<< 2003 Vol. 8 (2003/12/23) >>

money will ruin everything money will ruin everything
-- first five years of rune grammofon
私がはじめて Rune Grammofon (リューネ・グラモフォン、以下RG)の音を耳にしたのは2000年の1月で、ちょうどその年の初めから ECM に配給されることになったというノルウェーの新しいレーベルの音を聴いてみようと、買ったばかりのパソコンをネットにつないで RG のホームページを見てみたときだった。今とは異なるデザイン(>>) のRGのホームページには10数枚のアルバムジャケットが並んでいて、その中の一枚、白地に水色のロゴを配しただけのシンプルなジャケットのアルバムが特に気になり、最初に聴いたのはその1枚からの1曲だった。正直、その時の感想は「なんじゃこりゃ」で、その年の終わり頃、Arve Henriksen のトランペットがとても気になりだして、やっともう一度 RG を、というより Supersilent をチェックしてみようと思った。

2001年5月に Supersilent "5" がリリースされ、私の Supersilent 熱は決定的になった。その夏にノルウェー・モルデのフェスティバルを見に行き、その時知り合ったばかりの Trygve Seim がわざわざ私を手招きして、ちょうど彼が話をしていた人を紹介してくれた。その小柄で、ちょっと鋭い目の人が RG のオーナー Rune Kristoffersen だった。Rune Kristoffersen とはその後同じフェスティバルの Jazzkammer × Merzbow の耳栓ライブでも会ったけれど、物静かな彼とは立ち話程度で、ちゃんと話らしい話をするようになったのは、私がオスロで RG のほとんどのCDを買い漁って日本に帰ってきてからだった。

今年2003年2月に私は再びオスロを訪れ、その時 Rune Kristoffersen に会いに RG のオフィスを2度訪ねた。北欧的な採光がされた心地よい空間でいろいろな話をし、その時リリースを数週間後に控えたレーベル30作目、 Arne Nordheim "Dodeka" の話題が出た。厳密に言うと「話題にした」、もう CD は出来ているかと思い(出来ていればリリース前に入手しようという魂胆)訊いてみたのだけれど、まだ CD はジャケットのテストプリントが上がった段階だと言う。そこで突然、ちょっと待ってて、といって Rune Kristoffersen がポスターを入れるようなペーパーチューブを持ってきて、中の物を大事そうに机の上に広げた。それはその上がったばかりの "Dodeka" のテストプリントだった。RG のジャケットは音と共に毎リリースとも手に取るのが楽しみだけれど、目の前にあるまだリリースされていない赤いジャケットを私と一緒に覗き込む彼は、本当に嬉しそうで、「印刷工場からは時々、このCD盤の絵柄ってなんかの間違いじゃないですよね?とかって電話がかかってきたりするんだ(笑)」なんていうエピソードを語ってくれた。普段は本当に物静かな人(ただし率直なものの言い方をする)だけに、自身のレーベルから出す作品に対する愛情を垣間見た気がした。その時思ったのは、私なんて(時間的な短さをさて置いても)、ファン度では Rune Kristoffersen 本人には到底かなわない、彼が RG の一番のファンなのだ、ということだった。当たり前のようでいてあまり当たり前でないこのことが、このレーベルの5年間の充実したリリース、1作品ずつに対する丁寧な扱いに現れている。ほとんど彼1人であらゆることをやっているこのレーベルで、丁寧にフォローできるだけの音源を限定(厳選)してリリースしているため1年にリリースされるアルバムは多くはないけれど、それゆえ非常に高いクオリティーが保たれているのだと思う。

