(pickup 2019 vol 1 : 1 february 2010)
![]() 2009; Hubro / Grappa HUBRO CD2501 >> @ musiconline >> Mats Eilertsen >> Mats Eilertsen @ MySpacecom |
Mats Eilertsen "Radio Yonder" Mats Eilertsen (double-b) Tore Brunborg (sax) Thomas T. Dahl (g) Olavi Louhivuori (ds) 1. Radio 2. Bora 3. Night Song 4. Yonder 5. Further Float 6. Wall View 7. Stork 8. Hunting High and Low 9. Aceh All songs composed by Mats Eilertsen Except 8. by Pål Waaktaar Produced by Mats Eilertsen Recorded in Rainbow Studios, Oslo, September 2008 Mixed and Mastered in Raingow Studios, Oslo, Winter 2009 Engineer Jan Erik Kongshaug |
ベーシスト Mats Eilertsen(b. 1975)は国内外の多くのグループで活動する傍ら、変則的な編成のカルテットでそのグループ名となったファーストアルバム ”Turanga" (2004) 、同じラインナップで音楽をさらに発展させた ”Flux" (2006) を発表し、一旦このグループでの活動を停止させた。次のリーダー作はアコーディオンとパイプオルガンのゲストミュージシャンを迎えてはいるものの基本的にベースソロの "Short Stories" (2007) 。 2008年10月、Mats Eilertsen は新しいグループで来日した。このグループでの最初のノルウェーツアーとアルバムレコーディングと前後しての来日で、誰もがその音を初めて耳にする。客の入りはいまいちだったが、逆に言い換えると熱心なリスナーが集まったその来日公演、楽曲がなかなか単純でなく、ライブで1度や2度耳にしただけでは消化しきれるものでなかったというのが正直な感想だった。 その同じ顔ぶれで、同じ楽曲を録音したアルバムがちょうど1年後の2009年10月にリリースされた。意外なことに、1年前に必死で音楽を捉えようとした耳は彼らの楽曲を覚えており、アルバムの楽曲はすんなり耳に入ってきた。 一見普通のワンホーンカルテットでピアノがギターに置き換わっただけのようだが、少し捻りが効いているところが Mats Eilertsen ならではだ。ギターの Thomas Dahl (b. 1973)は、音だけ聴けばジャズ的な音作りながらノルウェーらしいロック方面へのはみ出し具合だが、ライブで見た人は一目瞭然、彼がレスポールを弾いていることから、彼が音で聴くよりもっとロック寄りだということが分かるだろう。 このグループのカラーを一番大きく決定付けているのは、他のメンバーより一世代上の Tore Brunborg(b. 1960)の音色とフレージングだろう。1990年代半ばに新世代(と当時言われたが、当然現在は中堅に近づいている)の「ノルウェーのジャズ」が台頭してくるより少し前の、”いわゆる”北欧ジャズの音の持ち主である。その音色は、単純でない楽曲を実にすんなり聴かせる力を持っている。 Mats Eilertsen は、ノルウェー人ミュージシャンの中でも特にフィンランド人ミュージシャンとの共演が多い。ここでは、フィンランド人ピアニスト Alexi Tuomarila Trio でも共演している Olavi Louhivuori の、アクは強くはないがさりげなく個性的な音の組み立て方を上手く使っている。 全9曲中8曲が Mats Eilertsen のオリジナルだが、演奏面では前の Turanga カルテット同様、演奏面ではメンバーの1人としての演奏に徹している。もちろん、彼らしい柔らかで暖かな音色は健在だ。 彼の楽曲を表現するセンスがよく分かるのが、ノルウェーを代表するポップグループ a-ha の名曲 ”Hunting High and Low" のカバーだ。2008年10月の来日時にも、初日は有名曲のカバーであることをほのめかしてアンコールに演奏された。ただし多くの人が何の曲かわからなかったのだろう、特に盛り上がらなかったのは、多分彼らにとってはかなり肩透かしだっただろう。この曲を、その場にいた人が知らなかったとは思えない。わからなかったのはそのユニークなアレンジによるところが大きいだろう。あの有名なメロディーは、最後に一度だけ、Tore Brunborg の美しい静かなテナーで演奏される、その心憎い演出はこうしてアルバムで改めて聴くとニヤリとさせられる。 Mats Eilertsen は、参加作が複数 ECM からリリースされるなどで、少しずつノルウェー国外でも聴かれているだろう(また今年は、Tore Brunborg が Manu Katche のライブ盤でまた ECM で認識されることになるだろう)。しかし、これまで所属した AIM レーベルは極端にプロモーション力が弱く、国内外問わず十分に聴かれていないのが残念だった。この新作はノルウェー国内のインディーレーベルとしてはかなり力のある Grappa 傘下に新しく設立されたジャズ/インプロレーベル Hubro の最初のリリースの1つである。急に状況が改善されるとは思えないが、少しずつでも状況が良くなればと思う。 |
