(pickup 2009 vol 1 : 20 january 2009)
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susanna - flower of evil |
| 1. jailbreak 2. can't shake loose 3. who knows where the time goes 4. vicious 5. without you 6. dance on 7. jon an jubilee 8. janitor of lunacy 9. changes 10. wild is the will 11. don't come around here no more 12. goodbye 13. forever 14. lay all your love on me |
susanna karolina wallumrød: grand p, hammond org, vo pål hausken: ds, per, vib, vo helge sten: g bonnie "prince" billy: vo on #1 and #5 recorded by janne hansson at atlantis studio bonnie "prince" billy recorded by neil strauch at engine studios chicago mixed by jnne hansson with helge sten and susanna k. wallumrød at atlantis studio produced by deathprod and susanna k. wallumrød mastered by bob katz at digital domain cover by kim hiorthøy 2008; rune grammofon; RCD 2080 |
| Susanna and the Magical Orchestra として2004年に数曲のカバーを含むデビュー作 "List of Lights and Buoys"、2006年にはカバー集 "Melody Mountain"、そして2007年にはソロ名義でオリジナルばかりの "Sonata Mix Dwarf Cosmos"、続く 2008年には引き続きソロ名義でオリジナルを2曲含むカバー集 "Flower
of Evil"。だんだんと早くなるリリースのペース、それに加え、デュオとソロと名義は違うとはいえ、2年空けたのみで再びカバー集、というコンセプトの近さもちょっと気になっていた。しかし−"Flower
of Evil" を聴いての結論を先に述べてしまえば、アルバムリリースのインターバルは時間が基準になるのではなくアーティストが刻む歩みが基準になること、また、似たコンセプトのデュオとソロ名義は、その似ている部分から逆に両者違いがよく分かること、そしてアルバムのほとんどがカバーで占められている本作は、彼女の楽曲解釈の独創性はもちろん、間にわずかに挟まれるオリジナルの存在を際立たせることにもなっている、ということである。 選曲は "Melody Mountain" の路線の延長上にあり、両者を比べてみると、あの一筋縄ではいかない選曲のどの部分が Susanna によるものなのかわかるだろう。Lou Reed や Tom Petty といったロック系、さらには Kiss、Thin Lizzy や Black Sabbath といったもう少しヘビーなもの、Fairport Convention や Nico といった女性シンガーの、こちらはあまり違和感のない選曲、Roy Harper といったツウなところから Bonnie 'Prince' Billy のかなり新しい楽曲、そして今回初めてお目見えしたのがいかにも北欧のシンガーらしいチョイスといえる ABBA とそのメンバー Agnetha Fältskog のソロ曲。逆に意外といえば意外だったのが、超有名曲で数多くのアーティストがカバーしている "Without You" かもしれない。多くの曲はもともとは結構賑やかな曲で、オリジナルを先に聴いても、Susanna の静かなバージョンを先に聴いても驚かされる。オリジナルよりスローなアレンジのためもあるが、Susanna のバージョンは、楽曲が持っているメロディーと歌詞にリスナーを向かわせる。その歌詞は、時によってはSusanna の手に(歌に)かかると、オリジナルからはあまり感じられなかった別のドラマになってしまったりもする。それが、デュオであれソロであれ、彼女の歌うカバーが他の多くの人の歌うカバーと異なるところだ。 アルバムには、カバー曲のうちの1曲のオリジナルの作者/アーティストでもある Bonny "Prince" Billy こと Will Oldham がボーカルでゲスト参加している。Susanna の非常にストレートな歌い方と対照的に、個性的な揺れ方をする歌い方と声の持ち主だ。しかし、アルバム1曲目、Susanna の歌がリードし、続いて Bonny "Prince" Billy の声が加わる瞬間の滑らかさは予想外だ。彼の個性の強さはまた、ぐっとテンポを落としたバラードになっている "Without You" をベタになりすぎないようにもしている。尚、このデュエットは、クレジットを見る限りどうやら全く別々に録られているようである。 ゲストボーカルが入る2曲を除けば、演奏は全てファーストアルバムリリース後に固定されたレギュラートリオによるものだ。参加するミュージシャンと音を最小限に絞ることで、歌を伝えることにより焦点を絞っている。