その Rune Kristoffersen が「レーベルにとっての大プロジェクトだ」と語ったのがこのコンピレーションアルバム。RG には "Love Comes Shining Over Mountains" (1999) というコンピレーションアルバムがある。その第2弾として温められてきたこの企画は、30曲入り2枚組というボリュームでまずは前回のコンピレーションをはるかに凌ぐ。ハードカバーの本が付くというのは2月に聞いていたけれど、ブックレット程度かと思いきや、アートブックの装いで驚かされた。中を開けてみたら、私がサイトでいつか近いうちにやろうと思っていたことを Rune Kristoffersen に先を越されていた。それはレーベルの全リリースのジャケットとCD盤のデザインをずらっと並べてみる、という企画だ。その他にもポスター、雑誌の広告記事、最近のリリースに時折貼られているステッカー、アーティストやオフィス内の写真に至るまでをてんこ盛りにし、さらにイギリス The Wire 誌の Rob Young のライナーノート、Kim Hiorthøy による Rune Kristoffersen のインタビューなど(これを自分で企画しているのだから驚く)盛りだくさん。ファンは喜びそうだけれどレコードショップや配給先が嫌がりそうな値段と重さと大きさの、安易にレーベルコンピなどと呼んではいけないのかもしれない、まさしくプロフェッショナルなファンの視点から作られている作品だ。


disc ONE

01. Alog

official
St. Paul Sessions II

Espen Sommer Eide (aka Phonophani; Disk 2 #6) とDag Are Haugan のデュオ。Alog として Rune Grammofon から "Red Shift Swing" (1999) と "Duck-Rabbit" (2001) のリリース、それにそれぞれのソロリリースもある。
プリペアドシロフォンとチェロで Nicolas H. Møllerhaug が参加しているこの曲は、一瞬 Steve Reich を思わせるようなミニマルな曲。といってもここちよい隙間があり、とてもアコースティック。

02. Food Daddycation

Food はイギリス人 Iain Ballmy (ts) と3人のノルウェー人 Arve Henriksen (tp, vo; Disk 2 #1), Mats Eilertsen (b), Thomas Strønen (ds) によるユニット、Iain Ballmy のレーベル Feral Records から "Food" (1999) と "Organic & GM Food" (2001)、Rune Grammofon から "Veggie" (2002) のリリースがある。
Thomas Strønen のオリジナルであるこの曲は、各楽器が緩やかに重なる瞑想的なトラックで、3作目の Helge Sten (Disk 2 #14) のプロデュースの音とはかなり異なりアコースティックな仕上がりになっている。

03. Skyphone Kinamands Chance

Keld Dam Schmidt、Thomas Holst、Mads Bødker の3人からなるデンマークのトリオ。2004年1月12日にファーストアルバム "Fabula" を Rune Grammofon からリリースする。
アコースティックな要素とエレクトロニックな要素をあわせた、3人もいるとは思えないミニマルな、メロディアスなトラック。

04. Jaga Jazzist

official
Two Things

10人編成のジャズ/エレクトロニカユニットで、自主制作の "Jævla Jazzist Grete Stitz" (1996) に続く2枚 "A Livingroom Hush" (2001)、"The Stix" (2002) が世界的に注目を集めている。現在既に4作目の製作に着手している。
この "Two Things" はヴィブラフォン奏者 Andreas Mjøs によるもので、プロデュースも(いつもの Jørgen Træen ではなく)彼が手がけている。レコーディングには Morten Qvenild も参加しているが、いつ頃の録音だろうか。管楽器はほとんど聴こえないミニマルなエレクトロニカで、まるで彼らの何かの曲のリミックスを聴いているかのような感じを受ける。

05. Biosphere

official
Colpa Mia

Biosphere こと Geir Jensen は恐らく世界的に最も有名なノルウェーのアンヴィエント・エレクトロニカアーティスト。イギリス Touch などからかなりの数の作品のリリースがある。Rune Grammofon には DeathprodDisk 2 #14) とのスプリットアルバム "Nordheim Transformed" (1998) の録音がある。
"Colpa Mia" は静かにさざなみのように展開していく「らしい」トラック。

06. Svalastog Pine Solution

Information (Disk 2 #7) の片方、Per Henrik Svalastog。Rune Grammofon にはその Information としての作品がある他、SPUNK (Disk 1 #9) のリミックスアルバム "Filtered Through Friends" (2001) にもリミクサーの1人として参加している。
Svalastog の音は、基本的に Information の音とそんなに違いはないような印象。寒色系の色彩で、淡々としたビートが心地よい。

