(pickup 2009 vol 6 : 25 october 2009)

  Unni Løvlid

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Unni Løvlid、1976年生まれ。民俗音楽のシンガーだが、そこをベースに全くトラッドに収まらない音楽性を持つ。様々なユニークなプロジェクトで録音を残しているが、ここではソロ名義作に注目。

So Ro Liten Tull

So Ro Liten Tull

1999

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Unni Løvlid (vo)

Arrangement: Unni Løvlid
recorded at Lindemannsalen at Norges Musikkhøgskole, Oslo, 4. and 5. August 1999
Producer: Jørn Simenstad and Unni Løvlid
Engineers: Jørn Simenstad and Hans Peter L'Orange
Editing and CD-mastering: Jørn Simenstad
ソロ名義でのファーストアルバム。実質的に自主制作に近いリリースだが、見開き4面デジパックの通常盤、解説、楽譜、歌詞、イラスト等々盛りだくさんのハードカバーブック付のパッケージの2種類が制作され、現在はダウンロード購入も可能。

63曲も入っているのに収録時間は39分で、それぞれの曲は短いもので10秒、長くても2分。拍子を取る足音のような音が入る以外は、伝承のメロディーと歌詞(全ての曲にどの地方の誰からの伝承かがクレジットされている)をごくシンプルに歌うUnni Løvlidの歌のみ、オーバーダブでコーラスをつけている曲もごくわずか。

曲はいわゆる「サビ」のみの状態で、結構わかりやすく、それがあっという間に終わり次の曲へと非常にテンポよく進んでいく。曲そのものもテンポのよいものも多く、軽やかだ。Unni Løvlidの伸びやかでまっすぐな歌が、ノルウェーの地方のトラッドをユニバーサルな魅力を持つ音楽にしている。

Vita

Vita


2005 Heilo / Grappa
HCD7197

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Unni Løvlid (vo)

Recorded in Tomba Emmanuelle,
October and November 2004, 2 October with audience.

Recorded and mastered by Helge Sten
Editing and mastering at Audio Virus Lab
前作から随分間を空けて制作されたセカンドアルバム。

まず、このアルバムがレコーディングされた場所を理解しなければならない。アルバムジャケットにも写っている Tomba Emmanuelle は通常 Emanuel Vigeland Museum と呼ばれ、オスロ市内にある Emanuel Vigeland の霊廟兼展示スペースだ(Emanuelは、オスロ市内の銅像だらけの公園で有名な彫刻家 Gustav の弟である)。メインスペースは1つで、その壁面から天井に描かれているのがこのアルバムのタイトルにもなっている "Vita" (ラテン語で「人生」)というフレスコ画。スペースはかなり暗いが、暗闇に目が慣れてくると徐々に浮かび上がってくるその「人生」の様々なシーンは圧巻。

音の面では恐ろしく長いリバーブ(40秒を超えるという説もある)が特徴で、ライブコンサート中でなくても、手に持っている物を取り落としたり咳をしたりしたら大反響してしまい大変なことになる。

この特殊な音響(しかも電気的な機械の持ち込みはかなり制限され、さらに入り口が非常に狭いので実際持ち込める物も限られる)を好み、しばしばレコーディングに使うのが本作のエンジニア Helge Sten。Arve Henriksen "Sakuteiki" (2002; Rune Grammofon), Terje Isungset "Middle of Mist" (2003; NORCD), Susanna and the Magical Orchestra "Melody Mountain" (2006; Rune Grammofon) などでは部分的にこの音響を生かした録音が使用されているが、本作では全編ここでの録音だ。

歌詞と音楽は中世から近代に渡る幅広い年代のもので、それを静かに、ゆったりと歌いつないでいく。この特殊な音響は、ボーカルソロに予想外の多彩な背景を加え、やがて揺らぐように空間に吸い込まれて消えていく。北欧の音楽独特の音階、メロディーラインが、残響の中で重なり、和音となって響くのはここの録音ならでは。

この Emanuel Vigeland Museum での Unni Løvlid のソロコンサートは今や定番の人気プログラムである。2009年秋にはここで小さなフェスティバルが行われたが、Unni Løvlid のソロコンサートはソールドアウトとなり、2日で追加公演を含む3回のコンサートが行われることになった。

Rite

Rite

2008 Grappa
GRCD 4223

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Unni Løvlid (vo, bass synth, hardanger fiddle)
Hild Sofie Tafjord (prog, french horn, electronics)
Håkon Kornstad (synth, prog)
Helge Norbakken (per)
Lene Grenager (cel)
Frode Haltli (accor)
Ingar Hunskaar (synth, glockenspiel, prog, electronics)
Ragnhild Furebotten (fiddle)
Helge Sten (electronics)
The Norwegian National Opera Children's Chor (vo)

All lyrics and music by Unni Løvlid
#1, 2, 3, 4, 5, 7 mixed and produced by Ingar Hunskaar
#6, 8 mixed and produced by Helge Sten
Mastered by Bob Katz at Digital Domain

Recorded at Njenje Studio, Tanzania by Nikolai Høgset,
at Spunk studio, Norway by Hild Sofie Tafjord and Håkon Kornstad,
at Norwegian National Opera by Thomas Hukkelberg
and at Diktafon studio, Norway by Ingar Hunskaar.

前作2作はいずれも完全なソロボーカル、伝承の歌詞とメロディーを扱ったもので、それぞれがかなり強いコンセプトでまとめられたものだった。3作目の本作ではがらりと変わり、自ら楽器を演奏し、エレクトロニクスやプログラミングも多様、また、彼女の本当の音楽性をよく表すゲストが多く参加している。

さらに、歌詞、メロディーは全て Unni Løvlid 自身によるもので、歌詞も現代の標準的なノルウェー語が使用されている。楽曲はちょっと暗めのポップ〜音響物といったところで、音作りは非常に現代的、どこか寒々した空気が漂う様は北欧的とも言えるだろう。典型的な民俗音楽の様式は見られないが、Unni Løvlid の歌唱が、北欧の民俗音楽独特にこぶしを持つ節回しで、そこが逆にこの現代的な音作りとのユニークな取り合わせとなっている。

自らもポストロックグループでミュージシャンとしても活動するエンジニア Ingar Hunskaar と、Helge Sten がプロデュースしている曲はかなり違う雰囲気の仕上がりだが、Helge Sten の手がける曲がよいアクセントとなっている。

Unni Løvlid がトラッドシンガーという肩書きなのは確かだろう。しかし、タンザニアから中国の奥深くまでツアーし、現地のミュージシャンと共演し、また地元ノルウェーの実験的なミュージシャンとの共演もある。活動範囲も音楽性も実に幅広い。それを支える彼女の歌は、彼女が育ったフィヨルド南部の土地に根ざしたものであり、どのプロジェクトでもそれはあまり変わらない。その声そのものはしかし、特に変わったものでなく、柔らかで、懐の深さのようなものも感じる。多様な音楽と融合できる不思議な力を持つ声である。

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