<< 2003 Vol. 5 (2003/10/14) >>

In The Fishtank



1. bombay brassière
(Lars Horntveth)
2. pills, powders and passion plays
(Bent Sæther)
3. doffen ah um
(Jørgen Munkeby / Bent Sæther)
4. theme de yoyo
(Bass / Bowie / Favors / Jarman / Mitchell / Moye)
5. tristano
(Hans Magnus Ryan)

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Mathias Eick
- tp, marimba, per, vo

Håkon Gebhardt
- ds, per

Lars Horntveth
- ts, bcl, marimba, vib, per, vo

Jørgen Munkeby
- fl, ts, cl, marimba, per, vo

Hans Magnus Ryan
- g, b

Baard Slagsvold
- grand p, clavinette, nord electro, vo

Bent Sæther
- b, g, prepared p, solina string ensemble, per, vo

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Recorded in August 2002 at E-Sound in Weesp NL.
Engineered by David Klooker.
Produced and mixed by XZlaya Hadzic at Loud in Amsterdam NL, adviced by Pieter Kloos.
Artwork by Isabelle Vigier.

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2003; Konkurrent
Fish 10


>> Konkurrent
Motorpsycho と Jaga Jazzist は、両方とも音楽的に引き出しが多いグループだと思う。世代が少しずれるから引き出しの中身はもちろん違うだろうけれど、案外共通するものもあるのかもしれない。それから、その中身の扱い方は、カントリーバンドまでやってしまう Motorpsycho と、自分の持っている中身を1つの音楽の中に組み込んでしまう Jaga Jazzist というように、少し異なる印象を受ける。

その両グループの音を「らしく」している要素をそれぞれ1つだけ挙げるとすると、Motorpsycho の場合 Bent Sæther のよく響くベースラインで、Jaga Jazzist の場合は Martin Horntveth が叩き出す、ともすれば突っ込み気味のビートだろう。Motorpsycho のメンバー3人とサポートのキーボードプレイヤー、それに Jaga Jazzist から(元メンバーも含めて)3人が参加したこのアルバムは、そういう意味では、Martin Horntveth の不在という要素で、限りなく Motorpsycho のアルバムだ。けれど、Jaga のメンバーの持ち味もしっかり出ていて、Motorpsycho 最近のどのアルバムとも全く異なる仕上がりになっている。


motorpsycho + jaga jazzist horns
»in the fishtank«


1曲目は Lars Horntveth のオリジナルで、その彼の柔らかいバスクラリネットの音で始まる。ゆったりとしたミディアムテンポというよりかなりスローテンポで始まるこの曲、Lars Horntveth らしい耳なじみのよいメロディーを、Mathias Eick のトランペットがなぞる。曲はまるで Jaga Jazzist なのだけれど、やはりドラムが落ち着いたビートなので違って聞こえるのが面白い。Hans Magnus "Snah" Ryan の弾くギターがきらきらとした輝きを加えている。

2曲目は、Motorpsycho の1997年のアルバム "Angels & Daemons At Play"に収録されていた曲。この曲で初めてボーカルが入る。前の曲とは全く違うメランコリックなメロディーを持った曲、淡々とした心地よいリズム。中間部分ですこしくすんだトーンのMathias Eick のトランペットソロが入る。意外にもかなり長いそのソロは、特に吹きまくるわけではなく曲調と同じく淡々としていて、その美しい音は、Nils Petter Molvær や Arve Henriksen といったジャンルを超えてその「音」がひっぱりだこな先輩たちと同じく、とても「ノルウェー的」だ。

3曲目は、遠くで鳴るピアノと、前曲のトランペットが乗り移ったみたいな音色の Jørgen Munkeby のフルートで始まる。作曲のクレジットはその Jørgen Munkeby と Bent Sæther になっている。幻想的なイントロに続いて途中から軽快なビートが入るこの曲はちょうど2つのモチーフを持ち寄ったみたいな曲。この途中から変わる構成や、ボーカルが入らないことと、効果的に使われるマリンバ、その速めのテンポ、後半に入る Lars Horntveth の、彼らしい柔らかい吹き回しのテナーソロからしても、アルバム中で最も Jaga Jazzist に近い曲だ。

恐らくこのアルバムのハイライトの1つとなるのは4曲目の "Theme De Yoyo" 。Art Ensemble Of Chicago が 1970年にフランスの映画のために録音した "Les Stances Sophie" に収録されていた曲のカバー。Jaga Jazzist と同じ Ninjatune に所属する Cinematic Orchestra もこの曲を演っている。今年リリースされたアルバム "Man With A Movie Camera" に収録されたバージョンは、ダブルベースを中心にジャジーでダンサブルないかにも現代的な仕上がりだ。

で、この Motorpsycho + Jaga バージョンは、原曲より少しテンポを落とし、重心もぐっと落としたエレクトリックギター入りのヘビーなバージョン。AEOC というより、何だか Led Zeppelin でもやっている風だ。ベースがポイントのこの曲を、ベースがキーのバンドと管楽器3人でやるとはぴったりな選曲。アレンジ自体は非常に原曲に忠実、原曲ほど打ち鳴らされはしないけれどご丁寧にタンバリンまで入っている。大きく違うのはボーカルで、原曲の Fontella Bass (女性) の伸びやかでソウルフルなボーカルが、ここでは Bent Sæther がとてもロック的なシャウトをきめていて、それからバックコーラスを始めいろいろな声が聞こえて面白い。ミュージシャンが楽しんでいるのが伝わってくる演奏だ。

最後の5曲目は、LPだとこの1曲でB面を占める21分にもおよぶ曲。私の調べた限り、この曲はライブでは演奏されているけれどアルバムに収録されるのは初めてのよう。とても静かに始まり、パーカッションが鳴り、プリペアド・ピアノが不穏な音階を奏でる。霧がかかった向こうから音楽が聞こえてくるかのように、断片的なモチーフが挟まれる。細かいビートが次第にはっきりしてきて、エレクトリックギターが切り込み、フルートが自由に絡んでくる (それにしても Jaga Jazzist や Motorpsycho ではそのフルート奏者としての一面にスポットが当たることが多かった Jørgen Munkeby、自身のユニット Shining のファーストアルバム "Where The Ragged People Go" のジャケットではテナーサックスを構えてみせ、セカンドアルバム "Shanghai Sweet Devil" ではたった1曲でしかフルートを吹かず、明らかにテナーで勝負している。この辺は本人としてはどうなのだろう?)

曲が中盤を越えた頃、いつの間にかどこかへ行ってしまった「霧」の向こうの演奏は徐々にテンションが上がっている。ベーシックなラインをキープしたまま、ジャムセッションでもやるようなかなり自由度の高い演奏で、それぞれ思い思いの音を重ねていく。本当にテンションが上がってくるのはラスト数分。両グループのメンバーの、すでにトピックにすらならない位当たり前に高い演奏能力を再確認させられ、また共に定評のあるそのライブを思わせる演奏ながら、多分その凄みはスタジオ録音ではなかなか捉えられないのだろうな、と思うような、そんな演奏で46分のアルバムはあっという間に終わってしまった。

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