07. Monolight

Fra Lippo Lippi
Still Light

Monolight こと Rune Kristoffersen は、80年代にエレポップデュオ Fra Lippo Lippi として活動した後は、ソロとして Elephant Song 名義で "Elephant Song" (1993; Easter)、Monolight 名義で "Monolight" (1995; Tatra)、"Free Music" (2002; Rune Grammofon) のリリースがある。Rune Grammofon のレーベルオーナーである他、ECM のノルウェーでのマネージャーでもある。
"Free Music" と同じく、アナログシンセによるインプロ。途中で幾つか横合いから音が挟まれる他は、シンプルな音が揺れて歪みまた元にもどったりとミニマル。

08. André Borgen

TIB Prod.
Aiibaka

André Hardang Borgen はエレクトロニカ系のアーティストで、TIB Procuctions から "Barokken (1600-1750)" (2003) というリリースがある他、同レーベルからのその名も Norway Noise Orchestra という名義でのセッションに Spunk (Disk 1 #9) のメンバーなどと共に参加しているなどいろいろなユニットで活動している。
"Aiibaka" は、最初は静かなノイズで始まり、突如ポップな電子音がピコピコ現れる奇妙なトラック。

09. Spunk

official
Kamelmusikk

SPUNK は Kristin Andersen (tp / reocorders, percussive bamboo tube), Hild Sofie Tafjord (french horn / live sampling, electronics, french horn), Maja Ratkje (voice, theremine, vln, electronics / voice, electronics; Disk 2 #11) , Lene Grenager (cel / cel, live sampling) [楽器は (通常のもの/この曲のもの)]の女性4人組。Rune Grammofon から "Det Eneste Jeg Vet Er At Det Ikke Er En Støvsuger" (1999)、リミックスアルバム "Filtered Through Friends" (2001)、"Den Øverste Toppen På En Blåmalt Flaggstang" (2002) の3枚のリリースがある。
"Kamelmusikk" は3作目 "Den Øverste Toppen På En Blåmalt Flaggstang" の冒頭の曲。タイトルどおり何やらエキゾチックな雰囲気の中、笛が流れ、Maja Ratkje が囁く。

10. Jono El Grande Tango On The Crest Of Reality

Jono El Grande こと Jon Andreas Håtun はコンポーザー兼マルチ奏者、Krusedull から "Utopian Dances" (1999)、Rune Grammofon から "Fevergreens" (2003) のリリースがある。
"Tango On The Crest Of Reality" はそのセカンドアルバム "Fevergreens" からの曲で、10人編成のバンドで演奏されている。超短編映画のようにシーンが展開する不思議なインストポップス。

11. Isak Anderssen

official
3rd Wilderness Song

Isak Andersen は変名ユニットをいっぱい抱えるエレクトロニカ系アーティストで、その中でもポップな Upper Rooms 名義は北ノルウェー・トロムセのエレクトロニカレーベル Beat Service からのアルバムでよく知られていて、Rune Grammofon でも SPUNK (Disk 1 #9) のリミックスアルバム "Filtered Through Friends" (2001) にも参加している。
シンセによる幾つかの音がそれぞれのペースでうごめきながら絡む火星人的なサウンド。

12. Arne Nordheim

official
Hovering

Arne Nordheim はノルウェー現代音楽を代表する作曲家であり、70歳を超えた今なお新しい制作活動が注目されている。Rune Grammofon からは1968-1970年の代表作を集めた "Electric" (1998)、1967-1972年の作品で、全体が一続きになっている "Dodeka" (2003)の2枚のエレクトロアコースティック作品集をリリースしている。前者は Biosphere (Disk 1 #5) と Deathprod (Disk 2 #14) という2世代のノルウェーアンビエントを代表するアーティストによりリミックスアルバム "Nordheim Transformed"(1998) も製作されている。
"Hovering" はアルバム "Dodeka" の2曲目に収録されている、キラキラとした星の瞬きのような電子音楽。

