<< 2003 Vol. 3 (2003/07/11) >>

Finery

>> finery <<


01. the second closer still
02 you are here
03 summer clothes
04 welcome to arcadia
05 if you can't be good
06 the tailor
07 illegible love
08 green eyes of the yellow god
09 coat of senses
10 if they ask you to stay


words / music taylor / paulick
coloma are rob taylor (vocal) and alex paulick (sound design & programming, lap steel, bass, acoustic & ele tric guitars, synthesisers, sampler, piano, organ)
with help from gabriele jüttner (vibraphone, piano), christoph clöser (tenor saxophone), n. churn (snare drum, fiddle), and the yoshino orchestra (strings)
mixed by alex paulick at nnyang studio, cologne
recorded at conny's studio (by marc weis), nnyang and the park
mastereing & additional mixing by bo kondren at calyx studio, berlin
cover artwark caroline melzig-thiel
layout jürgeh und ich


COLOMA


Silverware

>> silverware <<


01 the difference between silver and gray
02 you came as yourself
03 tied to the tracks
04 waltzer
05 the station
06 transparent
07 wintermission
08 in a snowstorm
09 saturnine
10 the sea may take a few ... it will deliver some

words / music taylor / paulick
rob taylor vocal, hammond organ , monosynth
alex paulick programming & sound design, lap steel, bass, electric guitars, keyboareds, synthesisers, harmony vocals

mixed by alex paulick at nnyang studios, cologne
recorded at the park, düsseldorf with technical assistance from thomas klein who also played cymbals & hi-hat

vibraphone played by gabriele jüttner
additional production & mix on transparent by decomposed subsonic
mastering by hartmut wessling at xtreme sound, cologne

cover concept & artwork by detlef weinrich & andreas reihse
COLOMA
rob taylor & alex paulick

1995年、学生だった私はドイツのケルンにいて、その街の真ん中、歩行者天国になっている通りでいつも、気温が氷点下にさしかかっても演奏しているイギリス人に出会った。

1993年(か1992年と記憶している)、パリのカフェで出会ったイギリス人 Rob Taylor と、イギリス生まれでアメリカ育ちのイギリス人 Alex Paulick は意気投合し、2人でギターを抱えてヨーロッパ中を回り、一番彼らの音楽を受け入れてくれたというドイツのケルンに落ち着いた。そこで Rob の友人のベーシストと Alex の弟のドラマーを加えて4人組のバンドを結成した。もろにビートルズな感じもするイギリス人らしいギターポップで、高音を歌う Alex と少し低めの Rob のボーカルハーモニーが素晴らしく、「地元」ケルンでは口コミで人気を呼び、自主制作のCD2枚を何千枚もその歩行者天国で売りさばいた。私が彼らに出会ったのはちょうどこの頃で、ケルンの人気クラブを満員にし、入れない人が通りに溢れるくらいの人気を誇った彼らは、なぜかレコード契約といった方面には運がなく、同名のアメリカのバンドが売れた時には、彼らが先に使用していたにもかかわらずバンド名を変えることになってしまう。その時点から急速にバンドは拡散し、1997年に私が帰国した後程なく、風の便りに彼らが解散した、と伝え聞いたのが最後になってしまう。

2003年に入って Coloma なるユニットのアルバム "Finery" がリリースされ、それが日本でも店頭に並び始めて、私はようやく Rob と Alex の活動に気づいた。私が手に取ったアルバムはセカンドアルバムだった。ファーストアルバム "Silverware" は 2002年にリリースされ、同年スペイン・バルセロナで行われた Sonar Festival という大きなフェスティバル(今年は Björk や Jaga Jazzist、Kim Hiorthøy といった北欧勢から Matthew Herbert や David Grubbs らが出演)に出演し、話題を呼んでいたことも後から知った。一度情報の端を掴むといろいろ出てくるもので、その私が知らない期間に、Rob は Mathias Schaffhäuser というドイツ人アーティストのアルバム "Love And Buisiness" の中の1曲 "Hey Little Girl" (オーストラリアのグループ Icehouse のカバー)を歌ったり、Alex は Kreidler というバンドにベーシストとして参加したりしていた。

その Mathias Schaffhäuser はケルンで WARE というレーベルを運営していて、Coloma のアルバム2枚とシングル2枚はいずれもこのレーベルからリリースされている。

新作 "Finery" を聴いて、Rob しか歌っていないということに驚いた。役割分担をはっきりさせるかのように、ボーカルと歌詞は Rob、ボーカル以外のパート全てと作曲は Alex と分けられている。しかも最初の音はチリチリいうビートで、そのシンプルな面白い音に Rob のボーカルが載る。アコースティックだった前のユニットからは信じられない音の変化だ。ただ、Rob のボーカルはまったく変わらない。多分最初の数語でわかるほど強力にブリティッシュな発音で、ストレートなのにどこか少し陰りがあるようなソフトな声。

曲は結構バラエティーに富んでいて、ヨーロッパっぽい打ち込みのビートによるポップス、アコースティックな楽器が入るものなど様々。個人的に印象に残ったのは #1 や #8 のような遊び心のあるビートにボーカルを合わせるタイプのシンプルな曲。シンプルだけれど少しだけヴィブラフォンやストリングスを絡めたりしていて、それがいい意味で、さらりと流れていってしまわないで耳を捉える。

エレクトロニカにボーカルを合わせる音楽をやっているアーティストはたくさんいるけれど、Coloma が独特なのは、そのボーカルの締める割合の大きさだ。音楽の7割くらいをボーカルが占めるイメージで、その割合をコントロールしているのは、長年一緒にやってきた歌っていない Alex による作曲とアレンジだ。

かつてエレアコをかき鳴らして歌う典型的なブリットポップだったところから、クリックなどとも呼ばれるミニマルなエレクトロニカや打ち込みのビート、キーボードやサンプリングの使用への変化は表面的には大きい。けれど、ひょっとすると今どきめずらしいくらい素直な Alex の作るメロディーラインと Rob のまっとうによい声は全く変わっていない。少し彼らは自分達の持っている素材の料理法を変えただけだ。

彼らがまだストリートミュージシャンから脱していなかった頃からサポートとして参加しているというヴィブラフォンの Gabriele Jüttner や、彼らの才能を見出した Mathias Schaffhäuser といった友人にも恵まれ、ドイツのレビューでは "Wahl-Kölner" (生まれながらのケルンっ子に対して、自分の意思でケルン人になった人をこう呼ぶ)として紹介されている。あの時は、世の中にこんなに音楽が溢れているのにどうして彼らにはスポットが当たらないのか不思議だったけれど、とにかく彼らの音楽はちょっとしたきっかけで急に注目されるようになり、あっという間にアメリカや日本でも紹介されるようになったのは、嬉しくもあり不思議な気もする -- 彼らはずっと自分の音楽をやってきただけだから。

COLOMA

彼らの新しい音を聴いて、ほとんど自分でも忘れかかっていたことを思い出した。このサイトが名前やアドレスが変わってもずっと最初から色だけはこの色だった理由は、彼らが1996年にリリースした自主制作のアルバムがこの色だったから、だった。私が音楽サイトを始めようと思いついた時に、いつか彼らの音楽をまた聴くことができるようにとこの色にしたのだけれど、今、彼らの新しい音楽について書けることが本当に嬉しい。そしてあの時の残りの2人、1人はサンクスリストに名前があり、もう1人はゲストミュージシャンとして参加していて、それも個人的には小さな嬉しい発見だった。

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