<< 2003 Vol. 2 (2003/06/02) >>
![]() magnet "on your side" 1. Everything's Perfect 2. Last Day Of Summer 3. Where Happiness lives 4. On Your Side 5. The Day We Left Town 6. Nothing Hurts now 7. Lay Lady Lay (with Gemma Hayes) 8. Overjoyed 9. I'll Come Along 10. My Darling Curse 11. Smile To The World bonus tracks for japanese edition: 12. Chasing Dreams 13. Little Miss More Or Less 14. Whish Me Well all songs written by Even Johansen except "Lay Lady Lay" by Bob Dylan (2003; Ultimate Dilemma) |
Magnet こと Even Johansen はノルウェー・ベルゲンの出身。年齢は現在30歳ちょっとらしい。いつもテンガロン・ハットをかぶる「北欧のカウボーイ」。その名前
"Magnet" の由来は、ライナーノートに掲載されているインタビューによると「病院に行ったら鉄分不足と診断されて、それで鉄分を身体に引き寄せるようにと肩に
"magnet" と刺青を入れられた」からだそう(???)。 その Even Johansen がベルゲンのシーンに登場したのは10年以上も前、1991年、Chocolate Overdose というバンドのギタリストとしてだった。翌年に Warner からファーストアルバム "Everybody Likes Chocolate" 、1993年にはセカンドアルバム "Sugar Baby" をリリース。ボーカルの Geir Luedy の言葉によると「オーバープロデュース」されたセカンドアルバムの後、バンドは半ば解散状態になってしまう。Even Johansen は Libido というバンドに移り Chocolate Overdose を離れる。Chocolate Overdose が5年後、Rune Grammofon から復活作 "Whatever" (1998) と "Dingledoodies" (1999) をリリースする頃には Even Johansen はそこにはいなかった。 Libido はイギリスを拠点とし、アルバム "Killing Some Dead Time" (1998; Fire) をリリースし解散、Even Johansen はそのままイギリス、というよりスコットランドに拠点を移し、ソロ活動を始める。ノルウェーのインディーレーベル(いまや結構注目のレーベルでもあるけれど)Rec 90 から 2000年に "Quiet & Still" をリリース。イギリスのレーベル Ultimate Dilemma から EP を3枚リリースした後、ワールドワイドとしてはデビュー作となる "On Your Side" が2003年6月にリリースされる。 ソロになってから初めて歌いはじめた彼の声は、強引に例えれば雨の多いベルゲンのようにちょっと湿りけを含み、控えめな程度にエモーショナルで、とても素朴な手触りだ。自ら書く歌詞は、言ってみれば分かり易く、結構入り込みやすい言葉で綴られる。歌はとても上手いわけではないけれど、それでかえって歌詞がさらりと通り過ぎてしまわない。そしてなによりも Even Johansen はとても素晴らしいメロディーメイカー。アルバムの中の何曲かは1回聴いただけで頭の中に残って離れなくなるくらいだ。センチメンタルなメロディーは涙腺をつつく系だけれど、決して内向的ではなく、聴き手にちょっと元気を与えてくれるようでもある。 ボーカルとギター以外にも様々な楽器を1人でこなしてこのアルバムを完成させた彼がサポートに指名したのが Jørgen Træen だと知った時にはちょっと驚いた。どちらかというとソロに入ってからはアコースティックな色彩が強いように感じた彼が、Jaga Jazzist 等を手がけるプロデューサーとして知られ、Sir Dupermann という名前で Smalltown Supersound から手の込んだエレクトロニカ作を発表する、ベルゲンポップスの発信元みたいな Jørgen Træen とどうかみ合うのか、と思うと同時に、ああ、Even Johansen はどこに住んでいてもベルゲンのアーティストの1人なんだと思った。 その Jørgen Træen が何をしているかは 2000年の "Quiet & Still" とこの新作 "On Your Side" を聞き比べればすぐにわかる。新作にはかなり手の込んだ音響効果が施されている。ボーカルは丁寧にプロデュースされ、ストリングスの入り方も凝っているし、あちこちにいろんな音がちりばめられ、エレクトロニカに接近する音もかなり含まれ、 まさしく Jørgen Træen の音になっている。それが意外にも不思議なくらい Even Johansen の素朴なテイストにマッチしている。 昔よく聴いたアルバムをふと聴き返した時、それを聴いていたころの自分自身の記憶がいっぺんによみがえることがある。多分このアルバムをこの先ずっと先に聴き返したら 2003年の私が何をしていたかきっと思いだすだろう、そんなメロディーが詰まっている。それより前に、しばらくはタイトルどおり身近に置いておいていつも聴くアルバムになりそうだ。 |
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