13. Archetti / Wiget Stück 22

イタリア出身スイス在住の Luigi Archetti (g, electronics) とスイス人 Bo Wiget (cel, electronics) のデュオは、Rune Grammofon では現在のところ唯一の北欧圏外のアーティスト。Rune Grammofon には "Low Tide Digitals" (2001) の録音がある。
"Stück 22" (彼らの曲はどれも作品番号のみ)は、懐かしい何かを感じるメロディーと、アコースティックとエレクトロニクスの融和が印象的なトラック。

14. Supersilent

手前味噌 unofficial
c-5.1

Ståle Storløkken (syn), Jarle Vespestad (ds), Arve Henriksen (tp; Disk 2 #1), Helge "Deathprod" Sten (sound; Disk 2 #14) による即興演奏カルテット Supersilent は Rune Grammofon 始まりのアーティスト。これまで "1-3"(1998)、"4"(1998)、"5"(2001)、"6" (2003) の4作品があり、次作は10枚組程度のライブボックスなる予定。
"c-5.1" は、音を聴く限り "6" 前後の音。前半は不規則なグルーヴ感を生み出すドラムがリードし、そこにトランペットとシンセが最小限に絡む。後半、誰からともなく次第に溶けるようにアンビエントな曲に様変わりする。

15. Tove Nilsen Fingerprint

女性シンガーソングライター Tove Nilsen は、Rune Grammofon のごく初期に "Flash Caravan" (1998) というアルバムを残しており、それ以前に Easter Productions というレーベルから "Flyover" (1995) というリリースもある。
"Flash Caravan" 以降、ほとんど名前を聞いたこともなくここでの登場に驚いたけれど、その前作にも参加していたギタリスト Erlend Hansen とのデュオによるこの曲は、エレキギターをバックに相変わらず捕らえどころのない独特の音程で歌われる短いトラック。

disc TWO

01. Arve Henriksen Sanmyaku

Arve Henriksen は恐らく北欧で最も忙しいミュージシャンの1人で、多くのレコーディングやプロジェクトがある。Rune Grammofon には Supersilent (Disk 1 #14) としての 4作品、Food (Disk 1 #2) の作品の他、ソロ作 "Sakuteiki" (2001) がある。
この「山脈」は新曲で、ソロ作と同様 Deathprod こと Supersilent の Helge Sten (Disk 2 #14) によってレコーディングされている。彼独特の尺八のような柔らかい音と、トランペットとは思えない低い音が交互に現れる瞑想的な曲。

02. Nils Økland Hertervig Skisse

ノルウェー固有のフィドル Hardanger Fiddle の名手 Nils Økland は Morild というレーベルからファーストアルバム "Blå Harding"(1996) をリリースした後、Rune Grammofon から "Straum" (2000) をリリース。他にも様々なアルバムに参加しているが、最近では Christian Wallumrød "Sofienberg Variations" (2003; ECM) が最も知られる。
トラッドに根ざした穏やかで温かな "Hertervig Skisse" は、彼自身の Hardanger Fiddle と、"Straum" にも参加していた Sigbjørn Apland のハーモニウム、それに Food (Disk 1 #2) のベーシスト Mats Eilertsen のトリオによる演奏。

03. Kim Hiorthøy Wait

Kim Hiorthøy は元々、Motorpsycho の諸作品、後には Rune Grammofon の全てのアートワークや Smalltown Supersound の作品のアートワークを手がけるデザイナーとして知られていたが、2000年から Smalltown Supersound レーベルより音楽も発表するようになる。これまで "Hei" (2000) 、"Melke" (2002) のフルアルバムがあり、3作目 "For The Ladies" は2004年にはリリースされるはず。
Kim Hiorthøy の音楽は素朴な手触りと、アナログな感覚のビート、どこか懐かしいセピア色のイメージが浮かぶようなエレクトロニカ。このニューヨークのラジオ放送のためのセッション音源のこの曲は、途中にはいるぼそぼそとした声なども含めてとてもらしい曲になっている。

