Er Født i Betlehem
11. Der Weihnachtsmann Kommt Zu Stadt
12. We Wish You A Merry Christmas



13. Oriental Overture The Source: of Christmas
14. Jeg gikk Meg Over Sjø Og Land
15. Twelve Days Of Christmas
16. Christmas In Cairo
17. Silent Night
18. Jon Blund
19. Musevisa
20. Romjuldrøm
21. Deilig Er Den Arabiske Himmel Blå
22. På Låven Sitter Nissen
23. Deilig Er Den Himmel Blå
24. Ravel A Le Bourdon De Noël

Recorded live at Cosmopolite, Oslo, 14.12.2005 and 15.12.2005 and Bakenteigen, Horten, 16.12.2005.
Recorded by Jan Erik Kongshaug, Per Espen Ursfjord and Kjartan Meinseth.
Mixed September and October 2006 in Rainbow Studio by Jan Erik Kongshaug and Peer Espen Ursfjord.

Photos: Colin Eick
Camel Photo: Anonymous beduin
Cover Design: Rugen Stranger - search silence

2007; Grappa GRCD 4215





The Source: of Christmas
1995; Curling Legs; CLPCD 21




The Source: of Christmas, Live at Blå
recorded live at Blå, 17.12. 2000 and 19.12.2001
by Asle Karstad


>> www.thesourceofchristmas.com
>> @ musikkonline.no
Guests:
Anne-Lise Berntsen (mezzosoprano)
Lars Klevstrand (vo)
Jarle Bernhoft (vo, g)
Tora Augestad (vo)
Cheb Hocine Derras (vo)
Marvin Charles (vo)
Frode Haltli (accor)
Finn Guttormsen (dobro)
Fathy Salama (p)
Alfred Gamil (vln, oud)
Saleh el Artist (accor)
Mamdouh Serour (ney)
Ayman Sedki (djembe)
Ramadan Mohamed (tabla, egyptian darboka)
Ahmed El Ghazar (sagat, dance)
Mathias Eick (b on #1)
Håkon Mjåset Johansen (ds on #1)

The Royal Norwegian Navy Band condcted by Christian Eggen


The Source は、今では ECM へのレコーディングでノルウェー国外でもいくらか知られるようになったかもしれない。メンバーのうち特に Tryge Seim が ECM へのソロ作でもヨーロッパを中心に高い評価を得ているのもいくらかその知名度を上げることの助けになっただろう。しかし、その ECM への作品がかなり地味でシリアスな内容だったため、このバンドの持つ別の顔は見られずじまいだが、それはまたそれでは ECM ならでは、という気もした。

The Source のクリスマスイベントは10年以上も続いている冬のノルウェーの音楽シーンの風物詩だ。ごく初期の模様は1995年に Curling Legs からリリースされた The Source のセカンドアルバム "Of Christmas" でうかがい知ることができる。このアルバムはスタジオ録音、ゲストは大勢出入りするが、編成そのものは大きくない。しかしクラシックのシンガーを起用してクリスマスソングを歌わせ、また意表をつくユーモアをちりばめるセンスはこの頃から既に見られる。

現在の彼らのクリスマスコンサートの原型は、2002年に自主制作された "Live at Blå" に多く見られる。アルジェリアの民俗音楽ライのシンガー Cheb Hocine をゲストに、アラビアンテイストのアレンジなどを取り入れているのもその1つだ。家族がカイロにいた関係でしばしばかの地を訪れていたという Trygve Seim のアラビア系音楽への傾倒は、最近の彼の演奏、アルバムではアコーディオン奏者 Frode Haltli とのデュオ作 "Yeraz" (2008; ECM 2044) に顕著だ。また、メンバー Øyvind Brække が優れたアレンジャーであることを活かしたビッグ・バンドアレンジなども彼らならではで、この点は ECM からリリースされた "The Source and Different Cikadas" (2002; ECM 1764) で確認することができる(もっとも、こちらはもっと ECM 風に仕上がっているが)。

そして、2005年のクリスマスコンサートの模様を収め、2006年のクリスマスコンサートに合わせてリリースされるはずが、直前になって1年リリースが延びたのがこの2枚組ライブ盤 "The Source: of Christmas - Live" だ。Jan Erik Kongshaug の録音といえどもさすがに ECM からではなく、ECM をノルウェーで配給しているインディーレーベル Grappa から発表された。アルバムや曲のタイトルは英語(曲名はノルウェー語やドイツ語が入り混じるが)とアラビア語の2カ国表記となり、ブックレットの写真ではメンバーはサンタクロースの帽子を被ってピラミッドを背景に駱駝に跨って砂漠を行き、曲間の MC では "Shukran, tusen takk!" とくる。

ところで…今更ながら、アラビア系のミュージシャンをたくさんゲストに呼んで、アラビア風クリスマスソングなどやって大丈夫なのだろうか?と自問したりもする。しかし、ライブは大いに盛り上がっているし、音楽を聴いても、ジャケット内の写真を見ても実に楽しそうだ。まあ、いいのだろう、と納得しつつ、この不思議な取り合わせが実に面白い。

