<< 2004 Vol. 1 (2004/01/04) >>

"... That Great October Sound"

"... that great October sound"

1. From Grace
2. All's Not Lost
3. That Great October Sound
4. Life Here Is Gold
5. Tomorrow Stays The Same
6. Postulate
7. Adelaide
8. John Wayne
9. Love'sLost
10. Dreamweaver
11. Outro

2002;
Checkpoint Charlie Audio Production
/ EMI
CCAP 018

listen!





"Stray Dogs"

"Stray Dogs"

1. Rain Down On Me
2. Cecilia
3. Make A Mess Of Yourself
4. Pale Green Eyes
5. Either Way I'm Gone
6. Honey
7. Rise In Shame
8. Stray Dogs
9. The Willow
10. Stay Home
11. Outro

2003;
Checkpoint Charlie Audio Production
/ EMI
CCAP 026


listen!

THOMAS DYBDAHL
... that great singer songwriter from Norway

次々と興味深いアーティストが出てくるということで注目されているノルウェーの音楽シーン、そこから出てくる音楽は、新しい音楽と、どちらかというと特別新しくはない音楽の2種類ある。新しい音楽は、例えばノルウェー固有のトラッドなどを取り入れたもの(他の国のリスナーにとって「新しい」のは当然)、それに他ジャンルの音楽との彼らなりのミクスチュアなどがある。このサイトで紹介しているジャズはこちらに属するものがかなりある。

一方のどちらかというと新しくはない音楽は結構多く、ノルウェーのロックバンドでは60年代〜70年代風の音のグループも多いし、ジャズでも同様に、現代的な感覚が加味されているものの、ベースとなるところは結構オーソドックスなサウンドだったりするものもある。

現在24歳の Thomas Dybdahl は後者に属すると言えるだろう。自らギターを弾き、歌う。その歌はポップとかロックというよりシンガーソングライターという言葉がぴったり。ほとんど彼が自ら手がける曲は、アップテンポにはならず、ミディアムテンポまで。弾き語りに4人編成のバックバンド The Great October Sound を加えた演奏が基本形で、ギターの音が音の中心にある。特にポップではなく、かなり地味な雰囲気だ。ファーストアルバムのタイトルは、このアルバムが2002年10月1日だったこともあるだろうけれど、これはまさしく秋の音だと思う。

その曲を歌う Thomas Dybdahl の声、この声がこの音楽をただの地味な音楽にしない最大のポイントであり、新しくないはずの音楽が新しく聞こえるゆえんでもある。基本的には低めの声で、ユニークなのはファルセットの使い方。とても柔らかい声の出し方で、そのためかとても繊細の印象を受ける。その丁寧な声のコントロールで、何ともいえない高揚感も醸し出す。ファーストアルバム "... That Great October Sound" のジャケットが23歳の時の本人で、見かけと声は合っているような気がするけれど、その年齢に対するこの歌いまわしの成熟度にとても驚かされる。

ノルウェー第4の街スタヴァンゲルのクラブ Checkpoint Charlie が運営する Checkpoint Charlie Audio Production という小さなレーベル(ただし EMI ノルウェーが配給している)から 2000年に "Bird" 、2001年に "John Wayne" というシングルをリリース、その後2002年に発表されたファーストアルバム "... That Great October Sound" は瞬く間にノルウェー中の話題になり、その年のノルウェーの2大音楽賞(グラミー賞にあたる)を両方とも受賞し、1万枚売ったらヒット作と言われるこの国で、発売から1年で2万3000枚も売れ、ゴールドディスクを獲得した。

そのファーストアルバムのリリースから1年も経たない 2003年9月末、セカンドアルバム "Stray Dogs" がリリースされた。彼の新しい音楽はまたもや一番相応しい季節、秋にやってきた。

基本的なスタイルはまったくファーストと変わらない。けれど、歌も曲も前作を上回るような感じを受ける。録音は妙に生々しく、それぞれの楽器の音はダイレクトな響きを留めている。ファーストアルバムでもそうだったけれど、Thomas Dybdahl 自身によるアレンジは結構丁寧なもので、ギター、ハモンドオルガン、ピアノ、ヴィブラフォン、パーカッション、ラップスティール、ジューズハープ、クラリネット(これを吹いているのがあの Frode Gjerstad だから驚かされる)、ヴァイオリンといった楽器をさりげなく配している。セカンドアルバムでは、ノルウェーの個性的 な(ビビッドなイメージのファッションリーダー的な存在でもある)ポップシンガー Bertine Zetlitz (>>) という一見まるで接点がないようにさえ思える女性シンガーとのデュエット曲 "Pale Green Eyes" があるのだけれど、これが見事にはまっている。このアルバムの Thomas Dybdahl の歌は、既に聴き手の心を揺さぶるような何かを備えつつある。

ノルウェーではもう知らない人はいないような存在になってしまった彼だけれど、国外へはこれからといった感じで、ようやくデンマークでアルバムがリリースされ、今年春に幾らかのヨーロッパツアーが組まれる予定のようだ。非常に普遍的な歌ゆえ、彼が国外でも注目されるようになるのは時間の問題のような気がする。でも重要なのは、地に足のついた、彼自身の内面から歌いだされる音楽だということはもちろんだ。


LINKS to that great sound:
>> www.thomasdybdahl.com (official)
>> Checkpoint Charlie Audio Production (label)
>> Checkpoint Charlie Audio Production online shop

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