04. Lasse Marhaug Fauske

ソロや様々なプロジェクトで様々なレーベルから数多くの作品がある Lasse Marhaug は、ノイズ/エレクトロニカデュオ Jazzkammer の片方として初期の頃に Rune Grammofon に "Timex" (1999) をレコーディングしている。以降は主として Smalltown Supersound からのリリースが多い。
久しぶりの Rune Grammofon からの音源となるこの曲は、ノイズよりも揺らぐような音響が前面に出た、映像的ともいえる印象的な曲。

05. Strønen / Storløkken Japan

それぞれいろいろなユニットがあるけれど、Rune Grammofon では Food (Disk 1 #2) のドラマー Thomas Strønen と Supersilent (Disk 1 #14) のキーボードプレイヤー Ståle Storløkken 、まさにその両グループの要素をピックアップしたインプロユニット。
ライブ活動は既にかなり長いこのデュオの初めての録音となる "Japan" は、Ståle Storløkken の透明感のある伸びやかなメロディーと、Thomas Strønen のエレクトリックパーカッションの不規則ながら心地よいビートが自由に絡む曲。

06. Phonophani

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Animals

Phonophani こと Espen Sommer Eide は Alog (Disk 1 #1) の片方として2作品を Rune Grammofon からリリースしている他、Biosphere (Disk 1 #5) のレーベル Biophone Records からファーストソロアルバム "Phonophani" (1998) をリリースした後、 Rune Grammofon から "Generic Engineering" (2001) をリリース。
Alog のデジタルサイドを担うという Phonophani のこの曲は、恐らくラップトップによると思われる1曲。"Generic Engineering" 同様、シャープでクールなエレクトロニカ、とても北方風。

07. Information

official
Stacking Of Different Natures II

Information は Jørgen Knudsen と Per Henrik Svalastog (Disk 1 #6) の極北エレクトロニカデュオ。 Beatservice レーベルから "Artifacts" (1998) と "Successor" (2000) をリリースした後、Rune Grammofon から "Biomekano" (2002) をリリース。
この曲は "Biomekano" に収録された "Stacking Of Different Nature" の別バージョン。クールなミニマルアンビエントということで Biosphere (Disk 1 #5) のフォロワーと見る向きが多いらしいけれど、むしろ Pan Sonic にも通じるビート感が印象的。

08. Fe-mail

TV5
Jacob's Leketøy

Fe-mail は Spunk (Disk 1 #9) の2人、Maja Ratkje (vo, electronics; Disk 2 #11) と Hild Sofie Tafjord (french horn) によるデュオ。TV5 というレーベルからデビューアルバム "Syklubb Fra Hælvete" (2002、どピンクのアナログ盤のみ、500枚限定) をリリースしている(現在既にソールドアウト)。
"Jacob's Leketøy" は "Syklubb Fra Hælvete" の冒頭の曲(ただしオリジナルは "Jacob's Toy" という曲名、意味は同じ)。Maja Ratkje のソロに通じる声とエレクトロニクスが交錯、その間にちょっとユーモアも見せるところがタイトルどおり。

09. Øivind Idsø Masker

Øyvind Idsø はエレクトロニカ系のアーティストで、Rune Grammofon の前のコンピレーション "Love Comes Shining Over Mountains" (1999) には A Threatened Logical Unit という名前で参加していた(その時の曲は幾分ダンサブルでテクノよりだった)。他にドイツ Ritornell のコンピ "Maschinelle Strategeme" (2000) には Øivind Idsø の名前で参加している。
"Masker" は、前曲の後ろからいつの間にか始まっている静かな曲で、小さな電子音や様々な音の断片が絡む音楽というより効果音のような不思議な音。

