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naima

NAIMA

Recorded at: Ars Electronica 2001
OMV Klangpark, Linz, Austria
September 1-6, 2001.

Live mix and sound materials by Vladislav Delay.
Original source material: Anima, published by courtesy of Mille Plateaux.
anima

ANIMA

all tracks composed and recorded by Vladislav Delay.
2002 Staubgold 23 2001 Mille Plateaux MP95

Vladislav Delay というインパクトのある名前のこのアーティストはフィンランド・ヘルシンキ出身。"Vladislav Delay" 以外にも "Luomo" 等の名義で相当な数のリリースがある。

2001年の "Anima" はドイツ・フランクフルトの Mille Plateaux レーベルから、Delay 名義での2作目。"all tracks..." のクレジットがあるが、実際収録されているのは62分にも及ぶ1トラックのみ。空間にうっすらと広がるような高めの音、不規則に織り込まれるビートともノイズともつかない音。そして、微妙な低さの中低音でこれも不規則に突付くように、しかしビートではなくて、音程のある断片的な音。宇宙的に上と横へ広がる音と沈み込むように下へ広がる音。その両方向へ引っ張る音の中で、聴き手は微妙な、言ってみれば安定しない、だからこそスリリングな位置に置かれる。

"Naima" (これは Mille Plateaux 盤 "Anima" のアナグラムだろうか)は 2001年9月のオーストリア・リンツでのライブ録音を編集したもの。ドイツ・ケルンの Staubgold レーベルから全世界 2000 枚限定リリース。42分1トラック。"Ars Electronica 2001" というフェスティバルの一環のもので、ドナウ川沿いの Klangpark ("Klang" とはドイツ語で「響き」の意)という、いかにも相応しい屋外の会場でのライブ。 音源は "Anima" から。ベーシックな色彩はもちろん "Anima" と似ているが、印象は相当異なる。この録音には全編に渡って、女性の声によるナレーションとも詩の朗読ともいえる「声」が入る。明らかに英語が母国語でないと分かる強いアクセントのある、そのため非常に耳に残る英語のフレーズ、低めで落ち着いた心地よい声、時にはそれがサンプリングを通って「音」のようになり、また時折わずかに、口ずさむように発せられる。そしてそれ以外の音は、 "Anima" のあの中低音の断片的なベース音のような音が影を潜め、先の「声」に呼応してかなりドラマチックに展開する。多種な音が織り込まれるそのサウンドはとても映像的。白黒のドキュメンタリーフィルムや、現代的な映像とライティングのアートなどとシンクロしそうな音。トータルとしての音は、聴き手の方向へ向かってくる。

私は "Naima" を入手してディスクを取り出し、ポータブルCDプレイヤーに入れた。スタートボタンを押したのはたまたま広い本屋に入ったときで、イヤホンを通して聴こえてきた音は私の周りの空気を変えてしまった。そこだけ温度が下がり、透明感が増し、まるで美術館にいるようだった。結局本を買うことも、店から出ることも、そしてCDプレイヤーを止めることも出来ずに42分、本屋の中をさまようハメになった。


"I more or less mirror my life through my music,
so it's very personal and it goes where I go."
(Vladislav Delay)


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