Susanna の過去のリリースに多かれ少なかれ全て関わってきており、彼女の文字通り公私に渡るパートナーである Helge Sten。彼は最近ギターの演奏に多く取り組んでおり、Supersilent の時とは異なり、ここではギターに専念している。ただしそうは言っても彼のことなので、エフェクトの掛け方など、いかにも彼らしい音作りをしている。ギターでもキーボードでも、そしてプロデューサーでもミキサーでもマスタリングでも、彼の音はいつも彼らしい音だ。そして同じ Rune Grammofon からアルバムをリリースするピアノトリオ In The Country のドラマー Pål Hausken。非常に繊細な音を厳選し、絶妙のタイミングで静かに置くような演奏で、ドラムというよりパーカッションと言ったほうが似合う音だ。彼は多くの曲でバックボーカルも担当し、そのなかなかの美声と多才なところを披露する。歌は、バックボーカルはライブの時よりは控えめだが、例えば Black Sabbath の "Changes" ではゆっくりとしたビートを叩きながらフルコーラスのハーモニーを付けているなど、とても難しいことを静かにこなしている。 カバー曲の間にまぎれて、ともすれば見落とされてしまうかもしれないが、このアルバムには2曲のオリジナルが収録されている。見落とされてしまうかも、としたのは、その2曲が初めて聴いた時からすんなり耳に馴染み、あれ、この曲は誰のカバーだったっけ、とジャケットを裏返しそうになるくらいのメロディーを持っているからだ。Susanna が選んだカバーの曲と何ら遜色ない、いや、それらの中にあっても特に秀逸な楽曲であるとすら言える。 前作同様、ソロ名義の本作でもデュオより歌を聴かせることに重点を置いており、実際はトリオ編成だがボーカルの占める部分はこちらのほうが大きい。個性的な歌い方や癖もほとんどなし、伸びやかで、素朴なのに聴き手を捉える静かな力強さを持っている。元々、私は彼女のステージを初めて見る前に彼女と知り合いになったため、そのステージを初めて見た時(2004年の来日公演)はオフとオンステージの彼女の佇まいの違いに非常に驚かされたが、そのギャップはだんだん埋まってきているように思われる。彼女のこれまでの4枚のアルバムはいずれも黒いジャケットで、ダークな印象を与えがちだが、最近のソロ作などでは少しずつ温かな彼女の人柄を滲ませるようになってきた。また、Susanna はボーカルに加え、弾き語りに近いスタイルでピアノも弾いている。全く目立たない演奏だが、シンプルに音を選ぶそのセンスはそのピアノにも表れている。 Susanna はたったの4年半で4枚のアルバムをリリースし、2009年には再び Susanna and the Magical Orchestra としてのアルバムリリースが控えている。静かでデビュー時から既に自身の表現を確立していたかのような彼女の歌だが、ごく短い期間で相当に歩みを進めており、3年ぶりとなるデュオ名義ではどんな「静かなドラマ」を聴くことができるか、楽しみに待ちたい。 |
originals: (song title, writer(s); artist, album title, year) 1. jailbreak by phil lynott; thin lizzy "jailbreak", 1976 2. can't shake loose by russell ballard; agnetha fältskog "wrap your arms around me", 1983 3. who knows where the time goes by sandy denny; fairport convention "unhalfricking", 1969 4. vicious by lou reed; lou reed "transformer", 1972 5. without you by pete ham and tom evans; badfinger "no dice", 1970 6. dance on by prince; prince "lovesexy", 1994 7. joy and jubilee by will oldham; bonnie 'prince' billy "master and everyone", 2003 8. janitor of lunacy by nico; nico "desertshore", 1970 9. changes by geezer butler, tony iommi, ozzy osbourne and bill ward; black sabbath "black sabbath vol.4", 1972 10. wild is the will by susanna k. wallumrød 11. don't come around here no more by tom petty and dave stewart; tom petty and the heartbreakers "southern accents"; 1985 12. goodbye by susanna k. wallumrod 13. forever by roy harper; roy harper "sofisticated beggar", 1969 14. lay all your love on me by benny andersson and björn ulvaeus; abba "super trouper", 1980 |
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special thanks to susanna.