その面白さが一番分かりやすくでているのが #15 "Twelve Days Of Christmas"。誰でも一度は聞いたことがあるだろう有名なトラッドナンバーだ。出だしはそこそこ普通ながら(ただし、アラビア系の男性シンガーが英語で、朗々とした節回しでこの歌を歌うのは全く「普通」でないが)、「日」を追うごとにアラビア音階に変調していき、12日目になる頃には、あの独特の物悲しい音階のせいで、一体クリスマスに何が起きるのかというような雰囲気が満ち、その奇抜なアイディアとアレンジが絶品で笑える。

アレンジの妙、という点では、一ひねり加えたクリスマスソングもなかなか面白い。Gershwin の "Summertime" は "Christmas Time" に早変わりし、"Silent Night" はブラスバンド風マーチになり、ドイツ語で「演じられる」"Santa Claus Is Coming To Town" はまるでオペレッタのようだ。"A Child is Born in Betlehem" はロカビリー調でノルウェー語で歌われる。また、彼らのこれまでのマテリアルもクリスマス仕様にアレンジされていて、以前のバージョンと比べると彼らのセンスがよく分かるだろう。"The Source" (2006; ECM) に収録されていた "Alle Blå De Er" が "All Blå De Er Glad" となりさらに "Bjelleklang" (「ジングルベル」)まで一緒になっている。ドラマーの Per Oddvar Johansen、そして The Source の初代ベーシスト Ingebrigt Håker Flaten もメンバーのトリオ Close Erase 、そして The Source の2枚の ECM 盤にも収録されている Per Oddvar Johansen のマテリアル "Mmball" は "Glade JuleMmball" (glad = happy, Jul = Christmas) となっている。日本人のリスナーとして残念なのはノルウェーのクリスマスソングが分からない、つまり観客は受けているのに元ネタが分からないものも多いことだ。そのうちの1曲、"Deilig Er Den Himel Blå" はアラビア風アレンジで "Deilig Er Den Arabiske Himmel Blå" なっており、この曲のみ両バージョンが収録されている。ただし、後から出てくるオリジナルは Per Oddvar Johansen の見事なドラムソロ、というオチ付だが。

参加するミュージシャンの演奏と、ゲストの使い方も、コンセプトに見事に合っている。The Source のメンバーはもはやノルウェーの若手ミュージシャン、ではなく年齢的には中堅どころに近づいてきたが、凝ったアレンジでも、リラックスしたインプロでも、さすがの演奏だ。Trygve Seim のバンドのメンバーであり、デュオパートナーでもある Frode Haltli のアコーディオンはその音色でクリスマスの雰囲気を演出しつつ、実はアラビア音楽へのステップにもなっている。2008年にはソロアーティストとしてデビューして注目された元ロックシンガーの現ソウルシンガー Jarle Bernhoft は Trygve Seim とは度々共演しており、彼のソロ作では Trygve Seim がゲスト参加しているが、ここでは意外なほどの低音によるスタンダードな歌から先述のロカビリー風クリスマスソングまでこなし、観客の爆笑を買う役者ぶりを発揮している。元々インストの "Mmball" にちょっと変わった微妙な音程のボーカルを付け、"Santa Claus Is Coming To Town" (#11)で場をさらう演技を見せ、後半ではジャズやヴォイスパフォーマー的な歌まで披露する女性シンガー Tora Augestad は元々クラシックのシンガーで女優でもあり、現在 Trygve Seim のグループのメンバーとしても活動している。アラビア系のミュージシャンについては、写真で見るとクリスマスの飾りつけの中で演奏するターバンの男性、といった風で違和感があるが、音を聴くとこれがなかなかのはまり具合だ。


ノルウェーのジャズの第3世代に当たるミュージシャンたちによる The Source は、結成が1993年秋、もう15年も活動していることになる。ジャズのユニットがこんなに長い間1つのバンドとして存在し続けるのは珍しい。その間、ベーシストが2回交代した以外はコンスタントに活動を続けている。ロックバンド Motorpsycho と Helge Sten との共演ライブ盤、ストリングカルテット Cikada String Quartet との共演盤、1994年のファーストアルバムと2006年の ECM 盤の2枚のカルテット作での、意外と北欧色が強くないフリージャズ、そして3枚のクリスマスアルバムと実に引き出しが多く、引き出しの中身をほとんど混ぜることもないのに、どこかに一貫して彼ららしさがある。メンバー個々が優れたソングライターでありかつ異なる個性を持ったアレンジャーであるというのは1つのバンドとしては結構珍しい。バンドにはメインのソングライターやアレンジャーがいるのが普通だから、その点で The Source はちょっと特殊である。Mats Eilertsen の加入でその特徴はさらに強くなった。そしてその音楽が、どの編成になってもどの引き出しが開いても、常にジャズをベースにしていて、どこかへ行ってしまわないところが彼ららしく、15年の活動の地盤になっているのではないだろうか。

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