(pickup 2009 vol 7 : 23 november 2009)
| Stian Westerhus >> official site >> myspace |
ノルウェーの即興演奏系のシーンで注目のギタリスト、1979年生まれ、31歳。アルバムリリースはわずかここ2年のことだが、恐らく現在最も忙しいミュージシャンの1人だろう。以下のアルバムリリースがあるプロジェクト以外に、現在 Nils Petter Molvær のバンドのギタリストとして各地をツアー、また2010年1月にリリースされる Jaga Jazzist の新作 "One-Armed Bandit" にも参加(バンドからは既に脱退)、また最近ではフリージャズビッグバンド Crimetieme Orchestra のメンバーでもある。 |
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Stian Westerhus "Galore" Stian Westerhus (g) 2009; The Last Record Company / Rune Grammofon TLRC 1 |
Stian Westerhus の初めてのソロ作品で、Rune Grammofon が2009年5月に The Last Record Company (TLRC) というアナログ専門のラインからリリースした3作品のうちの最初の作品でもある。 |
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Puma "Isolationism" Øystein Moen Gard Nilsen Stian Westerhus 2007; Bolage; BLGCD001 |
Puma は2006年に行われた Jazzintro という若いジャズ系のグループを対象としたノルウェー国内のコンペで優勝し、一躍注目を集めたグループ。ちなみにこのコンペの開催は隔年で、2004年の優勝グループは In The Country だ。 Puma のファーストアルバムはレーベル Bolage の最初の作品でもある。即興色が強いが、いわゆるジャズ的な即興演奏よりむしろロックに親和性を見出せる音楽性、エレクトロニクスを大きく導入したそのサウンド、ということで Supersilent の影響を受けているのは明らかで、私が知る限り最も Supersilent に近いグループだとすら感じる。しかし彼らはファーストアルバムのライナーノートをその Supersilent の Arve Henriksen に依頼することで、その影響を素直に認め、また、Arve Henriksen が書いているように「非常に似ているが、彼ら自身の演奏がある」ことに確信を持っているのだろう。 セカンドアルバムでは、その彼らの個性の部分が全面に出てきている。極端にアナログな音の Gard Nilssen のドラム(この3人の中では彼が最もジャズ色が強い活動をしている)と、エレクトロニクスやエフェクターをかけたギターによる無機質なノイズを、あまり空間を埋め尽くさずにざっくりと混ぜ合わせたトリオ編成ならではの音がユニークだ。 Puma はエレクトロニクスを導入しながらもギター、キーボード、ドラムのトリオという認識だったが、それを覆されたのが 2009年2月の Puma / Marhaug での来日公演時の演奏だ。Øystein Moen がもはやキーボードを弾かず、ツマミ類をいじることに専念しているのは驚きだった。その、最もアグレッシブでノイジーなサイドの Puma を聴けるのが Puma / Marhaug 名義の "Fist Full of Knuckles"、この作品はアナログのみでのリリース。録音は2007年の10月と11月と意外と昔のものである。 Puma は既に単独名義での3作目を録音しており、2010年3月のリリースが予定されている。 |
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Puma "DIscotheque Bitpunching" Øystein Moen Stian Westerhus Gard Nilsen 2008; Bolage; BLGCD004 >> MySpace |
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Puma / Marhaug |
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Monolithic "Black Science" Stian Westerhus (baritone g) Kenneth Kapstad (ds) 2009; Roggbif Records / Vendlus Records; RR021 / VEND038 >> MySpace |
Monolithic は同い年のドラマー Kenneth Kapstad とのデュオ。Kenneth Kapstad はフォークロックグループ Gåte や ロックグループ Animal Alpha のメンバーとして活動してきたが、やはり現在はロックグループ Motorpsyhco のドラマーとして名前が知られるだろう。 通常のギターより低い音のバリトンギターとドラムのデュオ。即興演奏だが、いわゆるジャズ色は皆無、フリーフォーマットなヘビーメタルデュオとでも言おうか。ギターの音がいくらか重ねられているため、デュオというよりボーカルレスのトリオのような音圧。ヘビーながら、ギターのリフとそれに呼応する開放的なドラムの切れの良さが信条。 |