![]() 2007; AIM Records AIMCD120 >> musiconline >> AIM Records |
Mats Eilertsen "Short Stories" Mats Eilertsen (double-b) Frode Haltli (accor) Torbjørn Dyrud (church org) |
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![]() 2006; AIM Records AIMCD113 >> musiconline >> AIM Records |
Mats Eilertsen "Flux" Mats Eilertsen (b) Ernst Reijseger (cel) Fredrik Ljungkvist (sax, cl) Thomas Strønen (ds, bells) |
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![]() 2004; AIM Records AIMCD108 >> musiconline >> AIM Records |
Mats Eilertsen "Turanga" Mats Eilertsen (b) Ernst Reijseger (cel) Fredrik Ljungkvist (sax, cl) Thomas Strønen (ds, per) |
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| The first step of HUBRO >> Grappa >> Yokoland |
Hubro はノルウェーのインディーレーベル Grappa 傘下に新たに設立されたレーベル。Grappa は新しいタイプのトラッドなどに強いレーベルで、ノルウェー国内での ECM のディストリビューターである他、Rune Grammofon も同レーベル内にオフィスを持つ(元々 Rune Kristoffersen が Grappa で ECM のマネージャーをやっていたから、だからだが)。 2009年10月に設立され、3枚の作品をほぼ同時にリリースしたこの Hubro はジャズ/インプロ系を主に扱うレーベル、より正確には「ライン」に近い(つまり、レコード会社、というような独立したものではないようだ)。レーベルの代表として地元の取材に応じているのはミュージシャンであり、また Rune Kristoffersen の後任のノルウェーでの ECM のマネージャーである Andreas Meland。 このレーベルの作品のアートワークを手がけるのは オスロのデザイナースタジオ(グループ)Yokoland。メンバーは Aslak Rønsen、Espen Friberg、Thomas Nordby の3人。最近では Jaga Jazzist の来日公演時に販売されたツアーTシャツ、それに彼らの新作 "One Armed-Bandit" のスロットマシーン柄を手がけている。Hubro には、薄いペーパースリーブのジャケットに、写真の上にゆるい手書き文字を組み合わせたアートワークが特徴で、さらにこれまたゆるい、レーベルのロゴらしい鳥のシールがジャケットに貼られている。 |
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![]() 2009; Hubro / Grappa HUBRO CD2502 >> LabField @ MySpace.com |
Labfield "Collab" David Stackenäs (ac-g, preparations, low budget electronics) Ingar Zach (prepared bass ds, gongs, per, sruti boxes, drone commander) Ståle Storløkken (B3 hammond org, key, electronics; on #1) Mariam Wallentin (vo, on #2) Giuseppe Ielasi (electronics, on #2) |