10. Andreas Meland

Safe As Milk
Eplesky

Andreas Meland は トリオ Düpro のメンバー(Rune Grammofon のコンピ "Love Comes Shining Over Mountains" (1999) にも参加)として、またソロとしての活動の他、Safe As Milk Records とそのサブレーベル Melektronikk のオーナーでもあり、また Safe As Milk Festival というフェスティバルを毎年主催するなど多彩な活動をするアーティスト。
この "Eplesky" はギシギシしたノイズで始まるけれど、その中からどこか懐かしい感覚すらする音楽が現れる。そしてまたノイズがかかり、メロディーはその向こうへ消えて行く。

11. Maja Ratkje

official
Intro

Maja Ratkje は Spunk (Disk 1 #9) やデュオ Fe-mail (Disk 2 #8) のメンバーとして活動、またソロとして Rune Grammofon からファーストアルバム "Voice" (2002) をリリース。その他にも現代音楽作曲家としての活動も評価が高い。
"Intro" はアルバム "Voice" の1曲目に収録された曲。不穏な雰囲気を漂わせた冷たい音響を背景に、子供のような声(に加工された声)が歌うようにしゃべり続ける。どの音も Maja Ratkje の声が音源となっている。

12. Martin Horntveth For Luca

Martin Horntveth は Jaga Jazzist (Disk 1 #4) のドラマーでリーダー。これまで Smalltown Supersound から2枚の CDEP "Fast Motion" (2002) と "Skull EP" (2003) があり、2004年には LP のリリースが予定されている。Rune Grammofon には SPUNK のリミックス盤 "Filtered Through Friends" (2001) にリミクサーとして参加している。
ソロとしての Martin Horntveth の最近の音楽は、Jaga Jazzist よりも、彼が最近やっているデジメタル(!)ユニット KILL のほうに近いようだ。打ち込みによる激しいビートはあくまでも彼らしくつんのめり気味。

13. Scorch Trio Taajus

フィンランドのギタリスト Raoul Björkenheim にノルウェーの若い2人 Ingebrigt Håker Flaten (b) と Paal Nilssen-Love (ds) をぶつけた Scorch Trio は Rune Grammofon からの "Scorch Trio" (2002) で突如登場、度肝を抜いた。
この Taajus はアルバムには収録されていない曲で、こんなに過激な未発表曲がまだあったのかと思うようなぶっとんだ1曲。前曲がデジメタルならこちらはメタルジャズ。

14. Deathprod Deerstalker

Deathprod こと Helge Sten は Supersilent (Disk 1#14) のリーダーであり、それ以前にソロアーティストとして "Treetop Drive 1-3, Towboat" (1994) と "Imaginary Songs From Tristan Da Cunha" (1996) の2枚のソロ作がある。他にもミュージシャン・エンジニアとしての参加作はたくさんあるが、Rune Grammofon からは Biosphere (Disk 1 #5) とのスプリットアルバム "Nordheim Transformed" (1998) がある。2004年2月には新作 "Moral And Dogma" 、それにその新作と前2作、レアトラック集の4枚組ボックスセット "Deathprod" のリリースも予定されている。
"Deerstalker" は荒涼としたサウンドスケープが静かに、深く広がるアンビエントなトラック。前の数曲がハイテンションなところへきて一気にクールダウンする。

15. Susanna And
The Magical Orchestra
Believer

Susanna And The Magical Orchestra はボーカリスト Susanna Wallumrød (Christian Wallumrød の実妹)とピアニスト Morten Qvenild (元 Jaga Jazzist、Disk 1 #4 には参加) のデュオユニットで、Jaga Jazzist のヴィブラフォン奏者 Andreas Mjøs プロデュース、Deathprod (Helge Sten; Disk 2 #14) の共同プロデュースとミキシングによるデビューアルバム "List Of Lights And Buoys" を 2004年1月19日に Rune Grammofon からリリースする。
"Believer" は Susanna Wallumrød が壊れそうに繊細な歌を歌い、Morten Qvenild と、それにこの曲には Andreas Mjøs のヴィブラフォンによりミニマルな音を付け加える静かで穏やかな曲。尚、この曲はイギリス The Wire 誌 236号(2003年10月)付属のコンピ盤 Wire Tapper 10 にも収録されている。

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