<< 2002 Vol. 12 (2002/10/10) >>
| Ferenc Snétberger |
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![]() 1. Autumn Leaves 2. Fantasia Alla Tango 3. Obsession 4. My One And Only Love 5. Song To The East 6. Invention 7. Gypsy 8. One More String 9. Kunst Der Fuge (Contrapunctus 1) 2002; Enja Matthias Winckelmann; ENJ-9432 2 |
BALANCE Ferenc Snétberger は1957年、北ハンガリー、スロバキア国境に近いシャルゴータリヤーン (Salgótarján) という町の生まれのギタリスト。7人兄弟の末っ子、音楽に向かったのは父親の影響だそうで、この新作は今年亡くなったその父親に捧げれている。 2年ぶりのアルバムはソロギター作品。彼が弾くのはギターといってもアコースティックギターというよりスパニッシュギターとかクラシックギターに近いものだ。アルバムの大半、#1 〜 #8 は彼が現在住み、活動の拠点としているドイツ・ベルリンでのライブ録音(2001年10月)。会場となっているのはベルリン・フィルハーモニーの中の室内楽用のスペースで、独特の雰囲気を持つ音響はCDでも聴き取れる。 よく知られた「枯葉」で始まるこのアルバムには、曲だけ見れば実に多様な曲が収められている。クラシックギターの小品みたいな雰囲気のもの、シンティ・ロマの家族に生まれた彼ならではの民俗音楽的なもの、そのジプシーというキーワードでつながるかのようなある種のスペイン音楽と通じるもの…。アグレッシブなパートもあるものの、スペインのそれなどと比べるとどこか激しくなりすぎず、熱くなりすぎることもない。穏やかで温かなメロディーを湛えた #5 のような曲もあり、東欧的なメランコリーを感じる曲もある。それらの多面性は、Ferenc Snétberger というギタリストを多方向から照らしてすこし立体的にみせるかのようだ。 ギター1本なのに、例えば前々作のトリオ作と比べて、独りになってしまったというよりむしろ彼のギターの音が隅々まで行き渡るようで、スケールはずっと大きくなっている。以前のアルバムに収録されている曲の再演もあるけれど、ギターの音が他の楽器があるときより鋭く感じられ、圧倒的な印象を残す。 #8 の最後の音がドラマチックに鳴り止んだ瞬間、驚くような大観衆の拍手と歓声がどっと入り、はっとさせられる。 その後、静かに鳴るアルバムの最終曲 #9 はバッハの曲で、これのみ2002年1月、故郷ハンガリーのブダペストのスタジオで録られたもの。スローテンポで、クラシカルに爪弾かれる静かなこの曲ですら彼の手にかかると彼の色の音楽になってしまう。 ところで印象的なジャケットの写真はドイツの北端の1つ、ポーランドとの国境近くに浮かぶリューゲン島 (Rügen) で撮影されたもの。旧東ドイツ、社会主義体制下のリゾート地として知られるところ。以前に私が訪れた時は社会主義体制、リゾート、旧体制の崩壊、急な再開発…とあらゆるつりあわない事象がぶつかる不思議な地だった。内容と写真は恐らく関係ないだろうけれど、すこし気になるところでもある。 |
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![]() Introduction 1. Mazurka Compositions for Guitar and Trumpet LANDSCAPES 2. Hajnal 3. Gond Nélkül 4. Alkony Concerto for Guitar and Orchestra IN MEMORY OF MY PEOPLE 5. Hallgató 6. Emlékek 7. Tánc 8. Fantásia Encore 9. Vals Criollo / Vals Gitano 2000; Enja Matthias Winckelmann; ENJ-9387 2 |
FOR MY PEOPLE 私が初めて手にした Ferenc Snétberger のアルバムがこれ。2000年、彼が住むドイツ・ベルリンの大きなレコード屋でこれを手にした理由は、このアルバムにその日にコンサートを見る予定のドイツ人トランペッター Markus Stockhausen が参加しているから、だった。 前後(#1, 8. 9)にソロ・ギターによる演奏を配し、真中に大きな組曲が2つ。最初の "Landscape" というタイトルの3曲はその Markus Stockhausen (tp on #2 & 4; flh on #3) と Ferenc Snétberger のアコースティックギターによるデュオ。クラシックをきっちりと習得した2人の名手の演奏はそれだけでも驚くべきもので、特に Markus Stockhausen のトランペットの高音はただ唖然。最初のリハーサルの後、あらかじめ書かれていたパートを外して即興演奏に切り替えた、というエピソードを裏付けるように、とてもスリリングな演奏、そして美しくてとてもポエティックでもある。タイトルは順に「夜明け」、「不安のない」、そして「たそがれ」。 もう1つの組曲は故郷ハンガリーの The Franz Liszt Chanber Orchestra (ブダペスト)との共演。"my people" とは彼のルーツであるシンティ・ロマ(いわゆるジプシーと呼ばれる人々)で、この組曲も強制収容所開放50年に際して書かれたもの。タイトルは順に「聴き手」、「記憶」、そして「踊り」。伝統的な音楽を、17人のストリングスと自らのギターでメロディアスに綴っていく。物悲しいけれど決して暗くはなく、最後の「踊り」こそリズミカルなものの、とても静かな音楽。その穏やかな組曲に込められた思いは、多分日本人である私には計り知れないものがあるのだと思う。 最後のソロギターによるワルツは明るいパートとメランコリーなパートに分かれていて、彼らしいブラジル音楽のエッセンスも感じる軽快なトラック、アルバムが深刻になりすぎないで終わる。 |
![]() 1. Wanton Spirit 2. E-Bossa 3. Szivárvány 4. FS Five 5. Gypsy 6. Hanging Out 7. Obsession 8. I Remember 9. Song To The East 10. Páva 1998; Tiptoe / Enja Matthias Winckelmann; TIP-888 834 2 |
OBSESSION ドイツのレーベル Enja、または傍系のTiptoe への3作目。自身のギターと János Egri (b), Elmér Balász (ds) のトリオ編成による演奏。同レーベルへの最初の録音 "Signature" もトリオ編成(にヴィブラフォンのゲスト)だったけれど、メンバーは異なる。 ジャケットはなにやら赤々と燃えているけれど、内容とはあまり関連性はない。アルバム全体をとおしてブラジル音楽をやっていて、サンバとかボサノバのリズムの曲が多い。ただ、やはり彼らしいジプシー音楽のフレイヴァーが、特にメロディーに溶けこんでいる。 曲はほとんどが Ferenc Snétberger のオリジナル(ハンガリー語のタイトルの #3 は「虹」の意)。中にはとてもジャジーなものもあり、かなりバラエティーに富んだ内容。#8 はSteve Swallow / Carla Bley の曲。穏やかにロマンチックにメロディーを奏でている。 最後の #10、「孔雀」というタイトルのこの曲だけトラッドをアレンジしたもの。女性シンガー Irén Lovász が Ferenc Snétberger のギターをバックに、ちょっと変わった民俗音楽歌唱法でエキゾチックに歌っている。 |
| further recordings on ENJA: SIGNATURE (ENJ-9017 2) recorded in 1994 THE BUDAPEST CONCERT (TIP-888823 2) recorded in 1995 |