LabField はノルウェー人パーカッショニスト Ingar Zach とスウェーデン人ギタリスト David Stackenäs のデュオ。この2人の共演の始まりは 1997年まで遡り、代表的なものにはこの2人にノルウェー人サックス奏者 Håkon Kornstad を加えたインプロトリオ Tri-Dim としての活動がある(アルバムは 1999年の ”Tri-Dimprovisations” (BP) と 2002年の "2 of 2" (Sofa) の2枚を残している)。 LabField、名前は "Laboratory Field" を短くしたもので、彼らの音楽をよく表している。先の Tri-Dim とは異なり、「いわゆる」ヨーロッパ的なジャズ色はほとんどない。 むしろ Ingar Zach がメンバーのトリオ Huntsville の、エレクトロアコースティックな即興演奏に似ており、この LabField は Huntsville をもう少し抽象的にしたような雰囲気だ。 ファーストアルバム ”Fishforms” はドイツのレーベル Bottrop-Boy から、セカンドアルバム "Collab" はノルウェーの新しいレーベル Hubro からリリースされた。 ”Collab” 2曲収録、それぞれ異なるゲストを迎えた2008年夏のライブ録音を並べたもの(このあたりも Huntsville に似ている)。35分を超える #1 には Ståle Storløkken、そして短い #2 にはファーストアルバムのミキシングとマスタリングを手がけていた Giuseppe Ielasi と、デュオ Wildbirds & Peacedrums で知られるスウェーデン人シンガー Mariam Wallentin が参加している。この長さのバランスも絶妙で、Maria Wallentin のミステリアスな歌がアクセントとなっている。 個人的には、最前列で見た Ståle Storløkken とのコラボレーションがこうしてアルバムとして形になり手元にあることが嬉しい。 |
![]() 2007; Bottrop-Boy B-BOY 031 >> @ Bottrop-Boy |
LabField "Fishforms" David Stackenäs (ac-g, resonator g, preparations, low budget electronics) Ingar Zach (bassdrum, per, electronic sruti-box, electronic saranghi-box) |
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![]() 2009; Hubro / Grappa HUBRO CD2500 >> @ musiconline >> Splashgirl >> Splashgirl @ MySpace.com |
Splashgirl "Arbor" Andreas Stensland Løwe (p, e-bowed ac-g, el-g, monochord, syhth, electronics, zither) Jo Berger Myhre (double-b, kantele, zither, snare ds, p) Andreas Lønmo Knudsrød (ds, per, glockenspiel, vib, zither) Anders Hofstad Sørås (pedal steel g) Lasse Passage Nøsted (conventional ac-g, voice, tape) |
Splashgirl は Hubro レーベル最初の3組のアーティストの中で、他の2組より1世代若いミュージシャンによるグループで、核となる3人はみな1980年代生まれだ。 グループは2003年に結成され、トリオを中心に場合により数人のゲストミュージシャンを加えるゆるやかな編成で活動してきた。2007年には AIM Records からファーストアルバム "Doors. Keys." を発表。静かで音数が少なく、美しいハーモニーのアンサンブルだが、かなり地味な印象だった。 それから2年、Hubro のカタログ番号上最初のリリースで、彼らのセカンドアルバムには驚かされた。正直なところ、Mats Eilertsen と LabField がレベルの高い作品をリリースしてくるであろうことは予想したが、この Splashgirl の作品は、嬉しい予想外の発見となった。 路線は前作の路線を幾分踏まえつつ、ジャズというくくりを取り払い、もっと自由に、やや牧歌的でわずかに暖かな雰囲気の漂う音楽を構成している。また、音数を大胆にそぎ落とし、ぽつりぽつりと音を落としていく、その間合いが非常に美しい残響を残す。エレクトロニクスのクレジットもあるが、ほとんどはアコースティックな楽器の演奏が占めており、ありがちなエレクトロアコースティックなバンドとはかなり異なる。 |
![]() 2007; AIM Records AIMCD121 >> @ musiconline >> AIM Records |
Splashgirl "Doors. Keys." Andreas Stensland Løwe (p) Andreas Lønmo Knudsrød (ds) Jo Berger Myhre (b) Sebastian Gruchôt (vln) Joel Wästberg (ts) Lars Holmen Kurverud (bcl) |
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