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Bladed "Mangled Dreams" Anita Kaasbøll (v, org) Stian Westerhus (g, effects, backing vo, p, org) Martin Langlie (ds) 2009; Crispin Glover Records; WireCGRCD006 >> MySpace |
2004年に女性シンガー Anita Kaasbøll とのデュオとしてスタート、2007年にドラマーの Martin Langlie が加わりトリオとなる。Anita Kaasebøll は今後即興音楽系のシーンを中心として注目されるであろうシンガー。ドラマーの Martin Langlie は Gåte で上記 Monolithic のドラマー Kenneth Kapstad の前任であり、Hanne Hukkelberg や フォークロックトリオ Valkyrien Allstars のサポートメンバーである関係で2009年11月と12月には Stian Westerhus と前後して2ヶ月で2度の来日を果たす。 Stian Westerhus の重心の低いギターとちょっとタメの効いたこちらも重めのドラムを物ともせず、奔放にロックなメロディーを歌う Anita Kaasebøll の、ファルセットも含めた一聴しただけでは若干不安定そうでいてとても魅惑的な歌唱に惹かれる。 |
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Terje Isungset & Stian Westerhus "Laden with Rain" Terje Isungset (per) Stian Westerhus (g) 2008; FMR Reords; FMRCD 249-0308 >> MySpace (Terje Isungset) |
イギリス FMR Records はなかなか面白い視点からノルウェーの即興音楽を捉えた作品をリリースしており、これもその中の1枚。 土着的なパーカッションの Terje Isungset と実験的な轟音ギターの Stian Westerhus、そしてエンジニア/共同プロデューサーとしてノルウェー・ブラックメタル界ではよく知られる Pytten こと Eirik Hundvin がクレジットされており、彼が得意とするベルゲン・グリーグホールでの録音。Stian Westerhus と Pytten はともかく、Terje Isungset は...?と思ったが、全く違和感ないのがさすがノルウェーというべきか。ダークでメタリックなサウンドも、トラッドに根ざした音も、同じ源に根ざしているのかもしれない、などという考えがよぎる名共演。 |
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Fraud "Fraud" James Allsopp (reeds) Tim Giles (ds, el per) Stian Westerhus (baritone g) Philip Hochstrate (key) Ben Reynolds (ds, per) 2007; The Babel Labell; BDV2766 >> MySpace |
Stian Westerhus は、他のジャズ系のノルウェー人ミュージシャンと少し異なる経歴を持ち、ロンドンの Middlesex University で学位を取り、その後ノルウェー・トロンハイムで修士号を取得している。 この Fraud というグループはそんな彼の経歴を背景とするイギリスのグループで、1995年に結成された。リーダー格が James Allsopp と Tim Giles であることがよくわかる音作りで、ギターはあまり目立たない。 もっとも、音楽は結構ユニークで面白い。ゆらゆらとした変拍子の上を力強くメロディーを吹くテナー、ギターやエレクトロニクスの歪んだ音などが漂うが、前衛的ではなく、風変わりながら分かりやすい。 |
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Eldbjørg Raknes "From Frozen Feet Heat Came" Eldbjørg Raknes (voice, live sampling, electronics, bells) Stian Westerhus (g, electronics) Eirik Hegdal (sax, cl) 2008; MYRecordings; MY03 >> MySpace |
Eldbjørg Raknes は(国外ではあまり知られていないが)ノルウェーを代表する即興系の女性シンガー。彼女のグループには長く Nils Olav Johansen が参加していたが、歌もギターも芸達者ながら音楽性としてはオーソドックスな Nils Olav Johansen から一転、全く異なる発想のトリオでの作品。 このトリオが面白いのは、それぞれの楽器にありがちな役割が振られていないことだ。例えば、 Eirik Hegdal はこれまであまり聴いたことがない位にパーカッシブな短いフレーズを叩き出し、ドラマーの役割までこなす。かと思えば、Stian Westerhus のギターがリフを刻めば、今度はアグレッシブに絶叫する。そんな中、主役のボーカルは低い静かな声で、あくまでもクール。 |